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日常の小さな感動を集めるように。 「誰かと共有したい光景」を丁寧に写真に残していく
公務員として働くかたわら、週末にはカメラを持って日常や旅先の美しい光景をフィルム写真に収めているchieriさん。chieriさんの撮る写真は、ふんわりとした柔らかさの中にどこまでも透き通るような美しさが合わさり、見る方を魅了します。そんなchieriさんがどんな瞬間に魅力を感じ残されようとしているのかを知りたくて、お話を伺いました。
著者: chieri | 作成日: 2020/08/23 | 更新日: 2023/01/28
― はじめにchieriさんが写真を始めたきっかけや、写真にのめり込んでいった経緯について教えてください。
8年前、旅先での経験がきっかけです。綺麗な花が咲いていたのでコンデジのシャッターを切ったのですが、ピント位置やボケ感の調整ができず、思うような写真にならなかったのです。
以前から写真に興味はありましたが、この時悔しい思いをしたことから「本格的な写真を撮れるカメラが欲しい」と思うようになり、のちにデジタル一眼レフのCanon EOS Kiss X7を購入しました。
最初は一人で写真を撮っては細々とSNSに投稿していましたが、あるときフォロワーさんからお誘いいただいた撮影会に勇気を出して参加。そこから徐々にカメラ仲間が増え、世界が拡がり、写真にのめり込むようになりました。
この頃出会った「カメラ仲間」とはもう5年の付き合いになりますが、今では撮影目的でなくても会うことができる大切な「友人」です。
― chieriさんの空気まで閉じ込めたような透明感のある写真を眺めていると、気持ちが穏やかになる気がします。きっと、chieriさんの美意識や感性が写真を通じて伝わってくるのだと思うのですが、chieriさんはどんな瞬間に魅力を感じ、残されようとされていますか。
見慣れた景色も、光の当たり方や影の出方次第で途端にドラマティックな光景になります。
そんな光景を目の当たりにして「この心の高揚感を忘れたくない、誰かと共有したい」と思ったときに私はシャッターを切っています。
せっかくなら目で見るよりも美しく写真に残したいので、撮影の際は様々な方向から見てみて、その被写体が一番魅力的に写る切り取り方を探しています。
― また、見落としがちな日常の瞬間を丁寧に切り取られた美しい写真からは、chieriさんにとって写真が日常の一部であるような印象を受けます。chieriさんにとって、写真とはどんな存在でしょうか。
すっかり忘れていた出来事でも、写真を1枚見るだけで食べたものの味や前後の会話まで芋づる式に思い出せたりしませんか?
写真は私にとって、いつでも何度でも開けられるタイムカプセルのようなものです。「部屋にいい光が差し込んでいた」「美味しいものが作れた」「空に浮かんだ雲がいい形だった」といった日常の小さな感動は生活の中に埋れて忘れてしまいがちですが、写真に残しておくことで、忘れてしまってもまた思い出すきっかけを作ることができるのです。
― デジタルに比べ、フィルムは手間もお金もかかりますが、chieriさんはフィルム写真のどんなところに魅力を感じていらっしゃしますか。
デジタルなら撮ってすぐに写真を確認できますし、納得いかなければ消すことも、撮り直すことも可能です。フィルムではそれができませんが、そこが不便でもあり、「1枚の重み」を感じられる魅力的な点でもあると感じています。
撮り直しがきかないからこそ1枚1枚を大切に、慎重にシャッターを切るようになりますし、現像を終えて手元に戻ってきた写真は自分の子どものように愛おしく思えます。
― 続いて機材について教えてください。chieriさんは様々なフィルムカメラを使っていらっしゃしますが、どのように使い分けをされていますか。
気取らない日常写真は「CONTAX Aria」で撮影しています。ここぞという場面では中判カメラを使用しますが、人を撮るときは大胆で吸い込まれるようなボケの「PENTAX 6x7」、遠景・テーブルフォトは繊細な描写の「HASSELBLAD 500C/M」と使い分けています。
― 数あるフィルムカメラの中でも、中判カメラのハッセルブラッドを愛用されていると思います。ハッセルブラッドは特有のお作法など大変なことも多いと思いますが、手に入れるまでの経緯や、実際に使ってみて感じた魅力について教えてください。
出会いは5年前、最初に参加した撮影会。カメラ初心者の私にとってこの時はまだハッセルブラッドは遠い存在でしたが、初めてファインダーを覗かせてもらったとき、そこに現れた映画のような世界に心が高揚したのを覚えています。
そんな出会いからしばらく経ったある日、親しくしている友人がハッセルブラッドのワークショップに参加、そして購入。私は友人が撮った写真を見て衝撃を受け、それ以来「いつか自分も…」と思うようになりました。
半年後、私が興味を示したことを覚えていた友人が「今度またワークショップがあるらしいよ」と教えてくれました。そうして参加した念願のワークショップでしたが、慣れないウエストレベルファインダーに苦戦。「私にこのカメラは扱えない」とまた遠い存在になってしまったのです。
…実はこの日、ワークショップ終わりに憧れの中判カメラ「PENTAX 6x7(通称バケペン)」を購入しています。なにしろ使い慣れたアイレベルファインダーでしたので(笑)
バケペンの描写は素晴らしかったです。写真を撮ることが本当に楽しくなって、機材の重さ・大きさにもめげずによく持ち歩いていました。しかし一方でハッセルブラッドへの憧れを消し去ることもできず、結局1年も経たないうちに「HASSELBLAD 500C/M」を購入。今ではバケペンよりも出番が多くなりました。
一見難しそうに感じる「お作法」ですが慣れれば負担ではありませんし、シャッターボタンを押し込む時、フィルムを巻く時の音も感触もたまらない。撮れる画が魅力的であることは言うまでもありませんが、自分で使うようになってからはその操作感にも魅了されています。
― 最後に、chieriさんのベストショットと、次に狙っているカメラやレンズ、今後の抱負があれば教えてください。
私のベストショットはこちらの1枚です。
手の綺麗な友人に協力してもらって、波が引いたばかりの砂浜に像が反射し、次の波が太陽の光を受けて奥できらりと光る瞬間を狙ってシャッターを切りました。ある程度仕上がりをイメージして撮影しているのですが、現像を終えて手元に戻ってきた写真は想像以上に光がふわっと広がって少し幻想的で、それを見たときは思わず興奮したのを覚えています。協力してくれた友人にも気に入ってもらえて嬉しかったです。
カメラやレンズは今のところ増やす予定はありません。ちょっとしたお出かけの際にもバッグに忍ばせておけるように、祖父に譲ってもらったコニカのBIGmini(故障中)を修理して使えるようにできたらなと考えています。
著者
chieri
1990年、埼玉県生まれ。公務員。 主にフィルムカメラで写真を撮っている。お気に入りのカメラはHASSELBLAD 500C/M。
chieriさんの使用カメラ
chieriさんの使用レンズ