製品解説
スペック情報
これぞ「THE Nikon DSLR」
Nikon Dfがどのようなカメラであるかということは、実物をひと目見ればご理解出来るかと思います。ゴツゴツとした軍艦部、全体的に凹凸が目立つデザイン、フルサイズにしては一回り小さなサイズ感は、フィルム時代のカメラを思い出させます。
Nikon Dfの外観
出典:flickr(@emperornie)
Nikonのフルサイズ一眼レフ。最小・最軽量ボディにD4譲りの画質、FXフォーマットでカチカチと手応えのある高精度の操作感
Nikon Df / Carl Zeiss Apo-Sonnar T* 2/135mm ZF.2
D4譲りの描画力は申し分なし
Dfの「f」にはfusion(融合)という意味が込められています。カメラが誕生して100年、Nikonが一眼レフを作り続けて50年。Nikonの50年続く一眼レフの歴史が融合し生み出されたカメラがDfです。
Nikonのフルサイズ一眼レフ。最小・最軽量ボディにD4譲りの画質、FXフォーマットでカチカチと手応えのある高精度の操作感
Dfの「f」にはfusion(融合)という意味が込められています。カメラが誕生して100年、Nikonが一眼レフを作り続けて50年。Nikonの50年続く一眼レフの歴史が融合し生み出されたカメラがDfです。
適切なシャッタースピードと絞り・ISOの選択というのは、写真を撮る上で最も重要な作業であるということは不変的なもので、自動露出・AEが主流となった昨今のデジタルカメラにおいても変わることはありません。Dfはそのための操作系を軍艦部に設けられた複数のダイヤルに割り当てることで、撮影者が液晶を介さずにカメラの設定を変更することができます。
Nikonのデジタル一眼レフに慣れ親しんでいる人からすると、操作系などで違和感を抱いてしまうDfのデザインですが、ペンタ部分や軍艦の処理などは、まるで1980年ごろのフィルム一眼Nikon FMのよう。
DfはAEが当然となってしまったデジタルカメラでは忘れてしまいがちな、露出を操る楽しさを思い出させてくれるカメラです。この露出を操るという作業は、AEのないフィルムカメラ時代にはごくごく当然の作業であり、撮影の醍醐味でした。そしてデジタルカメラ全盛の時代といえども、フィルムカメラの歴史に比べればまだ短く、フィルムカメラ経験者やフィルムカメラユーザーも多くいます。
そういったフィルムカメラユーザーが違和感なく使えるデジタル一眼レフカメラを作りたかったという意図がDfには感じられ、Nikonはフィルム一眼ユーザーに新たな選択肢を生み出したといえます。
フィルム一眼ユーザーとの”融合”という点で、DfはNikonのほぼ全てのFマウントオールドレンズに対応出来るということも大きな魅力となっています。
Nikonは一眼レフカメラとレンズを不変のFマウントで作り続けていますが、Nikonのオールドレンズには非Ai方式レンズとAi方式レンズがあり、最も古い非Ai方式レンズはデジタル一眼レフカメラには装着できません。マウントが同じFマウントでも、非Ai方式レンズは絞り連動部分の形がAi方式以降のレンズとは違うので、装着できないのです。
しかしDfは跳ね上げ式の露出計連動レバーを採用することで、Ai方式のレンズだけでなく、非Ai方式のレンズも装着できるように設計されています。それによって非Ai方式レンズを持つNikonオールドレンズファンも、レフ機での活用が可能となりました。
古くからのNikonファンを満足させるという点では、シャッター部分にもこだわりが見えます。シャッターボタンにはネジが切ってあり、物理的に押し込むタイプのレリーズも装着可能、シャッター音も攻撃的な甲高い機械音ではなく、精密機械が緻密に正確に動くことで発せられる乾いた音です。他のカメラと比較しても官能的で、非常に高く評価されています。
さて、Nikonフィルム一眼ユーザーやオールドレンズユーザーを満足させる設計となっているDfですが、肝心の性能についてはどうなのでしょう。
ZシリーズやD5、D850などと比較すれば、イメージセンサーも映像エンジンも世代が古く、時代遅れ感は否めませんが、基本的な内部機構は前フラッグシップ機のD4譲りのものなので、シビアな撮影をしなければ、AF速度や測距点でストレスを感じるということはありません。さらにオールドレンズとの相性を考えると、決して高いとは言えない1625万という画素数も丁度良い数字になります。
スペック上の注意点としては、Dfは動画撮影に対応していません。Dfはあくまで写真を撮る楽しみを追求しているので、写真と関係ない機能は付随していなというわけです。
デジタルカメラでありながらもスペックを追及するメリットは大きくありませんが、それよりもダイヤルなどの操作感、写真を撮るまでの設定の過程、シャッター音など、写真を撮るという行為をいかに楽しめるか、ということを評価するカメラといえます。
ミラーレスでの後継機登場はあるのか
さて、Nikonは5年以上もDfを現役機種のラインナップに加え続けています。当然ユーザーとしては後継機を期待するわけですが、どうなのでしょうか。
現在、カメラ業界はフルサイズミラーレスを中心として変革期のまっただ中。特にフルサイズミラーレスのフラッグシップ機の登場というのは、各メーカー共に待ったなしの状況で、開発リソースはそこに集中しなければカメラメーカーとしての存続さえ危ういものとなります。
そんな中Nikonに、Df2を開発する余力があるでしょうか。実際、Dfの後継機に関する情報はあまりありません。Nikon開発関係者の「Dfの評価は高いが、販売台数が見込めなければ後継機開発は難しい」という声もあります。
確かにDfは評価が高く、一部ファンからは熱烈な支持を得ています。
しかし、現状で多くのカメラユーザーが求めているのは、超高性能のフルサイズミラーレスと、それに負けない一眼レフ機です。
現状ではDfの後継機は難しいでしょう。
ただ、期待はあります。Dfをフルサイズミラーレスで新しくデザインすれば、よりコンパクトになり雰囲気もオールドカメラに近くなると思いませんか。Dfと進化した技術との融合というものも見てみたいところですね。
Dfに装着したいレンズ / Ai NIKKOR 50mm F1.4
Dfはレトロなデザインなので、やはりオールドレンズが良く似合います。Nikon Fマウントレンズは、オートニッコールに始まり、ニューニッコール、Aiニッコール、Ai-Sニッコールと続きAF時代へと入っていきますが、Ai NIKKOR 50mm F1.4はAiニッコール世代のレンズで、その世代のレンズの中でも名玉とされています。
Ai方式のレンズをDfに装着するときは、露出計連動レバーを倒したままにして装着することで、絞りリングの操作情報をカメラに伝えることができます。これによってDfは他のデジタル一眼レフと比較しても、Ai方式レンズを使うハードルがぐっと低くなっているのです。
フィルム時代には30年以上も同じ設計でレンズが販売され続けました。現行ではAF-S NIKKOR 50mm f/1.4Gというレンズがありますが、レンズ設計は変わってしまっているので、Ai NIKKOR f/1.4Sと描画比較してみるとオールドレンズとの違いがわかり面白いかと思います。
Nikon Df
50mm f/1.4はポートレートに適した被写界深度を得られる
せっかくDfを手に入れたなら、Nikonオールドレンズはぜひとも使ってみたいレンズ。その中でもAi NIKKOR 50mm F1.4は現行のレンズラインナップとの違いがわかる1本といえるでしょう。
せっかくDfを手に入れたなら、Nikonオールドレンズはぜひとも使ってみたいレンズ。その中でもAi NIKKOR 50mm F1.4は現行のレンズラインナップとの違いがわかる1本といえるでしょう。
ネット上のレビュー
■ポジティブレビュー
- Nikon正統派のデザインでお気に入り。
- ダイヤルの操作感が写真を撮っている実感がある。
- FXフォーマットとしてはコンパクトなので持ち運びしやすい。
- Nikonレンズ資産が古いレンズまでフル活用できることが嬉しい。
- オールドファンは絶対手に入れるべきカメラ。
やはり、そのデザインや操作感などに高評価が集まっていますね。Nikonファンにはたまらないデザインとなっている様です。
■ネガティブレビュー
- Nikonのカメラにしてはホールド感がいまいち。
- 画素数がちょっと足りないので、トリミングを前提とする撮影には不向き。
- 中身のスペックの割に価格が高く、コストパフォーマンスはいまいち。
- ライブビューは全く使えない。
- 動画機能を削除するなどカメラの原点に回帰するのなら、FMのデザインをそのまま使うなどもっと尖ったカメラにしてほしかった。
やはり現行の同価格帯のカメラと比較してしまうと、スペック的な見劣りや機能的な物足りなさがあるといえますね。また、今までのカメララインナップにはない新たなジャンルということで、ブラッシュアップが必要な部分もある様です。
まとめ
Nikon Dfは他社のカメララインナップにはないNikonオリジナルカテゴリーのカメラで、昨今の機能性を追求したカメラでは薄れてしまった、カメラを持つ喜び、撮影する楽しみを思い出させてくれます。
Nikonファンの所有欲を満たしてくれることはもちろんですが、じっくりカメラと向き合って撮影したいという人にもおすすめのカメラとなっています。
レンズマウント | |
---|---|
レンズマウント | Nikon Fマウント |
撮像素子 | |
センサーサイズ | フルサイズ(36.0×23.9mm) |
有効画素数 | 1,625万画素 |
ダスト低減機能 | ○ |
映像エンジン | EXPEED 3 |
画像記録 | |
記録媒体 | SDHCカード
|
スロット数 | シングルスロット |
記録画素数 | ・撮像範囲〔FX(36×24)〕の場合:
|
画像ファイル | JPEG/RAW/TIFF |
動画 | |
4K対応 | - |
記録サイズ | |
記録形式 | |
ライブビュー | |
フォーカス | |
シャッター | |
シャッター速度 | 1/4000~30秒 |
連続撮影速度 | 最高約5.5コマ/秒 |
露出制御 | |
測光方式/測光分割数 | TTL開放測光方式 |
ISO感度 | 100〜12,800 |
AF | |
測距点 | 最大39点 |
ファインダー | |
視野率 | 100% |
倍率 | 約0.7倍 |
ストロボ | |
内蔵ストロボ | - |
液晶モニター | |
サイズ | 3.2インチ 92万ドット |
可動式 | |
I/F | |
インターフェース | USB2.0、HDMI |
無線LAN | |
Wi-Fi機能 | - |
ネットワーク | |
NFC | - |
Bluetooth | - |
防塵・防滴 | |
防塵・防滴 | ○ |
手ブレ | |
手ブレ補正機構 | - |
GPS | |
GPS | - |
電源 | |
撮影可能枚数(ファインダー) | 1400コマ |
撮影可能枚数(ライブビュー) | |
動画撮影可能時間 | |
USB充電 | - |
使用電池 | Li-ionリチャージャブルバッテリー EN-EL14a |
サイズ・重量 | |
サイズ | 143.5×110×66.5mm |
重量 | 710g |
発売日 | |
発売日 | 2013年11月28日 |
製品情報
- カテゴリ
- デジタル一眼レフ
- メーカー
- Nikon
- タイプ
- ハイアマチュアモデル
- マウント
- Nikon Fマウント