Panasonic LUMIX S 100mm F2.8 MACRO

世界最小にして最軽量の等倍マクロレンズ

特定のマウントで撮影機材を揃える際、まずはズームレンズで自分に必要なレンジをカバーし、その後、ズームレンズでは対応しきれない部分、例えば表現や明るさに関わってくるF値や、近接や超望遠といったよりピーキーなレンジをカバーするために単焦点レンズを加えていくという流れが一般的で、その筆頭にあがるのがマクロレンズ。だからこそ、どのマウントにも比較的早めにマクロレンズがラインナップされるものなのですが、Sシリーズにおいてはスタートからおよそ5年と、ずいぶん遅れての登場となりました。

リリースまでに期間を擁した理由は定かではないですが、既存のズームレンズの中にはハーフマクロまでカバーできるものなど、近接性能に優れたものが多いというのもあるのかもしれません。とはいえ、等倍までクローズアップできる本格派マクロレンズは代えがたいものなので、ユーザーには待望のレンズといって間違いはないでしょう。

待たせた分、他にはない仕様となっており、なにより小さくて軽いです。100mm F2.8 MACROが長さ8.2cm、重さ約298gに対し、NikonのNIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR Sは長さ14cmで重さ約630g、CanonのRF100mm F2.8 L MACRO IS USMは長さ14.8cmで重さ約685g。それぞれ若干の焦点距離の違いや、等倍以上の撮影が可能などの性能差はありますが、100mm F2.8 MACROが破格のボリュームを実現していることは間違いなく、中望遠マクロレンズにおいて、世界最小・最軽量のレンズとして謳っています。マクロレンズ自体、仕様を大きく変えるようなことのないレンズなので、この称号はしばらく持ち続けるでしょう。

製品	Panasonic LUMIX S 100mm F2.8 MACRO	Nikon NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S	Canon RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
価格	新品: 119,500円 中古: 91,240円	新品: 107,784円 中古: 101,800円	新品: 172,080円 中古: 135,480円
焦点距離	100mm	105mm	100mm
F値	F2.8〜22.0	F2.8〜32.0	F2.8〜32.0
最短撮影距離	20.4cm	29.0cm	26.0cm
絞り羽根枚数	9枚	9枚	9枚
重量	298g	630g	730g
発売日	2024/02/15	2021/06/25	2021/07/15

表は左右にスクロールできます

この小型化は、SシリーズにおけるスタンダードカメラであるS5のサイズ感にもマッチしているほか、F1.8の単焦点シリーズとも同サイズで重心バランスも同じなので、管理しやすく使いやすいです。絵作りも統一されており、システムに組み込んでも撮った写真に差異が出にくいという特徴もあります。

マクロレンズとしてだけでなく、中望遠単焦点レンズとしても使える表現力

どちらかといえば高精細なパキッとした描写力が重視されるマクロレンズですが、100mm F2.8 MACROについてはLUMIXらしい美しい絵作りも持ち合わせているため、中望遠レンズとしても充分力を発揮してくれます。例えば、ポートレートに使えば肌の質感を出しつつ、背景をいい具合と風合いでボカしてくれたり、テーブルフォトでもキャッチーな料理の写真を取ることができるでしょう。

軽量コンパクトな機動性の高い仕様に加えて、防塵防滴性能も施されているので、屋内・外関係なく気軽に持ち出すことが可能。フォーカス時に画角が変化してしまうブリージングの抑制や、フォーカスリングのリニア／ノンリニア設定の切り替えが可能など、動画向けの機能しっかり備わっているので、動画ユーザーにも安心です。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 驚異的なコンパクトサイズ
• 切れ味鋭いというわけではない、LUMIXらしい描写性能
• フォーカスリミッターが便利
• いい意味で期待を裏切る映り

コンパクトさとレンズ設計からとは打って変わっての映りと表現力に驚いている声が多数。小型軽量にも称賛の声が上がり、Sシリーズのランクを上げるレンズという評価も。

■ ネガティブレビュー

• フリンジが目立つシーンも
• ボケ表現は通常の単焦点には劣るところもある
• 逆光に弱い

マクロ撮影以外では、通常の単焦点に比べると劣るところもあるようですが、おおよそ及第点。ボケ味はマクロレンズとしてはきれいだという評価もみられました。

まとめ

脅威の小型軽量マクロレンズLUMIX S 100mm F2.8 MACRO。システムとしても唯一無二の等倍撮影の可能な本格マクロレンズなので、いつかは持っておきたいマストバイなレンズといえます。中望遠もカバーできるフレキシブルさを考慮して、最初の単焦点レンズとして導入してみてはいかがでしょうか。