FUJIFILM GFX100RF

ラージフォーマットカメラをさらに身近なものに

フィルムカメラ時代において35mmフィルムよりも大きい中判フィルムに対応したカメラは、レンズや本体ユニットを交換するような本格的なものだけでなく、一眼レフタイプやレンジファインダータイプ、そして今回紹介するGFX100RFのようなレンズ一体型のものなど様々なタイプがリリースされており、もう少し身近な存在でした。

FUJIFILMこそがその筆頭メーカーで、GW・GSWシリーズといったレンズ一体型タイプを精力的するほか、2009年にはGF670プロフェッショナルという同じく一体型で折りたたみ式の中判カメラを限定生産するなど、非常に親和性の高いメーカーといえます。

GFX100RFは、そんなFUJIFILMの伝統を受け継いだレンジファインダースタイルのレンズ一体型カメラ。しかも基本スペックはシリーズ最高峰のGFX100S IIとほぼ同等、つまり約一億200万画素の画質をコンパクトカメラのように手軽に体感することができるのです。

レンズはスマートフォン搭載カメラやスナップカメラによく採用されている28mmとし、F値はF4。35mm判間隔では少々暗く感じるかもしれませんが、ラージフォーマットの広角域のレンズかつコンパクトの両立を考慮するとF4でも充分な明るさ。センサーサイズが大きい分ボケ具合も補填されています。

またレンズはこのカメラに合わせて新規開発されたもので、非球面レンズ2枚とナノGIコートも採用した贅沢構成。一体型ということで専用レンズとしてチューニングされているため、レンズ交換式よりもさらに洗練された画作りが期待できます。加えて4段分のNDフィルターを初搭載し、レンズシャッターを採用している点も見逃せません。

実はこのカメラにはボディ内手ぶれ補正が搭載されていません。でもこのレンズシャッターによって撮影時の挙動を最小限にし、低速時でもブレにくくなっています。また、レンズシャッターによってフラッシュの同調速度に制限がないので、フラッシュを使った様々な表現にも挑戦しやすいです。

ラグジュアリーで持ち出しやすい一台

近年のFUJIFILM製コンパクトデジタルカメラはLeicaを彷彿とさせる高級感のある仕上がりが特徴。今回のGFX100RFに関しても、軍艦部、底面プレート、絞りリング、ホットシューカバー、電池フタなどにアルミ削り出し素材が使われていて、見た目やダイヤル操作による手触りからも高級感が窺えます。

不要な要素を極力排除したシンプルな見た目に加えて、若干縦に長いフォルムが一般的なカメラとは異なる雰囲気を醸し出し、肩から下げて歩いていても撮影者としての主張がかなり軽減されます。重量は735g。レンズ付きのラージフォーマットカメラとしては破格の軽さで携帯性にも優れています。

スナップに優れた35mm判換算28mmという画角に加えて、最短撮影距離も20cmと近いのであらゆる撮影に対応。センサーサイズの大きさと圧倒的な画素数を活かして高画質のままさまざまなアスペクト比での撮影に挑め、そのためのダイヤルも備わっています。より映える画角を探りながら特別な一枚を追求してみてはいかがでしょうか。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 携帯性は非常によく、常にラージフォーマットでの撮影を楽しみたい人には間違いなく好まれる
• ボディ内手ぶれ補正のデメリットはほぼ感じない
• アスペクトダイヤルを駆使して景色を切り取る感覚は革命的な楽しさ
• 電池の保ちが良い
• ラージフォーマットで被写体に寄れるのは非常にありがたい

ラージフォーマットならではの画質をこんなにも手軽に体感できることに感動している人が多数。備え付けられているレンズの性能の高さもそれを引き立てているようです。

■ ネガティブレビュー

• ほかの機種以上に操作に慣れが必要
• シンプルがゆえにグリップ感は損なわれている
• 手ぶれ補正はやっぱり欲しかった
• 内蔵NDを使うと撮影に若干の影響がでる

FUJIFILM製カメラはメニューの並びや操作方法に若干クセがあるので、しばらくはギクシャクしてしまうかも。グリップ感が気になる人もいるようですが、取り回しの良い重量でそこまで気にならないという意見も多いです。

まとめ

デジタルカメラとなり車並みに高額だったラージフォーマットも徐々に安価になり、ついにレンズ一体型がラインナップする時代になりました。それでも決して安くはない価格帯ではあるので、購入には躊躇してしまうのですが、このカメラでしか得られない画作りを体感したい方、それを様々シチュエーションで活かしたいという方には非常にオススメです。