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移りゆく空・草花・光に惹かれて。 その時の空気感や感覚ごと写真に残していきたい
国内・国外を問わず多くの場所を旅し、フィルム写真に収めているtyotyoripさん。tyotyoripさんの切り取る柔らかく優しい景色は見る人を魅了し、心を穏やかにしてくれるような感覚を覚えます。そんなtyotyoripさんがどんな瞬間に魅了されて写真を撮っているのかを知りたくて、お話を伺いました。
著者: tyotyorip | 作成日: 2020/09/13 | 更新日: 2023/01/28
― はじめにtyotyoripさんが写真を始めたきっかけや、写真にのめり込んでいった経緯について教えてください。
大学時代に北海道の美瑛を旅した時、外国のような景色にとにかく感動して…その時はまだコンデジでしたが、夢中で写真を撮りました。その景色が忘れられず、数年間、美瑛に通い詰めることになるのですが、一眼レフで撮ったらもっときれいに撮れるのかなと思い、デジイチ(Nikon D40)を購入したのが最初のきっかけです。
また、当時は「カメラ日和」や「Loveカメラ」など女性向けのカメラ雑誌が少しずつ増えてきた時期でした。自分もこんな風に柔らかい写真を撮りたいなぁと思っていた時に、「カメラ日和」で写真教室の受講生を募集していたんです。その教室で仲良くなった友人たちに影響されてフィルムカメラを始めたのですが、その優しい描写やノスタルジックな雰囲気にあっという間に虜になりました。
それからは、写真教室やワークショップなどを通じて出会った友人と出かけたり、グループ展をしたりするようになって、誰かと一緒に写真を楽しむようになったことも大きな刺激になりました。
― 部屋に飾りたくなるような写真ばかりでいつまでも眺めていられます。実際に北欧の写真もありますが、国内の写真も北欧の風景のような印象で、tyotyoripさんの穏やかさが写真を通じて伝わってきます。tyotyoripさんはどんな景色や瞬間に惹かれ、写真に収めようとされていますか。また、写真家でも写真家でなくても影響を受けた方はいますか。
その季節を感じる色や光、景色には強く惹かれるものがあります。だから旅が大好きだし、自分から進んでそういう場所に足を運ぶようにしています。
その季節、その瞬間、その場所にしかない空・草花・光の色や形があって、そういうのを見ると、あぁ、好きだな、心地よいな、と自然にインスピレーションが湧き上がってくる感じがして…
視覚的な美しさだけではなく、その時の空気感や感覚ごと、写真に残しておきたいなと思いながらシャッターを切っています。
影響を受けた写真家さんは、市橋織江さんです。フィルムカメラユーザーの旅好きの友人には、やはり市橋さんのファンの方が多いですね。何気ないワンシーンが、その魅力的な切り取りや色、光によって特別な一瞬として写し出され、思わず、写真の中の物語にぐっと引き込まれてしまいます。
他にも、かくたみほさんに小倉優司さん、今城純さん、tsukaoさん…挙げたらキリがないですが(笑)、どの方もとらえる光と色彩が本当に美しくて。それから雑誌のTRANSITも大好きです。こうして並べてみると、やっぱり旅への憧れが強いんだなと思います。
― 先ほどの質問とやや重複するのですが、tyotyoripさんの写真は、広がりを感じ、また広がりの中に立体感も感じます。一枚の写真を作り上げていくにあたって、心がけていることを教えてください。
とにかく、ファインダーを覗きながらじっくり考えます。
その時の空気や感覚ごと表現するために、構図やボケなど意識していることはたくさんありますが、やっぱり一番心掛けていることは光の捉え方です。光によって輝く被写体や景色の色彩・鮮やかさが、最も印象的に残るようにしたいなぁ、と。たぶん、感じていただいている広がりや立体感は、その中で自然に生まれてくるものなのかなと思います。
逆に、いろいろ考えすぎて、訳がわからなくなってしまうこともあるのですが…(笑)。でも、現像した時にイメージ通り撮れていると、あの時頑張って撮って良かったな、と嬉しくなります。
それからもう一つ。どこか外国のような、物語のような…「ここはどこだろう?」と思ってもらえるような切り取りを意識しています。自分らしく切り取ることで、その場所がちょっと特別な場所に感じられるのが楽しいんです。
― また、透明感や色味もとても魅力的です。きっとそう思っている方が多いと思うのですが、色合いなどの表現に際して、撮影時の設定や現像など心がけていることを教えてください。また愛用されているフィルムの種類があれば併せて教えてください。
やっぱりボケ感が好きなので、開放ぎみに撮ることが多いです。また適正よりも少し明るく撮るようにしていますが、明るく撮りすぎると逆に色調が失われてしまうので注意しています。
フィルムは、もともとはFUJIFILMのPRO400を愛用していたのですが、廃盤になってしまったた め、今はKodakのPORTRA400とFUJIFILMのPRO400Hを使い分けています。被写体の色をきれいに残したい時はPORTRA400、より透明感を出したい時はPRO400Hといった具合です。
オーダーの際は、透明感を出しつつ、色味はきれいに残したいとお願いしています。まさに質問に書いていただいたキーワードだったので、ちゃんとイメージが伝わっていることに嬉しくなりました。これもイメージ通りに仕上げてくださるプリンターさんのおかげです。いつもありがとうございます!
― 初めてtyotyoripさんのアカウントを拝見した際、勝手ながらほとんどが北海道で撮られたものだと思い込んでいたのですが、全国の様々な場所で撮影されており、こんな驚きました。様々な場所へ旅されていらっしゃいますが、特に思い出に残っている景色について教えてください。
北海道好きにとって、とても嬉しいお言葉ですね!ありがとうございます。
どこも大好きな場所ですが、数年前に初めて行ったバルーンレースで、朝日に照らされて次々と気球が飛んでいく姿にはとにかく感動しました。
なんとそれが実家からわりと近い場所で…こんな身近に、こんな物語のような景色があったなんて!しかもそれに20年近く気づいていなかったなんて!と、驚きました。
有名な観光地でなくても、遠く離れた場所でなくても、素晴らしい場所や景色はたくさんあるんだと気付かせてくれた出来事でした。
― 続いてカメラ・レンズについて教えてください。tyotyoripさんは様々なフィルムカメラを使っていらっしゃいますが、特に愛用されているカメラ・レンズや、それぞれに至った経緯や魅力、思い入れについて教えてください。
どのカメラも大好きですが、やっぱり一番思い入れがあるのはRolleiflex 2.8E2です。
ワークショップで知り合った友人たちの中判写真がすごく素敵で…それまで漠然としていた中判への憧れが一気に高まり、友人たちにいろいろ相談した末に、Rolleiflexを買うことにしました。買うなら絶対真四角(6×6)フォーマットと決めていましたし、描写力の評判の良さ、そして何よりもそのクラシカルな見た目が決め手でした。
ちなみにRolleiflexといえば2.8FのPlanarレンズが有名ですが、私は2.8E2のXenoterレンズです。2.8Fよりも安かったから、という理由ですが、機能も写りも、私にとっては十分でした。
特にF2.8の描写が魅力的で、その独特の世界観が好きです。やわらかいボケ感はもちろんのこと、晴れた日はキラキラに、曇りや雨の日はしっとりと、肉眼で見た以上にその瞬間の光を印象的に写し出してくれます。良い意味で、見た景色そのままには写らないカメラだと思います。
二眼レフはパララックスがあり、レンズが交換できないなど、他の中盤と比べて弱点も多いカメラですが、それを差し引いてでも使いたくなるくらい、その描写が私にとっては魅力なんです。
また、シャッターショックも少ないので、フィルムの中盤カメラとしては暗い時間や場所の撮影にも強いと思います。無理やり撮った夕暮れ後の写真が予想外に良い感じに撮れていたり…ということもちょくちょくあります。
そんなRolleiflexを初めて持って出かけた日、ファインダーをのぞいた瞬間すごくワクワクしたのをよく覚えています。今でもファインダーをのぞいた瞬間、思わず「あぁ、好きだなぁ」としみじみしてしまう時がありますね。
― 最後に、tyotyoripさんのベストショットと、次に狙っているカメラやレンズ、今後の抱負があれば教えてください。
実のところ、本当に大好きな写真はプリントでと決めているため、instagramには載せていません。
ですので、あえて挙げるなら…
公園で友人たちと一緒に撮影したひとコマです。風景と同じくらい、花と手は大好きな被写体です。Rolleiflexならではの美しい玉ボケと柔らかい光の描写、どことなくストーリーのある雰囲気が好きで、携帯の待ち受けにしているくらいお気に入りの写真です。この写真を見るたびに、この日の楽しかった記憶も蘇ってきます。
今ところ特に狙っているカメラやレンズはありません。今の愛機たちを、もっと使いこなせるようにしたいです。
今後の抱負は、今は残念ながら一次的に叶わなくなっていますが、また自由に旅ができるようになったら、国内・国外を問わずたくさんの場所を旅してその土地ならではの光と景色に出会うことです。
著者
tyotyorip
1984年、埼玉県生まれ。会社員。 2011年から東京を中心にグループ展や企画展を通じて活動、2019年には初の個展を開催。 2014年富士フイルム「30000人の写真展」スペシャルフォトコンテスト入選。 好きなものはフィルムカメラと旅と美味しいもの。