TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061) [キヤノンRF用]

TAMRONのAPS-C便利ズームがRFマウントに登場

CanonはRFマウントAPS-Cミラーレスカメラとして、2022年から2023年にかけてEOS R7、R10、R50、R100を立て続けに発売し、ラインナップを着実に拡充してきました。 ただし、キットレンズをはじめいくつかのRF-Sレンズは登場しているものの、選択肢としてはまだ十分とはいえません。

そこで新たな選択肢として登場したのが、TAMRONの「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」です。高倍率ズームレンズは価格やサイズを抑えて開発すると解像力が犠牲になりがちで、特に望遠側の描写が甘くなるのが一般的です。そのため純正メーカーはどうしても保守的な設計に留まる傾向があります。

一方で、TAMRONは一眼レフ時代から高倍率ズームの開発を積み重ねてきた実績があり、そのノウハウは純正メーカー以上といっても過言ではありません。今回の18-300mmもその技術が活かされ、ズーム全域で解像感を大きく損なうことなく高い描写力を実現しています。テレ端300mmでもしっかり解像し、大きなボケも楽しめる点は特筆すべきポイントです。

RAWデータでは歪曲収差が見られるものの、JPEGではデジタル補正によってほとんど気にならず、広角端ではハーフマクロ撮影も可能。テーブルフォトから望遠撮影までこなせる万能レンズといえるでしょう。さらに、鏡筒にはAF/MF切り替えスイッチとVC ON/OFFスイッチを搭載しており、本体側で操作できないカメラでも安心して使えます。APS-C機にはボディ内手ぶれ補正を持たないモデルも多いため、レンズ内手ぶれ補正（VC）の搭載は大きなメリットです。

RF純正レンズにはない絶妙な焦点距離

RFマウントではAPS-C用のズームとして「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」と「RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM」が用意されています。前者は広角18mmから中望遠までをカバーする便利ズーム、後者は55mmからフルサイズ換算336mmまでを担う望遠ズームです。

これに対し、18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXDは両者を1本にまとめたような存在です。210mm程度では子どものアップや小鳥の撮影には物足りなさが残りますが、300mm（換算480mm）ならしっかりと画角を引き寄せられます。より長い焦点距離を求めるなら本格的な超望遠レンズが必要になりますが、APS-Cで気軽に超望遠を楽しむならこのレンズが最適といえるでしょう。

また、広角端が18mmから始まるため、旅行や運動会などで近距離と遠距離の被写体が混在するシーンでもレンズ交換をせずに対応可能です。まさに「1本で完結させたいRFユーザー」のためのレンズです。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 手ぶれ補正のあるAPS-C望遠レンズが欲しかったのでちょうどよかった
• ズームリング、スイッチ類は安定の操作性
• 安くて手軽に持ち運べるズームレンズは評価が高い
• VXDは十分なAF速度で不満は全くない
• 一昔前の高倍率ズームとは全く異なる性能

単なる便利な旅レンズではなく、普段使いもできる高い画質に高評価が集まっていました。

■ ネガティブレビュー

• 個体差があるのか、AFの食いつきが悪い個体があるように思える
• F値がもう少し明るくなれば最高のレンズになりそう
• AFは純正より少し甘め
• APS-Cレンズとしてはちょっと重たい
• レンズを下に向けると自重で伸びてしまうのでロックは必須

社外製のレンズということでAFの速度精度がやや気になる性能となっているようです。

まとめ

フルサイズと並行して進化を続けるAPS-Cミラーレスですが、専用レンズの選択肢はまだ限られています。そんな中、TAMRONの18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXDは広角から超望遠まで1本でカバーできる希少な存在です。価格もフルサイズ用より抑えられており、入手性も良好。

2025年9月には従来のSony Eマウント、Fujifilm Xマウントに加え、Canon RFマウント、Nikon Zマウントにも対応し、各社のAPS-Cユーザーにとって非常に魅力的な選択肢となっています。