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長時間露光で幻想的な写真を。【NDフィルター】の使い方とおすすめを紹介
まるで時間が止まったかのような滑らかな水面や、絹のような滝の写真を一度は目にしたことがあると思います。光量を調整するNDフィルターを使うことで肉眼では見れない幻想的な写真を撮ることができます。そんなNDフィルターの原理から撮影方法をご紹介します。
著者: ONE SCENE編集部 | 作成日: 2022/04/29 | 更新日: 2023/01/28
NDフィルターで「時間」をコントロール
取り込む光の量を調整して写真表現の幅を広げてくれるNDフィルター。使いこなすことができれば肉眼では目にできない幻想的な写真を撮ることができます。また、カメラの原理を理解することにも繋がるので、写真の奥深さの再発見することができるかもしれません。
今回は、NDフィルターの原理から使い方を作例を交えて写真家のRioさんに教えていただきました。
教えてくれた方
NDフィルターの効果について
NDフィルターのNDはNeutral Density(ニュートラル・デンシティー)で、直訳すると「中立な濃度」を意味し、装着することで発色にほとんど影響を与えずに、レンズに入り込む光の量を減らす役割をします。
明るい昼間にシャッタースピードを遅くすると、光を多く取り込み過ぎてしまうので、白飛びを起こしてしまいます。絞りを絞ってシャッタースピードを遅くすることもできますが、絞りすぎると光の回折によって、細かな部分のシャープさが失われるなど、画質の劣化が起こるため(「小絞りボケ」や「回折現象」と言われます)NDフィルターを使用することで過度な絞り込みをせずに、スローシャッターで撮影できるようになります。
NDフィルターを使用したいシチュエーションとしては以下のものがあります。
◆ 晴天の日中など明るい条件下でスローシャッターを使用したい時
水流を滑らかに撮る場合、シャッタースピードを遅くする必要があります。暗い場所では自然とシャッタースピードは遅くなりますが、先に書いた通り、明るい場所では取り込む光の量が多くなって白飛びを起こしてしまいます。
上の写真はよく晴れた日の昼間の海です。未使用時は波が白飛びを起こしていますが、NDフィルターを使用することで、シャッタースピードを長くしても露出オーバーにならず、波が糸のように滑らかに見えます。
◆ 晴天の日中など明るい条件下でF値を開放(小さく)にして背景のボケを大きくしたい時
F値の小さなレンズほど背景をボカすことができ、明るい写真を撮ることができます。例えば、よく晴れた日の日中に、開放F値が1.4の大口径レンズで背景をボカした写真を撮りたいとします。
しかし、絞りを開けると入ってくる光の量が多くなって、シャッタースピードが足りなくなってしまいます。
こういったシチュエーションでNDフィルターを装着すると、シャッタースピードが落ちて適正露出で撮影が可能になります。
NDフィルターの原理と計算について
NDフィルターにはND2、ND4のように数字がついています。この数字はNDフィルターが取り込む光の量を、何分の1に減らすかを表しています。
数字が大きくなるほどNDフィルターの濃度が濃くなり、光量を減らすことができるので、よりスローシャッターになります。「ND●」とあれば「1/●」減光するという意味です。
例えば…
ND2を装着すると、取り込む光の量が1/2 になり、シャッタースピードが2倍遅くなります。ND16を装着すると、取り込む光の量が1/16になり、シャッタースピードは16倍遅くなります。
光の入る量を段階化したものを段数といい、「1段開く」と、取り込む光の量が基準の絞り値の2倍になります。「1段絞る」と取り込む光の量が基準の絞り値の1/2になります。
NDフィルターのパッケージやスペックに「減光●段分」や「●絞り分」など記載されている場合もあります。
NDフィルターの数値が上がると光量が減り、シャッタースピードを遅く(長く)することができるということがわかったと思いますが、絞る(F値を上げる)ともっとシャッタースピードを遅くできるということです。
NDフィルターの濃度別、向いているシーンや表現を以下にまとめましたが、あくまで目安なので、実際に調整しながら撮影をしてみましょう。
- ND4〜ND8 夜景・花火
- ND8〜ND32 水流を滑らかに
- ND64〜ND500 早朝・夕方の時間帯
- ND1000 明るい日中の撮影
装着後に適正露出となるシャッタースピードを求める計算式
装着前のシャッタースピード × NDフィルターの番号 = 装着後のシャッタースピード
例えば…
り優先 NDフィルターなし ISO100 F16 1/30秒の場合、計算式に当てはめると、NDフィルターを装着した場合のシャッタースピードは次のようになります。
なお、計算せずともNDフィルター使用時のシャッタースピードが分かる早見表もあります。
また、NDフィルターは重ねて使うこともできます。重ねた際の減光効果の計算は掛け算を用います。ND4とND8を重ねた場合は ND4 × ND8 = ND32 となり、ND32相当として代用できます。
重ね付けする場合は減光効果の大きいフィルターを外側に付けます。
ただし、フィルターを重ねると枠厚が増すので、使用するレンズの画角にもよりますがケラレが起こりやすくなります。またガラス面が増えることになるので、複数の反射面で光が乱反射してしまい、フレアーやゴーストも発生しやすくなります。減光効果の大きい(濃度が濃い)フィルターを外側に付けることで、内面反射を最小限に防ぐことができるのです。
また、PLフィルターと重ねることもできます。その場合はPLフィルターを外側に重ねます。
NDフィルターの種類
◆ 可変NDフィルター(バリアブルNDフィルター)
回転させることで濃度を変えることができるNDフィルターです。フィルターを外す手間がかからないので、天候や時間帯で明るさが変化しやすい状況でも柔軟に対応できます。
◆ ハーフNDフィルター
フィルターの半分が透明、半分がNDフィルターになっているものです。空と地上の明暗差がある状況で、どちらかに露出を合わせて撮影すると白飛びや黒潰れが起こります。ハーフNDフィルターを使用することで、明暗差の調整ができます。
NDフィルターになっている部分は上下半分とは限らず、様々な種類があります。 (ちなみに私はハーフNDフィルターで撮影した作例を見て、欲しくなってしまいました!)
◆ 円形フィルターと角形フィルター
NDフィルターには円形のものと角形のものがあります。一般的には円形フィルターが多く使われているかと思います。角形フィルターはホルダーに装着した上でセットする仕様になっており、レンズ径を問いません。価格は円形フィルターと比較して高くなります。
作例紹介
実は滝を撮影したのはこの日が初めてだったのですが、まず構図が難しかったです…。
滝までの距離があり、私の持っているズームレンズではあまり寄れず、試行錯誤しながら撮影しました。滝の高さ、水流の勢いの違い、近寄れる場所などがあればより迫力のある表情を楽しめると思います。
これまでの記事で何度か登場している北海道の駒ヶ岳と大沼です。空が優しい色をしていて、湖面の反射がとても綺麗でした。風がほとんどなく、雲の流れも湖面も穏やかだったのですが、30秒のスローシャッターでだいぶ表情が変わります。
朝焼けの空と木々のシルエットが湖面に反射してそのままでも美しい風景でした。逆光で眩しかったのでND1000を使用しましたが、朝や夕方は濃度の薄いフィルターで撮影できます。設定を変えながら、表現の違いを撮影してみるのも楽しいですよ。
日の光に照らされた岩とさざなみです。スローシャッターにすると、海面がきめ細やかに白く光ってより閃々と見えます。
静と動のある風景を撮影するとNDフィルターの効果がよく分かります。
神奈川に帰省する機会があったので、みなとみらいの汽車道で撮影をしました。歩く人の速度によって、ぶれ方の違うことが分かりますね。
2021年の春に運行を開始したYOKOHAMA AIR CABINと夜景を撮影しました。日が暮れると、エアキャビンにライトが点き、色を変えながら動くので光芒も色とりどりに見えます。
車とYOKOHAMA AIR CABINの光芒です。
夕暮れ時にエアキャビンと汽車道を歩く人を1.5秒で撮影するとほとんど消えてしまいました。観覧車の回転はゆっくりなのであまりブレていません。
全てISO100 F16の設定でシャッタースピードを変えながら撮り比べてみました。川の水流とともに、風に揺れていた手前の菜の花もブレている様子が分かります。
NDフィルターの使い方
スローシャッターの撮影になるので、ブレないよう三脚を用意しましょう。セルフタイマーを使用するとシャッターボタンを押す際の振動を防ぐことができます。また30秒以上の撮影はバルブモードになるのでレリーズが必要です。
◆ 基本的な設定
- 絞り優先(A/ Av)またはマニュアル(M)
- ISO100またはISO200
- 絞りは解像度が高いと言われているF8程度(絞ってもF16程度までがベター)
- 手ぶれ補正オフ
- ケラレ防止の為、保護フイルターは外しておく
NDフィルターを装着すると光量が落ちて見えにくくなるので、装着前に構図を決めます。 絞り優先モードに設定し、F値と構図を決めたらシャッタースピードを確認します。どのくらいのシャッタースピードで撮影したいかによってNDフィルターを選びます。
例えば、装着前のシャッタースピードが1/6秒だったとします。NDフィルターの計算表で確認、または計算式(1/6秒×ND64)に当てはめてみると、ND64を装着後のシャッタースピードが11秒であることが分かります。
NDフィルターをくるくると回してレンズに装着します。この時回し過ぎると外しにくくなるので気をつけましょう。マニュアルモードに変え、シャッタースピードを11秒に設定すると、そのままの露出で撮影することができます。撮影した画像を確認しながら、F値やシャッタースピード、ISO感度を好みに調整しましょう。
ただし、絞り過ぎやISO感度を上げ過ぎると画質が落ちてしまうので注意が必要です。
NDフィルターを選ぶ際のポイント
◆ ケラレ防止の為、薄枠設計タイプ
◆ お手入れのしやすい、撥水・防汚タイプ
◆ 色再現がニュートラル(色被りのないもの)
また、ステップアップリングというレンズリングアダプターを用意することで様々な口径のレンズに装着が可能になるので便利です。
PLフィルター同様、NDフィルターは使用するレンズの口径に合わせて選びましょう。その際、ご自身がお持ちの最大口径のレンズに合うサイズを選んでおくと口径が小さなレンズで使用したい場合でも、ステップアップリングを用意することでフィルターを装着できるようになります。
おすすめのNDフィルター
マルミ光機 MAEUMIEXUS ND 32
ニュートラル性が非常に高く、被写体の色彩に影響を与えることなく光量だけを減少させます。明るい場所でのスローシャッター撮影時の露出オーバー(白とび)や絞りすぎによる画質劣化の防止にも効果があります。
帯電防止コーティングを採用している為、静電気による微細なチリやホコリを寄せ付けません。もちろん撥水・防汚コーティング効果もあります。
K&F Concept NDフィルター ND4+ND8+ND64+ND1000フィルターセット
こちらは私が使用しているNDフィルターです。
ND4・ND8・ND64・ND1000フィルター各1枚とジャストサイズのフィルターバッグ1個がセットになっているのでそのまま持ち歩くことができて便利です。ナノコーティングを採用している為、99.6%高透過率。また撥水撥油性、すり傷に強い両面18層のナノコーティングが施されています。高品質な光学ガラスがフレアとゴーストを低減し、反射を抑えます。わずか3.3mm薄枠仕様で、ケラレを防止するため、広角レンズにも対応します。
ND64に濃いフィルターがND1000とかなり空いてしまうのですが、フイルターを重ねることでND256相当やND512相当として使用できます。さらにND64とND1000を重ねればND64000相当にもできるので超長時間露光も可能です。様々なシーンで楽しめるうえ、価格もお手頃だと思います。
Kenko PRO1D Lotus NDフィルター
撥水・撥油に優れたコーティングが採用され、金枠には硬度・耐摩耗性・耐久性のある表面処理が施されています。安定した色再現性での減光が可能で、静止画、動画問わず使用でき、フィルターの着脱時の滑りにくさや滑らかさ、レンズへの噛み込みの軽減などを考慮した加工がされています。
まとめ
これまで三脚を使用して風景写真を撮影したことがほとんどなかったので、今回NDフィルターを装着してじっくりと風景と向き合った時間はとても新鮮でした。
普段は自分の感覚で設定をして撮影していたこともあり、初めはシャッタースピードなどを計算して、設定を変えて撮影する…という手順を繰り返すことが少し大変に思えましたが、何度も撮影をするうちに自分が表現したい写真の設定とNDフィルターの濃度の関係が大体分かるようになるものです。
水流や空など風景撮影に多く使われているNDフィルターですが、ここに挙げた作例はほんの一例です。写真の楽しさは、決まりがなく自由に好きなものを撮ることに尽きると思うので、NDフィルターを使用して自分なりのアートを表現できたら素敵ですね。残像を残すポートレートなんていうのも面白そう!
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