HOMEストーリー伝えたいものにスポットを。 アンダーな視点で引き出す被写体の魅力と美しさ

伝えたいものにスポットを。 アンダーな視点で引き出す被写体の魅力と美しさ

会社員として働くかたわら、日常や旅先の風景を撮影されているタケウチさん。タケウチさんのインスタグラムアカウントを見るとまず目を引くのがアンダーな露出で統一された写真の数々。どこか懐かしく思い出の中のような印象を受ける写真は、ただアンダーなのではなく被写体が静かに浮き上がるような感覚を覚えます。タケウチさんがどんな視点を持ち、どんな表現を求めているのかを知りたくて、お話を伺いました。

タケウチ
created: 2020.04.08 / update: 2020.07.14
@_____tk_より
出典:instagram

CONTAX Aria / Carl Zeiss Vario-Sonnar 28-70mm F3.5-4.5
出典:instagram

FUJIFILM X-T2 / XF35mmF2 R WR
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FUJIFILM X-T2 / Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
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FUJIFILM X-E2 / Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
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FUJIFILM X-T2 / Helios44M-4 58mm F2.0
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― はじめに、タケウチさんが写真を始めたきっかけや、写真にのめり込んでいった経緯について教えてください。
 
私が今のように写真にのめり込むようになったのは、フィルム写真が逆に「新しい」と思ったことがきっかけです。
 
大学生の頃からiPhoneを使って、出先で出会った景色や物を記録程度に撮影していました。当時私の周りでは一眼レフやミラーレス機を購入する方がじわじわと増えてきて、自分もかっこよく撮れるカメラが欲しいなぁと思うようになりました。
 
そんな時、SNSで写真の専門学生さんがフィルムカメラで撮影した写真を載せていて、目を引きました。
 
フィルムでの撮影がおもしろそうだなと思い、私も写ルンですを10年ぶりに購入して撮影。フィルム特有の粗さや感光、出来上がりまでのワクワク感など含め、とても楽しく感じました。このフィルムの味が「逆に新しい」と思い、それまでiPhoneだった日々の記録をフィルムで撮影していこうとなりました。
 
しかし、パンフォーカスな「写ルンです」では飽き足らず、もっとボケや遠近感を表現したいと思うようになり、本格的にフィルム一眼レフを調べて、CONTAX Ariaを購入。この一眼レフを買ってから、慣れないマニュアル操作や構図・光を考えながら撮影したりすることがさらに楽しくなり、外へ出ることも多くなりました。
 
フィルムカメラで撮影の楽しさを知り、今現在はデジタルカメラでレタッチすることを楽しんでいます。メインカメラはデジタルへと変わりましたが、紛れもなくフィルム写真との出会いが今の私の原点となっています。

写ルンです
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PENTAX SP / Super-Takumar 55mm F2.0
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CONTAX Aria / Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
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CONTAX Aria / Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
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PENTAX SP / Super-Takumar 55mm F2.0
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― 露出アンダー目の写真が多いですが、インスタグラムのアカウントやブログを遡っていくと、徐々にこのトーンに落ち着いていったように見えます。写真に向き合う中で試行錯誤があったのかなと思うのですが、今のトーンに行き着いた経緯について教えてください。
 
元々はフィルムの流れもあって、デジタルでもフィルムライクな写真を目指していて、今に比べると全体的に明るいものが多かったかと思います。実際、当時の現像にはアプリ版のVSCOでのフィルムプリセットを当てたりもしていました。
 
しかし、デジタルでの撮影が増えていく中で、何にフォーカスして撮影がしたいのか考えるようになり、伝えたいものにスポット(光)が当たるような撮影を心がけるようになりました。
 
また、私自身旅行が好きで、旅先の哀愁漂う古い街並みや路地を撮影することが多いです。そうした場所をより美しく、魅力的に表現するにはどうしたらいいのかなと考えた時、そのものが映えるように、出来る限りアンダーにして表現しようという結論に至りました。

FUJIFILM GFX 50R / Carl Zeiss Macro-Planar T* 2/100 ZF.2
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FUJIFILM X-T2 / Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
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FUJIFILM X-E2 / XF35mmF2 R WR
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― また、タケウチさんの写真はアンダーの中に光と陰のメリハリや鮮やかな色彩を感じます。どこか思い出が鮮明に蘇るような印象を受けるのですが、撮影やレタッチにおいてどんな表現を意識されていますか?
 
思い出が鮮明に蘇るような印象を受けていただけて、とても嬉しいです。実はその通りで、私自身何に対して感情が動いたかわかるように現像しています。
 
一つ上のお話と内容が被りますが、光と陰については、伝えたいものにスポットが当たるような撮影を心がけ、アンダーにすることでそのものが映えるようにしています。
 
私なりの撮影時の意識としては、出来るだけ明るく撮らないことです。遠近感を出したいのでレンズの絞りはほぼ開放にしますが、ISOは最低まで下げます。そのため、撮って出しでの確認もちょっと難しいくらい暗いです(笑)
 
レタッチはほぼiPhoneとiPadで行っています。Lightroom CCのアプリを使い、RAW現像をしています。全体を見つつ、明るさやシャドウを徐々に上げて調節し、今のような写真が出来上がっています。
 
1番レタッチで気を使っているところと言うと、「黒」と「緑」にこだわっているところでしょうか。フィルムで撮影をしていた時、黒は黒ではなく、どこか緑がかっているように見えたこともあり、真っ黒にはしないようにしています。また、緑色、特に山や木の葉などの自然界の緑色は特に彩度を上げすぎたりしないよう気をつけています。
 
自分の思い出を辿れるように、それでいて、派手にはならないよう自然な色味を大切にしています。

SONY α7 II / Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
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FUJIFILM X-T2 / Carl Zeiss Vario-Sonnar 28-70mm F3.5-4.5
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FUJIFILM X100F
出典:instagram


― デジタル・フィルム問わず様々なカメラ・レンズをお使いですが、デジタルとフィルムはどのように使い分けをされていますか?また、それぞれメインで使っていらっしゃるカメラとレンズを教えてください。
 
明確な使い分けはありませんが、撮影時に持ち出すのはデジタルが多いですね。デジタル、フィルムどちらを使用する場合でも常に2台は持ち歩いています。
 
今メインで使用しているカメラは、FUJIFILM X-Pro2というミラーレス機とFUJIFILM X70というコンデジです。
 
X-Pro2でよく使うレンズがXF35mmF2やCarl Zeiss Planar T* 50mm F1.4という換算50〜75mmなので広角が難しいです。そんな時に18mm単焦点のX70が非常に便利だったりします。旅行の際は本当に重宝した組み合わせです。
 
デジタルについては、表現の幅が広いところに魅力を感じています。何より撮影中、露出などの設定を反映させながら撮影に挑めることで、最終的にどんな仕上がりにしたいのか考えてシャッターが切れるところが良いですね。

FUJIFILM X-Pro2 / XF35mmF2 R WR
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FUJIFILM X-Pro2 / Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
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FUJIFILM X70
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フィルムはCONTAX AriaとCONTAX TVSです。
 
Ariaのレンズは上述しましたCarl Zeiss Planar T* 50mm F1.4を使用しており、TVSは28〜56mmまでズームの効くコンパクトカメラです。こちらもデジタルと同じく、旅行などでフィルムを使う場合に、標準〜中望遠と広角が補える組み合わせです。夏に伊豆旅行をした際、TVSを持ち出しましたが非常にこのズームが便利で満足しました。

CONTAX Aria / Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
出典:instagram

CONTAX TVS


CONTAX TVS


― デジタルにおいては、FUJIFILMへの愛を強く感じます。FUJIFILMのどのようなところに惹かれますか?
 
このFUJIFILMに出会えてよかったな、自分の写真が好きという気持ちをさらに増幅させてくれたカメラであると思っています。
 
フィルムカメラを初めて手にしてから、別のミラーレス機を購入しましたが、なかなか操作などが自分に合わなくて苦労しました。そんな時にFUJIFILM X70というコンデジの存在を知ったことが、今私がFUJIFILMのカメラを使っているきっかけになります。
 
まず色味ですね。どのデジタルカメラにも色味の設定などありますよね。(ピクチャーモードなどと言うのでしょうか?)FUJIFILMは元々フィルム屋さんであることもあり、カメラには「フィルムシミュレーション」という機能があります。この機能がとてもよく、撮って出しでも味のあるものになります。
 
RAW現像時にも、Lightroom CCのプロファイルからフィルムシミュレーションが選べるので、好きなシミュレーションをベースに現像が可能です。
 
また、緑色が非常に美しい印象です。風景というとPENTAXのイメージもありますが、FUJIFILMも美しい緑を写し出してくれます。
 
次にカメラのデザインと操作性です。FUJIFILMのカメラは、シャッタスピードやISO感度ダイヤルがあり、フィルムカメラを彷彿とさせるデザインになっています。元々CONTAX Ariaを使っていることもあり、個人的に扱いやすいなと思うところです。
 
見た目の古すぎず、新しすぎないところも気に入っています。機能も重要ですが自分が気に入ったデザインものを持つことが撮影する上でのモチベーションにもつながると思います。
 
ちなみに現在、FUJIFILMのカメラは4台所持しております。

FUJIFILM X-T2 / Super-Takumar 55mm F2.0
出典:instagram

FUJIFILM X-E2 / Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
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FUJIFILM X-Pro2 / XF35mmF2 R WR
出典:instagram


― FUJIFILMはレンズも非常に優秀なので、FUJIFILMを愛用されている方はレンズもFUJIFILMでという方が多いと思います。タケウチさんもFUJIFILMのレンズはもちろん使っていらっしゃいますが、同時にプラナーも愛用されているかと思います。プラナーは憧れている方が多いと思いますので、タケウチさんが感じるプラナーの魅力について教えてください。
 
おっしゃる通り、FUJIFILMのレンズも優秀で大好きです。AFが必要な場合はFUJIFILM純正レンズを特に重宝していますが、 Carl Zeissもかっこいいですよね。私も大好きなレンズメーカーです。
 
Carl Zeissとの出会いはCONTAX Ariaの標準レンズがヤシコンプラナーと呼ばれる、Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4だったことによります。私にとっての最初の1本がこのプラナーでした。今思えば良い出会いだったなと思っています(笑)
 
「ツァイスレンズは空気まで写す」とよく聞くのですが、まさにその通りで、目で見た以上の情報を写真に閉じ込めてくれるレンズであると思っています。他にもオールドレンズやFUJIFILMのレンズを使用してきましたが、ここが違うところだと思います。
 
最近ではコシナ製の現代レンズCarl Zeiss Makro-Planarもよく使用しています。ヤシコンプラナーと違い、輪郭がキリリとした写りのレンズなのですが、私のアンダーな作風により磨きをかけてくれていると感じています。
 
元々はCONTAX Ariaの標準レンズという立ち位置でしたが、FUJIFILMの持つ色味と、ツァイスレンズが写す空気や色味も本当に相性がいいと思います。

FUJIFILM X-E2 / Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
出典:instagram

FUJIFILM X-E2 / Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
出典:instagram

FUJIFILM X-T2 / Carl Zeiss Macro-Planar T* 2/50 ZF.2
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― 最後に、タケウチさんのベストショットと、次に狙っているカメラやレンズ、今後の抱負があれば教えてください。
 
ではまず、デジタルで撮影したものから。

FUJIFILM X-T2 / Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
出典:instagram

FUJIFILM×Carl Zeiss Planarの組み合わせです。マニュアル操作は止まっているものでもよくピントを外しがちなんですが、動くものを撮影するのはもっと難しいです。この写真はピントよりも水の透明感、波紋をうまく表現できたんじゃないかなと思ってます。よく頑張りましたと自分を褒めたいなと思い、ベストショットに選びました(笑)
 
続いて、フィルムで撮影したものです。

CONTAX Aria / Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
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いまだにフィルムなの?と自分でも信じられないほど、美しく写った秋の1枚ですね。CONTAX Aria×Carl Zeiss Planarの組み合わせです。この写真をみて、Ariaのポテンシャルの高さを思い知りました。
 
今年の抱負としましては、地元での写真をたくさん残していきたいなと思っています。昨年はいろんな場所へ出かけたのですが、地元であまり写真を撮っていないことに気づきました。自分の写真で少しでも魅力を伝えていけたらいいなと考えています。
 
また、今世の中ではあまり外出ができない状況となっています。時間も普段よりは少しありますので、新たなレタッチなどにも挑戦しています。また違った私の写真が皆さんにもお見せできればなと思っています。