写真にメッセージを込めて。 その人の一番綺麗な瞬間を切り取りたい

― はじめにHiroさんが写真を始めたきっかけや、写真にのめり込んでいった経緯について教えてください。

写真を始めたきっかけですが、大学3年生の時に友達の1人がカメラを買い、撮れた写真を見せてくれました。その写真がとても綺麗で自分もこんなふうに写真が撮れたら楽しいだろうなと思って、その日にカメラを買いに行きました。

始めに自分が買ったカメラはEOS8000Dという機種で、そのカメラにいわゆるダカフェレンズと呼ばれているsigmaの35mm f1.4のレンズをつけて2年間遊んでいました。始めの頃は風景をメインに写真を撮っていて、ポートレートは当時の彼女をたまに撮るくらいでした。

2年が経過した頃から星を撮る際になんだか綺麗に撮れないなあと思い始めて、高感度撮影でも綺麗な写真が撮れるフルサイズ機にステップアップすることにしました。それからポートレートの楽しさに気がついて1年間ポートレートを撮り続けて今に至ります。

― あくまで私の主観ではあるのですが、切り取るシーンやロケーション、また色合いなど含めて、どこか海外の写真集を眺めているような印象を覚えます。Hiroさんはどんな瞬間に惹かれてシャッターを切っていますか。また写真家でも写真家でなくても影響を受けた方はいますか。

ポートレートを始めた時から一貫して切り取りたいと思っているのは、その人の一番綺麗な瞬間です。

せっかく僕の写真に写ってくださるので撮影後に本当に良かったと思ってもらえるように、モデルをよく見て、そのモデルが一番綺麗に写る角度などを探すように模索しています。

笑顔が似合う方だとその人を笑顔にするために撮影時にふざけたりもします。またクールな顔が似合う方は極力ふざけたりせずに、といったように色々と工夫をしています。

ロケーションに関しましては、日頃からドライブする際などによく周りを見て、あそこは光が綺麗に差しているといったことなどを観察しています。いざ撮影になった時にはすぐに光が良い場所を探すことができるので、その観察が役に立っていると思います。

色合いに関しましては、ポートレートを始めた際には所謂マットな質感と言われるシャドウ側の階調を狭めた表現が好きだなと思っていました。しかし最近の心境の変化として、せっかくいいカメラを使っていて、階調を豊かに表現できるにもかかわらず、編集でそれを狭めてしまうのはカメラに失礼なのではないかと考えるようになりました。

そのあたりから写真の色味が少しずつ海外のアカウントで見るような色味に変わってきたかと思っています。色味に関しましては今なお模索中です。

影響を受けているのは個人ではないのですが、海外のInstagramのHUB(35mm magazineなど)です。日本で流行っているようなレトロな色彩ではないのですが、こってりした色味が大好きでいつも影響されています。

― また、Hiroさんの写真はアカウント名を見なくてもHiroさんの写真と分かるほどに印象的です。撮影の際や現像の際、どんな表現を心がけていますか。

撮影の際にはレタッチ後の色味を考えて撮影しています。ファインダーを覗いた段階からレタッチ後にどのような色味にするかっていうのはだいたい想像がついていて、そのレタッチをしやすくするためにアンダーで撮影するのか、それともオーバーに撮るのかなどを考えながら撮影しています。

現像の際に最近心掛けているのは、立体感を出そうということです。どうしても3次元を2次元に写し込むのが写真なのでその際に立体感が失われてしまうといったことが起こると考えます。なので、立体感をいかに出せるかということを考えながらレタッチをしております。

また、僕は文章を書くことがあまり得意ではなく写真を見ただけで何か僕の考えが伝えられるような、そんな写真が撮れるようにといつも考えています。

― 街中から自然あふれるロケーションまで背景に広がる幅広い風景も魅力的です。Hiroさんは山口県・福岡県を中心に撮影されていますが、特に好きなスポットやおすすめのスポットがあれば教えてください。

山口県内は自然の宝庫ですので県内どこで撮影しても綺麗な写真が撮れると思います。

と言ってしまうとふざけるなと言われるかもしれませんので真面目にスポットを記載すると、まずは山陽小野田にある花の海という場所がとても良いスポットだと思っています。夏にはひまわり、秋にはコスモス、春にはイチゴ狩りなど四季折々の花に出会えるので撮影の幅を広げることができると思います。

また新山口駅も個人的にとても好きで、新山口駅構内にはとても綺麗に光が差す場所がたくさんあり、人目があまり気にならないのであればぜひ駅で撮影してみて欲しいです。僕は少し恥ずかしいので深夜誰もいなくなった新山口駅でかっこいい写真を撮ろうと奮闘しています。

福岡県のおすすめ撮影スポットはありきたりではあるかもしれませんが、門司港駅です。あそこも光の入り方が最高で、ストーリー性を感じさせる写真が撮れると考えます。

― 名機と名高いCanon EOS 5D Mark IVをお使いですが、昨今ミラーレスカメラは相当な勢いがあります。数あるメーカー／カメラの中で、Hiroさんが5D Mark IVを選ばれた経緯や、お気に入りの点について教えてください。

僕が5Dを選んだのはまず一番大きな理由としてはCanonが好きだったからです。

写真を始める際に各メーカーのカメラを見比べて性能も考えたのですが、カメラはずっと自分と一緒に行動するものなので自分が一番好きなデザインのカメラを使いたいと思いました。Canonの丸っこくておにぎりみたいなデザインが個人的にすごくツボで自分の相棒はこのメーカーだと思いCanonを選びました。

メーカーが決まってからカメラの機種を選び始めたのですが、初めは6D Mark IIと5D Mark IVとで大変悩みました。ただ僕の性格上使っているうちに必ず上位機が欲しくなるなと考えたので初めから上位機を買うことにしました。

また上位機を買うことで上手な写真が撮れないことを機材のせいにできないという背水の陣で写真に臨むこともでき、覚悟を決めて撮影に臨めると考えます。これが5Dを選んだ理由です。

今は手が出ませんが、1Dはいつか使ってみたいです笑。

また今からカメラを始めようという方には間違いなくミラーレス(α7 III)をお勧めすると思います笑。僕は光学ファインダーが好きでレフ機を使っていますがこだわりがなければEVFの方が便利だと思います。

― レンズは35mmと85mmをお使いですが、それぞれのレンズを選ばれた経緯や使い分け方、お気に入りの点について教えてください。

始めに買った単焦点レンズがsigma 30mmだったのですがフルサイズ換算でほぼ50mmと少し狭いなと感じていました。そこでフルサイズにステップアップした際に広めの35mmを使いたいと考えて35mmの単焦点で一年近く撮り続けました。

一年近く35mmを使っていると少しボケが物足りないなという気持ちになってきました。そこで中望遠の85mmを使うことでよりボケを綺麗に見せる写真を撮ろうと考えて85mmのレンズを購入しました。最近の撮影は85mm一本だけで行っています。一本の単焦点を使い続けるって大事だと最近は考えています。

― 最後に、Hiroさんのベストショットと、次に狙っているカメラやレンズ、今後の抱負があれば教えてください。

僕のベストショットはインドで撮影した一枚です。

これを撮ったのはインドのアグラという街で、翌日のタージマハル見学を前にウキウキして街を散歩している時でした。前方から自転車に乗った少年2人が来て手を振りながらすれ違っていったので即座にカメラを構えて撮った一枚です。

その場所の空気感や、見ず知らずで言葉も通じない彼らとカメラを通じて対話しているような気持ちになれる一枚で僕の人生ベストショットだと考えています。

次に狙うカメラですが、EOSR5が欲しいなと思っています。まだ制作発表の段階ですが、ミラーレス機の流れを変えるゲームチェンジャーになりそうでとても楽しみにしています。

欲しいレンズとしましては24mmの単焦点レンズが欲しいと考えています。天の川を綺麗に撮りたいですね。

今後は写真展やフォトウォークを開いたり日本一周しながら各地でフォロワーの方のポートレートを撮ったりといった活動をしていけたらと思っています。