Canon EOS R6 Mark III

RFの「6」は隙のない万能機へと進化

EOS R6シリーズはそのバランスの良さから多くのフォトグラファーに支持されてきました。かつて一眼レフでは「EOS 6D」がフルサイズ入門という位置づけでしたが、ミラーレスのR6シリーズは幅広い撮影に対応する“万能機”として存在感を強めています。2025年登場のEOS R6 Mark IIIはその系譜を受け継ぎつつ、画質・スピード・操作性すべてにおいて着実な進化を遂げたモデルです。

その中心となるのが新開発の有効約3,250万画素CMOSセンサー。従来機R6 Mark IIの約2,420万画素から大きく高画素化され、風景や商品撮影など細部描写が求められるシーンでも高精細な表現が可能になりました。自然光下では葉の質感や空気感まで丁寧に描き出し、臨場感のある絵作りを楽しめます。

高画素化に伴う高速連写や高感度耐性の低下が懸念されるところですが、R6 Mark IIIは電子シャッターで最大40コマ/秒の高速連写を実現。さらに“プリ連続撮影”にも対応し、シャッターを押す前の瞬間から記録できるため、決定的瞬間の捕捉率が飛躍的に向上しました。AFも人物・動物・乗り物などを自動識別する被写体検出AFがさらに精度を増し、特に「登録人物優先AF」によってポートレート撮影での信頼性が高まっています。

動画面の進化も見逃せません。7Kオーバーサンプリングによる高精細4K記録に加え、Log撮影・HDR PQにも対応。動画ボタンの大型化やCFexpress Type Bスロットの追加など、操作性と記録安定性も向上し、スチール・ムービー双方を手がけるハイブリッドクリエイターにとってより心強いツールとなりました。

さらに操作面では、従来シリーズの扱いやすさを残しながら、グリップ形状やボタン配置が最適化され、EVFやバリアングル液晶の視認性も向上。バッテリー性能や放熱設計も改善され、長時間の撮影でも安心して使える信頼性を獲得しています。静止画・動画両面で高いパフォーマンスを発揮するEOS R6 Mark IIIは、プロからハイアマチュアまで幅広い層に応える万能機と言える仕上がりです。

気になるライバル機との比較

EOS R6 Mark IIIが属する「万能型」フルサイズミラーレスの領域は、SONY α7シリーズが普及の起点を作った最激戦区です。Canonだけでなく、SONY・Nikonが激しく競い合うカテゴリーでもあり、R6 Mark IIIのライバルはNikon Z6III、SONY α7 IVが相当します。それぞれがミドルクラスの主力モデルとして高く支持されており、どんなユーザーに向くのか比較しながら整理します。

まず画素数では、R6 Mark IIIは約3,250万画素の新型CMOSを搭載し高画素化を果たしました。ほぼ同等のα7 IVは約3,300万画素のセンサーを採用し、ダイナミックレンジや色再現性に優れています。一方のZ6IIIは約2,450万画素と控えめながら、部分積層型センサーによる高速読み出しや高感度性能が強みです。

AF性能では、R6 Mark IIIが登録人物優先AFや被写体検出の精度向上で動体への強さを獲得。最大40コマ/秒という圧倒的な連写も魅力です。Z6IIIは14コマ/秒のメカ連写と優れた動画AF追従に加え、RAW動画内部収録にも対応し動画志向のユーザーに好相性。α7 IVは10コマ/秒と控えめながら、リアルタイムトラッキングAFの信頼性が高く、ポートレートやスナップで強みを発揮します。

動画性能では、R6 Mark IIIが7Kオーバーサンプリング4K記録に対応し、HDR PQ・Log撮影などハイブリッド運用に適した設計。Z6IIIは6K60p・4K120pに加えProRes RAWやN-RAW内部収録まで備え、動画制作現場でもそのまま通用する仕様です。α7 IVも4K60pや10bit 4:2:2記録、S-Cinetone対応など、映像美を突き詰められるスペックを備えています。

操作性では、R6 Mark IIIがシリーズ伝統の扱いやすさを継承しつつ、細かな改良を積み重ねています。Z6IIIは上部情報表示パネルを備えたプロ機に近い操作感が特徴。α7 IVはカスタマイズ性が高く、動画・静止画切り替えスイッチなど、多様なワークフローに応えられる設計となっています。

総じて、R6 Mark IIIは静止画と動画を両立したいユーザー向き、Z6IIIは動画志向や堅牢性を重視するユーザー向き、α7 IVは画質と豊富なレンズ資産を生かしたいユーザー向きと言えます。三者とも“万能機”ではあるものの、SONYはスペック特化、Nikonは信頼性特化、Canonはバランス型というメーカーらしさが際立つ構図です。

R6 Mark IIIが活躍する撮影シーンとおすすめレンズ

EOS R6 Mark IIIはオールラウンドな性能を備えているため、風景、ポートレート、動画撮影など幅広いジャンルで高いクオリティを発揮します。その中でも特に注目すべきは、これまでやや弱点とされてきた“動体撮影”での劇的な進化です。

かつての6シリーズは連写性能が控えめで、風景や人物撮影には適していたものの、スポーツや野鳥撮影ではやや苦戦する場面もありました。しかしR6 Mark IIIは電子シャッターで40コマ/秒という高速連写を実現し、スポーツ・野鳥・航空機・モータースポーツなど高速被写体にも本格的に挑めるカメラへと変貌しました。プリ連続撮影により、シャッターを押す前の一瞬も確実に記録できる点も大きな魅力です。

高精度AFも動体撮影の強力な武器となります。人物・動物・乗り物の自動検出に加え、野鳥撮影では複雑な背景でも被写体の目や頭部をしっかり捉え、枝の合間を飛ぶ小鳥でも正確にフォーカスを維持します。

こうした動体性能を最大限に生かすレンズとして最適なのが RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM です。広いズームレンジと高い描写力、5段分の手ブレ補正を備え、手持ちでもシャープな画像を得られる一本。500mmながら全長約207mm・重量約1.5kgと扱いやすく、約699gのR6 Mark IIIとの組み合わせもバランスがよく、プロの現場にも対応できる実力を備えています。

動体撮影の世界に本気で踏み込みたいユーザーにとって、EOS R6 Mark IIIとRF100-500mmの組み合わせは強力な相棒となるでしょう。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 高画素化で、商品撮影でも使えるようになった
• CFexpress Type Bが使えるので上位モデルとの互換性が高まった
• フルサイズHDMI端子が採用されて外部モニターとの接続もしやすくなった
• 性能アップで価格据え置きは嬉しい
• 高速連写とプリシャッターで動きものでも撮影しやすい

細部まで性能向上され、なおかつ価格アップも少ないという点に多くの高評価が集まっていました。

■ ネガティブレビュー

• 従来機も決して軽くはなかったが、さらに重量アップしたのはいただけない
• グリップが太く、手の小さい人には不向きかも
• ファインダーは上位機種とくらべるとやや見劣りする
• メカシャッターは音が大きい
• R5との境界線がやや曖昧になってきている

上位モデルとの性能差が縮まったことで、オリジナルな特徴が曖昧になってきている部分があるようです。

まとめ

EOS R6 Mark IIIは、3,250万画素の高解像度と40コマ/秒の高速連写、進化した被写体認識AFを兼ね備えたフルサイズミラーレスです。風景・ポートレート・動体・動画撮影まで幅広い用途に応え、7Kオーバーサンプリング動画やCFexpress対応などプロユースに必要なスペックも網羅。従来機と同サイズながら内部構造を強化し、操作性と信頼性を高めています。静止画と動画をバランス良く扱いたいフォトグラファーにとって、非常に完成度の高い一台と言えるでしょう。