子ども達との時間全てが宝物。 幸せな瞬間、消えて欲しくない瞬間を写真に残していく

― はじめにerikaさんが写真を始めたきっかけや、写真にのめり込んでいった経緯について教えてください。

私は一人目の時に不妊治療をしていたのですが、子どもができたらカメラを買ってたくさんの写真を残したい！と思っていました。ただただ子どもを撮りたかっただけ、それが私のはじまりです。

そして娘が１歳を過ぎた頃、娘と同じ歳のブログで繋がっていた方が子どもさんの誕生日記念に撮りに行ったライフスタジオという写真館での写真を載せたんです。その写真を見た時に凄く感動して、私の写真への想いが変わりました。

そのスタジオが写す雰囲気に一目惚れしちゃったんです。近ければ上手くなって働きたいと思うくらい。憧れて娘が３歳の時に名古屋まで撮影にも行きました。車で14時間もかかるのに…それくらい私には存在が大きくて。

なかなか行ける場所ではないからこそ自分でそれをできる人になりたくて、だから子ども達を世界一素敵に写せるお母さんになりたいと思いました。

― 一枚一枚が物語のようで、どの日も特別な日のように感じます。きっと二人のお子さんとの毎日をとても大切にされているerikaさんの思いが詰まっているのだと思います。erikaさんにとって写真とはどんな存在で、どんな思いを込めて撮影されていますか。

私にとっての写真とは、記憶の回想録。

とにかく子ども達が大好きなんです。好きで好きでたまらない。だから特別な日も、日常も忘れたくないんです。でも年月は小さなことから薄れさせてしまう…それを忘れないように、忘れても思い返せるように写しています。子ども達の楽しそうな声がいつまでも聞こえてきそうな、その時の降り注ぐ光や通り抜ける風といった空気感も残せるように。

子ども達との時間全てが宝物なんです。全部を何十年経っても残しておきたい。だから私から見た幸せだと思う瞬間、消えて欲しくない瞬間にシャッターを切っています。写真一枚一枚が私の心のようなものです。

― 先ほどの質問とやや重複するのですが、erikaさんの写真は空間がぎゅっと圧縮されていて、また情緒的な印象を受けます。お子さんや風景とのバランスや光の捉え方など、撮影において心掛けていることについて教えてください。

その場所へ行った時やふと目を向けた時に瞬間的に感動することってあるじゃないですか。その感動を写真にそのまま写すようにしています。

だからあまり現地で場所を探すようなことをしていなくて。例えば夕陽に照らされたトンボがキラキラと輝いていてそれに感動したらその場所からトンボを追いかけている息子と写したりします。息子の輝くほど大好きなことに輝く場所を合わせて。感動した景色＋子どもが私の写真です。自分が何に感動したか、どの場所からどんな風に？いつも自分に問いながら決めています。

そしてできるだけ自然に子ども達と楽しく写すように心掛けています。だから本気で遊んでいたり、私とたくさんお喋りをしながら撮影をしていたり。子ども達二人を一緒に撮影する時は二人の空間に入り込まないような距離感を持って撮影しています。

― 続いて色合いについて教えてください。erikaさんの写真はとてもクリアで澄んだ空気を感じます。また、その季節や時間特有の光の色がそのまま表現されているようにも感じます。色合いなど現像において心掛けていることについて教えてください。

現像では元画像を何度も見返しながらレタッチしています。一つ調整しては元画像を見て…というくらい頻繁にです。明暗はしっかり出るように調整して写真にくっきり感を出しますが、色温度はよっぽどのことがない限り操作しません。色温度を調整しないことがその時をありのままに表現できていると思います。

私の写真は元画像の時点で出来る限り写真に仕上がりをつけていて。 なので現像において一番気を付けているのって白飛びと黒潰れくらいなんです。あとは撮りっぱなしだとのっぺりしてしまうのでそこをくっきりさせているだけです。

― 背後に広がる圧巻の風景もとても魅力的です。erikaさんは大分県を中心に撮影をされていますが、erikaさんの感じる大分県の魅力や、大分県に訪れたことの無い方に向けておすすめのスポットを教えてください。

大分には海も山も平野もあります。それがそれぞれ広いんです。田舎の特権ですね！

望遠か広角かは場所に合ったレンズというより気分で選べます。だから同じ場所でも飽きないんですよね。おまけに同じ場所でも季節が違えばそれもまた美しい。夜はその辺で子どもの起きている時間帯に子どもと星の写真も撮れてしまう。もうとにかく最高です。

私のおすすめはたくさんありすぎるのですがまず大神ファーム。年中写真を撮るには楽しい場所ですがとくに２月のミモザは来ていただきたい。青空とミモザ並木が最高ですし、夕方のミモザと夕陽がとにかく私は大好きです。この時期の光と空気は柔らかく澄んでいて見ても撮ってもうっとりします！

そして真玉海岸の夕陽とリフレクション。干潮時の砂浜に出来る水溜りを使ったリフレクションは風が無い日は鏡のよう。夕陽も最高に綺麗で、そのまま日没後のブルーアワーまで満喫できます。

― 続いて、erikaさんがメインで使っていらっしゃるカメラ・レンズについて、それぞれに辿り着いた経緯やお気に入りの点について教えてください。

私が使っているカメラはEOS Rです。初めて買ったカメラがEOS Kiss X2でとにかく良いカメラでした。一度ミラーレスが欲しくて他社のカメラに丸ごと変えたのですがやっぱりキヤノンの色が好きで戻ってきました…それがEOS Rなんです。

レンズは子どもの成長に合わせて距離を作ってきたので何年か50mmのみでした。だからEOS Rになっても当初はシグマの50mmF1.4だけを使っていました。シグマのArtシリーズは前から気になっていたのでこれ一択でした。

そして何となくもう少し後ろから写したいなぁってそんな気持ちだけで迎えたのがタムロンの70-200mmF2.8です。タムロンにしたのは価格もですが夕陽の写りが好みだったからです。このレンズを買ってから自分の写真が大きく変わったような気がします。望遠レンズの立体感に魅了されてしまったんです。圧縮効果で出される前後の世界観に写真の楽しさが増しました。今はこの２本に加えてシグマの135mmF1.8も持っていますが、私の勝負レンズはやっぱり70-200mmF2.8です。

― 最後に、erikaさんのベストショットと、次に狙っているカメラやレンズ、今後の抱負があれば教えてください。

私のベストショットはこちらです。

これの一年前にたまたま写した記念写真を一年間スマホの待ち受けにしていました。

その写真を凄く気に入っていたので改めて一年後にまた撮影。今度は服や小物も考えて、花束はしおれないように工夫をして。偶然の一枚から一年後に作品化した写真です。そしてまた私の待ち受けになっています。コスモスの花ひとつひとつを子ども達と選びながら摘んだこと、コスモスの香りが撮影の前に食べたコスモスソフトと同じだったこと、厚い雲から差した光が眩しいくらい美しかったこと、全てが詰まった思い出。この一年間で一番見ているこの写真が私のベストショットです。

次に狙っているレンズはシグマの20mmF1.4です。数年ぶりにパソコンが新しくなったので星の写真が撮りたいんです。いつもはぼかしてしまう空や背景を子ども達と上手く組み合わせて写したいと思います。

今後の抱負は子どもと写した大分の景色を多く発信していくことと、親子でできる写真に携われるお仕事や発表の場を今の生活の傍でできればと思っています。子ども達にとって好きなことでキラキラと輝くお母さんでありたいです。