中古でも買う価値があるD750
既に発売から4年以上が経ち、新品価格は発売当初の2/3以下、中古なら半額以下で手に入る様になりましたが、価格が下がったことで再び需要のある機種となっています。
2000年初頭、携帯電話にカメラが搭載されるなどして、デジタルカメラも急速に進化しましました。当時は、1年前のデジタルカメラはもはや使い物にならないということもザラでしたが、近年はようやくデジタルカメラの性能は頭打ちの様相となり、中古でも使えるデジタルカメラが増えてきました。その筆頭ともいえるのがD750です。
奇妙なタイミングで発売されたD750
D750は発売当初から評価が高かったわけではありません。Nikonファンにですら「NikonがD750を発売した理由がわからない」と言われました。それもそのはず。NikonはD750の発売前年に、フルサイズ一眼レフの入門機となるD610を、そして発売2ヶ月前にハイアマチュアモデルとなるD810を発売していたのです。
D750はその数字が示すとおり、D610とD810の中間層をターゲットとしているわけですが、画素数はD610と同じ2400万画素、連写性能もD610が6コマ/秒、D750が6.5コマ/秒と、0.5コマしか変わりません。写真機としてのスペック的に大きくアップした部分はなく、D610を卒業したアマチュアカメラマンが、スペック上の大きな差がないD750に乗り換えるとは考えにくいと思われたのです。
Nikonでよく見られる逆転現象
Nikonの一眼レフは、上位機種から順にD1桁、D3桁となっていて、D3桁は数字の大きい方が上位機種となっています。つまりD750よりもD5やD850、D810が上位機種ということですね。
当然、上位機種の方が高画質・高性能となりますが、Nikonでは性能の逆転現象が起こることがよくあります。D750にチルト液晶がありD5やD810にはないという程度のことなら、Canonのバリアングル液晶にも言えることで、たいしたことではないのですが、D750の方がD5よりも画質が良いという驚きの逆転現象もあるのです。
もちろん、画質に関するすべてにおいてD750がD5を上回っているわけではありません。D750の方が一定条件、具体的には一定範囲のISO感度において、ノイズ耐性が高くなっているのです。もちろん、D5には常用感度ISO 102400という驚異的な性能があり、D750は足元にも及びません。しかし低ISOの場合は、D750の方がD5より暗所ノイズが少なくなるのです。これは直感的な印象ではなく、DxOMarkというレビューサイトで機械的な計測値として実測されています。
D750のCMOSセンサーは、常用感度ISOの範囲自体、最新機種に比べると見劣りしますし、3200を超えるような高ISOでは流石に画質が落ちますが、通常使用頻度の高い範囲のISOでは高い画質で撮影できる、優秀なCMOSなのです。画素数的にはD610と同等なD750ですが、新しいCMOSと画像処理エンジンEXPEED 4で高画質な写真を生み出してくれます。
D750がチルトを採用した理由
D750はNikonのデジタル一眼レフ機ではじめて、背面液晶にチルト液晶が採用されました。Canonは既に2010年からバリアングル液晶を採用していたので、Nikonファンにとっては待望の可動液晶なのですが、「なぜチルト?」という疑問を持った人も多いでしょう。
Nikon曰く、撮影者の目は必ずレンズの光軸上になければならないと考えていて、液晶を横に開かないと上下に向けることができないバリアングル液晶は採用しないとのこと。他にも、バリアングル液晶は液晶左側にバリアングル機構を搭載するので、その部分にボタンが配置できなくなるということも理由となっているとか。
また、バリアングル液晶は液晶の支えが一箇所で、そこにストレスが集中してしまうことから、信頼性に重点を置くNikonが二の足を踏んだということも推測されます。実際にNikon初のフルサイズミラーレスZ6も、バリアングルではなくチルト液晶となっています。Nikonがフルサイズ機にバリアングル液晶を採用する可能性は、今後も高くないでしょう。
動画機としての性能は?
写真機としてはCanonと並んで2大巨塔となっているNikonですが、一眼動画に限れば遅れをとっていると言わざるを得ません。YouTubeが広まるにつれ一眼動画へのニーズが高まっていますが、一眼動画といえばCanon、最近ではPanasonicが人気となっています。
D750はチルト液晶な上、フルHD60pの撮影が可能なことから、Nikon一眼動画のテコ入れ機となりました。しかし、4K動画性能が求められる昨今においては見劣りを感じます。一眼動画をNikonで撮りたいと考えているなら、D750後継機を待つか、よりコンパクトで動画性能が高いZ6を選択することをおすすめします。
写真機としては頭打ち感があるデジタルカメラですが、動画性能はまだまだ天井が見えないと言えますね。
腕を磨くには最適の1台
一眼動画を撮りたいのであれば他のカメラをおすすめしますが、フルサイズ機で写真の腕を磨きたいという場合にはD750が候補に入ります。D750ではD850のような高画素写真は撮れませんが、モニターで写真を見たり、家庭用プリンターで印刷したりする分には高い画素数は必要ありません。
また、画素数はトリミング耐性で差が出ますが、撮影時にしっかりと構図を決めればトリミングの必要はありません。自分の腕でカバーできることです。AFポイント数やAF速度・精度、連写速度なども、MFやシャッタータイミングなどでカバーすることができますね。つまり写真の腕が上達すれば、D750でもD850に近い写真が撮れるようになるということです。
もちろん、より写真の精度や成功率が求められる、失敗の許されないプロの現場ではD850やD5が必要となりますが、失敗写真に一喜一憂できるアマチュアカメラマンであれば、D750でも十分ではないでしょうか。
そして1番の魅力は、一眼レフとしては手の届きやすい価格で高性能カメラが手に入れられるということです。画素数、AF性能、全てにおいてD750より一回り上のD850ですが、価格にも大きく差があります。
しかし、一眼カメラはボディを手に入れて終わりというわけではありません。良い写真を撮るにはレンズも必要です。D750であれば、D850を買う予算で本体と大三元レンズを一本手に入れることができ、D850よりも低価格でカメラとレンズを揃えることができるので、懐に優しいのです。
プロと同じカメラを使い、言い訳の出来ない状態で写真の腕を磨くという手もありますが、上位機に遜色ない画質のあるD750で、その他の足りない機能を補完するように腕を磨く、というのもアリではないでしょうか。純粋に上位機と比較すると、もの足りなく感じるスペックもありますが、写真機として肝心要の”画質”という部分では十分な性能があり、その他の機能も一定以上の数値を満たしているD750は、写真を練習するのにもってこいの機種といえます。
製品 | Nikon D750 | Nikon D850 |
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価格 | 新品:191,840円〜 中古:85,600円〜 | 新品:275,550円〜 中古:193,537円〜 |
センサーサイズ | フルサイズ(35.9×24.0mm) | フルサイズ(35.9×23.9mm) |
有効画素数 | 2,432万画素 | 4,575万画素 |
連続撮影速度 | 最高約6.5コマ/秒 | 最高約7.0コマ/秒 |
4K対応 | - | ○ |
手ブレ補正 | - | - |
防塵・防滴 | ○ | ○ |
撮影可能枚数 | 1230枚 | 1840枚 |
重量 | 750g | 915g |
発売年月 | 2014年09月 | 2017年09月 |
作例紹介
D750に最適のレンズとは
D750を購入したなら、特に撮影の目的がないときでも常に持ち歩いて、フルサイズ一眼レフの使い方や設定、クセなどの理解を深めて写真テクニックを磨きたいところ。
そのためにはレンズ1本で様々な撮影ができる、定番のAF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VRがおすすめです。フルサイズ機としては軽量コンパクトなD750のボディに24-120mmという高倍率ズームのレンズを装着すれば、様々な撮影に対応することができます。
そんなAF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VRが、キットレンズとしてD750とセットでお得に購入できるのはNikon側の配慮が感じられますね。こういったミドルスペックの一眼レフ用レンズラインナップの充実をみると、最新のフルサイズミラーレスZ6も魅力的ですが、D750にはZ6を遥かに凌ぐコストパフォーマンスがあるといえます。
愛用者のコメント
1994年、福井生まれ、事務職。 月刊URALA 2018.11月号 インスタグラマーが見つけた 福井のべスポジ!で紹介される。全日本写真連盟 第36回 日本の自然コンテストで入賞。Jalan 夏絶景フォトコンで入賞し、2019.11月号に掲載。
D810をメインに使っています。解像度が高く繊細な描写ですが、高画素機の特徴でもあるノイズの出方と手振れのしやすさはD750よりも劣るように思うので、三脚を使わない手持ちでの夜景撮影は高感度に強いとされるD750を使用することが多いです。
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ユーザーレビュー
■ ポジティブレビュー
- JPEGで撮影しても安心のホワイトバランス。
- 暗部ノイズがかなり少なく、暗がりでも安心して撮影できる。
- フルサイズ機としてはかなり軽いので持ち運びやすい。
- 価格、画質、機能性を追求してたどり着く1つの選択肢。
- カードスロットが2つあり安心感が高い。
■ ネガティブレビュー
- 外観がプラスチック製っぽくてチープ。
- ライブビューのAFが遅くて使えない。
- 首から下げていると、チルト液晶がパカパカして強度が不安。
- メニュー表示項目が不親切で、設定変更に時間がかかる。
- ミラーバランサーがないので機械ブレが気になる。
ミドルクラスの一眼レフということで、上位機と比較したときに、操作性や機能面で物足りなさを感じるというレビューが目立ちます。
まとめ
発売当初はその立ち位置が微妙とも評価されたD750ですが、価格がこなれてくると、その素性の良さから評価が高まり、長く市場に流通する一眼レフ機となりました。
後継機の登場も待たれるところですが、写真機としてアマチュアには十分な性能となっているD750。動画をほとんど撮らないのであれば、後継機を待つ必要はなさそうです。
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「Nikon」っていう響きがカッコよくて、選びました。使ってみてまず感じたのが「軽い」という点と「持ちやすい」という点でした。カメラ屋さんでフルサイズの一眼レフをいくつか持ってみましたが、ゴツくて重いという印象でした。D750はグリップが深く、ボディも軽く設計されていて扱いやすく感じました。
操作性に関しては、初めての一眼レフなので比較はできませんが、特に不便ではないので初心者にも使いやすいのだと思います。描写力・豊かな階調表現も魅力的で、見たままを写してくれて、黒にも色んな黒が、青にも色んな青があるんだなあと実感させてくれました。
Nikon D750 / Ai Nikkor 50mm f/1.4S
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レンズマウント | |
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レンズマウント | Nikon Fマウント |
撮像素子 | |
センサーサイズ | フルサイズ(35.9×24.0mm) |
有効画素数 | 2,432万画素 |
ダスト低減機能 | ○ |
映像エンジン | EXPEED 4 |
画像記録 | |
記録媒体 | SDHCカード
|
スロット数 | ダブルスロット
|
記録画素数 | ・撮像範囲[FX(36×24)1.0×]の場合:
|
画像ファイル | JPEG/RAW |
動画 | |
4K対応 | - |
記録サイズ | 1920×1080:60p
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記録形式 | MOV |
ライブビュー | |
フォーカス | TTL位相差検出方式 |
シャッター | |
シャッター速度 | 1/4000~30秒 |
連続撮影速度 | 最高約6.5コマ/秒 |
露出制御 | |
測光方式/測光分割数 | TTL開放測光方式 |
ISO感度 | 100〜12,800 |
AF | |
測距点 | 最大51点 |
ファインダー | |
視野率 | 100% |
倍率 | 約0.7倍 |
ストロボ | |
内蔵ストロボ | ○ |
液晶モニター | |
サイズ | 3.2インチ 122.9万ドット |
可動式 | チルト式液晶 |
I/F | |
インターフェース | USB2.0、HDMI |
無線LAN | |
Wi-Fi機能 | ○ |
ネットワーク | |
NFC | - |
Bluetooth | - |
防塵・防滴 | |
防塵・防滴 | ○ |
手ブレ | |
手ブレ補正機構 | - |
GPS | |
GPS | - |
電源 | |
撮影可能枚数(ファインダー) | 1230枚 |
撮影可能枚数(ライブビュー) | |
動画撮影可能時間 | |
USB充電 | - |
使用電池 | Li-ionリチャージャブルバッテリー EN-EL15bまたはEN-EL15aまたはEN-EL15 |
サイズ・重量 | |
サイズ | 140.5×113×78mm |
重量 | 750g |
発売日 | |
発売日 | 2014年09月25日 |
製品情報
- カテゴリ
- デジタル一眼レフ
- メーカー
- Nikon
- タイプ
- ミドルモデル
- マウント
- Nikon Fマウント
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センサーサイズ | フルサイズ(35.9×24.0mm) | APS-C(23.5×15.7mm) | フルサイズ(35.9×24.0mm) | フルサイズ(35.9×23.9mm) |
有効画素数 | 2,432万画素 | 2,088万画素 | 2,426万画素 | 2,450万画素 |
連続撮影速度 | 最高約6.5コマ/秒 | 最高約8.0コマ/秒 | 最高約6.0コマ/秒 | 最高約7.0コマ/秒 |
4K対応 | - | ○ | - | ○ |
手ブレ補正 | - | - | - | - |
撮影可能枚数 | 1230枚 | 950枚 | 900枚 | 2260枚 |
重量 | 750g | 640g | 760g | 755g |
発売年月 | 2014年09月 | 2017年06月 | 2013年10月 | 2020年01月 |
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センサーサイズ | フルサイズ(35.9×24.0mm) | APS-C(22.3×14.8mm) | フルサイズ(35.9×24.0mm) | APS-C(22.3×14.9mm) | フルサイズ(35.8×23.9mm) |
有効画素数 | 2,432万画素 | 3,250万画素 | 2,620万画素 | 2,420万画素 | 2,020万画素 |
連続撮影速度 | 最高約6.5コマ/秒 | 最高約10.0コマ/秒 | 最高約6.5コマ/秒 | 最高約7.0コマ/秒 | 最高約4.5コマ/秒 |
4K対応 | - | ○ | - | - | - |
手ブレ補正 | - | - | - | - | - |
撮影可能枚数 | 1230枚 | 常温(+23℃)約1860枚/低温(0℃)約1850枚 | 常温(+23℃)約1200枚/低温(0℃)約1100枚 | 常温(+23℃)約960枚/低温(0℃)約860枚 ※ストロボ50%使用時 | 常温(23℃)約1090枚/低温(0℃)約980枚 |
重量 | 750g | 619g | 685g | 650g | 755g |
発売年月 | 2014年09月 | 2019年09月 | 2017年08月 | 2016年03月 | 2012年11月 |
D810をメインに使っています。解像度が高く繊細な描写ですが、高画素機の特徴でもあるノイズの出方と手振れのしやすさはD750よりも劣るように思うので、三脚を使わない手持ちでの夜景撮影は高感度に強いとされるD750を使用することが多いです。
レンズはタムロンの15-30mm、ニコンの24-70mm、シグマの100-400mmをよく使います。