FUJIFUILM GF55mmF1.7 R WR

目の前の光景を美しいボケ味とともに写真に残せるレンズ

35mm換算44mmという焦点距離に、なんだか中途半端さを感じてしまいますが、FUJIFILMやHASSELBLADが展開しているラージフォーマットカメラには大きな意味合い持ち、43.8mm×32.9mmのセンサーの対角線と同じ焦点距離、つまり、見た雰囲気をそのまま写真に残ることができるレンズというわけです。

また、フィルム時代における中判カメラの6✕6と、標準域単焦点レンズ80mmとの組み合わせがまさに35mm換算44mmという画角。アスペクト比は違いますが、往年の中判カメラのような使い心地が堪能できるレンズというのもポイントではないでしょうか。

開放F値が1.7というのも特筆すべき要素です。ここまで明るいレンズは同FUJIFILMのGF80mmF1.7 R WRくらいしかありません。センサーサイズが大きい分F2.8〜4であっても、フルサイズ用の明るいレンズに匹敵するボケ味を充分堪能できますが、F1.7となればこれまでにない絵づくりを目の当たりにすることができます。

それに際して、ボケ味にもこだわっており、描写性能のために非球面レンズを採用しながら球面収差をコントロールして、美しいボケの輪郭も追求。GFレンズとしては初めて11枚円形絞りを採用しているので、絞り値に左右されることなく光源の円形ボケを生み出すことができます。

それ以外にも、単純にF値が稼げるというのも大きなメリットで、これによって標準レンズらしい汎用性の高い使い方にも貢献。ミラーレスタイプのラージフォーマットカメラは、かつての中判カメラよりも遥かにボディが小さく、手ぶれ補正も付いているので、GF55mmF1.7 R WRと組み合わせればより手軽な手持ち撮影を楽しむことができます。

ハイレベルな常用レンズを意識した製品仕様

非球面レンズとEDレンズを盛り込むことで、高い描写性能を実現。色収差をしっかり抑え、平滑で高精細な絵作りを可能としています。レンズ群の駆動にDCモーターを搭載し、インナーフォーカス方式を採用。静かでスピーディーなピント駆動となっています。加えて、防塵防滴性能も備わっているため、天候に不安がある中でも臆することなく本レンズのポテンシャルを発揮させることができます。

長さ99.3mm、重さ780g。標準レンズの GF63mmF2.8 R WRと比べると大きく、重さに至っては倍近いですが、F1.7という破格の明るさを考慮すれば10cm以下の長さは脅威的ですし、重さも充分軽いといえます。フィルター径も77mmに留めてあるため、フィルターワークが比較的し易い部類といえそうです。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 解像度の高さとクリアな描写で、凄みのある写真が簡単に撮れてしまう
• 本体とのバランスの良いボリューム
• スペックを考えると充分軽いレンズ
• MFでのピントリングの動きは上質でピント合わせしやすい
• ボケの美しさが素人目でも明らか

完成度の高さを物語っている評価が多数。ライバルレンズとの差異から懸念されていたボリューム感への不満はほとんど見られませんでした。

■ ネガティブレビュー

• コンティアンスAFでAFが迷いがち
• もう少し寄れると良かった

同系統の80mm F1.7からの改善は見られたAFですが、まだ物足りないといった評価。若干広角寄りな焦点距離を考えると、最短50cmは確かに物足りない近接性能かもしれません。

まとめ

ワンステージ上の常用レンズとなりうるGF55mmF1.7 R WR。同時に発売されたGFX100IIのファインダー倍率は1.0倍、944万ドットの高倍率・高精細のEVFとなっており、このレンズにマッチしたスペックとなっているので、ぜひ組み合わせて、レンズを通して覗く世界を堪能してみてください。