呼吸を感じる瞬間に惹かれて。 自分の内面や感覚までも写真を通じて共有していく

― はじめに、ぴたこさんが写真を始めたきっかけや、写真にのめり込んでいった経緯について教えてください。

小さい頃から祖父や祖母がカメラを嗜んでいて、日常の中に当たり前のようにカメラがありました。常にそばにある存在だったので、作品として写真に向き合いはじめたのは本当に最近です。

のめり込んだきっかけは、社会人になって入ったカメラ教室でした。そこで基礎的な技術を身につけ、自分の内面や感覚を、意志を持って表現できるようになりました。撮り続けていく中で面白さや難しさに気づくことができ、より写真ライフが楽しくなりました。

― ぴたこさんの多様な視点や美意識に圧倒されます。見落としがちな日常の風景も視点を変えるとこんなに美しく切り取れるのかと驚かされるのですが、ぴたこさんはどんな瞬間に魅力を感じシャッターを切っていますか。また、写真家でも写真家でなくても影響を受けた方はいらっしゃいますか。

呼吸を感じる瞬間に惹かれてシャッターをきることが多いです。写真は動いているものを動いているまま残せません。でも、その瞬間の五感すべてで思い出す記憶を残せるのが写真なのかなと。

写真家で影響を受けた方はいませんが、インスパイアされるのは小説や詩を読んでいる時ですね。美しい文章に触れた時、その気持ちを表現したくて写真を撮りたくなります。

― ぴたこさんの写真を眺めていると、写真を撮ることが日々の暮らしに組み込まれているようで、写真と共に感性やぴたこさんならではの視点を磨かれている印象を受けます。ぴたこさんにとって写真はどんな存在でどう向き合っていらっしゃいますか。

写真は日常ですね。瞬きがシャッターになれば良いのにといつも考えています。その感覚はずっと大切にしたいと思っていて、誰かが見た時に、まるで自分が追体験しているような写真になっていれば良いなと思っています。

― 続いて、色合いなどの写真表現について教えてください。ぴたこさんの写真はアンダーなトーンの中に被写体が引き立ち、また陰影を大切にされている印象を受けます。撮影時の設定や現像時にどんなことを意識し、工夫されていらっしゃいますか。

光が綺麗だなと思う部分にまず目を向けるのですが、撮影時には影を丁寧に見せることを意識しています。現像時にも影の部分の濃さ、コントラストを気にして、自分が見た光を台無しにしないようにしています。

― ぴたこさんがメインで使用されているカメラ・レンズについて、それぞれの機材を選ばれた経緯や使い分け方、またお気に入りの点について教えてください。

メインはCanon EOS 6D MarkII に、一眼レフを使い始めてから初めて買ったYONGNUO YN50mm F1.8をつけて使っています。ボディはシャッター音が好きで、丸いフォルムが気に入っています。レンズは開放で撮るとピントが合っても輪郭が柔らかく、どんなシーンでも呼吸を感じる瞬間が撮影できる、まさに私の相棒です。

他にもTAMRON SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2は少し重いですが万能なので、旅には持って行くことが多いです。また、単焦点やオールドレンズをいくつか保有しているのですが、気分でいろいろ使い分けてます。

サブ機にはRICOH GR IIIを保持しています。いつもポケットに忍ばせていて、カフェや大きなカメラが出しにくい場面、スナップ撮影の時に使用しています。

― 最後に、ぴたこさんのベストショットと、次に狙っているカメラやレンズ、今後の抱負があれば教えてください。

名水のまち、福井県大野市に行った時、その水の美しさを伝えたいと思って撮影した1枚です。指先から雫が落ちる瞬間と揺れる波紋で清らかな水の美しさを捉えることができたので、とてもお気に入りです。

次に狙っているカメラはLeica M10です。今後は、これからも自分の視点を大切に、感動した瞬間を写真を通して共有できるように写真ライフを楽しんでいきたいです。