Panasonic LUMIX TZ99

最新ユーザーに焦点を当てた高倍率ズーム搭載コンデジ

ガラケー、そしてスマホに搭載されているカメラ機能の手軽さと性能の向上とともにそのラインナップを減らしてきたコンパクトデジタルカメラ。マーケットがまるまる被ってしまっているエントリー機は完全に無くなり、ディープなカメラファンが好む高級機のみが嗜好品として残ると少し前までは思われていましたが、実際は異なるようです。

高性能なレンズ交換式カメラを通して撮影技術を学んだユーザーが、手軽さを求めて高級コンデジへ食指を伸ばしている裏で、スマホ世代の若年層がフィルムカメラを経て、手軽にエモーショナルな写真が撮れるデジタルカメラ黎明期のコンデジへと注目。想定の範囲外の盛り上がりを見せているんです。その影響は古いエントリー機だけでなく、比較的新しいものにも波及していて、2022年にリリースされすでにディスコンとなっているTZ99の前機種、TZ95Dの中古価格も新品の価格をゆうに超えたものとなっています（2025年1月時点）。

そんな状況下で新機種としてリリースされるTZ99は、TZ95Dを引き継ぐ光学30倍ズームレンズを搭載するモデルで、せいぜい3倍から5倍の望遠撮影しかできないスマホカメラでは難しい撮影にも挑戦することができます。

画素数は約2000万画素、センサーサイズは1/2.3型とコンデジらしいものではあるものの、スマホのセンサーよりは大きいので、Leica基準のレンズによる描写性能とともに高画質な写真を撮ることができるでしょう。

前機種からの大きな変更点としては、EVFが無くなっていること。最大720mm（35mm判換算）という超望遠域を撮影する際は、構図のズレを最小限にするためにもEVFを覗いてしっかりと構えたいところですが、この感覚は往年のカメラファンこそのもので、スマホ撮影に慣れ、レンズ交換式でも背面液晶をメインに撮影する新世代ユーザーには大きな影響はないという、メーカーの判断が伺えます。そのぶん価格が抑えられており、高騰している前機種の中古価格を下回る販売価格を実現しています。

コンデジらしい取り回しの良さ

光学30倍ズームレンズ搭載機ですが、35mm判換算24mmスタートなので、スナップやテーブルフォトといった普段使いもしやすいです。背面液晶は180度チルト式でセルフィーも簡単に行え、Bluetooth5.0で即座に友達と共有可能。SNSへの投稿も素早く行えます。

この機種になってUSB Type-Cを採用しているのも朗報。電池切れを起こしても、コンセント利用できるカフェやスマホ用のバッテリーなどでリカバリーしやすいのは非常に便利です。

重量は約322g。電源を切っていれば厚さも4cmほど。携帯性抜群です。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• このコンパクトさで対応できる撮影の幅が広い

超望遠は遠くを撮るだけでなく、小さなものをクローズアップするのにも便利。動画撮影でも大きな武器となります。

■ ネガティブレビュー

• EVFがない

撮影場所の環境に影響を受けやすい背面液晶しかないことへの懸念はどうしてもありますが、使って慣れていくしかなさそうです。

まとめ

黎明期に比べてラインナップが激減しているコンデジシーンにおける貴重な選択肢となるTZ99。EVFは無くなりましたが、必要にして十分な機能はしっかり持ち合わせているので、新世代のコンデジファンのみならず、手軽なコンデジを探している往年カメラファンでも満足できる、性能と価格面のバランスに優れた一台と言えそうです。