デジタル一眼を趣味の領域へと引き上げる名機
Canon EOS 80Dは、いわゆるEOS 2桁Dと呼ばれるシリーズのデジタル一眼レフ。
2桁Dは2003年のデジタル一眼黎明期にEOS 10Dが発売されましたが、数字を見て分かる通り、80Dは8代目のEOS 2桁Dとなります。2~3年といったペースで発売されることから、80D発売から3年後の2019年には噂通り90Dが発売されました。
Canonには人気のEOS Kissシリーズという初心者向けデジタル一眼シリーズがありますが、EOS 2桁Dはミドルクラスということで、EOS Kissシリーズからハイスペック機へ誘う役割があります。EOS Kissでデジタル一眼の楽しさを覚えたユーザーが、本格的な趣味とするためEOS 2桁Dを手にし、さらに高みを目指してハイスペック機を手にするという流れです。
そのためEOS 2桁Dは、プロ機と共通の機能やデザインを取り入れつつ、EOS Kissとの共通点もあり、価格と性能のバランスが良いカメラとなっています。
中でもEOS 80Dは、ちょうどデジタル一眼レフの新機能が出揃いスペック的にも天井が見え、開発競争が一段落したタイミングで発売されたことから、充実した性能となりました。このことが、3年経っても再ランクインする要因にもなっていると考えられます。
身内のライバルすら蹴落とす性能
EOS 80Dはミドルクラスということで、上下左右、身内にもライバル機が存在します。Canonのラインナップでいえば、7D Mark II、9000D、6D Mark IIは発売時期も近く、価格帯も似ていることから身内のライバルといえるでしょう。
製品 | Canon EOS 80D | Canon EOS 6D Mark II |
---|---|---|
価格 | 新品:117,999円〜 中古:55,980円〜 | 新品:174,249円〜 中古:109,800円〜 |
センサーサイズ | APS-C(22.3×14.9mm) | フルサイズ(35.9×24.0mm) |
有効画素数 | 2,420万画素 | 2,620万画素 |
連続撮影速度 | 最高約7.0コマ/秒 | 最高約6.5コマ/秒 |
4K対応 | - | - |
手ブレ補正 | - | - |
防塵・防滴 | ○ | ○ |
撮影可能枚数 | 常温(+23℃)約960枚/低温(0℃)約860枚 ※ストロボ50%使用時 | 常温(+23℃)約1200枚/低温(0℃)約1100枚 |
重量 | 650g | 685g |
発売年月 | 2016年03月 | 2017年08月 |
7D Mark IIは、Canon唯一のAPS-C高速連写レフ機ということでプロの使用も想定され、デュアルカードスロットやボディの堅牢性などで80Dをリードしていますが、80Dより2年前の発売ということで、画素数やバリアングル液晶非搭載といった点で旧世代感があります。
また、APS-C高速連写機の魅力である超望遠撮影は、80Dの連写速度が7コマ/秒と、7D Mark IIの10コマ/秒に及びませんが、テレコン使用時に重要となる開放F8でのAF測距点は、D80が27点と多くなっています。
価格も合わせて考えると、APS-C高速連写機を求める場合でも、7D Mark IIだけではなく80Dも選択肢に入れても良いといえるでしょう。
CanonにはEOS Kissと別に、上位機種を見据えたエントリー機としてEOS 4桁シリーズがあります。
EOS 9000Dは80Dの1年後に発売され、発売が後ということで映像エンジンが一世代新しいものとなっていますが、画素数は約2420万、45点のAF測距点やバリアングル液晶など、80Dに近い性能となっています。
しかし、この2機種を大きく分けるのがファインダーとバッテリー。9000Dはコストを抑えるためファインダーにペンタダハミラーを使っており、視野率は95%/倍率0.82倍ですが、対して80Dは上位機種と同様にペンタプリズムを使い、視野率100%/倍率0.95倍となっています。
ファインダーは撮影画像に直接影響ありませんが、レフ機では常に覗いて撮影するので、正確な構図作りや長時間の撮影では違いが出てきます。
また、バッテリーにも大きな違いがあります。
9000Dのバッテリーはエントリー機などで使われるLP-E17ですが、80DはLP-E6。LP-E6は撮影枚数でメリットをもたらす意外に、上位機種と同じバッテリーであるというメリットがあり、バッテリーがLP-E6の80Dは、将来的に上位機種を購入したときにサブ機として使いやすくなります。
6D Mark IIも80Dの1年後に発売され、しかもフルサイズ機ということで高感度、高画質。その点は80Dが及ぶべくもなく、さらに連写でも6.5コマ/秒と80Dに迫る性能です。
面白いのは両者がほぼ同じデザインという点。ボタン配置などはほぼ同じで、両者ともバリアングル液晶となっています。しかし、80DはAPS-C機ということで、画角やAF測距点のカバー率では望遠撮影や動体に強く、また、フルサイズ機と比較すると価格という点でもメリットが生まれてきます。
このように80Dは身内のライバル機と比較しても優れた点が多く、「Canonでとりあえず一眼レフを買うなら」と考えたとき、真っ先に名前が挙げられるカメラとなっています。
今となっては残念な、動画機としての80D
80D発売当初に最も注目を集めたのが動画機能でした。バリアングル液晶にデュアルピクセルAFの組み合わせは、一眼レフ動画を初心者でも手軽に、また、失敗も少なく撮影できるようにしてくれました。
80Dが一眼レフ動画を広めた機種といっても過言ではないでしょう。しかし、4K動画がマストとなった今のデジタル一眼動画では、フルHD60pまでしか撮影できないのは残念としか言いようがありません。写真機としては大きな欠点のない80Dだけに、動画の記録サイズには不満を感じてしまいますね。
画素数競争は一段落したデジタル一眼ですが、今後は動画記録サイズ競争が激化してきそうです。とはいえ、4K対応の大きなテレビで動画を見ない限りはフルHDでも問題なく、そもそも写真機としての評価には影響ありません。
おすすめレンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM & EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM」
EOS 80Dを使うときに強くおすすめしたいのが、ダブルズームキットで付属する2本のキットレンズ。キットレンズとしては18-135mmという、1本で広角から中望遠まで撮影できる便利ズームがありますが、80Dで使うなら断然ダブルズームキットの2本です。
なぜなら一眼レフでの撮影は、レンズ交換をしてこそ楽しみが広がるから。80Dを購入したのなら、まずは2本のキットレンズを使いこなしてみましょう。そしてキットレンズに飽きてきたら、超望遠レンズやマクロレンズ、超広角レンズ、単焦点レンズなどを買い足して、撮影の楽しみを広げていくと良いでしょう。
ユーザーレビュー
■ ポジティブレビュー
- Canonらしい発色の良い画質
- シャッター回数16万回まで耐えてくれたので満足の耐久性
- AFはファインダーでもライブビューでも十分な速度がある
- エントリー機とは一味違うシャッターフィールに満足
- 別売りでバッテリーグリップもあるので、本格撮影にも使える
ミドルスペックとは思えない、充実の機能に満足するユーザーが多いようです。
■ ネガティブレビュー
- 解像感が物足りない
- ダイヤルが2つしかないので、露出操作するときにダイヤルが足りない
- 連写時にすぐにバッファ切れを起こしてしまうので連写が続かない
- ISO感度が高くなるとノイズが目立ってしまう
- AF精度はNikon同クラスに比べると今ひとつ
やはり上位機種やフルサイズ機と比較してしまうとワンランク落ちてしまった点は否めず、物足りなさを感じるユーザーもいるようです。80Dに不満があるなら、ハイアマチュア機やプロ機へさらなるステップアップをするレベルにあるということでしょう。
まとめ
EOS 80Dはミドルスペック一眼レフとして、高次元でバランスのとれた1台です。かつてのミドルスペックは今ひとつ機能不足で、撮影ジャンルによっては得手不得手がはっきりと出てしまうことがありました。
しかし80Dには目立った苦手ジャンルはなく、一通りの撮影をこなすことができます。
一眼レフ撮影の楽しさを教えてくれて、自分が目指す撮影ジャンル探しを手伝ってくれる―80Dはそんなカメラといえるでしょう。
Canon EOS 80D / EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS USM
Canon EOS 80D / EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS USM
Canon EOS 80D / EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS USM
Canon EOS 80D / EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS USM
レンズマウント | |
---|---|
レンズマウント | Canon EFマウント |
撮像素子 | |
センサーサイズ | APS-C(22.3×14.9mm) |
有効画素数 | 2,420万画素 |
ダスト低減機能 | ○ |
映像エンジン | DIGIC 6 |
画像記録 | |
記録媒体 | SDカード
|
スロット数 | シングルスロット |
記録画素数 | L(ラージ):2400万(6000×4000)画素
|
画像ファイル | JPEG/RAW |
動画 | |
4K対応 | - |
記録サイズ | Full HD(1920×1080):59.94p
|
記録形式 | MOV/MP4 |
ライブビュー | |
フォーカス | デュアルピクセルCMOS AF方式 |
シャッター | |
シャッター速度 | 1/8000秒〜30秒 |
連続撮影速度 | 最高約7.0コマ/秒 |
露出制御 | |
測光方式/測光分割数 | 63分割TTL開放測光 |
ISO感度 | 100〜16,000 |
AF | |
測距点 | 最大45点 |
ファインダー | |
視野率 | 100% |
倍率 | 約0.95倍 |
ストロボ | |
内蔵ストロボ | ○ |
液晶モニター | |
サイズ | 3インチ 104万ドット |
可動式 | バリアングル液晶 |
I/F | |
インターフェース | miniHDMI、USB2.0 |
無線LAN | |
Wi-Fi機能 | ○ |
ネットワーク | |
NFC | ○ |
Bluetooth | - |
防塵・防滴 | |
防塵・防滴 | ○ |
手ブレ | |
手ブレ補正機構 | - |
GPS | |
GPS | - |
電源 | |
撮影可能枚数(ファインダー) | 常温(+23℃)約960枚/低温(0℃)約860枚
|
撮影可能枚数(ライブビュー) | 常温(+23℃)約300 枚/低温(0℃)約270枚
|
動画撮影可能時間 | 常温(+23℃)合計約1時間50分/低温(0℃)合計約1時間40分 |
USB充電 | - |
使用電池 | 充電式リチウムイオン電池LP-E6N |
サイズ・重量 | |
サイズ | 約139.0(幅)×105.2(高さ)×78.5(奥行)mm |
重量 | 650g |
発売日 | |
発売日 | 2016年03月25日 |
製品情報
- カテゴリ
- デジタル一眼レフ
- メーカー
- Canon
- タイプ
- ミドルモデル
- マウント
- Canon EFマウント
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Canon EOS 80D | Canon EOS 6D | Canon EOS 90D | Canon EOS 6D Mark II | |
価格 | 新品:117,999円〜 中古:55,980円〜 | 新品:110,800円〜 中古:44,000円〜 | 新品:118,500円〜 中古:75,573円〜 | 新品:174,249円〜 中古:109,800円〜 |
センサーサイズ | APS-C(22.3×14.9mm) | フルサイズ(35.8×23.9mm) | APS-C(22.3×14.8mm) | フルサイズ(35.9×24.0mm) |
有効画素数 | 2,420万画素 | 2,020万画素 | 3,250万画素 | 2,620万画素 |
連続撮影速度 | 最高約7.0コマ/秒 | 最高約4.5コマ/秒 | 最高約10.0コマ/秒 | 最高約6.5コマ/秒 |
4K対応 | - | - | ○ | - |
手ブレ補正 | - | - | - | - |
撮影可能枚数 | 常温(+23℃)約960枚/低温(0℃)約860枚 ※ストロボ50%使用時 | 常温(23℃)約1090枚/低温(0℃)約980枚 | 常温(+23℃)約1860枚/低温(0℃)約1850枚 | 常温(+23℃)約1200枚/低温(0℃)約1100枚 |
重量 | 650g | 755g | 619g | 685g |
発売年月 | 2016年03月 | 2012年11月 | 2019年09月 | 2017年08月 |
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センサーサイズ | APS-C(22.3×14.9mm) | フルサイズ(35.9×24.0mm) | フルサイズ(35.9×24.0mm) | APS-C(23.5×15.7mm) | フルサイズ(35.9×23.9mm) |
有効画素数 | 2,420万画素 | 2,426万画素 | 2,432万画素 | 2,088万画素 | 2,450万画素 |
連続撮影速度 | 最高約7.0コマ/秒 | 最高約6.0コマ/秒 | 最高約6.5コマ/秒 | 最高約8.0コマ/秒 | 最高約7.0コマ/秒 |
4K対応 | - | - | - | ○ | ○ |
手ブレ補正 | - | - | - | - | - |
撮影可能枚数 | 常温(+23℃)約960枚/低温(0℃)約860枚 ※ストロボ50%使用時 | 900枚 | 1230枚 | 950枚 | 2260枚 |
重量 | 650g | 760g | 750g | 640g | 755g |
発売年月 | 2016年03月 | 2013年10月 | 2014年09月 | 2017年06月 | 2020年01月 |