Canon RF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STM

沈胴式を採用して超コンパクトになった超広角ズームレンズ

RF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STMの第一印象はなんといってもそのコンパクトさです。EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STMと比較するとそのコンパクトさは一目瞭然で、フィルター系は約20mm小さくなり、全長は約40％縮まりました。

これは、イメージセンサーに近い側のレンズ、後玉に最も大きなレンズを採用したことによるもので、それによって全体的な径を抑えています。全長は、レンズ使用時に鏡筒が伸びる沈胴式を採用したことで、レンズを使用しないときは従来の広角ズームレンズと比較して限りなく短くすることに成功しました。

レンズがコンパクトになると、気になる光学性能ですが、この価格帯のレンズとしては文句なしの光学性能という評価となっています。EF-S 10-18mmと比較すると、RF-S 10-18mmはテレ端での開放F値が6.3とやや暗くなっていますが、その分、広角側でも望遠側でも画面全域で均質な解像力が発揮できる性能となっています。

広角レンズは、画角が広いので画面の周辺に行くほど解像力が落ちてしまうという現象がどうしても起こりますが、RF-S 10-18mmはその現象が極力抑えられていてそれが光学的な高い評価に繋がっています。

広角レンズの光学的な評価ポイントとしては、周辺減光や歪曲収差もよくあげられますが、こちらはデジタル補正によってほぼ完璧に抑えられます。補正なしでも、減光や歪曲が他の広角レンズと比較して極端にひどいというわけではなく、コンパクトなレンズでありながら光学的にも大きな妥協点なく作られたレンズとなっています。

RFマウントでの広角撮影入門やVlog撮影に最適のレンズ

CanonのAPS-Cセンサーサイズを採用したRFマウントカメラはRF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STM発売時点で、EOS R7、EOS R10、EOS R50、EOS R100があります。

この中でも、EOS R50とEOS R100は一眼レフ時代のEOS Kissを彷彿とさせるコンパクトさがウリのカメラであり、この２機種にRF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STMを装着するとかなりコンパクトな撮影セットが出来上がります。

一眼レフと似た形状のペンタプリズム部に電子ビューファインダーを持つミラーレスカメラは、一眼レフと比較するとコンパクトではありますが、そこまで大きな差は出ません。現に、EOS R100と一眼レフのEOS Kiss X90を比較すると、大きさで縦横幅それぞれ10mm、重量で100ｇほどミラーレスが小さい程度です。

しかし、ここにRF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STMとEF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STMのサイズ差を加えると、一眼レフのそれと比較するとレンズ全長を含めた奥行きでは35mm以上短くなり、重量は200g以上軽くなります。軽量コンパクトなRF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STMの登場によって、RFマウントでの広角撮影では、超軽量なレンズとカメラのセットが選択肢の一つとなりました。

またEOS R50やEOS R100はボディ内手ぶれ補正非搭載のカメラなので、RF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STMにはレンズ内手ぶれ補正がちゃんと搭載されているということも大きなポイント。ミラーレス一眼はボディ内手ぶれ補正が搭載されている機種が多いので、レンズ内手ぶれ補正非搭載レンズも多くなっていますが、RF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STMはレンズ単体で最高4.0段分の手ぶれ補正効果があります。ボディ内手ぶれ補正搭載機種では協調制御で6.0段分の効果が得られ、動画電子IS搭載機種でも協調制御が得られます。

動画撮影という点でいうと、RF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STMは、自撮り撮影に最適な画角で、軽量であることから片手で保持しての撮影や、長時間カメラを持って撮影することもしやすく、動画向きのレンズといえます。リードスクリュータイプの静音で滑らかなAFや、フォーカシングによる画角の変化を抑えるフォーカスブリージング補正にも対応していて、Vlog撮影でも活躍するレンズです。

愛用者のコメント

RF-Sレンズ初の広角レンズ。以前から10mmのレンズ(APS-C換算で16mm相当)が欲しくて、今回購入を決断しました。率直な感想としてはさすがは広角レンズ。とても広く映ってくれて、大きな被写体をスッポリ写真の中に収まります。それだけでなく、奥行感や立体感など今までとはまた違う写真を撮ることができ、さらにカメラが楽しくなりました。サイズ感もコンパクトでなおかつ軽量なレンズなので、持ち運びもとても楽です。

また、イメージスタビライザー(IS)が搭載されており、写真はもちろん、動画撮影においてもその力を発揮してくれます。

今回このレンズを購入したことで、表現の幅が広がり、大変満足しています！ここ最近毎日持ち歩いています。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 樹脂メインの鏡筒でも、全体の作りはしっかりしている
• 各種収差はカメラ補正でほぼ完璧に補正されるので気にならない
• 最短撮影距離が短く、ハーフマクロ的な撮影もできる
• AFは申し分ない速度で不満に感じることはない
• 広角撮影をちょっとしたいなというときに手軽な選択肢となってくれる

価格と性能のバランスが良く、使い勝手のよいレンズとして高評価が集まっています。

■ ネガティブレビュー

• 軽量レンズだから大丈夫とは思うが、プラスチック製マウントが不安
• 暗めのレンズなので光量が少ないシーンでは制限がかかる
• AF/MF切り替えスイッチがない
• 最短撮影距離近辺では歪曲収差が強く、補正しきれない場合がある
• RAWでの歪曲が目立つのが残念

テレ端の開放F値がやや暗めという部分が、以前からカメラを使っている人にとってはネガティブ評価の部分になっています。

まとめ

続々と発売されるAPS-Cセンサーを搭載したEOS Rシリーズのカメラ。APS-CセンサーのEOS Rシリーズでも、フルミラと同じRFマウントということでフルサイズ用RFレンズがそのまま装着できるのですが、なるべく安く手に入れたい、手軽に使いたいとなるとAPS-C専用のRF-Sレンズの選択肢が欲しくなります。

RF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STMはそんな声に応えるレンズで、超広角ズームでありながら、扱いやすいコンパクトサイズで、価格もかなり抑えられておりフルサイズ用RFレンズと比較するとかなり手にしやすいレンズです。

RFマウントカメラの可能性をさらに広げるレンズがRF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STMです。