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【作例つき】写真表現を広げる。用途別おすすめのレンズフィルター
レンズフィルターというと、レンズを保護するフィルターをイメージする方が多いと思いますが、実は装着することで写真に多種多様な効果を生み出すことができます。そんなレンズフィルターの効果を作例と共に紹介します。
著者: ONE SCENE編集部 | 作成日: 2022/07/25 | 更新日: 2023/01/28
いつもと少し違う。“フィルター”で自分だけの世界観を楽しむ
レンズを保護するプロテクターから、時間をコントロールするNDフィルター、余計な光をカットして写したいものだけにフォーカスを当てるPLフィルターなど、レンズに装着することで多様な効果を得られるフィルターが存在します。
今回は、各フィルターの特徴や使い方を作例を交えて写真家のRioさんに教えていただきました。
教えてくれた方
レンズフィルターの種類と効果について
保護フィルター
プロテクター(Protector)とも呼ばれ、レンズへの衝撃を和らげる役割をするフィルターです。
レンズは様々な環境で使用するもの。撮影中にどんなハプニングが起こるか分かりません。地面に落下させてしまったり、強い衝撃により破損させてしまうこともあります。そうしてレンズを買い換えるとなると高額になりますが、保護フィルターを買い換えるのなら安価で済みます。
実際私も地面に落としたことがあります。保護フィルターに傷はつきましたが、幸いレンズは無事でした。散歩や公園で遊びながら撮影しているうちに、砂・埃・指紋・水などで汚れる心配も。
保護フィルターには
- 帯電防止
- 防汚
- 防水
- 撥油
などの効果があるので、汚れを落としやすいですし、汚れた保護フィルターを外せば綺麗なレンズで撮影できます。
レンズには透過率を上げるためのコーティングも施されている為、汚れや傷は画質低下の原因となります。過酷な状況下での撮影に関わらず、付けていると安心なフィルターです。
PLフィルター
PLフィルターのPLとはPolarized Lightの略で、訳すと「偏光」を意味します。PLフィルター = 偏光フィルターです。
太陽の光(自然光)は様々な方向へ振動していますが、何かに反射することで、一定の方向へ振動するようになります。
PLフィルターはガラスとガラスの間に偏光膜と呼ばれる特殊な膜が挟み込まれた構造になっており、偏光をフィルターに通すことで、光の乱反射や量を抑制・除去する効果が得られるので、海や空の色をより鮮やかに映し出したり、水面や窓ガラスの反射を抑えたりすることができます。
また、反射光の光量を調整することができるので、反射を強調したい風景撮影などにも向いています。
PLフィルターを回転させると、効果を調整することができます。フィルターなしでは水面が反射していますが、効果を大きくしていくと中に沈んでいるものが見えてきます。
NDフィルター
NDフィルターのNDはNeutral Density(ニュートラル・デンシティー)で、直訳すると「中立な濃度」を意味します。発色にほとんど影響を与えず、レンズに入り込む光の量を減らす役割をする黒いフィルターです。
晴天の日中など明るい条件下でスローシャッターを使用したい時や、F値を開放(小さく)にして背景のボケを大きくしたい時などに装着します。
光や動く人の軌跡、滑らかな水の流れの写真などを撮影する際に用いられます。
NDフィルターを装着して30秒のスローシャッターで車やロープウェイの光跡を撮影しています。
特殊効果フィルター
・クロスフィルター
イルミネーションや木漏れ日、水面や水滴などの点光源をクロスした光条に描くことができるフィルター。光の線は一般的に4〜8本のものがあります。十字にキラッと光らせる…と表現すると分かりやすいでしょうか。
・色彩強調フィルター
他色への影響を最小限に抑え、ある特定の色を強調させるフィルター。写真のカラーバランスや色温度の調整、特定の色味の強調を意図的に変化させることができます。
・光害カットフィルター
都会の照明の光源、ナトリウムランプ、水銀燈の光色による影響をカットできるフィルター。光害の要因である水銀灯やナトリウムランプの波長を軽減するように作られているため、光害で生じてしまう夜空の色かぶりを本来の美しい夜空に近づけてくれるのが特徴です。水銀灯やナトリウム灯、LEDや蛍光灯、ヘッドライトなどの人工光源による光害を低減させます。
・クローズアップフィルター
クローズアップフィルター(クローズアップレンズ)を装着すると、レンズの最短撮影距離よりも更に被写体に近づいて撮影できるようになります。リーズナブルなので、気軽にマクロレンズのような接写撮影を楽しむことができます。重ね付けをすると更に高倍率の撮影が可能になります。
・光を拡散するフィルター
「ソフトフィルター」や「ディフュージョンフィルター」と呼ばれる光を拡散するフィルターがあります。 「ディフュージョン」とは “拡散する” という意味で、このフィルターを付けると光を拡散し、写真全体がふわりとした柔らかな描写になります。
ドラマや映画などで、窓から差し込む光が白く拡散しているシーンをよく目にするのですが、そんな雰囲気と言ったら分かりやすいでしょうか。
私はフレアーやゴースト・コントラストが柔らかく表現されるオールドレンズを好んで使用しているのですが、ソフトフィルターの写りはオールドレンズで撮影したように感じられることもあります。
点光源の滲みが出るもの、全体が霧の中のように白っぽくなるもの、シネマチックな儚い描写になるもの、マゼンタやシアンの色味になるもの…などフィルターによって効果は様々で、種類もたいへん豊富です。いつもの風景がちょっぴり幻想的に見えたりもして、1枚持っていると楽しいフィルターだと思います。
一例として、私が使用しているNiSi Allure SoftとK&F Concept NANO-Xブラックディフュージョン1/4をオールドレンズに装着して撮影した写真をご紹介します。
今回使用したレンズCONTAX Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4は、私が使用しているオールドレンズの中でも比較的コントラストが高めでキリッとした描写だと感じています。先ほど、ソフトフィルターを装着するとオールドレンズで撮影したようになるとご説明しましたが、どうでしょう…。
パッと見ただけでも葉や花の部分の色の濃さで違いが分かります。フィルターなしの時と比較するとフィルター使用時は光が拡散され、どちらも全体が光に包まれているようです。
Allure Softはブラックディフュージョンに比べ効果が控えめでいて柔らか、ブラックディフュージョンは全体的にミストがかかったようになりますが、ピントが合っている花の細部の線はしっかりと残されています。
ブラックディフュージョンフィルターは少し茶色がかって見えます。これは非常に微細な黒い拡散材が光学ガラスに使用されている為です。ソフトフィルターに使用されている拡散材には黒や白があり、写真に現れる光のソフトさが違います。
作例紹介
PLフィルター、NDフィルター、NiSi Allure Soft、K&F Concept NANO-X ブラックディフュージョン 1/4 で撮影した写真をご紹介させていただきます。
PLフィルター
フィルターの効果により、空と海の青さが鮮やかに。
以下は反射面の効果の作例です。
PLフィルターの効果を調整することで、水面の余計な光をカットして美しい水面反射を移すことができます。
NDフィルター
明るい日中に絞りを開放にし、ボケを活かした写真を撮る際にシャッタースピードが足りなくなって白飛びしてしまっても、NDフィルターを使用すると適正露出で撮影することができます。
スローシャッターにより明るくなり過ぎてしまう状況下でも、NDフィルターを使用すると滑らかな水面や雲の流れや車の光跡を撮影することが可能です。
PLフィルターとNDフィルターの作例は以前の特集記事にも説明と共に掲載しておりますので、ぜひご覧になってください。
光を拡散するフィルター(NiSi Allure Soft )
窓際の席で友人と珈琲をいただきながら撮影しました。フィルターの効果で差し込む光が大袈裟にならず拡散されています。ふわりと柔らかくなっているのに、黄色のワンピースの部分は反射が適度に抑えられています。
夏の早朝、カメラを持って公園を散歩。空の色や、少し濃い赤や緑も何だかかわいらしい色に見せてくれるようです。
部屋に差し込む夏の強い光が眩しい時間。氷やグラスの白い煌めきはフィルターを通すと少し滲んで情緒的に見えます。
朝陽の当たる部屋の窓辺。ソフトに仕上げながらも、ディテールはしっかりした描写です。
太陽のような光源に直接向けるとハレーションが強く出過ぎてしまいます。表現の仕方を考えて撮影すると良いですね。
光を拡散するフィルター(K&F Concept NANO-X ブラックディフュージョン 1/4 フィルター)
よく晴れた春の午前中。フィルターが日差しを和らげ、エアリーな1枚に。
朝早くの散歩の合間に小休憩。光が拡散され、しっとりとした朝の雰囲気を感じます。
夏の緑が綺麗な公園を友人と歩いた日。フィルターを通すと、曇り空から心地よい光を放ってくれました。
フィルムシュミレーションのセピアでフィルムカメラを撮影。フィルターありの方は、記憶の中にあるような懐かしい写真に見えませんか?
レンズフィルターの選び方・使い方
フィルターサイズの調べ方
フィルターを購入する前にレンズのフィルターのサイズ(フィルター径)を調べておく必要があります。レンズ全面(前玉)の直径のサイズがフィルターのサイズです。
フィルター径はレンズの側面や前面、レンズキャップの裏などにΦ55mmのように書いてあります。(Φはファイと読みます。)
製品のカタログやHP、通販サイトの仕様欄や製品概要欄に記載されています。異なる径のレンズを何本もお持ちの方はステップアップリングという変換リングアダプターを用意すると、小さいサイズのフィルター径にも大きいサイズのフィルターを装着できるようになります。
チェックするポイント
・フィルターの厚み
フィルターの厚みには「通常枠」「薄枠」「極薄枠」といった種類があります。画角が広い広角レンズは、厚みのあるフィルターを装着すると四隅に黒い影(「ケラレ」とよばれます。)が写ってしまうことがあるので、「極薄型」のフィルターを選ぶことをおすすめします。
・フィルターの透過率
フィルターの「透過率」とはフィルターが光を通す割合です。透過率が高いほどレンズへ光をより多く通すことができます。その為、反射によって起こるフレアーやゴーストを軽減することができ、画質の劣化を防ぐことができます。
透過率を高める為に、反射防止コートが施されているフィルターも多く出回っていて、パッケージや製品仕様に面反射率が記載されているものがあります。
反射率は低いほど光を通し画像の劣化を防ぎます。つまり高透過なフィルターは面反射率が低いということになります。
・撥水/撥油コートタイプ
あらゆる環境下で使用するレンズを水飛沫・指紋・埃などから守ってくれるのが撥水・撥油コートタイプのフィルターです。撥水・撥油コートが施されていることで、雨などの水滴やレンズに触れてしまった際の指紋・汗などが付きにくく、付いてしまってもさっと拭くだけで汚れを落とすことができます。
フィルターの取り付け方
フィルターを装着する前に、レンズに付着している汚れや埃の掃除をしましょう。
レンズとフィルターにはネジ山があるので両方を平行に合わせて右方向へゆっくりと回し固定します。 回し過ぎると固く締まって外しづらくなるので注意しましょう。フィルター自体にネジ山があるので、他のフィルターを重ねてつけることもできますよ。
おすすめのレンズフィルター
保護フィルター
Kenko レンズフィルター PRO1D Lotusプロテクター
面反射率0.3〜0.5%。超低反射を実現し、高透過率でフィルター装着によるフレアーやゴーストを抑えます。
Lotusとは訳すと蓮のこと。蓮の葉は水滴を玉のように弾くことに由来して名付けられたそうで、フィルターが撥水・撥油効果が優れていることが分かります。枠の先端に面取り加工、側面に平目ローレット加工を採用しているので、フィルターの着脱がスムーズです。
PLフィルター
ケンコー・トキナー PRO1D plus WIDEBAND サーキュラーPL(W)
「デジタルマルチコート」という高性能なコートによって従来よりも透過率が高く、フィルターガラスの外周に黒塗り加工を施すことで、内面反射を極限まで防止。保護フィルター等とほぼ同じ枠厚で広角レンズから望遠レンズに対応する薄枠タイプ。
更に着脱時の操作性を考慮したローレット(滑り止め)付きフィルター枠。ハイクオリティーですがお手頃価格です。
NDフィルター
K&F Concept NDフィルター ND4+ND8+ND64+ND1000フィルターセット
ND4・ND8・ND64・ND1000フィルター各1枚とジャストサイズのフィルターバッグ1個がセットになっているのでそのまま持ち歩くことができて便利です。
ナノコーティングを採用している為、99.6%高透過率。また撥水撥油性、すり傷に強い両面18層のナノコーティングが施されています。高品質な光学ガラスがフレアとゴーストを低減し、反射を抑えます。わずか3.3mm薄枠仕様で、ケラレを防止するため、広角レンズにも対応します。
ND64の次がND1000とかなり濃度の差が空いてしまうのですが、フィルターを重ねることでND256相当やND512相当として使用できます。さらにND64とND1000を重ね、ND64000相当にもできるので超長時間露光も可能です。様々なシーンで楽しめるうえ、価格もお手頃だと思います。
光を拡散するフィルター
おすすめは私の持っているこちらのフィルター2つです。
NiSi Allure SOFT
NiSi Allure Soft (アルーアソフト)は特徴的な2つの効果を持っています。
1つは、シャープネスを落とし被写体をソフトな描写にする効果。解像度やディテールは失わずに、やわらかな印象を写真に与えます。
もう1つは、光を拡散して光源の周辺にハレーションを生むグロー効果。光に広がりやアクセントを加え、光を主役にした画作りをより一層楽しいものにしてくれます。
K&F Concept NANO-X ブラックディフュージョン 1/4 フィルター
ピントの芯を保ったまま光を柔らかく拡散するレンズフィルターです。コントラストを抑えることで、とらえた光を更に美しく演出してくれます。また、ポートレート撮影では肌の質感を整える効果があり、自然でなめらかな印象を持たせ、レアタッチ時の効率を上げることができます。
1/8・1/4・1/2・1/1 と4種類展開されており、分母の数字が小さくなるほど効果が大きくなります。
その他、気になっているフィルターがMARUMIの「アルプスパンチ!なついろパンチ!」
まず、フィルターのサイトを開くと目に飛び込んでくる「解像度のいらない世界へ」という文字に興味がそそられました。高解像度を求められる現代に逆行した新フィルターだそうです。フィルターのパッケージや側面のPOPなデザインにも惹かれます。
アルプスパンチ!はマゼンタ色を、なついろパンチ!は青色を強調する特徴を持っています。作例を眺めると、なんとも独特な描写はトイカメラで写したようでもあり、アルバムに挟んでおいた懐かしいフィルム写真を思い出しました。
フィルターそれぞれにいくつもの面白い特徴がありますし、絞り値、ホワイトバランス、光の調節で、作風を大きく変えられるのがこのフィルターの特長とのこと。
いつもと少し違った自分だけの世界観を楽しめそうです。
まとめ
写真とは、レンズを介して光をセンサーに取り込んで映し出すもの。カメラ単体でもシャッター速度や感度を調整することで多様な撮影ができますが、フィルターを介すことで、カメラ単体では届かない撮影をサポートしたり特殊効果を加えることができます。
ぜひ様々なフィルターを試しながら、写真の幅の広さ・奥深さを楽しんでいただければと思います。
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