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違いを知って積極的に取り入れたいフレアとゴースト

写真に映り込む白く霞んだ光や光の輪。これらは「フレア」や「ゴースト」と呼ばれ、一般的には不要な光として抑制すべきとされています。しかし、この目には見えない光の存在が、私たちに柔らかな郷愁や、心に染み入る儚さを感じさせてくれることがあります。実際に、フレアやゴーストの効果に魅了され、意図的にフレアやゴーストを活かして写真を楽しむ方も増えています。写真表現における重要な要素の一つである「光」。今回は、光が生み出す美しい現象、「フレア」と「ゴースト」についてご紹介します。

著者: ONE SCENE編集部 | 作成日: 2025/01/20

教えてくれた人

Rio

Rio

2018年秋、夫の故郷である北海道へ移住。HP「ヒカリトオト」にて夫婦で撮り続けている写真と共に想いや暮らしを綴っています。

フレア/ゴーストとは

フレアは白くベールがかかったように写真に現れ、コントラストやシャープさを低下させる原因になります。一方ゴーストは虹のような色をした輪や帯のような形で現れる現象です。絞り羽の形をして現れることもあります。

フレア
フレア
帯状のゴースト
帯状のゴースト
円形のゴースト
円形のゴースト

フレアとゴーストの違い

  • フレア:写真全体、または被写体の輪郭や強い光の周りが白っぽくぼやけたようになる現象
  • ゴースト:光の反射が形になって現れる現象

フレアとゴーストの発生の原理

フレアとゴーストは太陽光や強い光がレンズを通過する際、光がレンズ内で乱反射や内部反射を繰り返すことで発生します。またレンズの構成やコーティングの有無なども発生の要素として関わってきます。

フレアとゴーストを発生させるには

被写体が霞んでよく見えなくなったり、光の形が写り込んでしまったり…場合によっては邪魔者扱いされてしまうフレアとゴーストですが、あえて取り入れてより味わいのある写真を撮ってみませんか?

ここではフレアとゴーストを発生しやすくする方法をご説明します。

1. オールドレンズを使用する

フィルムカメラの時代に使用されていたオールドレンズは、単層コーティングか場合によってはコーティングが全く施されていないものもあること、また経年劣化により強い光に弱く、フレアやゴーストが発生しやすいことが特徴です。高性能化が進んだ現代のレンズとは違う表現を楽しむことができます。

オールドレンズはマウントアダプターを使用することでデジタルカメラに装着できるようになります。

オールドレンズについての詳細はこちらの記事をぜひご参考ください。

2. 強い光・時間帯・光の位置を意識する

前述した通り、フレアとゴーストは太陽光などの強い光がレンズ内で反射を繰り返すことで発生します。

逆光で撮影してみましょう。逆光はレンズに向かって光が入るので強い光を受けることになります。

被写体の後ろから光が射す逆光で
被写体の後ろから光が射す逆光で

太陽光が上から射す日中より、太陽が低い位置にあり、光が斜めからレンズに入る朝や夕方の時間帯が向いています。

西陽の射す部屋で
西陽の射す部屋で

3. レンズフードを使用しない

レンズフードを外して光を取り込みやすくしましょう。

フレアとゴーストを見つけるポイント

ファインダー越しに強い光を捉えたら…

  1. カメラの角度や立つ位置を少し変えてみる
  2. 絞りを微妙に開けたり絞ったりしてみる

そうすることでフレアとゴーストがパッと現れることも。形や大きさも変化するので自分好みの光の表現を探しながら楽しみましょう。

F1.4
F1.4
F5.6
F5.6

ゴーストは絞りが開放の場合は輪のように、絞ると絞り羽の形になって現れます。こちらの2枚の写真は絞り羽枚数5枚のCanon New FD 35-105mm F3.5 で撮影した写真です。見比べてみると、F1.4で撮影した場合は円状に、F5.6で撮影した場合のゴーストは5角形の形をしています。

ガラスや水面に反射した光でゴーストやフレアが発生することもあります。

被写体の端から光が漏れるようにしてみるのもフレアやゴーストを見つけやすいポイント。例えば、葉の向こうから光がきらきらと射す木漏れ日の中もフレアやゴーストを見つけやすいです。

フレアとゴーストは太陽が画面に入っていなくても現れます。

家の中でも強い光があればフレアとゴーストを楽しむことができます。レースカーテン越しでも◎ 部屋のどの場所で何時頃に現れるかを知って楽しんでみてくださいね。

なお、レンズを直接光源に向けるのは危険です。レンズや目を傷める原因にもなるのでくれぐれも注意しましょう。

フレアとゴーストが発生しやすいレンズ

オールドレンズ

私が持っているオールドレンズの中でも比較的フレアとゴーストが発生しやすいレンズを少しだけご紹介します。

Super-Takumar 55mm F1.8

私がオールドレンズを使い始めた理由の一つは幻想的なゴーストに憧れたのがきっかけです。レンズを選ぶ際に作例で見たSuper-Takumar 55mm F1.8の写真はとても印象的でした。

こちらはSuper-Takumar 55mm F1.8を購入して間もない頃の写真。美しいゴーストに感動したのを覚えています。

Nikon AI Nikkor 50mm F1.4 S

私がメインで使用しているフィルムカメラ、Nikon FE2に装着して使っているレンズです。

こちらはNikon FE2で撮影。ゴーストを見つけるのが楽しいレンズの一つです。デジタルカメラとは違い、より深みのある雰囲気を感じます。

オールドレンズには個体差がある為、同じ種類でもフレアやゴーストの出方が違います。そんなところもオールドレンズ選びの楽しみの一つだと思います。

プラスチック製のレンズ

「写ルンです」のようなプラスチック製のレンズは独特なゴーストが発生します。

Kodak i60(上)と写ルンです(下)で夕暮れに撮影。

ズームレンズ・広角レンズ

ズームレンズはレンズ枚数が多く内部構造が複雑な為、単焦点レンズに比べるとフレアやゴーストが発生しやすい傾向があります。またズームレンズの広角側、広角レンズは写る範囲が広くなるので光が入る量も多くなります。その為フレアやゴーストが発生しやすくなります。

Canon New FD 35-105mm F3.5 というズームのオールドレンズもゴーストが現れやすいレンズ。広角側(35mm)で撮影。

最後に

フレアとゴーストは取り入れ方次第で写真の印象が変わります。この記事を参考に、光を操るような感覚で撮影を楽しんでいただくことができたら嬉しいです。

いつも何気なく通る道にもフレアやゴーストのスポットがきっとあります。季節や時間ごと、ちょっと光を意識して自分だけのお気に入りの場所を見つけてみてはいかがでしょう。

Rio

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2018年秋、夫の故郷である北海道へ移住。HP「ヒカリトオト」にて夫婦で撮り続けている写真と共に想いや暮らしを綴っています。

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