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撮ることが目的にならないように。 旅で出会った光景をフィルムカメラで残していく
ヨーロッパを中心に世界を旅し、出会った光景をフィルム写真に残されているNagasakiさん。Nagasakiさんの撮る写真はポストカードのように美しくも、どこか力の抜けたスナップのような雰囲気を感じます。そんなNagasakiさんがどんな思いでシャッターを切っているのかを知りたくて、お話を伺いました。
著者: Nagasaki | 作成日: 2020/09/08 | 更新日: 2023/01/28
― はじめにNagasakiさんが写真を始めたきっかけや、写真にのめり込んでいった経緯について教えてください。
大学生の時に、自分で何かを表現できる趣味が欲しいなと思った事がきっかけです。音楽や絵も魅力的だったのですが、なかなか上手くできず、写真にたどり着きました。シャッターを押したら目の前に広がる景色を記録できる点が、面倒くさがりの私にあっていたのかもしれません。
その後、Instagramを始めてたくさんの素敵な写真を目にし、自分もこんな写真が撮りたいとのめり込んでいきました。デジタルカメラは仕上がりの綺麗さや性能に、フィルムカメラはどこか優しい写りや、機能美・フォルムなどに惹かれ、写真だけでなくカメラ自体も好きです。
写真を通じて、波長の合う友人たちと出会えたことも、長く写真を続けられている理由の一つです。
― 一枚一枚がポストカードのように美しくも、力の抜けたスナップがとても魅力的です。スナップ写真は、表現の幅が広いが故に撮る方の感性がそのまま表れると思います。Nagasakiさんはどんな瞬間や風景に魅力を感じ、写真に残されようとされていますか。また、写真家でも写真家でなくても影響を受けた方はいらっしゃいますか。
私が魅力を感じるのは「自分の頭の中にある理想的なイメージが目の前に広がっている瞬間」と「自分の頭では想像もできなかった事を偶然目にした瞬間」です。
前者は、事前にリサーチをして「いつ、どこで、何を撮るのか」を決めて撮ります。有名な観光スポットにいく場合はこのパターンが多いです。撮りたいと思っていたものが目の前に広がっているので、記録も兼ねて写真に残します。
後者は、偶然に自分の目の前に広がる光景です。海外を歩いている時は、基本的にカメラを手に持って歩いているので、そういった瞬間に出会すと、すぐに写真に残します。
この二つが相まって、私の写真にはポストカード的側面と、力の抜けたスナップという二面性があるのかもしれません。
濱田英明さん、高橋ヨーコさん、市橋織江さん、川島小鳥さんのお写真に影響を受けました。
― Nagasakiさんは海外の写真を撮られることが多いですが、日本の雰囲気とは異なる空気感が魅力的です。特に北欧は、穏やかでゆったりとした時間が流れるような印象を受けますが、Nagasakiさんが感じる北欧や海外の魅力を教えてください。また、海外でも国内でも特に好きな場所や印象的だった場所があれば教えてください。
海外の魅力は、自分が何者でもないことです。日本にいると、どうしても学生や社会人として社会の一員であるわけですが、海外では一人の旅行者に過ぎません。誰に気にされることもなく、写真を撮る。それも、映画の中のような街並みやロケーションでそれができる事が魅力です。フッと解放されたような気持ちになります。
場所では、アイスランドが印象に残っています。大自然に圧倒され、現地の人たちにとても優しくしてもらったからです。自分も一人の日本人として、海外からの旅行者に優しくしようと思わせてくれた国でした。アイスランドで見た人生で1番の夕焼けは、今でもはっきりと心に焼き付いています。
― 間違っていたら恥ずかしいのですが、光を捉える力の強いフィルムだからこそ、太陽高度の低い北欧とフィルム写真はとても相性が良いのかと思いました。きっとデジタルでも撮影をされているかと思いますが、Nagasakiさんの考えるフィルム写真の魅力について教えてください。
フィルム写真の魅力は、色々な意味での潔さです。撮れないものは撮れないですし、その場で写真の仕上がりを見ることもできません。だからこそ、海外には打ってつけだと思っています。
良い写真が撮れるまで同じ場所で格闘することなく「良い写真撮れた気がする」と嬉しい気持ちで、次の目的地にさっと動く事ができます。上手く撮れていなくても、自分の目には焼きついていますし、それを許せる緩さも魅力の一つです。
新しい体験をしようと海外に行っているので、フィルムカメラだけを持っていくことによって、写真を撮る事にあえて重きを置きすぎないようにしています。
― 続いて愛用されているカメラ・レンズについて、それぞれの機材に至った経緯やお気に入りのポイントについて教えてください。
CONTAX T2とPENTAX 67IIを主に使用しています。
様々なコンパクトフィルムを使ってきましたが、大きさや重量感が一番手に馴染みが良かったため、ずっと使用しています。手が大きいので、私にはCONTAX T3よりもT2の方が合っていました。
中判も多くの種類を使ってきました。PENTAX 67IIに行き着いた経緯は、絞り優先で撮影ができることです。撮りたい場面を逃さないために、露出を自動で決めてくれるカメラが必要でした。
CONTAX T2の魅力は、まずその見た目です。私のモデルは60周年記念モデルで黒と金という色使いのボディで、いつ見てもカッコ良いなと思ってしまいます。オートフォーカスでコンパクトなので、サッと撮れるところが魅力です。レンズも良いものが付いていますので、言わずもがな写りにも大満足です。
PENTAX 67IIの魅力は、ボケ感です。中判カメラならではのボケ感で、なんでもないような場面でも、作品のように写してくれます。シャッターを押した後のミラーの跳ね上がる衝撃やシャッター音も大好きです。とても重いですが、それも許せるくらい魅力的なカメラです。絞りを決めれば、シャッタースピードを自動で決めてくれる速写性も、スナップを撮るには魅力的です。
― 特にCONTAX T2とPENTAX 67IIを使われることが多いと思います。それぞれは対照的なカメラですが、どのように使い分けていらっしゃいますか。
CONTAX T2は少しでも心が動いたら、とりあえずシャッターを切ります。1本のフィルムで36枚撮れますし、オートフォーカスなので片手でも撮れる身軽さが売りです。コンパクトカメラの部類なので、肩肘張らずに宿の近くを散歩したい時には、T2だけを持って出かけたりします。後述するPENTAX 67IIで撮った場面で、保険的にT2でも同じ場面を撮ることもあります。
PENTAX 67IIは、ここぞという場面に使います。背景をボケさせて主役を引き立たせたい時、大きく心動かされて大切にシャッターを切りたい時などです。海外だと、持っているだけで声をかけられることもあるので、コミュニケションツールとしての側面もあるかもしれません。レンズは標準の105mm F2.4のものを使っています。
― 最後に、Nagasakiさんのベストショットと、次に狙っているカメラやレンズ、今後の抱負があれば教えてください。
ベストショットは、パリのモンパルナスタワーで撮ったこの一枚です。
1ヶ月の旅行の最終目的地だったこと、自分なりに英語を使ってコミュニケーションを取って話ができたこと、日本に帰ってきてから交換した連絡先に写真を送ったら喜んでもらえたことなど、ストーリーがあってのこの一枚です。一目で見た人を釘付けにする写真も良いですが、自分のベストショットとなると、こういった自分だけのストーリーのあるものを選んでしまいます。
幸いなことに、今は欲しいカメラはなく、PENTAX 67IIに匹敵するデジタルカメラが発売されたら買おうかなという程度です。何年もかかって辿り着いた2台のカメラなので、これからも今使っている2台を使い続けると思います。
写真と珈琲が好きなので、いずれはそれに関わる仕事ができればと思っています。今はどちらも趣味として楽しみつつ、より高いところを目指していきたいです。
著者
Nagasaki
1995年生まれ 山梨在住。 2018年、様々な国を旅して、写真を撮りためていく。 お気に入りのカメラはCONTAX T2とPENTAX 67II。
Nagasakiさんの使用カメラ
メイン
PENTAX 67II