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Carl Zeiss Jena MC Pancolar 50mm F1.8
M42マウント
Carl Zeiss製標準レンズの名作は?と問われた場合、恐らく多くの方に支持されるレンズの一つに「Planar」が挙げられるのではかと思います。非常に柔らかいボケ味の中にも芯の通ったシャープさを魅せてくれるPlanarの描写はCarl Zeissの神髄とも呼べる一つの特長ですが、ボケ味だけがZeissの魅力では無いと感じさせてくれる力強いコントラストと、しっかりしたシャープさを示してくれる描写を持つ「もう一つのZeiss製名作標準レンズ」と言えるレンズが、このMC Pancolar 50mm F1.8です。一昔前まではCarl Zeiss Jena製という出自や、やや癖の残る描写性能が要因で、Planarに比べると光の当たらない立場に置かれていたレンズですが、時代を経るとともにその評価も高まっています。今回は、前期型のCarl Zeiss Jena Pancolar 50mm F2(1.8)を含め、Carl Zeiss Jena MC Pancolar 50mm F1.8の魅力に迫ります。
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Planarとは違った描写を示してくれる「もう一つのZeiss製名作標準レンズ」
1.描写
設計から数十年が経過したCarl Zeiss Jena製のオールドレンズですが、「MC」表記が示すようマルチコーティングが施されていることも有って、コントラストや色乗りもしっかりとしており、さすがZeissと思わせてくれるレンズです。絞りを絞るほどその傾向は強まり、開放絞り付近でのボケ味が魅力のPlanarとは対になるような性能を示してくれる点がPancolarの特徴です。
Pancolarは焦点距離が50㎜の為、被写体や撮影条件を選ばない万能性も期待したいところですが、絞り開放付近の使用では、少しばかり非点収差が目立つ傾向が見られます。
Helios 44-2ほど強くないとは言え、非点収差が現れている
Helios 44-2のような強い「グルグルボケ」ほどでは無いにしろ、意図せず収差が現れてしまった場合は作品の仕上がりにも影響しますので、背景をぼかして被写体を浮かび上がらせるよりも、絞りを絞って全体的なシャープさを際立たせることが得意なレンズだと割り切って使う方が良い結果が得られるかも知れません。
過去にはこの辺りが原因で「Planarに比べると…」等のような論調が多く聞かれましたが、現在はPancolar自体の魅力を正面から評価する動きが主で、意味無く無駄にPlanarと比較される事は少なくなりました。
一方で、Planarの特徴が際立ち過ぎた故に「Zeiss = 柔らかい」と捉えるイメージもまだまだ存在し、PancolarのようなレンズをZeissらしくないとする意見も散見されるのが現実です。しかし、Pancolar 以前にZeissの評価を高めたTessarや、同時代のFlektogonの評価は「シャープな描写が特長の銘玉」といった声が圧倒的に多く、「Zeiss = 柔らかい」というのは間違いでは無いにせよ、Planarという一つの側面から見ただけの印象と言えるでしょう。
Pancolarというレンズは、むしろZeissの神髄はシャープさなのだと改めて教えてくれる貴重なオールドレンズの一本です。
2.タイプ
Pancolarには大きく分けて
- ゼブラ鏡筒のPancolar 50mm F2(1.8)
- ブラック鏡筒のMC Pancolar 50mm F1.8
が存在します。ゼブラ鏡筒系のモデルを「前期」、マルチコート化されたモデルを「後期」とする事も出来ますが、それぞれのモデルにも数タイプ存在し、細かいカテゴライズは却って混乱を招く一因となってしまうのではと思われます。
当時の東欧やソ連レンズによくあるポイントですが、旧モデルと新モデルの生産が並行されて行われていたり、変更された箇所が数年後に変更以前の状態に戻ったり、驚くようなイレギュラー個体が一時的に生産され、後年になって突然に発見されたりといった複雑な状況も多い為、厳密な分類は一筋縄で行えないのが現状です。
ここでは、敢えてPancolarの特徴的な変更点をシンプルに記載し、簡単に整理する事で、中古購入時の最低限の情報をまとめます。
Pancolar 50mm F2
最初期のPancolarで、開放F値は2.0、レンズ構成は4群6枚。
Pancolar 50mm F1.8(前期)
開放F値が1.8となり、レンズ構成は4群6枚。このモデルにはトリウムガラスが用いられた。
Pancolar 50mm F1.8(後期)
開放F値は1.8、トリウムガラスは不使用となり、レンズ構成は5群6枚へ変更された。鏡筒のデザインの違いで数種のタイプが存在する。このタイプの最後期生産モデルの一部にはマルチコートレンズが収められたという説も有る。所謂「ゼブラ鏡筒」系のモデルはこのモデルまで。
MC Pancolar 50mm F1.8
鏡筒がブラック鏡筒となり、マルチコートレンズの使用を示す「MC」表記が行われた。絞り連動機能の切り替えや、電気信号ピンの有無で3タイプのモデルが存在する。
3.Carl Zeiss Jenaについて
Zeissを単に「ドイツを代表する光学メーカー」としてしまうと身も蓋も無いのですが、カメラやレンズに興味を持ち始めた方にとっては、「Carl ZeissとCarl Zeiss Jena、どっちが本当のCarl Zeissなの?」と疑問を抱かれるのでは無いでしょうか。
結論から言うと、どちらもCarl Zeissであり、どちらもドイツを代表する光学メーカーです。
3-a 名称について
Carl Zeiss Jenaという名前に意味を求めるとするならば、「Carl Zeiss」が創業者の人名、「Jena」は創業地とする事が出来るでしょう。正確にはCarl Friedrich Zeiss(カール・フリードリッヒ・ツァイス)氏がドイツのテューリンゲン州の都市イエーナ(Jena)で顕微鏡の工房を創設した事が始まりとされ、それを企業体の名称としたのがCarl Zeiss Jenaです。
3-b 東西分断
第二次世界大戦がドイツをはじめとする枢軸国側の敗戦という形で終結し、やがてドイツやベルリンの東西分断が始まります。テューリンゲン州は戦争末期にはアメリカの占領を受けましたが、終戦直後にはソ連の占領下に置かれます。当時に於いても世界最高水準の技術を誇っていたCarl Zeissは東西両陣営から目を付けられ、ドイツという国家同様に西側のZeissと東側のZeissに分断される事となりました。
この後、両側のZeissともCarl Zeissと名乗る時期も有りましたが、やがて西側諸国では西側のZeissがCarl Zeissを、東側のZeissがCarl Zeiss Jenaを名乗るという形で決着が図られました。(東側諸国では、西側ZeissがCarl Zeiss Optonを、東側ZeissがCarl Zeissとなりました)
3-c 東西統一後
1989年のベルリンの壁崩壊以降、ドイツは統一(再統一)へ向かいます。Zeiss自体も統一への歩みを進めましたが、この時点でのCarl Zeiss Jenaは経営企業体としては実質的に崩壊しており、統一というより吸収といった形でCarl Zeissに合流し、企業体としてのCarl Zeiss Jenaの名称にはピリオドが打たれました。
この事から、Carl ZeissとCarl Zeiss Jenaはどちらも「Carl Zeiss」であり、それぞれのZeissは西ドイツと東ドイツを代表する光学メーカーで有る事に間違い無いと言えるのです。
4.中古相場
MC Pancolar 50mm F1.8は常用オールドレンズの中でも人気が高く、流通数は比較的多めですが、Zeissブランドという事情もあり、他のオールドレンズや、同時代のソ連レンズに比べ、やや高めの値付けが行われている模様です。
オークション等でも15,000円程からの出品が多く、専門店で購入の場合、時には20,000円を超える個体も見られます。しかし、Planarの実勢価格と比較した場合、Zeissブランドの標準レンズが安価で入手できるとも言えるでしょう。
5.購入時の注意
5-aガラス素材
MCモデルでは無いPancolarにまで視野を広げた場合、購入候補の選択肢は増えるかも知れませんが、初期のPancolarはアトムレンズと呼ばれるトリウムガラスを使用した時代が有り、現在ではその多くにレンズの「黄変」が見られます。
黄変の程度にもよりますが、デジタルカメラで使用する場合、ホワイトバランス調整がしっかりしているならば、さほど気になる問題では無いとは言え、出来ればクリアな個体を選びたいものです。
また、Pancolarのレンズに使われているガラスには、硬度が低めの素材が使われている模様で、拭き傷が付いてしまっている個体が多いとの声も聞かれます。
5-b電気信号ピン
Pancolarを購入する場合、特に気を付けたいのはマウント面に設けられた電気信号ピンの存在です。MCPancolarの場合、レンズ正面の銘記載は
MC PANCOLAR 1.8/50 CARL ZEISS JENA DDR MC PANCOLAR auto 1.8/50 CARL ZEISS JENA DDR(auto表記) MC PANCOLAR electric 1.8/50 CARL ZEISS JENA DDR(electoric表記)
の三種類が存在し、この中ではelectric表記モデルが信号ピン付きのモデルとなります。
この信号ピン付きのレンズを、マウント金具面にネジ穴や電気接点が付いているカメラやアダプターで使用した場合、レンズ着脱時に信号ピンがネジ穴や接点に入り込んで、最悪の場合レンズが外れないケースも報告されています。また、信号ピンの固着が原因となり、フランジバックに誤差が生じ、無限遠のピントが出ないケースも想定されますので、現物を確認できない場合は、出来れば信号ピン無しモデルから選んだ方が無難です。
MCモデルでは無いゼブラ鏡筒のPancolarにも信号ピン付きが存在しますので、コレクション目的での購入は別として、実際の撮影用に使用する事を想定して選ぶ場合は、コーティングによる反射防止効果や経年変化の少なさを期待して、MC PANCOLAR 1.8/50もしくはMC PANCOLAR auto 1.8/50表記の個体から探すと良いでしょう。
尚、他のM42マウントレンズと同様、経年変化から絞り羽根の作動に粘りが出ている個体が多い為、特に「auto」表記モデルでは、スイッチの切り替えと絞り羽根の動きは確認しておく方が安心です。
余談ですが、CARL ZEISS JENA の後にある「DDR」とはDeutsche Demokratische Republik(ドイツ民主共和国(旧東ドイツ))の略となります。感覚的には「MADE IN JAPAN」に近い表記かも知れませんが、共産主義経済圏に於ける国家名表記には、単なる生産国表記よりも重く違ったメッセージが込められています。
ご興味のある方は「社会主義のショーウィンドー」や「キッチン討論」、「コーヒー危機」等のキーワードで検索されてみる事をお勧めします。Pancolarの発売とはやや時代が前後し、直接的な関連は薄い事象ですが、当時の東ドイツ経済の実情や共産主義vs資本主義の縮図も垣間見れるようで、なかなかに興味深いですよ。
6.ユーザーの声
その実勢価格から、手軽に試せるツァイスレンズの入門編として人気の高いPancolarの描写性能として、オールドレンズとは思えないシャープさやコントラストの強さに驚く声が多く寄せられています。少し意外なのが、条件によってはHelios 44-2のような所謂「ぐるぐるボケ」も楽しめるレンズであるにも関わらず、そのような使い方に関する声は少ないように思われました。
レンズに対する期待は人それぞれですが、Pancolarの場合、やはりそのシャープさやコントラストの強さを求めて入手する方が多い証左なのかも知れませんね。
作例
まとめ
Carl Zeiss Jenaの一眼レフ用標準レンズとして、やや悲運と言える立ち位置にあったPancolar 50mm。自身のレンズ構成の変更、MC化など意欲的な改良を受け続けたにも関わらず、非点収差が残るという癖玉という印象や、すでに十分すぎる実績のあったTessarや西側ZeissのPlanarといった強力なライバルの存在により、その性能を霞んだ視線で評価される事が多かった時代も経験しました。
しかし、Tessarに比べるとF1.8という明るさや、後にマルチコート化されている点、比較対象とされる西側Planarの発売(YASHICA/CONTAX Planar 50mmF1.4は1975年、同じくPlanar 50mmF1.7は1979年)より10年以上前に一定水準以上の完成度を持って登場したPancolarの実力は、現在のデジカメ時代に於いてようやく花が開いたのでは無いでしょうか。
日本の市場では登場時から完全に完成された形で改良を受けることなく長期にわたってリリースされる製品に優れた評価を与える傾向が有りますが、ヨーロッパでは製品を市場の意見で熟成させるような作り込みを前提とし、最終的な到達点を持って製品を評価する傾向があるとも言われます。
Carl Zeiss JenaにとってPancolarがそのような製品であったのかは想像の域を出ませんが、このような改良を受け続けた点も、Pancolarの持つ実力を示す一つの指標と言えるかも知れませんね。
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製品情報
カテゴリ | オールドレンズ |
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メーカー | Carl Zeiss |
タイプ | 標準 |
マウント | M42マウント |