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限られた27枚に何を写そう。「写ルンです」で撮る冬の北海道
「写真=特別な時に撮るもの」であった1980年代に生まれ、多くの人に写真を撮るきっかけを与えてくれた「写ルンです」。レトロで可愛い見た目と、デジタルカメラでは撮れない味わいのある描写から、再注目されています。そんな写ルンですの魅力を“冬の北海道”を題材にお伝えします。
著者: ONE SCENE編集部 | 作成日: 2022/01/25 | 更新日: 2023/01/28
フィルム未経験者にこそ使ってもらいたい「写ルンです」
デジタルとは違う味わいのある表現から、再注目されている「フィルムカメラ」。35年前に多くの方にとってもファーストカメラとなった当時のように、フィルムカメラを試してみたい方におすすめしたいのが「写ルンです」。
そんな写ルンですの魅力から使い方について、“冬の北海道”を題材に写真家のRioさんに教えていただきました。
教えてくれた方
「写ルンです」の魅力
1.レトロで味わいのある描写
スマートフォンのカメラの性能も良くなり、簡単に綺麗にいつでもどこでも写真が撮れる昨今。しかしフィルムカメラのなんとも懐かしい写りは、心の奥にそっと語りかけるような温かさを感じます。「いま」という時を記憶の中で見ているような…
そんなフィルムカメラで撮る写真は今もなお、多くの人から愛されています。
昨年35周年を迎えた「写ルンです」は、レトロで味わいのある描写が人気のレンズ付きフィルム。近所の家電量販店や旅先でもお店に並んでいて、身近な存在となっています。
2.撮りたい瞬間を残す「速写性」
①フィルムを巻いて ②フラッシュが必要か確認して ③シャッターを押す
というとてもシンプルな操作。
いつでもどこでも持ち歩ける手のひらに入るコンパクトさと90gという軽さで、持っているのを忘れてしまうほど。近くから遠くまで写せてしまう、とても便利な機能が備わっており、カチッとシャッターを押すだけで撮りたい瞬間を残せます。どうしてそんなに優秀なのかは、《「写ルンです」の作りを知ろう》の項目でご説明しますね。
3.実は表現を広げるフラッシュ撮影
正面に付いているフラッシュのスライドを上げ、ランプが点いたらフラッシュ撮影OKの合図です。
朝陽を浴びて姫沙羅の木に降る雪が綺麗だったのでフラッシュ撮影してみました。まるで夜のように暗く写り、雪がライトのように…
「写ルンです」の作りを知ろう
主な仕様
- 35mmフィルム・ISO400
- 撮影距離 日中・屋外:1m〜無限遠
- フラッシュ撮影:1m〜3m
- シャタースピード 1/140秒
- レンズ 32mm F10 プラスチックレンズ1枚
- 重量 90g
- 撮影枚数 27枚
フィルムを入れ替える必要がない、レンズ付きフィルム。パンフォーカスレンズという、近く(撮影距離は1m〜)から遠くまでピントが合うレンズが使用されています。この近くても遠くてもピントが合っている状態を「被写界深度が深い」といいます。
絞りは数値が低いほどピント合わせがシビアになりますが、「写ルンです」はF値が10と、適度な絞りに固定されています。被写界深度はF値が大きいほど深くなります。
焦点距離が32mmと広角寄りなので、遠くの景色まで入ります。被写界深度は焦点距離が短い(広角)ほど深くなります。
このような仕様から、気軽にシャッターを押すだけで撮りたい瞬間をしっかり残すことができるのです。
「写ルンです」で切り取る冬の北海道
私の住む街は道内でも道南という比較的積雪の少ない地域です。それでも関東から移住した私にとって、冬は特別な季節。写ルンですで切り取った北海道の冬景色をぜひご覧ください。
雪がちらちらと舞う中、函館山が見えるお気に入りの場所から冬の空はとても気まぐれで、晴れていた空が急に視界が霞んで函館山はうっすらと。
あ、電車だ!とシャッターを押すもなんとフィルムが巻き切れておらず、振り返りながら急いで巻いてどうにか撮影。久しぶりに使った「写ルンです」にあわあわ…笑
俯瞰で写すと線路がまた違った雰囲気に。フェンスや鎖、雪の中に見え隠れする地面の枯れ草もよく捉えていて、引きで見るとミニマルに、寄りで見ると味わいのある1枚に
週末にドライブに行くことが多い大沼国定公園。冬になると湖面が凍り、その上を歩けるようになります。湖には一部凍らない場所があり、オオハクチョウやカモが集います。
「写ルンです」が割れた氷と水面に反射する光も空のリフレクションも繊細に捉えてくれました。
大沼名物、大沼だんご。みたらしとあんこの2色が基本ですが、ごま入りの3色を選んだら包装紙に「三色」とシールが貼られていることに写真を見て気付きました。
2cmくらいの柔らかいお餅に餡が絡んで一気に食べてしまいます。車内ですが、フラッシュなしで◎
あまり雪が降らず、まだまだ伸び足りない氷柱が光を浴びてキラキラ…。 強い光があると虹色のフレアーが撮れちゃうんです!
函館の次が札幌のような表示ですが、特急列車で約3時間半、300kmちょっとの距離です。
木々に積もった雪はまるでガラス細工のようです。
大沼からは渡島富士とも呼ばれる駒ヶ岳が望めます。ツンととんがった頂上まで綺麗に見える日は嬉しくなります。落ちたりしないよね?とおそるおそる湖の雪の上を歩く、カメラの先輩。
函館のベイエリアにクリスマスにやってくるツリーと赤レンガ倉庫を登るサンタたち。この日は12月26日で、クレーンで降ろされているところをパチリ。
年が明け、雪深い神社へ初詣に行ってきました。急な坂道の上にあるせいか、参拝客も少なく静かな場所です。雪がもっさりと積もった風景が好きで移住してから毎年こちらへお参りしています。
神社のある函館山は急な坂道が多く、ロードヒーティングがないところはこんな感じに。もっともっと上の方の急勾配の場所にも民家があるのです!
かわいい黄色をした函館市の消火栓。雪に埋もれないよう、地上式になっています。赤いポストと並んでいる姿が微笑ましくて、通るたびにシャッターを押したくなってしまうのです。
お隣の北斗市は赤い消火栓。川沿いの桜並木の下で雪の中からひょっこり。
友人とトラピスト修道院のある北斗市へお出かけした日の写真たち。空の青とポプラとスギの並木道の緑、雪の白に落ちる木々の影。正面に見えるのがトラピスト修道院。圧巻の全部入りの描写ですね。
夏に来た時はトラピストバター入りのソフトクリームを味わいに来た人たちで賑わっていました。
途中、鉄道の通る小さな駅にご訪問。レトロな駅舎と列車の色が「写ルンです」の写りにぴったり!
駅舎の中も懐かしい雰囲気でした。海が見渡せる小さな駅へまた違う季節にも行ってみよう。
函館と木古内を結ぶ「道南いさりび鉄道」の釜谷駅。会社名は列車が走る海沿いのイカ釣り漁船の漁火が由来だそうです。
こちらは違う日に見た道南いさりび鉄道の列車。どんよりとしたお天気だったのですが、赤い欄干が雪の白によく映えています。
手前の欄干と遠くの山々まで、本当によく写ルンですね!と思った1枚。
帰りの海岸で見つけた雪の塊。薄く張った氷が夕日を浴びてキラキラ。
とても天気が良い1日で、何だか名残惜しくなってしまい近くの海辺へ寄り道。「写ルンです」を持ってきてくれた友達とももうすぐお別れの時間です。背景には函館山と堤防の上にちょこんと見える石川啄木の銅像。
北海道を代表するお菓子屋さん、六花亭の新しいお店が海沿いに昨年オープンしました。ずっと気になっていたので友人と一緒にお茶へ。
お天気に恵まれて、目の前に広がる青い海と空がとても綺麗!日当たりが良いカウンター席だったので暑くなってしまい、ブラインドを斜めにしたら影が良い感じに…。
明るかったのですが、逆光の屋内だったので一応フラッシュを使ってみました。
六花亭を出たら除雪された雪山があったので海を前に1枚。
近くの漁港でイカ釣り漁船と。集魚灯のガラスが夕日に照らされる姿が好きで、時々夕暮れに見に行くこともあります。
漁港の前には除雪に大活躍のブルドーザー
日本最古の観覧車がある公園へ…
カラフルな遊具がかわいいので楽しみに行ったのですが、冬季休業中で雪よけの青いカバーに覆われていました。笑
この公園には動物たちもいます。
この時期、庭の植物はしっかりと雪囲いをされます。こんな小さな植物にも!?というくらい、あちこち雪囲い。小屋の後ろの立派な松もしっかりと支えられていました。
晴れて気持ちの良い日だったので五稜郭公園を少しお散歩。五稜の星の形をしたお堀にも雪が積もっていて、桜の木のシルエットがたくさん。
約1500本の桜の木は4月末頃から開花が始まり、遅咲きの桜の咲く5月半ばくらいまで楽しむことができます。
とある週末。木々に囲まれ、四季の移り変わりを色濃く感じるお気に入りの雑貨屋ironowa(いろのわ)さんへ。訪れるたび、木の上に見えるまぁるい姿をした宿木たちに癒されます。
窓の奥には作家さんの作った雑貨などがたくさん並んでいて、風景とともに楽しんでいます。
また少しドライブをしながら氷上ワカサギ釣りの様子を見て…
函館山の見える高台から雪雲と晴れた空の境目を眺めて…
振り向くとこんなに青空でした。
北海道へ移り住んでから新鮮に感じたのは、1つのところにいてもそこから見える空模様が、あちらとこちらで違うことがいっぺんで分かること。北海道は空が広いというのは、きっとこういうことなのかな、と思う瞬間です。
陽が落ちたのでフラッシュ撮影で遊んでみました。
フラッシュが届く範囲が3mまでなので被写体にしたいものは3m以内に、その周辺のものはほとんど写りません。自ら発光している街灯などがぼんやりと写る程度になります。
顔の前で両手に持った雪が反射して何だかシュールな感じになりました。笑
さて、フィルムがあと数枚になってきたところで、今年の春に廃止になってしまう駅を撮影してきました。函館本線は5駅も廃止になるそうです。
大きな大きな自然に囲まれ、静かな佇まいに雪が反射した光景は、何か語りかけてくるようにも見えました。
撮影時の注意点
1.被写体に近づき過ぎる
撮影距離範囲は1m〜無限遠となっていて、1mより近いものはボケしてしまいます。自撮りする場合も腕をピンと伸ばすなどして撮影すると良いでしょう。
2.光量不足
ISO感度は400ですが、シャタースピードが1/140と早くはないので屋内や暗い天候の日はフラッシュを使用しましょう。
3.指がレンズにかかる
「写ルンです」はファインダーから見える範囲が撮れるわけではなく、レンズ部分に入る範囲が写る仕組みになっています。もしレンズに指がかかってしまっても、ファインダーからは見えないので、気付かず撮影してしまうこともありがちなのです。
実際私も自分の手袋がレンズにかかった写真を撮っていました。笑
撮影レンズとファインダーレンズが分かれているということになりますが、視差は若干なので気にするほどではないでしょう。
4.最後までフィルムを巻き取っていない
1枚撮り終える毎にフィルムを巻くのですが、巻き切っていないことに気付かずシャッターボタンを押したら「あ…」ということが私はありました。
撮りたい瞬間を逃さないよう、フィルム巻上げダイヤルがカチッというまでしっかりと巻きましょう。
写真はデータ化がおすすめ
フィルムカメラを使用していない方から、時々聞かれる質問。
「SNSなどにはどうやってアップしているの?」
フィルムで撮影した写真はプリントするのが普通だった時代もありますが、データ化することでパソコンやスマートフォンへダウンロードが可能で、HPやSNSなどで写真を共有することができるのです。
「写ルンです」を撮り終えたら、フィルムの現像を行なっている写真店や家電量販店に持ち込んで本体をそのまま渡すだけ。「現像とデータ化」とオーダーします。
CD-Rへの書き込み、パソコンやスマートフォンにデータを送ってもらうなど、データ化の方法・料金や仕上がりにかかる時間はお店によって様々なので、事前に調べてみることをおすすめします。
主なオーダー内容は以下になります。
- 現像+データ化
- 現像+プリント+データ化
- スマートフォンまたはPCへのデータ転送サービス
まとめ
カメラに詳しくない人でも簡単に撮ることができるカメラとして作られた「写ルンです」。簡単なのに、撮影した写真は良い意味で複雑で、様々な写りを見せてくれました。
見れば見るほどしみじみと味わい深く感じるのです。限られた27枚に何を写そう。何を写しただろう。どんな写りになっているだろう。何の設定もない、素のままの写真がこんなにも美しいということに気付かされました。
1ヶ月近く、出かける時はいつもポケットに入れていた「写ルンです」。現像に出して、カメラがいなくなった日々は少し寂しい気持ちになるくらい愛着が湧いていました。
暮らしに寄り添ってくれるような控えめな存在。そばに置いて、日記のようにありのままの日常を撮ってみるのも良いのではないでしょうか。
きっと写真を見返すと、何気ない毎日が特別に感じるかもしれません。
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