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【徹底解説】コツを抑えれば簡単!フィルムカメラの基本の使い方
フィルムカメラがデジタルカメラへと本格的に移行してから20年余り。今ではスマホでも美しい写真を残すことができますが、フィルムカメラでしか表現できない味わいに惹かれフィルムカメラを使う方が増えています。今回は、フィルムカメラを愛用するフォトグラファーRioさんに、フィルムカメラの使い方を伺いました。
著者: ONE SCENE編集部 | 作成日: 2021/08/08 | 更新日: 2023/01/28
愛用フォトグラファーに聞く「フィルムカメラの使い方」
一眼レフやコンパクトタイプなど、複数のフィルムカメラを愛用されているフォトグラファーRioさんにフィルムカメラの使い方を伺いました。
フィルムの装填から現像まで詳しく解説いただいています。また、Rioさんならではの楽しみ方も教えていただきましたので、ぜひ併せてご覧ください。
教えてくれた方
Rioさんが撮影されたフィルム写真。フィルムは光を捉える力が強く光の陰影の表現力に富んでいるのが特徴。また装着するフィルムの種類にも寄りますが、緑色や青色など特有の色合いに魅力を感じる方も多いです。
フィルムカメラの作りを知ろう
フィルムカメラを使い始める前に、まずは簡単に各パーツの役割を把握しましょう。もう少し細かな役割もありますが、押さえておきたいパーツのみご紹介します。
- ピントリング:その名の通りピント(フォーカス)を調整するリング。メーカーによって回転方向が異なります。
- 絞りリング:レンズの絞り(F値)を調整するリング。これによって取り込む光の量やボケの大きさを調整できます
- シャッターボタン:撮影時にシャッターを切るためのボタン
- シャッタースピードダイヤル:シャッター幕が開くスピードを調整するダイヤル
- フィルム巻き上げレバー:シャッターを切る度にフィルムを1コマ分巻き上げるためのレバー
- フィルムカウンター:フィルムの残枚数(現在何枚目か)を確認するための窓
- 巻き戻しクランク:撮影完了後、フィルムを巻き戻すためのレバー。引き上げると裏蓋のロックを解除する機能を兼ね備えているものも。
- 電池室:露出計やオート機能のための電池を格納する場所
- 巻き戻しボタン:このボタンを押すことでフィルムの巻き上げが可能に
- 三脚ネジ穴:三脚に固定するためのネジ穴
フィルムの装填方法
まずはじめに、装填時は直射日光の当たらない日陰で行いましょう。シャッター幕を触らないようにしましょう。
巻き戻しクランクにある裏蓋ロックレバーを手前に引きながらクランクを上げると裏蓋が開きます。
左側のフィルム室にフィルムを逆さにして入れたら、巻き戻しクランクを押して元の位置に戻しフィルムを固定します。
右側のフィルム室にある巻き取りスプールへフィルムを引き出していきます。巻き取りスプールのスリットにフィルムの先端を差し込みます。
裏蓋を開けたまま巻き上げレバーをゆっくり送り、フィルム巻き上げます。
このときにフィルム両端の穴(パーフォレーション)が巻き取り軸に付いているギア(スプロケット)に噛み合わせて巻き取られているかを確認します。
フィルムを巻き上げる→シャッターを切る動作を2回ほど繰り返しフィルムがきちんと巻かれているかを確認後、裏蓋を閉じます。
巻き上げレバーを動かすのと連動して巻き戻しクランクが回っていたら巻かれている証拠です。
巻き戻しレバーを静かに回してフィルムのたるみを取ります。
フィルムカウンターの数字が1になるまで空シャッターを切ります。
私の場合はフィルムをスリットに差し込んだら下の歯車を少し回してフィルムを巻き取り、直ぐに裏蓋を閉めます。それから巻き上げレバーで巻き取りシャッターを切るのですがカウンターが1の手前でも半分感光した写真が撮れたりするので何か撮影してみるのも楽しいです。
ISO感度と露出モードの設定
続いて、装填したフィルムの感度をフィルム感度ダイヤルを回して設定します。
機種により違いがありますが、NikonFE2ではシルバーのリングを少し持ち上げながら回し、ISO感度の数字に合わせて設定します(この場合だと、フィルムのISO感度が400のため、ダイヤルも400に合わせています)。
シャッタースピードダイヤルを「A」(AUTOの意味。機種によっては「Av」のものもあります)に合わせて絞り優先AEに設定します。自分の好みのF値(絞り値)を決めるとカメラが適切なシャッタースピードに合わせてくれます。
※必ずしも適正なシャッタースピードに合わせてくれるとは限らないので露出補正が必要な場合もあります。
レンズの絞りを設定
「絞りを設定」とは、簡単に言うと「ピントの合う範囲」を設定することです。
絞りを開放にすると被写体の手前や背景がぼけた写真を撮ることができますが、その分ピントの合う範囲が狭くなるのでピント合わせをしっかりとしなければなりません。
例1:テーブルフォト
F1.4で撮影した写真は被写体にした手前の猫・奥のアルパカ・斜めに置いたカメラの奥側がぼけていますがF5.6の場合は全てくっきりと見えています。
例2:風景
F1.4で撮影した写真は手と手に近いペットボトルの下の部分にピントが合っていてはっきりと見えますが、背景の水面が大きな玉ボケになっています。
F8.0の場合はペットボトルがよりくっきりと見えます。背景の玉ボケは小さくなり、水面と山があることがわかります。もっと絞ると水面や山がはっきりと見える写真が撮れます。開放にすることで光を多く取り込み、明るい写真になることが分かりやすいと思います。
フィルムカメラはデジタルカメラのように撮影時の設定のデータがカメラに保存されません。
F値・シャッタースピード・露出・フィルムの感度 など1カット毎ですと手間がかかりますが、初めのうちはどのような設定で撮影したのかを要所要所でメモしておくと次回の撮影の際の参考になりますね。
ピントの合わせ方
デジタルカメラの場合は、AF(オートフォーカス)機能を使用して自動でピントを合わせるケースがほとんどだと思いますが、フィルムカメラにはAF機能を搭載したものとそうでないものが存在します。
MF(マニュアルフォーカス:手動でピントを合わせる)は、手間ではありますが、1枚1枚写真に向き合うフィルムカメラの醍醐味かもしれません。
ピントはファインダーを覗きながら、ファインダー内に映し出される像を見ながら調整します。
全面マット式
マット面上でピントが合うと像がくっきりと見え、合っていないと像がぼやけて見えます。
スプリット式
ファインダーの中央に像を分割するスプリットという境界線が入っており、ピントが合っていないとスプリットがずれて像が分割されます。
ピントが合うとスプリットのずれがなくなります。例の写真では中央にある鹿の置物の首のずれをなくすことでピントを合わせています。
ピントが合っている・合っていない場合の写真
撮影
ピントを合わせ絞りを決めたら、いよいよシャッターボタンを押して撮影します。
シャッターボタンを半押しながらファインダーを覗くと、搭載されている追伸式露出計が動きますが絞り優先にしている場合はそのまま撮影します。また、露出補正ダイヤルを0以外に設定していると+/-のランプが赤く点灯します。
ピントを決めて、さあ撮影!と思いシャッターボタンを押したら巻く作業を忘れていてシャッターチャンスを逃してしまう…なんていうこともあるので気を付けてくださいね!
フィルムの取り出し方
フィルム1本を撮り切ると、巻き上げレバーが途中までしか動かなくなります。この後に先ず必ずフィルムを巻き取る作業を行ってから裏蓋を開けることを忘れないようにしましょう。巻き取らず裏蓋を開けると、撮影した写真が感光して白くなってしまいます。
撮り終えたらカメラの底部についているフィルムの巻き戻しロックボタンを押し、ロックを解除します。
フィルム巻き戻しクランクのレバーを上げてクランクを矢印の方向へ回転させることでフィルムを巻き取ります。これによりフィルム室の中でパトローネに撮影済みのフィルムが収納されていきます。
回転が軽くなると巻き取りが終えた証拠なので裏蓋を開きます。巻き戻しクランクを引き上げてフィルムを取り出しましょう。フィルムカウンターがリセットされます。
※フィルムカウンターが36(24枚撮りの場合は24)を表示したときに36枚目が撮れるので、ここで慌てて巻いてしまうともったいないですよ。自動巻き上げのフィルムカメラも36枚と表示されても数枚撮れることもあるのでカメラが自動に巻き上げてくれるまで撮りましょう!
使用する電池の種類と入れ方
このタイミングで交換するわけではありませんが、使用する電池の種類と入れ方を紹介します。Nikon FE2は絞り優先AE機能(絞りを設定すると、それに合わせてシャッタースピードを調整してくれる)を有しており、この機能が電池を必要とします。
Nikon FE2の場合には、SR44 または LR44 のボタン電池2つを使用します。
カメラ底部にある電池室の裏蓋の溝にコインを入れ回して開きます。
裏蓋を開けると電池をはめ込める黒いプラスチックがあり、+極-極が記載されています。電池の平らな部分が+極。プラスチック部分にこちらを上向きに2個重ねて入れ、そのままカメラの電池室に戻したら完了です。
電池が切れると撮影途中にミラーアップなどが起こり、撮影できなくなるので替えの電池を用意しておくと良いですよ。もしミラーアップを起こした場合はバルブモード(シャッタースピードダイヤルをBに合わせる)にするとミラーアップは直るので、その後電池を替えましょう。使い方で違いますが、私の場合は約半年くらいもちます。
現像
撮影を終えてフィルムを取り出したら、家電量販店の現像カウンターを設置している店舗、街のカメラ店やDPEショップなどへフィルムを持っていきます。
郵送で受け付けている現像・カメラ店もあるので、近くにお店が無かったり、遠い場所にある気になる現像所へ出すこともできて便利です。
仕上がりの雰囲気を依頼するオーダーシートを用意されているお店も多く、各店のwebサイトからダウンロードしてプリントして記入することができます。
お店によって、フィルムの種類によって仕上がりにかかる時間や料金など細かなところに違いがあります。郵送方法や支払い方法なども様々なので調べてみましょう。またLINEやメールでやりとりを行われているお店もありますよ。
主なオーダー内容としては
- 自動補正の有無
- 明るさ
- 色調
- 仕上がりイメージ
などがあります。 好きな写真家さんが利用されているラボをチェックしたり、SNSやブログなどで仕上がりのレビューなどを見て決めるのも良いですね!
オーダーメニューは主に以下の4通り。
- 現像
- 現像+データ化
- 現像+同時プリント
- 現像+データ化+同時プリント
現像のみではネガだけが戻ってきます。 現像+データ化+CD-Rをオーダーした場合、こちらの様なネガ・CD-R・インデックスが戻ってきます。
データ化することでPCやスマートフォンで写真を見たり、LINEやSNSなどで共有することができるようになります。データ化のみでもネガは戻ってくるので後からプリントすることもできます。
- CD-Rへの書き込まれたデータをPCへダウンロード
- お店から送られてくるURL・QRコード・メール・LINEアルバムなどからダウンロード
なお、同時プリントでは全コマプリントされます。
現在はオーダーシートのない市内のカメラ屋さんに持ち込みで出すことがほとんどです。撮影したときの雰囲気やそのフィルムの持つ特徴を楽しみたいと思っているので「現像とデータ化をお願いします」とだけ伝えています。中古のカメラやレンズも取り扱っていて「これは!!」というときめくものに出逢ってしまう時もあるのが楽しみでもあります。 郵送受付をしている現像店さんへ依頼した際は現像が上がって戻ってきたネガなどと一緒にメモ書きでアドバイスを下さったこともあります。まだフィルムカメラを撮り始めて間もない頃だったので、もしアドバイスがなければ自分はその写真で満足してしまっていたでしょうし、設定の基本的なことに気づかせていただいたことを思うと感謝の気持ちでいっぱいです。分からないことや撮影が終わって不安な要素があるときはお店の方に素直に伝えてみると良いと思います。
番外編
フィルム装填から撮影・現像までの流れは以上になりますが、最後にRioさんから教わったプラスα情報をお伝えします。
1.多重露光
巻き上げレバーの右上に付いているのが多重露光レバーです。先ず1枚撮影し終えたら、多重露光レバーを手前に引きながら巻き上げレバーで巻きます。この時フィルムカウンターの数字は変わりません。次に重ねたい写真を撮影するだけです。暗い被写体と明るい被写体を重ねるとメリハリのある写真になります。
ここでもデジタルカメラのように見返すことができないので、1カット目に「どんな構図で撮影したか」や「どの位置に何を写したか」などを覚えておくと、重ねる写真となる2カット目を撮影する際の構図が決めやすいです。あらかじめ仕上がりのイメージを決めて撮影することがほとんどですが、とりあえず1カット目を撮影して次は何を撮ろうかな…と考えながら時間をおいて撮影してみるのも楽しいです。
機種によって多重露光ができないものもあるので、気になる方は機種を選ぶ際のチェック項目に入れてみてはいかがでしょう。
2.セルフタイマー
セルフタイマーレバーを倒してからシャッターボタンを押すと約10秒後にシャッターが切れます。
3.フィルムの選び方
フィルムカメラに使用するフィルムは何を入れようかと迷うのも楽しみの一つです。
主にフィルムカメラが使われていた時代にはたくさん種類のあったフィルムも生産中止などで現在は徐々に減りつつあります。
実際私がフィルムカメラを始めてから好んで使用していた中にも生産中止で手に入らなくなってしまったものがいくつかあります。
フィルムによって色みや粒状感、彩度やコントラストなどにそれぞれの特徴があるので、その時のシチュエーションや撮りたいテーマなどに合わせて選ぶのも良いと思います。
とはいえ、フィルムを1本使用する間にその日その日で天気や時間帯が変わったり、屋内や屋外など明るさも大きく変わることを意識してオールラウンダーなISO400のフィルムを選ぶことが多くなりがちです。
ただ晴天のときのように光が沢山ある場合は感度の高いフィルムを使用したりF値を小さくすると取り込む光の量も多くなるので露出過多になることも。晴天の日の昼間はISO200やISO100を使うと光も柔らかめに写るように感じます。曇りの日や暗すぎない屋内で撮影する場合もISO200あれば撮影可能です。その場合はF値を小さくしたり、搭載されている露出計に合わせてシャッタースピードを調整してみましょう。
私が使用しているフィルム2本をご紹介します。
北海道へ移住し、魅了されたのは雪景色の美しさ。Kodakultramax400を使い、初めて撮影した雪景色の写真は雪の白さがとてもクリアで、背景の空や湖の青さを引き立ててくれました。また雪に反射する光をとても綺麗に捉えてくれたことに感動し、愛用するきっかけとなりました。青みが強いとも言われているようですが、比較的暖色系でそれぞれの色味をはっきりと出してくれると感じています。
前述のkodakultramax400と比較すると、低彩度で滑らかさを感じられるフィルムです。光の捉え方に柔らかさがあり、淡い色を優しく、白を明るく爽やかに表現してくれます。
記事内で使用しているフィルムカメラはこちら
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