Nikon Z f

往年の名機の魅力を追体験できる最新ミラーレス機

Z fはその見た目通り、かつてのNikon製フィルムカメラNew FM2を彷彿とさせるデザインでまとめられた、いわゆるヘリテージモデル。こうしたコンセプトのデジタルカメラは、Nikonではこれで3機種目。

一眼レフ時代にDf、そしてミラレース時代にZfcと今回のZfがあり、いずれも往年の名機「New FM2」になぞったデザインとなっています。その理由は定かではないですが、New FM2自体、カメラ学校でのカメラとして採用されていたり、電池が無くても撮影ができる機械式カメラということで、メイン機としてだけでなく、サブ機として長く所有している人が多かった実績からモチーフにされたのではと想像します。

Zfはリリースの噂の時点から非常に注目度が高く、いよいよ往年のフィルムカメラとほぼ同等の使い心地が楽しめるデジタルカメラである可能性が高いという期待値からでしょう。一眼レフ時代のDfは、アナログダイヤルの採用や、ほぼすべてのFマウントレンズを使えるというレトロ機らしいコンセプトを持ち合わせていましたが、物理的な理由もあってかつてのフィルムカメラとは程遠いボリュームとなっています。

ミラーレスとなりボックスがなくなったぶん、フィルムカメラに近いサイズまで落とし込めたものの、ZfcはAPS-Cセンサー搭載機。Z fは数字通りの画角となる、待望のフルサイズセンサー搭載機となるわけです。

デザインも、グリップを廃したクラシカルなスタイル。軍艦部分にはダイヤルを設けてアナログ操作を楽しめるほか、ダイヤルを真鍮製にすることで質感再現にもこだわっているところもポイント。軍艦部分のレイアウトも無駄がなく、そこもフィルム機を彷彿とさせる要素となっています。

背面はしっかり現行機のそれとなっており、各ボタンを配し、タッチ操作可能な約210万ドットの背面液晶を採用。フォルムを乱すバリアングルタイプには賛否が分かれそうですが、汎用性はティルトよりも高いですし、裏返して畳み直せば背面液晶を無くしたレトロスタイルにする遊びも楽しめます。

高級機の証である丸型のファインダーというのも所有欲を高めてくれます。特に昔からのNikonファンにとっては重要なファクターといえるでしょう。EVFのスペックは約369万ドットと充分。もともと視認性の良さには定評があるので、撮影意欲も掻き立てられそうです。

撮影のモチベーションを後押ししてくれる機能が満載

持ち出したくなるデザインに合わせて、撮影が楽しくなるような機能が充実しています。例えばモノクロ撮影は切り替えを手元で瞬時に行えたり、用意されているプリセットも豊富。ポートレート撮影のための機能も強化されています。高解像度撮影が好きな人にはピクセルシフト撮影という機能が用意されており、文字通りピクセルシフトを行うことで2450万画素→約9600万画素の写真を取ることができます（NX Studioを使う必要有り）。

そんな中で見逃せないのが、ボディ内手ぶれ補正がシリーズ最高の8段分に加えて、世界初（2023年10月時点）のフォーカスポイントVR搭載機であること。フォーカスを合わせたあたりのブレを抑えてくれるという画期的な機能で、最高の瞬間の景色や表情を失敗写真で台無しにしてしまうことがかなり減らせそうです。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 見た目、質感ともに満足度が高い
• 見た目だけじゃない実用性の高いカメラ
• 実用的な性能と、先進の機能も搭載されているので長く愛用できそう
• バッテリーがZ5、６、７と共通で併用しやすい

見た目の満足度を上げる人が多数。きちんと実用性も考えた仕様が盛り込まれている点にも高評価をつけているようです。

■ ネガティブレビュー

• 想像や見た目に反して重め
• グリップ力に乏しい
• ユーザーセッティングができない
• デザインに合うレンズが少ない

スタイル的に致し方ない部分がピックアップされているという印象。使い方次第で解決できそうです。

まとめ

Nikon発のフルサイズヘリテージカメラ、Zf。往年のフィルム機種を使ってきたファンはもちろん、現役でフィルムカメラを嗜んでいる若年層をデジタルカメラへと誘う架け橋にもなりそうです。

ボディの革を別の5色へと張替えられるサービスもしているので、レトロスタイルにカラーリングをあしらって、オリジナルスタイルを追求した特別な一台を愛機にしてみるのもオススメです。