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ひっそりと、力強く存在するものに惹かれて。 その存在を写真で少しだけ浮かび上がらせていく
静かにそっと掬うように日常の景色を写真に収めているHoshinoさん。Hoshinoさんの写真を眺めていると、写真との向き合い方について考えさせられます。そんなHoshinoさんがどんな瞬間に魅力を感じ、写真に収めているのかを知りたくてお話を伺いました。
著者: Satoru Hoshino | 作成日: 2023/08/08
― はじめにHoshinoさんが写真を始めたきっかけや、写真にのめり込んでいった経緯について教えてください。
幼い時に父が大きな一眼レフで写真を撮ってくれていたのですが、私が本格的に興味を持ったのは高校に入ってからでした。スマホを使って写真を撮っているうちに、現実に見た景色と得られた画像がどうしてこんなにも違うのだろう、目で見た瞬間の空気感は再現できないのだろうかと疑問を持ち、モバイル版のLightroomであれこれ編集しているうちにのめり込んでいきました。高校時代に中古のCanon EOS 6Dを購入し、父が持っていたレンズを付けて写真を撮っていました。
大学受験の時期になるとほとんどカメラも触らなくなり、次にのめり込んだのが2020年の一年間実家でオンライン授業を受けていた時期でした。それまではどこかへ行って写真を撮るものだと考えていましたが、今ある家族との生活こそ自分が残すべきものではないかと思い、それ以来は身近な環境を写真に残す面白さに魅了されています。
― Hoshinoさんの写真を眺めていると、一枚一枚その瞬間に向き合い、自分の感性と対話するように撮られているように感じます。Hoshinoさんはどんな瞬間に魅力を感じ、写真を通じてどんなことを表現されていらっしゃいますか。
視界の片隅にひっそりと、それでいて力強く存在しているものに目が惹かれます。それは文字どおり道路の片隅に生えた花や木陰もそうですが、小さな葛藤を繰り返す人の暮らしや生き方も同じだと思います。その存在たちを写真で少しだけ浮かび上がらせる、そして記録することが自分の目指している写真だと思います。
― Hoshinoさんの写真は、階調が豊かで深みがあり、それと同時にどこか静かで写真の世界に引き込まれるかのように感じます。撮影時の設定や現像時など写真表現においてどんなことを心がけていらっしゃいますか。
撮影をするときはただ歩きながら出会いを待つ、という感じです。現像は最近DaVinci Resolveを使い始めました。手間がかかる上に写真の管理が大変ではありますが、細かい色味や表現を作り込むことができて気に入っています。
LUTを複数重ね掛けでき、輝度ごとのグレインの乗せ方の調節やハレーションを加えることもできるので奥深いです。また、カラースペースを変換してから現像するので複数のカメラの色味を揃えられる点も大きなアドバンテージだと思います。
― 留学や旅など海外での経験がその後の考え方や写真にも反映されているように思います。海外での生活や旅に憧れる方は多いと思いますが、Hoshinoさんにとっては海外での経験はどんな影響がありましたでしょうか。
8ヶ月間フランスのディジョンへ留学していましたが、自分の中では「あまり変わらないな」というのが正直な感想です。初めのうちは周りの景色が新鮮で全てが違う世界に感じられるのですが、ひとたび慣れてしまうとそこにはいつもの生活が待っています。
それでも一つだけ大きく変わるなと感じたのは人です。今まで近くにいた人と離れて新たな人に囲まれるのは非常に大きな体験でした。みんな育ってきた背景も違えば言葉も考え方も違う。その違いを見るのがとても面白くて、人の考え方の違いに敏感になりつつも、寛容に受け止められるようになったと感じます。日本に帰ってきて人にフォーカスする機会が増えたのも、その時の体験が反映されているのだと思います。
― 続いて、Hoshinoさんがメインで使っているカメラ・レンズについて、それぞれの機材を選ばれた経緯や用途、お気に入りの点について教えてください。
今まではソニーのα7 IIIをメインで使用していて、留学から帰ってきてからは富士フイルムのGFX50Rを写真に、α7 IIIを映像に使用しています。
留学中はα7 IIIでMinoltaのM-ROKKOR 40mm F2というレンズを付けっぱなしで撮影していました。絞り込むとそれなりに立体感もあり、レンズの小ささと40mmという距離感が、ひたすら歩き回りながら撮影する自分のスタイルに合っていたと思います。
帰国後にGFX 50Rを使い始めたのは被写体としっかり向き合って撮影したいという思いからです。視点は今までと同じスナップ的でありつつも、より静かな画を残すにはレンジファインダースタイルで軽量、かつ豊富な情報を受け止められるGFX 50Rが最適だと思います。レンズはMamiya SEKOR C 80mm F1.9を使用しています。仕事などではAFが使えた方が格段に楽なのですが、被写体を観察する時間が増えるので普段はマニュアルレンズで良いなと感じています。
― 最後に、Hoshinoさんのベストショットと、次に狙っているカメラやレンズ、今後の抱負があれば教えてください。
これは母が換毛期の実家の愛犬の毛を抜きながら撫でているという何でもない写真ですが、自分にしか撮れない写真は何かを思い出させてくれる気がします。
今のご時世的には中々厳しいですが、4×5のフィールドカメラは使ってみたいと思っています。
これからも写真を含めた様々な形で自分の視点をどう活かせるか模索していきます。
著者
北海道札幌市生まれ。秋田県の大学生。2022年9月より8ヶ月間フランス・ディジョンのビジネススクールに留学。日本広告写真家協会公募展「APAアワード2023」写真作品部門入選。第39回東川町国際写真フェスティバル「写真インディペンデンス展」出展。
Satoru Hoshinoさんの使用カメラ