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【作例つき】風景・スナップをより美しく。PLフィルターの使い方とおすすめを紹介
自然界では目やレンズに届く光は無数の方向から入ってきます。PLフィルターは、そんな無数の方向からの光をコントロールして被写体を鮮やかに美しく表現するためのツール。そんなPLフィルターの魅力を作例を通じてご紹介します。
著者: ONE SCENE編集部 | 作成日: 2022/03/10 | 更新日: 2023/01/28
PLフィルターで光をコントロール
PLフィルターとは、自然界における様々な方向からの光をコントロールして、被写体をより鮮やかに美しく表現するフィルター。
一般的には風景写真で使われることの多いこのフィルターを、室内での撮影など身近な景色も題材に、その原理や使い方を含めて教えていただきました。
教えてくれた方
PLフィルターの2つの効果
1.反射除去効果
2.色彩コントラスト効果
PLフィルターの原理について
PLフィルターのPLとはPolarized Lightの略で、訳すと「偏光」を意味します。PLフィルター=偏光フィルターです。
太陽の光(自然光)は様々な方向へ振動していますが、何かに反射することで、一定の方向へ振動するようになります。この一定の方向(つまり偏った方向)になった光を「偏光」と呼びます。
自然光は地面や構造物、ガラスなどに反射するほか、空気中に漂うチリ、ホコリや水蒸気にも反射して白い光だけを散乱させます。空が霞んで白っぽく見えることがあるのはこのためです。
PLフィルターはガラスとガラスの間に偏光膜と呼ばれる特殊な膜が挟み込まれた構造になっており、偏光をフィルターに通すことで、光の乱反射や量を抑制・除去する効果が得られるので、海や空の色をより鮮やかに映し出したり、水面や窓ガラスの反射を抑えたりすることができます。
また、反射光の光量を調整することができるので、反射を強調したい風景撮影などにも向いています。
PLフィルターの種類
PLフィルターと円偏光(C-PL)フィルターの2種類がありますが、PLフィルターはマニュアルフォーカス(MF)のフィルムカメラが主流だった時代に使用されていたもので、オートフォーカス(AF)機能を持つフィルムカメラやデジタルカメラに装着すると、カメラの機構と干渉を起こして、ピント合わせや露出を正しく測れなくなる可能性があるため、現在市販されているものはPLフィルターを改良したC-PL(Circular Polarized Light)フィルターと呼ばれるものがほとんどです。
Circular Polarized Light は訳すと「円偏光」で、サーキュラーPLフィルターとも呼ばれます。
作例紹介
では、実際にPLフィルターを使用して撮影した写真をいくつかご紹介します。 私の住む街はまだ積雪のある季節で屋外に花は咲いておらず、緑も少ない時期だったため、屋内での撮影を多めにしていますが、基本的な効果をご覧いただけたらと思います。
空に注目すると、フィルターの効果で青空と雲がよりハッキリとしています。木の色や川面の反射も違っていますね。
晴れた日の海です。PLフィルターを使用した時は水面の反射が抑えられ、海の色が濃くなっています。
フィルターの効果を大きくすると、青空が濃くなり雲とのコントラストがハッキリとします。葉の緑も鮮やかになり立体感が増しました。
PLフィルターは反射を除去するだけではありません。反射の強弱を調整することができるので、水辺での撮影時に水面のリフレクションを強調させることもできます。
また、白いテーブルに注目していただくと、効果を大きくした際は、反射が抑えられています。テーブルの種類をいくつか替えて撮影してみたのですが、台として使用するものの素材を活かしたい場合にも、PLフィルターを活用できると思いました。これから作例でご紹介させていただきますが、テーブルフォトの撮影時にもぜひ試していただきたいです。
上の写真はフィルターの効果を最大にしたときは水面の反射が薄れて水中が見えますが、調整すると街灯や桟橋がよりはっきりと水面にリフレクションします。
葉の表面の光は反射を除去し過ぎてしまうと陰影が乏しくなり、葉の質感が失われてしまいます。 やはり適度に調整することが大切ですね。
部屋に飾っているフォトフレームです。窓から差し込む光の反射で効果を試してみました。
水を張った小皿に沈めたシーグラスです。PLフィルターの効果を大きくすると、水面の反射が抑えられ、中に入っているシーグラスもハッキリ見えるようになりました。
プレゼントや購入したお菓子などのラッピングが素敵で、そのまま写真に撮っておきたいことが時々あるのですが、透明のラッピング材は反射で中のものが見えず苦戦することもしばしば…。
そんな時にフィルターを付けて撮影する手もあることを発見! この時もどこに重点を置くかによりますが、効果を程々にしないと不自然になってしまいますね。
PLフィルターの使い方
ゴーストやフレアーの原因になるのでレンズのプロテクターはあらかじめ外しておきます。PLフィルターは2重の回転枠構造になっており、偏向膜を回転させることで効果が強弱する仕組みになっています。
PLフィルターはレンズに装着するだけでは効果が現れません。フィルターの前枠をゆっくり回転させながらファインダーや液晶モニターで確認し、効果が最適になった位置で止めて撮影します。
回転枠を回すと効果が90度毎に 最大 → 最小 となります。撮影する対象にどのような効果を求めるか考え、ちょうど良い位置を見つけて撮影しましょう。
効果について
青空をより青く、風景のコントラストを高めて撮影する場合、太陽の位置に対して90度の方向でいちばん効果を発揮します。太陽を背にした順光や逆光、曇りの日などは効果が弱くなります。
お昼近くに太陽が高い位置にある場合は地平線近くに、日の出日の入の時刻では頭上付近で効果が最も大きくなります。晴れた日に使用すると効果が分かりやすいですが、曇りや雨の日でも光の反射には効果があるので、植物などが濡れて光る様子などを撮影する際に使用してみるのも良いかもしれません。
水面やガラス面への反射除去効果は、面に対して30度〜40度の範囲が最も効果的です。
また、鏡面や金属面に対して正面からの撮影では効果がありません。
コントラストや彩度の調整は、写真編集ソフトを使い後からレタッチすることも可能なので、PLフィルターは必要ないようにも思います。
しかし、レタッチで調整できる範囲には限度があり、反射して白くなった部分は色の情報がないので、レタッチで元の色を再現することは困難です。後から反射した光を取り除くことも難しくなりますので、PLフィルターを使用することにより撮影時に対策ができます。
カメラ側の設定やフィルターを装着する際に気をつけた方が良いこと
PLフィルターを使用することで起きるデメリットやその回避策を数点ご紹介します。
光量が少なくなる
PLフィルターの偏光膜には色がついており、その為レンズに入る光の量が少なくなります。フィルターを付けていない時と比べると光量が1、2段(高透過の場合は1段)ほど暗くなります。
シャッタースピードが遅くなるので、ISO感度を上げて調整したり、三脚を使用したりして手ぶれしないように気をつけましょう。
フレアーやゴーストが起こりやすい
PLフィルターは2枚のガラスの間に偏光膜が挟まれており、構造上光が乱反射してフレアーやゴーストが起こりやすくなります。
強い光の逆光や反逆光での撮影を避けることや、反射率の低いフィルターを選ぶことで軽減させることはできます。また、先に書いたようにプロテクターを外してから装着した方が良いというのもこのためです。
ケラレが発生しやすい
ケラレとはレンズに取り付けたフィルターやフードなどが、撮影した画像の四隅に黒い影のように写り込んでしまうことをいいます。PLフィルターは構造上、フィルター自体が厚くなりがちなため、なるべく薄枠タイプの製品を選ぶと良いでしょう。
偏光ムラが起こる場合がある
広角レンズを使用すると写る範囲が広いため、太陽光の位置によっては青空の色が濃い場所や薄い場所などが出る「偏光ムラ(色ムラ)」が起きやすくなります。撮影位置やアングルを変える、フィルターの効果を弱めるなどして撮影してみましょう。
経年劣化する
偏光膜は熱や紫外線に弱く、経年劣化します。通常は7〜8年使用できますが、使用頻度が多い場合は2〜3年でフィルターが黄ばんできます。写真の色に影響するので4、5年くらいで買い替えると良いでしょう。
また使用しない時はレンズから外しておくこと、高温の場所に長時間放置しないよう注意が必要です。
フィルター効果は適度に
フィルターの効果を最大にして反射を除去し過ぎてしまうと、被写体の本来の質感や不自然さが出てしまう場合もあります。
例えば、雨の日の潤いを表現したい時、雨に濡れた葉や花の反射を美しく表現したいのなら適度に調整することが大切になります。水面の反射や風景のコントラストも同様です。
私はPLフィルターの醍醐味は自分で調整ができることだと感じます。作例では、効果(大)・(小)、フィルターなし の3パターンでご紹介しましたが、自分の表現したい写真を撮るために相応しい位置を探しましょう。
フィルター回転枠の回転方向
PLフィルターをカメラに装着し、回転枠を回す際は、カメラを操作するご自身から見て反時計回り(カメラを正面から見て時計回り)に操作するのがお勧めです。時計回りに回し続けるとフィルターのネジが緩み、レンズから外れてしまうこともあります。
おすすめのフィルター
まず、選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。
反射率低反射率のものほど、フレアーやゴーストの発生を軽減できます。低反射率・高透過率のフィルターを選ぶことでより画質が良くなります。
コーティング撥水・撥油・防汚タイプは悪天候時の撮影にも強く、付着した指紋などを落とすことも簡単です。
フィルター径フィルターは使用するレンズの口径に合わせて選びましょう。その際、ご自身がお持ちの最大口径のレンズに合うサイズを選んでおくと、口径が小さなレンズで使用したい場合でも、ステップアップリングというレンズリングアダプターを用意することで、フィルターを装着できるようになります。
大きめのフィルターを選んでおくと、小さい径のレンズに装着してもケラレを起こしにくいです。
例えば、私が使用しているレンズの最大口径は67mmなので、67mmのPLフィルターを選びました。
この1枚のPLフィルターをフィルター径52mmのレンズで使用する場合は、52mmを67mmへ変換するステップアップリングを装着することで、67mmのフィルターをそのまま使用することができます。
薄枠のフィルター広角で撮影する際、薄枠のフィルターを選ぶことでケラレの発生を軽減することができます。
おすすめ製品
ケンコー・トキナー C-PL(W)
ケンコー・トキナー C-PL(W)
フィルター枠のサイズが大きくなっても手に取りやすい価格で初めてPLフィルターを仕様する方にも安心です。薄枠仕様なので広角レンズのケラレも軽減できます。
ケンコー・トキナー PRO1D plus WIDEBAND サーキュラーPL(W)
ケンコー・トキナー PRO1D plus WIDEBAND サーキュラーPL(W)
「デジタルマルチコート」という高性能なコートによって従来よりも透過率が高く、フィルターガラスの外周に黒塗り加工を施すことで、内面反射を極限まで防止。保護フィルター等とほぼ同じ枠厚で広角レンズから望遠レンズに対応する薄枠タイプ。
更に着脱時の操作性を考慮したローレット(滑り止め)付きフィルター枠を採用などなど、ハイクオリティーですがお手頃価格です。
ケンコー・トキナー ZX(ゼクロス) C-PL
ケンコー・トキナー ZX(ゼクロス) C-PL
通常のPLフィルターは光量が2段階ほど暗くなってしまうのですが、高透過偏光膜の採用によって最大1段分しか暗くならずシャッタースピードが遅くなる影響が少ない為、ファインダーが明るいまま効果が得られます。
また従来のような黄色みがかった色の偏りがなく、カラーバランスに優れていているそうです。
0.3%以下の超低反射率。フローティングフレーム構造という特殊な緩衝剤でガラスが保持されており、ガラスの平面性を保つことで高解像力を発揮します。 「最高画質のPLフィルター」ということで、お値段もその分上がりますが試してみたいですね!
K&F Concept NANO XシリーズPLフィルター
K&F Concept NANO X PLフィルター
レンズ本来の描写力を発揮する99.6%の高透過率はナノコーティングの採用によるもの。 グリーンフィルムが紫外線をカットしながら偏光を除去し、風景をハッキリさせてくれます。
高品質な光学ガラスは、レンズフレアとゴーストを著しく低滅し、反射を抑え、明るい写真を撮ることができます。フィルター表面の28層のナノコーティング加工が撥水・撥油効果を発揮して、お手入れも簡単です。
わずか5.3mmの薄枠仕様。枠は金属製で耐久性・安定性抜群です。こちらは私が今回使用したフィルターです。
HAKUBA XC-PRO エクストリームサーキュラーPLフィルター
HAKUBA XC-PRO エクストリームサーキュラーPLフィルター
エクストリームコーティングによる高透過率で表面反射を極力抑え、レンズ性能を最大限引き出すことができます。撥水/防汚機能に優れているので、アウトドアが好きな方にもお勧め。精密加工によるケラレの少ないワイド対応薄枠設計。0.6%の超低反射率。
上記に挙げたものはほんの一部です。MARUMI、NiSi、KANIなどカメラ機材で認知度の高いメーカーにもPLフィルターが揃っています。選ぶ際に自分が優先したいと思うポイントをチェックしてみてくださいね。
まとめ
自分でフィルターを回転させながら光の反射を自由にコントロールするPLフィルター。 多くの風景写真家が使用しているように、屋外で使ってこそ、その威力を発揮するフィルターであるのかもしれません。
ですが、今回は季節柄屋内での撮影が多く、効果のほどを感じ取ることができるか心配な面がありました。しかし、実際に使ってみると、屋内でもPLフィルターの効果を十分に楽しむことができました。
春から秋にかけて色鮮やかな季節がやってきます。湖や池の雪が解けたら、水面のリフレクションが美しい時期にもなります。PLフィルターを通して見えるありのままの景色を、これからもっと楽しみたいと思います。
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