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「残したい写真」と「撮りたい写真」。 いつもの光景を1枚1枚大切に撮り続けていく
フリーランスフォトグラファーとして活動しながら、家族との日常を発信されている久慈さん。久慈さんの撮る、愛らしい暮らしの温度が伝わる写真は眺めているとどこか心が穏やかになるようで、見る人を魅了します。そんな久慈さんの写真に込める想いを知りたくて、お話を伺いました。
著者: 久慈 鈴奈 | 作成日: 2023/12/26 | 更新日: 2024/01/11
― はじめに久慈さんが写真を始めたきっかけや、写真にのめり込んでいった経緯について教えてください。
写真を本格的に始めたのは、ばあちゃんからフィルムカメラを譲ってもらったのがきっかけでした。当時、デジタル一眼レフを持っていたのですが、ばあちゃんに譲ってもらったフィルムカメラ ( Nikon New FM2 ) のちょっぴり不便な操作性や空気感まで写真の中に閉じ込めてくれるような写りに魅了されて、今は写真が日々の中で欠かせないものになりました。
カメラを始めた頃から日常を撮るのが好きだったので、当時同棲中だった彼(現夫)を主な被写体として日々のあれこれをフィルムで撮り続けていました。今、子どもを撮っているのもその延長という感じです。
そんな「いつもの光景を1枚1枚大切に撮る」ということが楽しくて今も写真を撮り続けています。普段私はガサツで常に生き急いでいるようなタイプなので、せめて写真くらいは、ゆったりとした気持ちで丁寧に撮りたいなと思っています、笑
そう言った経緯もあり、初めの頃はずっとフィルムで撮り続けていたのですが、最近はフィルムもデジタルも関係なしに写真を楽しんでいます。
― 久慈さんの写真からは、穏やかで愛らしい暮らしの温度がそのまま伝わってくるようで、写真を撮ること・写真に残すことの大切さを改めて考えさせてくれるように感じます。久慈さんにとって、写真とはどんな存在でどんな瞬間を残そうとされていますか。また写真家でも写真家でなくても影響を受けた人はいますか。
そのように感じてくださって素直に嬉しいです。ありがとうございます。私にとって写真は2種類あって、「残したい写真」と「撮りたい写真」があるんです。
"残したい写真" は、1つだけずっとブレないものがあって、自分の小さい頃のアルバムを見た時に1番嬉しかった写真が、ばあちゃんとのツーショットでした。ばあちゃんが私を見て微笑んでいる写真です。
なので子どもの写真を撮る時は、「子どもと誰か」の写真をたくさん残したいなと思っています。フィルムは、いつも同時プリントにしていて、現像が終わり写真が自宅に届くと、娘と一緒に写真を見るのが定番化しています。その時にパパとのツーショット写真などを眺め嬉しそうにしている娘を見ると、これからもこういう写真を残し続けたいなと改めて強く思います。
"撮りたい写真" は、ここ数年間で少しずつ変化があり、自分でもどんな写真が好きで、どんな写真を撮りたいのか考えていました。
本当は、気張らずもっと好きに撮って良いとも思うのですが、私の性格上テーマだったり、ある程度イメージを固めて撮るのが好きなのです。たくさん考えた結果自分は「作品と日常の中間」の様な写真が好きなのだとわかり、それからは、残したい写真に加え、撮りたい写真も意識して撮影するようにしています。日常の中ので、たまたまそんなシーンに出会った時はニヤニヤしながら撮影しています(撮影後も暫くにんまりしています)。
影響を受けた写真家さんはたくさんいるのですが、ダカフェ日記の森さんがずっと好きです。写真を始めた頃は、まだ私は結婚もしていなかったのですが、いつか家族が出来たらこんな写真を撮りたいなと何度も何度も読み返しました。森さんの撮る、クスッと笑える面白い瞬間、ホッとするような雰囲気の写真がとても大好きです!
写真の他に映画や漫画が趣味なのですが、是枝裕和監督の「歩いても歩いても」と「海よりもまだ深く」は、どのシーンも好きで、目に焼き付けたくて何度見たか分からないくらい見ました。他にも堤幸彦監督の「人魚の眠る家」や「朝が来る」など少し重たいテーマの映画もよく見るのですが、テーマが重め映画はカメラワークや光が美しく写真の参考になる作品が多いような感じがします。漫画なら押見修造先生の「血の轍」という作品が、構図や人物の表情などが素晴らしく、たくさん影響をもらいました。
先ほどお話しさせていただいた「日常と作品の中間が好き」はきっと"映画や漫画が好き" に少し関係しているのかもしれません。
― 久慈さんの撮る、しっとりと柔らかい風合いに憧れる方が多いと思います。撮影時や現像時において、どんなことを心がけていらっしゃいますか。
しっとりと柔らかい写真が好きで、そういう写真を撮りたいなと思って撮影しているので、またまた嬉しくてこの文章を打ちながら、にまにまが止まりません。
場面的なところで言うと、真剣な表情の横顔や眼差し、寝顔、ゆっくりとした仕草に惹かれることが多いので、比較的 "静か" な場面で撮影することが多いです。暗いけど柔らかい写真が好きなので、ドン曇りや雨の日に曲線などのシルエットを意識した撮影をすることも多いです。
カメラ内設定は、デジタルの場合その都度天気や背景の色に合わせて変えています。 現像時については、"やり過ぎない" を意識しています。特に明るさですね、明るくしすぎないようには1番意識しています。他には、ブラックポイントとカラーのシャドウで写真全体の柔らかさを微調整したり、色味よりもトーンに拘って現像をしています。
正直8年近くずっとフィルムがメインだったため、デジタルの現像に関してはそこまで知識があるわけではないので、自分好みの設定を今もまだ模索中です。ただ、ここ最近は基礎設定は固まってきたかな、と言う感じです。
フィルムに関しては、どのラボさんに現像をお願いする時も完全お任せにしています。どんな風に仕上がるのか現像を待っている間、ワクワクが止まりません。いつも素敵に仕上げてくださるのでこちらでの編集はしていません。
― 久慈さんはデジタルに加えてフィルムも使っていらっしゃいますが、デジタルが主の時代においてあえてフィルムを使う理由や、デジタルとの使い分けについて教えてください。
諧調が豊かだからなのか、1枚1枚に気持ちが入るからなのか、物理的なものなのか気持ち的なものなのかすらわからないのですが、フィルムにしか出せない空気感がある気がしてフィルムで撮り続けています。
他の人から見ると分からないような、自分にしか分からない"その時の思い" 的なところが大きいのかなと私は思うのですが、それでも写真を見返した時にその場の雰囲気やその時の感情などいろいろ蘇るような感じがするんです。
言葉にすると難しいのですが、同じ場面で同じ様にとった写真でもフィルムで撮影したものの方がなぜか愛しく思えることすらあったりします。なんなら意図せずブレブレだったりピンボケしている写真も良く見えちゃうこともあります。
他にも、枚数制限があったり、ロールの詰め替えにてこずったり、ピントを合わせている間に良い瞬間を逃してしまったりなどなど…そんな不便さすらフィルムの醍醐味と思えるほど大好きです!(うっかり感光させてしまった時だけは涙が洪水モードです、ひぇ〜) デジタルとフィルムの使い分けは、家でゆっくり撮影できる状況 (私以外の大人がいる場合) の時は、ここぞとばかりにフィルムで撮影しています。
自宅以外に出かける時は、室内も屋外もデジタルで撮影しています。昔は「フィルム一択」という感じだったのですが、デジタルも楽しめる様になってきてから出番は半々くらいです。
実は最近、相棒のHasselblad 500CMとNikon New FM2が、まさかのダブルダウンしてしまい当分フィルムは使えなくなってしまいまして…トホホ。なのでここ最近は、ほぼデジタルメインで撮っています。フィルムカメラの様に全てマニュアル撮影にしているのですが、1枚1枚集中して撮れる様な気がして、デジタルカメラもフィルムと同じくらい写真を撮っていて楽しめるようになりました!
― 続いて、久慈さんがメインで使っているカメラ・レンズについて、それぞれの機材を選ばれた経緯や用途、お気に入りの点について教えてください。
カメラは全部で3台持っています。
- デジタルは「FUJIFILM GFX 50S」
- 中判フィルムは「Hasselblad 500CM」
- 35mmフィルムは「Nikon New FM2」
用途が違うので全てメイン機として使っています。
レンズに関しては、GFX 50Sには、PENTAX 67 105mm F2.4をつけています。このレンズを使ってみたくてGFXを購入しました。バケペンへの憧れがあったのですが、中判フィルム枠でいうと私にはHasselblad 500CMという相棒が既にいたので、せめてデジタルでこのレンズを使ってみたいなと。他には普段はハッセル用のPlanar T* C80mmF2.8を使用しています。どちらも最高のレンズなのですが、出番としては最近は後者の方が多めです。撮って出し時点から、フワッと柔らかくフィルムのように程よく曖昧に映してくれます。外ではパッチリと写る105mm、室内ではフワッと写るPlanar T* C 80mm F2.8という感じで使い分けています。
Hasselblad 500CMには王道のPlanar T* C 80mm F2.8を付けています。最初購入する際は、CかCFかで迷ったのですが玉ボケが丸い方が好きだったのでこちらのレンズを選びました。中判フィルムで家族を撮る時は、あまりレンズを付け替えている余裕はないのでこの1本のみを付けっぱなしにしています。セルフでも撮れるところもおすすめポイントだったりします!
Nikon New FM2には、Nikkor 50mm f/1.4を使っています。初めにお話しした、ばあちゃんからもらったカメラです。私にとっては写真が好きになった原点のようなカメラなので今も1番大切にしています。機能的なところで言うと軽くてコンパクトで機動力もあり、気軽に持ち出せてガシガシ撮れるという面でも重宝していて、1番長く使っているカメラでもあります。レンズは、今後GFXにも付けて撮ってみたいなと思っています。
― 最後に、久慈さんのベストショットと、次に狙っているカメラやレンズ、今後の抱負があれば教えてください。
ベストショットは、今年の中だとこの写真が1番お気に入りです。息子は羨ましいくらい睫毛が綺麗にカーブしていて、まだ2歳なのもあり瞳が常に潤っているんです。私は人物の曲線が好きなので、まつげと眼球とほっぺの丸みに惹かれて撮影しました。
この写真を撮影したのもドン曇りの日で、デジタルでもISOは何となく400に固定しているので、カメラを持つ手をプルプル震わせながら1枚だけパシャっと撮りました。
次に狙っている機材は、ボディに関しては、現状に満足しているのでストックが欲しいです。とは言いつつ、もう1台だけお迎えするとしたらCanon EOS R6が欲しいです。理由としては「この写真良い」と思う写真が圧倒的にEOS Rシリーズで撮影された写真が多いからです。(安直でごめんなさい)
以前までデジタルはCanon EOS 6D をメインにしていたので時々、Canonを手放してしまったことを後悔します。それにCanonの撮って出しは暖色が結構コッテリしている気がして (気のせいせかもしれませんが) そこも好みです。レンズは、PENTAX67のマクロレンズ (135mmF4) が欲しいです。(本当は100mmF4か迷っているけど価格差が…ボソッ) 現在はマクロの代わりにハッセルのPlanar T* C80mmにx0.5とx1のプロクサーをつけているのですが、それでも寄り切れないことがあるので。
目元や指先など部分的な寄り写真が好きなので、やっぱり自分にとってマクロレンズは、必須かなと思っています。(しかも中判カメラのレンズにはしてはお値段も可愛いらしい、ムフフ)
今後の抱負は、写真展をやってみたいです。私の父が、我が家の家具などいろいろ作ってくれるのですが、その父に作ってもらった木製パネルなどを使って父の作品と併せて親子で一緒に展示をしてみたいなと思っています。まだまだ課題がたくさんではあるのですが、せっかくこんなに夢中になれる趣味があるのならやってみたいことは全部やってみようかなと思っています!
著者
久慈 鈴奈
1995年、北海道生まれ。2児のママ。 三度の飯と同じくらいの写真が好きです。 フィルムをメインに8年前から日常写真を撮り続けています。 昨年からフリーランスフォトグラファーとして活動を始めました。
久慈 鈴奈
1995年、北海道生まれ。2児のママ。 三度の飯と同じくらいの写真が好きです。 フィルムをメインに8年前から日常写真を撮り続けています。 昨年からフリーランスフォトグラファーとして活動を始めました。
久慈 鈴奈さんの使用カメラ
久慈 鈴奈さんの使用レンズ