海の見える街で暮らしながら。 美しく移ろう時間を残していきたい

― はじめに、Satoさんが写真を始めたきっかけや、写真にのめり込んでいった経緯について教えてください。

勤め先で物撮りやポートレートを撮影するカメラマンがいなかったことがきっかけで、試しに自分がやってみようかなと、会社近くの家電でCanonのEOS80Dを買ったのが始まりです。絞りを開放してぼかしたり、望遠で遠くの景色を撮ったり、写真とカメラってこんなに楽しいのだと思いました。

― Satoさんの写真を眺めていると心が穏やかになるように感じます。きっとSatoさんの感性が詰まっているからだと思うのですが、Satoさんはどんな瞬間に魅力を感じ、写真に残されようとされていますか。また写真家でも写真家でなくても影響を受けた方はいらっしゃいますか。

ありがとうございます。

妻が買ってきた花に差し込む朝日、 海の輝き、月の光、流れていく季節。身近なものに目を向けて見ると、綺麗な瞬間はたくさんあって、そんな時間を残していきたいなと思っています。

山本写真機店（@yamacame_lab）さんに現像をお願いしているみなさんの写真はよく見ていて、好きな写真がたくさんあり、多くの影響を受けています。

― なぜかは分からないのですが、写真でありながら、まるで詩を読んでいるような印象を受けます。写真に何かメッセージのようなものを込めているのかなと思ったのですが、意識されていることはありますでしょうか。

「写真は撮った人の心を写している」と友達がふと言っていたのを聞いてから、言葉も一緒に綴れたら、撮った時の気持ちをより伝えていけるかもしれないな。と思うようになり、できる限り添えるようにしています。

― フィルムカメラはデジタルカメラに比べ、手間もコストもかかると思います。デジタルカメラが主流の時代にSatoさんがあえてフィルムカメラを使われる理由を教えてください。

カメラを始めたての頃はデジタルカメラで撮っていたのですが、Instagramを見ていて素敵だなと思う写真を撮られている方々は皆フィルムカメラで撮っているようでした。僕も写ルンですで遊んでみたり、新宿の中古カメラ屋さんに行ってみたりするうちに、フィルムの魅力に取り憑かれていきました。

ある時フィルムカメラライフという本に出会い、そこに山本写真機店さんのことが書いてあって、オーダーすることにしてみたんです。その仕上がりに感動して以来、ずっと山本さんにお願いしています。

コストは確かにかかりますが、フィルムならではの色味や質感、そして懐かしさがありますよね。

撮影したフィルムを運んでくれる人や、ラボの人たちの手を通して、人から人へ渡っていき、また自分の元に帰ってきてようやく写真(思い出)に出会えるところも、なんだか好きなんです。

― Satoさんの写真の光の捉え方や色合いがとても素敵で、魅了される方が多いと思います。撮影時の設定や現像において心掛けていることを教えてください。また愛用されているフィルムがあれば併せて教えてください。

フィルムはLomography100,400 PRO400H PORTRA400をその時の気分で使い分けています。

撮影時の設定は、感度400のフィルムで晴天順光の時はSS1000で絞り5.6半という基準が自分の中にあり、そこから逆光の時は4、2.8と絞りを変更したり、仕上がりを見て次はこうしようという試行錯誤を繰り返しています。フィルムは撮れる数が限られるので、撮影する時は光がどこに当たっているかをよく観察しています。露出計を使うこともあります。

― Satoさんは様々なカメラを使っていらっしゃいますが、それぞれに辿り着いた経緯や使い分け、お気に入りのポイントについて教えてください。

中判

PENTAX 67 / SMC TAKUMAR 6x7 105mmF2.4

大好きなラボである山本写真機店ではこのカメラでオーダーしている人がたくさんいて、影響を受けて僕も購入しました。一度このカメラで仕上がった写真を見るとやみつきになります。

Pentacon Six / Carl Zeiss Jena Biometer 2.8/80

器材トラブルが多く万人にはおすすめできませんが、たまにハッとするような写りをします。プロダクトデザインはこのカメラが一番好きです。

35mm

NIKON FE2 / Carl Zeiss Makro Planar T* 50mm F2 ZF.2

最初に買ったフィルムカメラです。絞り優先AEとSS4000まであるので撮りやすいです。マクロプラナーは写りも良く被写体に寄れるので最高のレンズだと思います。

― 最後に、Satoさんのベストショットと、次に狙っているカメラやレンズ、今後の抱負があれば教えてください。

秋の満月を撮りにいった時のことです。海の月明りを見てみたくて、満月の午前3時を狙いました。とても寒く、夜になるとファインダーも暗くて状態がつかめない中での撮影だったので、仕上がった写真を見た時は言葉にならない嬉しさがありました。

この時はPentacon Sixで撮影していたので、次はPENTAX67で撮りたいですね。今までの撮影は身軽なNikon FE2がメインだったのですが、最近は中判の写りが好きで、頑張って中判で出かけようというのが今後の抱負です。

次に欲しいなと思っているカメラはRolleiflex SL66です。