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その瞬間の感情や温度を閉じ込めて。 見手に考える「余白」を与えられる写真を
アカウントプランナー兼フォトグラファーとして活躍されている藤村さん。藤村さんが撮るポートレートは、とても穏やかでしっとりした日本らしい美しさを感じます。そんな藤村さんがどんな美意識をもち、どんな瞬間に魅力を感じ写真に残されようとしているのかを知りたくて、お話を伺いました。
著者: 藤村 駿介 | 作成日: 2021/01/06 | 更新日: 2023/01/28
― はじめに、藤村さんが写真を始めたきっかけや、写真にのめり込んでいった経緯について教えてください。
両親が一眼レフを持っていたというわけではないのですが、旅行好きな一家だったので旅行先でデジカメを借りて風景を撮るということを小さい頃から日常的に行なっていたのがカメラを始める原体験になっていたと思います。
大学生になった頃には僕も旅行好きになっていたので、一人でバックパッカーとして海外に行くことが増えスマホで写真を撮っていたのですがいろんな絶景に出会っていく中でもっとこの景色を綺麗に残したいという思いが強くなり一眼レフを購入しました。
初めて買った一眼レフは当時世界最軽量という理由からCanon EOS Kiss X7でした。ただ海外にいない時期は大阪に住んでいたのでなかなか絶景を撮りに機会がなく、もっと写真を撮りたいという理由で友達を撮らせてもらったことをきっかけにポートレートの世界にのめり込んでいきました。
のめり込んだ理由としては、撮る相手と一つの作品を作る喜びがあったからだと思います。
― 藤村さんの写真は、シチュエーションやスタイリング、仕草も含めて、しっとりと日本らしい美しさを感じます。きっと、藤村さんの美意識が表れていると思うのですが、藤村さんはどんな表現や瞬間に魅力を感じて撮影されていますか。また、写真家でも写真家でなくても影響を受けた方はいらっしゃいますか。
ありがとうございます。意識している点は撮影時の感情や温度、その場の空気感をそのまま記憶のようなものとして写真に閉じ込めたいということを昔から考えています。
美しいものなどを見ると感情が揺れると思うのですがその感情を切り取りたいと思っています。美意識に通ずるかはわからないですが、風景でもポートレートでも構図の勉強をする際には浮世絵(美人画や風景画)をよく見ていました。
そういった勉強の仕方をしたので日本らしい美しさを感じていただけたのかもしれません。写真家では濱田英明さんの言葉にはたくさん影響を受けている気がします。
― 先ほどの質問とやや重複するのですが、被写体の方の魅力を引き出すよう、とても丁寧に組み立てていらっしゃるように感じます。事前の準備や当日の直感など、どのようなことを心がけて撮影されていらっしゃいますか。
最も心がけている部分はモデルさんとの距離感です。近すぎず遠すぎず不快感を感じないけど、普通よりも半歩踏み込んでみるという意識があります。
そういった中でカメラとモデルの距離は近いけど感情が遠くに感じる写真や、カメラとモデルの距離は遠いけど感情は近くにある写真などいい違和感のある感情が伝わる写真が好きです。また、人それぞれで最適な距離感が変わってくるところがこういう撮影をしていて面白いところだなと感じています。そこが僕自身の個性にも繋がっていると考えています。
撮影によって変わりますが、事前の準備は、撮りたい写りたいイメージの共有→場所選び→服装選びという流れが大体です。場所や服装はある程度決めていますが、切り取り方や表情は当日の直感で決めています。
また、フォトグラファーとモデル内で完結させるのではなく見てもらう人に考える余白を与えられるように撮影しています。
見てくださった方が綺麗、かわいいなどで完結するのではなく「どういう会話をしていたのだろう」「どういう空気感だったのだろう」「関係性は?」などその人たち見る人によって視点や見え方の変わるものを撮りたいと思っています。
― 藤村さんの写真は、階調や発色が豊かでありながら、どこかノスタルジックでレトロな雰囲気を感じます。撮影時の設定やレタッチなどにおいて心がけていることについて教えてください。
・撮影時の設定
撮影時の設定は基本マニュアルの適切露出で撮っています。レタッチで100点に持っていくのではなく、撮って出しで100点の写真を撮れるように心がけています。デジタル機材の機能が素晴らしいので多少撮って出しが甘くてもリカバリーできますが、やっぱり撮る時点で完成している写真を撮りたいと思っています。
・レタッチについて
言葉で影響を受けているといった濱田さんもおっしゃっているのですが、世界がこうであってほしいという気持ちをもって撮影やレタッチをしています。そういったところがノスタルジックに写っているのかなと思いました。
それと同時に自分の見えている世界はこうなんだよということを伝えようとしている意識も持っています。
― また、藤村さんは街中や室内、屋外など様々なロケーションで撮影をされていらっしゃいますが、どのように撮影場所を探されていますか。また、特に印象に残っている場所やシチュエーション、お気に入りのスポットなどがあれば教えてください。
場所探しについては、フォトグラファー仲間とご飯に行く際に情報共有で得ることもありますし、そもそも事前に撮影場所を決めずに集合の駅だけ決め歩きながらポイントを見つけて撮影することもあります。
電車で移動する際に窓からの景色で良さそうな場所をピンして、後日行ってみるといった方法で見つけることもあります。もともと水辺で撮影することが好きなので、困ったときは水辺(河川敷や海)に行くことも多いです。
特に印象に残っている場所は大阪にいた時によく行っていたStudio gallery Ajitoという古民家スタジオです。今は閉鎖していますが、洋室も和室もあり光もとても綺麗に入ってくるので重宝していました。このスタジオでのイメージが強すぎて、東京に来てからいいスタジオと出会えず苦労しているくらい大好きな場所でした。
― 藤村さんがメインで使っているカメラ・レンズについて、それぞれの機材にたどり着いた経緯や、お気に入りの点について教えてください。
メインで使っているカメラはSony α7lllです。
初めて買ったカメラがCanon のKiss x7何ですが選んだ理由が軽いからだったんです。そこからフルサイズに移行しようと思った際に(そのころはCanon,Nikonはミラーレス出してない時代)Canonの5D, 6DにするかSonyのミラーレスにするかで悩みました。
Canonの写りはとても好きでしたが、僕自身当時バックパッカーで海外に行くことが多かったので軽さであったり、今後ミラーレスが主流になってくることを想定してSonyのミラーレスにすることにしました。そして当初最新だったα7lllを購入することになりました。
気に入っている点としては圧倒的にAF速度が速いことやフォーカスの正確さが気に入っています。モデルさんと歩きながら撮ることが結構あるのでリアルタイムAFによって決定的な瞬間を逃さない点などが気に入っています。
レンズは主に「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」と「Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA」の二本をメインに使用しています。いまは35mmの方をよりメインに使っています。α7 lllを購入した際にまず50前後のレンズが欲しかったので55mmを購入し撮影していました。
質問2,3の話に通ずるのですが、僕は表情よりもその場の雰囲気や空気感を写したいと考えた時に55mmよりも広い35mmで写す方が適していると僕自身感じましたし、以前澤村洋兵(@yohei_sawamura)さんがおっしゃっていたことも思い出し35mm の世界で写すことが増えました。
個人的な見解になりますが、色々ある35mmのなかで55mm同様にZeissレンズにした理由はほどよいシャープさとコントラストの高いコテっとした色味でコントラストが高いのに硬すぎない表現にはまっているからです。
あと、Distagonはレンズ側でF値を変更できるので、右手はシャッターとシャッタースピード左手はF値に集中できるという点でも気に入っています。
― 最後に、Fujimuraさんのベストショットと、次に狙っているカメラやレンズ、今後の抱負があれば教えてください。
ベストショットはこの一枚です。おそらく一番撮影によく行っていたモデルさんなんですが、撮り続けていたことで、どういう会話をした時にどういう表情になるかであったりお互いを細部まで理解しあっていたからこそ撮れた一枚だと感じています。
決して作品らしい1枚ではないですが、自分の特徴やモデルさんの良さを最大限に引き立てることができた一枚といった点でベストの写真になっています。昨年に撮りましたがいまだにこの1枚を超える写真を撮ることはできてなくこれを超える代表作的な1枚を撮ることが目標の1つになっています。
次に狙っているカメラですが、中判のフィルムカメラ特にCONTAX645を狙っています。元々フィルムはしているのですが、中判カメラは持っておらず購入すれば自身初の中判カメラになります。
元々デジタルでも1枚1枚丁寧に撮りそんなに枚数を多く撮るタイプではないんですが、そのスタイルと中判カメラの1枚1枚を大切に撮っていくスタイルがマッチすると思った点や僕のポートレートは極限まで無駄を省き見せたいものを見せることを意識しているので、その場の空気感を含ませつつ、限界まで情報を削ぎ落とし撮影者とモデルの少し緊張感のある世界を作り出せると思い中判フィルムカメラを狙っています。
その中でもCONTAX645を狙っている理由としては、このカメラでZeissレンズが使用できることその中でもCONTAX Planar T* 80mm F2を使用できる点に惹かれています。またフォーマットとしては645なので中判の中ではハーフサイズとなる分一回のフィルムで16枚撮れる点もいいなと思っています。
今年一年で自分のスタイルをある程度確立はできてきているので、それをよりブラッシュアップし代表的な一枚を撮ることを目標にしています。
また、バンドのMVや詩から写真へのインスピレーションを受けているのでそういった点ではバンドのジャケット写真などを撮影したい気持ちが大きいです。
著者
藤村 駿介
1996年、兵庫県生まれ。アカウントプランナー兼フォトグラファー。現在はWebメディア会社で働きながら、CURBONで写真教室を行ったり、フリーのフォトグラファーとして活動をしている。コロナ前は写真をしている人たちが繋がりあえる場作りとして、ミートイベントなどを多数開催。
藤村 駿介
1996年、兵庫県生まれ。アカウントプランナー兼フォトグラファー。現在はWebメディア会社で働きながら、CURBONで写真教室を行ったり、フリーのフォトグラファーとして活動をしている。コロナ前は写真をしている人たちが繋がりあえる場作りとして、ミートイベントなどを多数開催。
藤村 駿介さんの使用カメラ
藤村 駿介さんの使用レンズ