Canon EOS R

Canon EOS R

苦戦したレフ機からフルサイズミラーレスへとSONYが大きく舵を切った2013年から遅れること5年。ようやくCanonがフルサイズミラーレス機EOS Rを発表しました。Canonのフルサイズミラーレスの歴史を切り開くEOS Rにはどのような性能となっているのか見てみましょう。

ミラーレス一眼 / Canon / ハイアマチュア
新品:
118,000円〜(136)
中古:
107,800円〜(116)

『意外にも』高評価のEOS R


Canonがフルサイズミラーレスに参入したことはCanonユーザーには嬉しいことで、ようやく本格的にミラーレス移行ができると喜んだことでしょう。

しかし、蓋をあけてみると、先行するSONYはともかく、Nikonの初フルサイズミラーレスZ7とスペックを比べても、う〜ん…といった印象を持った人は少なくないのではないでしょうか。ミラーレスの目玉機能とも言うべきボディ内手ブレ補正は非搭載で、もう一つの目玉機能である瞳AFは搭載しているものの、AF追従させると連写が5コマ/秒とエントリー機並の速度まで落ちてしまいます。

こうして見ると、残念なフルミラと見えますが、意外と言うべきかプロのカメラマンからの評価は高くなっています。

まず高評価の一因となったのが24-105mm f/4や50mm f/1.2といったRFレンズ群です。EOS RからCanonは既存のミラーレスマウントであるEF-Mではなく、RFマウントという新しいレンズマウントを採用しました。フルミラらしい大口径ショートフランジバックのEOS Rに採用されたRFマウントは、既存のEFマウントでは実現できなかった高い描写力と繊細なボケ感を生み出しました

特にRF50mm F1.2 L USMはシャープなピント面の描画が得られますが、F1.2の薄いピント面をコントロールするにはEOS Rのデュアルピクセルによる高精度なAFが欠かせません。画角の9割をカバーし、しかもほぼシームレスにAFポイントを選択できるミラーレスならではのAF機能と、レフ機のAF専用センサーにも匹敵する高速高精度のデュアルピクセルAFがレンズとの相性を高めています

フルサイズミラーレスを作るにあたって、CMOSが自社製で、同時に新マウントレンズ開発を複数行える開発力を持ったCanonの強みがEOS Rには存分に表れています。高評価を集めた理由にはバリアングル液晶もあげられます。Canonエントリー機ではもはやお馴染みのバリアングル液晶ですが、意外にもプロ機やハイアマチュア機ではEOS Rが初搭載となりました。そのため、バリアングル液晶を初めて使ったプロの高評価も集まっています。

ミラーレス機はファインダーもライブビューも同じ電子ビューなので、ミラーレス化が進めば今後はプロ機でもライブビュー撮影の重要性が高まってくることが考えられます。

Canon EOS R / RF24-105mm F4 L IS USM
出典:flickr(@Karlis Dambrans)

Canon EOS R / RF24-105mm F4 L IS USM
出典:flickr(@Chris Favero)

Canon EOS R / RF28-70mm F2 L USM
出典:flickr(@thetechhimself1)

Canon EOS R / RF35mm F1.8 MACRO IS STM
出典:flickr(@thetechhimself1)

Canon EOSシリーズ相関図(2020年10月時点)


マルチファンクションバーやコントロールリングに見る未来の操作系


EOS Rは従来のCanonレフ機とはまったく違う操作系デザインとなりました。軍艦部はかなりボタン類が削減され、フラットな印象の仕上がりとなっています。

フランジバックが短いミラーレスは軍艦部も幅が狭いのでボタン類は最小限とされています。その代わり、減ったボタン機能を補完するインターフェースがマルチファンクションバーとコントロールリングです。

マルチファンクションバーはタッチとドラッグ操作が可能で、様々な設定を変更する際に直感的な操作ができます。レフ機の場合はファインダーを覗いているときは指の感覚でボタンを探して設定変更をしますが、ミラーレスの場合、ファインダーに設定情報が詳細に表示することが可能なのでタッチ操作でもスマホの操作感覚に近い感じで設定変更していくことが可能になります。

それともう一つ、新たな操作系としてコントロールリングがレンズに装備されました。コントロールリングはミラーレス化によって減ったマルチセレクターの代わりとなる機能で、F値やシャッタースピードの調整をコントロールリングに割り当てることで、ファインダーを覗いたままの操作が可能になりました。

コントロールリングはマウントアダプターにも設定されていて、EFレンズをマウントアダプターで使うときもRFレンズと同様にコントロールリングを使うことができます。マウントアダプターで言えば、フィルター内蔵になっていることもSONYやNikonにはないCanonミラーレスの魅力です。

マウントアダプターにフィルターを内蔵することで、EF8-15mm F4Lといった魚眼レンズでもレンズフィルターを使うことができるようになりました。新しい操作系やマウントアダプターにはミラーレスの未来を感じさせます。

Canon EOS R / Canon EF 17-40mm f/4L USM
出典:flickr(@Robert Montgomery)


デュアルピクセルで連写が遅くなるEOS Rの残念な仕様…


Canonデジタル一眼の代名詞とも言えるデュアルピクセルCMOS。イメージセンサーで専用AFセンサーと同等の速度でピント合わせを可能とする技術で、EOS Rにも当然搭載されています。

ミラーレス機は専用AFセンサーでピント合わせできないので、AFが遅いというデメリットがあり、SONYやNikonはイメージセンサー上にAFセンサーを乗せることでAF速度を上げています。

その方法ではAFセンサーの数で測距点が制限されますが、デュアルピクセルCMOSはAFセンサーを使わないので、画面全体を測距点とすることができます。そのため、EOS Rは測距点の選択をライブビューで行うと、ヌルヌルと測距点を画面全体で動かすことができます。

ミラーレスのAFでは無敵とも言えるデュアルピクセルですが、EOS RはAF追従させたときの連写が5コマ/秒しかないという、もはや欠点とも言えるような低スペックになっています。ワンショットであれば8コマ/秒の連写が可能であるにもかかわらず、デュアルピクセル高速AFが活躍するであろう動体撮影で使われるAF追従で連写が5コマ/秒では残念としか言いようがありません。

ミラーレスは高速連写時にファインダーではブラックアウトやコマ送り的な映像になって動体を追いにくいというデメリットがあります。AF追従でも約9コマ/秒で高速連写できるNikon Z7やSONY α7IIIですが、ファインダーのブラックアウトやコマ送りは完全解決しているわけではありません。

ミラーレスは動きモノが苦手だから静物撮影限定と割り切って考えると、連写性能不足は大きなデメリットとはならないのかもしれません。スタジオ撮影や風景撮影では、EOS Rと明るいレンズの相性の良さや、測距点の自由度や瞳AFが能力を発揮してくれます。アマチュアカメラマンとしては何でも撮れる万能機を求めてしまいがちですが、プロカメラマンは抜きん出た性能部分に着目しているといえます。

Canon EOS R / RF24-105mm F4 L IS USM
出典:flickr(@Karlis Dambrans)

Canon EOS R / EF85mm f/1.4L IS USM
出典:flickr(@Zoejif)


おすすめレンズ「RF50mm f/1.2 L USM」


ミラーレスの特徴の1つがレンズマウントとイメージセンサー間の距離、フランジバックを短くできるということです。フランジバックが短くなると焦点距離が短いレンズでもイメージセンサーに結像させやすくなります。また、レンズマウントを大きくして後玉により大きなレンズを使うことも可能となります。

そんなミラーレスのメリットを生かして作られたのがRF50mm f/1.2 L USMです。Canonにはレフ機用のEF50mm f/1.2 USMというレンズがありますが、RF50mm f/1.2はひと目でわかるほど大きくなっています。これは、大口径ショートフランジバックのメリットを活かすため、レンズもより大きなものを使ったことで本体も大型化しています。

これによって、より収差などが出にくく、シャープな描画が可能となっています。まさにフルサイズミラーレスの性能を活かすためのレンズということが言えます。

Canon EOS R / RF50mm F1.2 L USM
出典:flickr(@Karlis Dambrans)

Canon EOS R / RF50mm F1.2 L USM
出典:flickr(@Karlis Dambrans)


ネット上のユーザーレビュー


ポジティブレビュー

  • EVFは他社ミラーレスよりも見やすい
  • レンズ交換時にシャッター幕が降りてくれるので安心
  • グリップは小指あまりもなく持ちやすい
  • バッテリーはLP-6ENがレフ機と共有できるのでバッテリーもちが悪いミラーレスでも安心
  • コントロールリングが操作性を大きく向上させてくれる

EOS RはCanon初のフルサイズミラーレスとして各所に使いやすさの工夫がみられ、ユーザーからも高評価が集まっています。
 
ネガティブレビュー

  • 操作の難易度が高い
  • 誤作動が多く、フリーズしてしまうこともある
  • 顔認証AFの精度がいまいちで、縦位置全身撮影ではほぼ使えない
  • AF-Cでの瞳AFができないので、動き回る子供の撮影には不向きかも
  • 最新の映像エンジンの割にはノイズ感が気になる

フリーズの報告が多かったことが気になります。初期ロットでよくある初期不良なのか、設計に根本的な問題があるのかはわかりませんが、購入後は大切な撮影の前に要確認です。
 

まとめ


Canonファン待望のフルサイズミラーレスEOS Rはまずはポートレートや風景写真向けといった機種になりました。

万人向けではありませんが、用途に合わせて使うならまず間違いないカメラとなっています。Canon一眼ユーザーは、今までフルサイズミラーレスを使う場合はSONY α7にマウントアダプターを介して手持ちのEFレンズを使うという選択肢しかありませんでした。

しかし、その場合はレンズ、マウントアダプター、本体がそれぞれ別会社製品なので性能を十分には引き出せず、もやもやしたものを抱えるユーザーも少なくなかったことでしょう。

一方で、EOS RであればEFレンズをCanon製のマウントアダプターで使うことができます。レフ機からミラーレスへの移行が加速する中、手持ちのEFレンズを活かすためにはEOS Rはとても魅力的なカメラです。そして、マルチファンクションバーやコントロールリングは今後のCanonフルサイズミラーレスの展開に大きな期待をもたせてくれます
レンズマウント
レンズマウントCanon RFマウント
撮像素子
センサーサイズフルサイズ(36.0×24.0mm)
有効画素数3,030万画素
ダスト低減機能
映像エンジンDIGIC 8
画像記録
記録媒体

SDカード
SDHCカード
SDXCカード

スロット数

シングルスロット

記録画素数

L(ラージ):約3010万(6720×4480)画素
M(ミドル):約1330万(4464×2976)画素
S1(スモール1):約750万(3360×2240)画素
S2(スモール2):約380万(2400×1600)画素
RAW(ロウ):約3010万(6720×4480)画素
C-RAW :約3010万(6720×4480)画素

画像ファイル

JPEG/RAW

動画
4K対応
記録サイズ

4K(4096×2160):29.97p
Full HD(1920x1080):59.94p
HD(1280×720):119.9p

記録形式

MP4

ライブビュー
フォーカスデュアルピクセル CMOS AF方式
シャッター
シャッター速度1/8000~30秒
連続撮影速度最高約8.0コマ/秒
露出制御
測光方式/測光分割数撮像素子によるリアルタイム測光 384分割(24×16)測光
ISO感度100〜40,000
AF
測距点最大5655点
ファインダー
視野率100%
倍率約0.76倍
ストロボ
内蔵ストロボ-
液晶モニター
サイズ3.15インチ 210万ドット
可動式バリアングル液晶
I/F
インターフェース

USB Type-C、miniHDMI

無線LAN
Wi-Fi機能
ネットワーク
NFC-
Bluetooth
防塵・防滴
防塵・防滴
手ブレ
手ブレ補正機構-
GPS
GPS-
電源
撮影可能枚数(ファインダー)

常温(+23℃)約370枚/低温(0℃)約350枚

撮影可能枚数(ライブビュー)

動画撮影可能時間

常温(+23℃)合計約2時間20分/低温(0℃)合計約2時間10分

USB充電-
使用電池充電式リチウムイオン電池LP-E6N/LP-E6
サイズ・重量
サイズ135.8(幅)×98.3(高さ)×84.4(奥行)mm
重量580g
発売日
発売日2018年10月25日