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その人の感情をすくうように。 目の前の人を、静かに愛を持って撮り続けていく
岡山を拠点に写真家として活動されている、うたうみさん。うたうみさんの撮る静かで凛とした空気を感じる写真には、多くの人が魅了されています。そんなうたうみさんの写真の源泉、写真に込める想いを知りたくて、お話を伺いました。
著者: うたうみ | 作成日: 2023/05/24 | 更新日: 2023/06/22
― はじめにうたうみさんが写真を始めたきっかけや、写真にのめり込んでいった経緯について教えてください。
14歳のとき、父親にお古のカメラをもらったのがきっかけです。当時、携帯でお花を撮るのが好きだったわたしに「せっかくならいい道具を使いなさい」と自分が使っていた一眼レフをプレゼントしてくれたんです。もう10年も前になりますが、初めて一眼レフでシャッターを切ったときの感動は今でも忘れられません。
それからずっと写真が好きで、大学1年生のときに出張撮影カメラマンとして活動するようになりました。自分の好きと誰かの喜びが重なる瞬間がたまらなく幸せで、どんどん夢中になり、大学3年生で大学を辞めてフリーランスフォトグラファーになりました。
― どこかピアノの旋律が聞こえてきそうな、静かで凛とした空気を感じる写真の数々に魅了される方が多いと思います。うたうみさんが培われてきた感性や美意識がそのまま写真に表現されているのだと思うのですが、うたうみさんはどんな瞬間に魅力を感じ残そうとされていますか。また、写真家でも写真家でなくても影響を受けた方はいらっしゃいますか。
わたしがシャッターを切りたくなるのは、人の感情に触れたときかなと思っています。
SNSでよく見る写真というものは、いつもキラキラしていて、誰かにとっての憧れで、でもそんな写真を見て少し苦しくなったり、遠くに感じてしまうことってあるじゃないですか。
本当は誰だっていつもキラキラモードで生きているわけではないのに。誰しも、言葉にできない葛藤があって、涙した時間があって、いろんな感情をのりこえて今を生きていると思うんです。そんな秘められた感情に少し触れたとき、そして、その中にぬくもりが見えたとき、わたしは写真を撮りたくなるのだと思います。
写真家さんはもろちん、いろいろな本や音楽に影響を受けていますが、特に影響を受けた方はピアニストのHideyuki Hashimotoさんかなと思っています。橋本さんの奏でる旋律は、心の琴線に触れるようで、でもやわらかなぬくもりも確かにあって聴いていてとても心が落ち着くのです。心地いい呼吸の仕方を思い出させてくれるような、穏やかな海に包まれているような気持ちになります。
わたしの撮影でも、そんな心地よさを感じてもらえたらと思っていますし、実際に音楽をかけながら撮影させていただくこともありますね。
― 写真の世界に引き込まれるような深みのある色合いが印象的です。特に青と橙色が混ざり合うマジックアワーの色合いは、名前を伏せていてもうたうみさんだと分かるほどです。撮影時の設定や現像時など、写真表現において心がけていることについて教えてください。
現像時に意識していることは「わたしのフィルターで見た景色をそのまま再現する」ということです。
たとえば同じ景色でも、誰が見るか、どんな気分で見るかによって認識される景色って異なってきますよね。同じ夕空でも、一人で見るより、恋人と手を繋いで眺める空のほうがどこまでも鮮やかで美しく見える気がします。現像するときは、その記憶を再現できるように色味などを調整しています。
わたしの写真だと分かると言っていただけたことは、その意図が少なからず表現できているように思えて、とても嬉しいです。
― うたうみさんは、フォトグラファーとして主にウェディング撮影をされていらっしゃいますが、依頼者の撮影にかける強い思いの中、イメージの擦り合わせや思い通りにならない天候など難しく緊張感のある撮影になるかと思います。どんな条件下でも期待以上の撮影を行うために、どのようなことを心がけ撮影をされていますか。
「今日も最高の撮影になる」と信じて疑わない、そんなスタンスで撮影をしています。 どんなご依頼であろうと、(撮影可能な範囲なら)どんな天候になろうと、撮影するわたし自身が「最高の撮影になる」と信じていれば、実際本当にそうなると思っています。
もちろん、さまざまな条件下でいい写真を残すための知識や技術は必要です。曇りであろうと冬の寒い日であろうと、撮影のスタートが遅れようと、その条件だからこそ撮れるものやそれぞれの良さを知っていれば、あとはその場で全力を尽くすのみ。それだけで必然的に最高の撮影になるのです。
すべて想定通りに進む撮影なんてないのが前提。だからこそ「今日はどんな写真がうまれるだろう」と、毎回の撮影をワクワクした気持ちで迎えています。
― 続いて、うたうみさんがメインで使っているカメラ・レンズについて、それぞれの機材を選ばれた経緯や用途、お気に入りの点について教えてください。
メインカメラはSONYα7 IVを使っています。ピントの合いやすさ、暗い場所への耐性があること、比較的軽量であることなどが、お仕事で使う機材としては個人的に使いやすいポイントかなと感じています。
レンズは何本か使い分けていますが、最近特によく使うのはFE 50mm F1.2 GMですね。 被写体の方と自然に会話ができる、ほどよい距離感で撮影できるところ。人間の視界とはかけ離れたような非日常的な写り、というわけではなく、だからこそどこか懐かしさを覚えるような画角。そしてF値が1.2まで下がるので、しっかりぼかすことで立体感のある写りになりますし、あえて輪郭を曖昧にして撮ることもできます。
「何を写すのか、何を写さないか」をコントロールしやすく、わたしの表現の幅を広げてくれたレンズだと思っています。
― 最後に、うたうみさんのベストショットと、次に狙っているカメラやレンズ、今後の抱負があれば教えてください。
撮る写真全てがベストショットです、と言いたいところですが、あえて一枚選ぶとしたらこれかなと。写っているのはわたしの恋人です。普段は一緒に暮らしているのですが、お互い仕事でしばらく県外に出張するその前日に、二人にとって思い入れのある場所へ行ったときの一枚です。
「大切な場所で、大切な人を写した写真。」 ベストショットと言える所以は、これだけで十分なのかなと思います。
今後の抱負といっても、具体的なことを考えるのは得意ではないのですが…。ただ、出会ってくれた目の前の人に向けて静かに愛を持ってシャッターを切ること、そしてそれを言葉にして伝えること。それだけは、これからも変わらず続けていきたいと思います。
著者
1999年生まれ 山口県出身 写真家・フォトグラファー。 全国でウェディングフォトなどの出張撮影をしながら旅するなかで、瀬戸内の穏やかな海に心惹かれ岡山へ移住。 自然のそばにある暮らしを大切にしながら、人の思いと日々に寄り添う写真を撮影。 現在は、撮影のほか写真教室開催、写真展出展、オンラインサロン運営など、活動を広げる。
うたうみさんの使用カメラ
うたうみさんの使用レンズ