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Carl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8
M42マウント
1976/01/01発売
通常の視覚よりも広範囲を写し込める広角レンズ。その特性から、建築物や風景撮影には必須ともされるレンズですが、特に焦点距離が28mm未満のレンズは「超広角」や「スーパーワイド」と呼ばれています。近年では、超広角ズームの普及で、単焦点の超広角レンズを手に取るユーザーは減少傾向かと思われますが、単焦点超広角のオールドレンズには、魅力的なレンズが多数存在します。今回はその中でも“銘玉”の評価も高い、Carl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8をご紹介致します。
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「オールド・スーパーワイド」の魅力が詰まった一眼レフ用超広角単焦点レンズの傑作
Carl Zeiss Jena Flektogon
Flektogonは旧東ドイツの光学メーカー「Carl Zeiss Jena※」による一眼レフ用広角レンズシリーズの名称です。
一眼レフ用の交換レンズは、リターンミラーの動作スペースに相応するバックフォーカスを確保する必要から、Zeissにとって広角系の交換レンズにBiometarやBiogon等の構造を用いることは、不可能な選択でした。そこで、Carl Zeiss Jena は1949年頃からレトロフォーカス※タイプの広角レンズの研究・開発を進め、まず、1953年には35mmF2.8、続いて1956年に25mmF4が登場し、1961年には20mmF4を市場に投入します。
これらのレンズには“Flektogon(フレクトゴン)”のシリーズ銘が与えられ、こうしてCarl Zeiss Jenaのレンズラインナップにレトロフォーカス型一眼レフ用広角レンズ群が加わりました。
少し余談となりますが、同様の経緯で西側Carl Zeissも一眼レフ用広角レンズの開発を進め、こちらは“Distagon(ディスタゴン)”の銘で1963年より市場に投入されています。
話は戻り、Carl Zeiss Jena は、1976年にFlektogon 20mmF4に大口径化とレンズをマルチコーティング化する改良を施し、 ここに“Carl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8”が誕生します。この後、Carl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8は約15年に渡って生産され、1990年の東西ドイツの統一の翌年に生産を終え、これ以降“Flektogon”の銘を冠するレンズはZeissからリリースされる事無く現在に至っています。
※「Carl Zeiss Jena」については“Carl Zeiss Jena Tessar 50mmF2.8”の記事に、また「Flektogon」シリーズや「レトロフォーカス」については“Carl Zeiss Jena MC Flektogon 35mm F2.4”の記事でも解説を行っております。
西側に輸出されたFlektogonと西側ZeissのDistagon
少し意外な気もしますが、Flektogonシリーズに限らず、東ドイツのCarl Zeiss Jena製品は、東側諸国に限らず、当時の西ドイツを始め、冷戦下に於ける西側諸国にも輸出されています。
“Carl Zeiss Jena MC Pancolar 50mm F1.8”の記事でも触れましたが、Flektogonに刻まれている「DDR」の文字は、Deutsche Demokratische Republik(ドイツ民主共和国(旧東ドイツ))の略で、FlektogonやPancolarのような、西側製品に対しても競争力の有る製品にDDRの文字を刻むことで、社会主義体制下での東ドイツの技術力の高さをアピールし、また東ドイツ自身の国威発揚といった意味も込められているのかも知れません。
Flektogon20mmの場合、西側諸国へは生産年の関係から最小絞り値がF4の旧タイプが多く流通した模様ですが、無論1976年に登場したCarl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8も輸出されています。
この1976年前後の状況で一つ興味深い点が、MC Flektogon 20mm F2.8が発売される前年となる1975年、西側ツァイスでは、日本のヤシカとの協業で、新たな35mm一眼レフ製品となるRTSシステムを発表しており、この時のレンズラインナップ(俗にAEシリーズと呼ばれるモデル)の超広角レンズ群は15mmF3.5、18mmF4、25mmF2.8と、何故か“20mm(もしくは21mm)F2.8”のゾーンが抜け落ちているという点です。
とは言え、当時の水準からすると、驚異的なスペックと思わせる28mmF2といったモンスターレンズも用意されましたが、この“20(21)mmF2.8”ゾーンを埋めるレンズは1984年のDistagon 21mmF2.8(MM)の登場まで時間を要しました。
この21mmはDistagonのセールスポイントである、コンピューターを積極的に利用した当時最新の設計のみならず、硝材に異常低分散ガラスを使用する事で、自身以前の広角レンズをまるで過去の産物としてしまう程の圧倒的な描写性能を持つ高性能なレンズでした。その一方で、機動性に欠ける中望遠レンズのような長い鏡筒と、それに伴う重量は、西側ツァイスらしからぬスマートさに欠けたレンズという印象も拭えず、この部分は現代でも評価が分かれる模様です。
これらの経緯について、一つの想像に過ぎませんが、西側Zeissにとって、20(21)mmF2.8のラインでレンズを発売するにはFlektogonの存在が大きくのしかかっていたのではないでしょうか。これには、1976年から1984年という8年間という異例にも感じる長期の製品ラインの空白期間を、西側Zeissが無策のままにやり過ごすとはとても思えないからです。
実状は、単に開発に手間取ったからだとしても、当時最新の設計技法を駆使し、贅沢なガラス素材を用いて、ユーザビリティを犠牲にしたかのような重量感のある製品を8年もかけた上で敢えて市場に投入してまで、描写性能に特化した21mmを展開したのは、何が何でもZeiss JenaのFlektogonを超えるレンズを開発し、西側Zeissの技術力の高さを誇示したかった…少し考え過ぎでしょうが、Carl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8というレンズは、そこまで思わせてくれるのに充分な性能を示した銘作レンズでした。
そのような強力なライバルが登場した後もCarl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8は生産されましたが、先述の通り1991年をもって生産を終えました。
オールド・スーパーワイド 対 現代超広角ズーム
これまで、オールドレンズとしてのCarl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8を解説してきましたが、描写性能をMTF曲線等を用いて現代の超広角ズームと比較すると、現代レンズに軍配が上がるのが正直なところです。
ただ、これはCarl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8の描写に難が有るのでは無く、約50年前の設計という点を差し引いたとしても、決して現代レンズに引けを取らない名レンズに違いないと思います。
なにやら意図的に矛盾を含めた表現でお茶を濁したかのようですが、Flektogonに限らず、オールドレンズの銘玉とされるレンズの多くは、設計手法上、光学的な弱点を認識した上で、程々の妥協点を見出し、それを結像上では目立たせず、最終的にユーザーが満足する描写に“持っていく”ように製品化が行われた事に対して、現代のレンズはその弱点に真正面から挑み、最新技術を駆使し、“弱点をねじ伏せる”かのような設計手法が採られており、厳密な「正確さ」や「写実性」という点に於いては現代レンズに軍配が上がるが、ユーザーを満足させる描写性能はオールドレンズでもしっかりと持ち合わせている…といったニュアンスで捉えていただければ幸いです。
例えるなら、オールドレンズが“多彩な変化球投手”、現代レンズは“ストレート主体の剛速球投手”のようなイメージでしょうか。どちらも被写体やユーザーに対して画質に満足感を与える“三振”という結果を奪う“名投手”ですが、それに至るプロセスが違うといった感でしょう。
勿論、オールドレンズの場合、この弱点は撮影手順や条件によって、大きく目立ってしまう事も起こり得るのですが、これを逆手に取ったオールドレンズにしか出来ないアプローチが現代レンズには無い魅力の一つとも言えるでしょう。
以下の章では、この辺りについて、考えてみたいと思います。
Carl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8での近接撮影
あくまでも一つの目安に過ぎませんが、単焦点レンズの最短撮影距離は、その焦点距離(mm)の数値を(cm)に置き換えた値が近いと言われています。
例えば、20mmのレンズなら、20cmに、100mmのレンズなら1m(100cm)といった具合です。それを基準に、実際のレンズがその目安よりも「寄れる」場合、接写性能を有しているとされる訳です。
これをCarl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8に当てはめると、「20cm」の値が導かれますが、Flektogonの最短撮影距離は19cmが確保されています。たかが、1cm…といった気もしますが、特に超広角レンズでは最短距離ギリギリまで寄った場合、意外とこの1cmがファインダー内の景色をガラリと変える役割を果たします。
ここで、一つ気を付けたいのは、特に「オールド・ワイド」の場合、寄れば寄るほど広角特有の湾曲収差が目立つ傾向に有り、これはCarl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8にも当てはまるのが実状でしょう。
こうなると、現代の超広角ズームは近距離で撮影した場合でも良好に収差が補正され写実性に優れているレンズが多く、わざわざCarl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8のような「オールド・ワイド」を選ぶ理由が少なくなるような気がしてしまいますが、果たしてそうでしょうか。
次は作例を交えながら、フレクトゴンの描写に迫りたいと思います。
作例を交えて
同じ解体途中のような建築物を収めた作例ですが、上の一枚目はディストーションが目立たぬよう、垂直線と遠近法を効かせたような構図ですが、二枚目は遠近法での消失点を敢えて画面中央付近に持っていく事で、ディストーションにより建築物が膨らんだように捉えています。
ここでは、どちらの表現が正か誤か、もしくは好きか嫌いかという議論では無く、同じレンズ、同じ被写体でも、超広角レンズの場合は構図の採り方でこんなにも景色が変わるという事を感じていただければと思い、引用を行いました。
言い換えれば、オールド・ワイドの写りが「歪む」とはいっても、撮影者の工夫次第では一枚目のように歪みが目立たなく捉えることが可能で、この辺りが「広角レンズの撮影には“腕”が必要」と言われる所以かも知れません。
次は、Flektogonの「寄り」について見てみましょう。
パッと見ただけでは、とても20mmの超広角で撮った作品とは思えない「寄り」ですよね。しかし、MC Flektogon 20mm F2.8の場合、寄って撮影した時には次の作例のように画面が「暴れる」事も…
三枚目、四枚目の作例では、ピントの合った部分よりも手前が流れるように写っています。このような収差の発生は現代レンズでは禁忌とされる写りでしょうが、作例二枚目と三枚目は作品のモチーフは似通っており、撮影者によってアングルや被写体手前の“処理”で、収差を目立たなくさせる事も可能な事がわかります。
ここで、この収差を弱点と捉えてしまうとそれまでですが、このようにレンズの“癖”を撮影者が掴んでいると、場合によってはこの弱点を利用して面白い作品に仕上げる事も可能な筈です。
如何だったでしょうか。レンズの性能の評価に関しては歪みだけでは無く、色の再現性やシャープネスといった要素も重要ですが、この章以外にも掲載した作例を見渡せば、Carl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8が相当に高性能なレンズで有る事が伝わったのではないでしょうか。この点をもって前章では“決して現代レンズに引けを取らない名レンズに違いない”と述べましたが、その理由もしっかり実感いただけたのではと思います。
以下、レンズの“癖”を上手く利用した作例を二点挙げますので、作例に関するコメントと共に、Carl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8の描写力をご堪能下さい。
自然の木など、元々の歪みを持つ被写体を捉えて、レンズの持つディストーションを感じさせないようにした作例。更に、奥の水平線を真っ直ぐに表現する事で、よりディストーションを全く意識させ無いことを感じさせない事に成功している。
一見、何の変哲もない公園のような場所での撮影だが、画面左側の木と画面右側のビルの角度が明らかにディストーションの影響を受けている。しかし、実際の風景を見た上での“記憶”を写真で再現したと考えれば、むしろこのくらいの歪みの方が、元のイメージに近い感覚が蘇るのではないだろうか。
ユーザーレビュー
オールドの単焦点超広角レンズとして、完成されているCarl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8ですが、レビューや評価の対象とされた場合は、設計・製造された時代的な側面から、少しのディストーションと画面周辺部の甘さが残っているという声が多い模様です。
しかし、これらの描写性能を欠点とみなさず、ディストーションが目立たぬよう構図に気を配り、F4~F8に絞って周辺部の甘さにも対処する手法でFlektogonを楽しむという意見も多く聞かれました。
中古相場
オークションでは比較的低額からの出品も散見されますが、人気のレンズの為、出品価格での落札はほぼ難しく、5万円以下で入手出来る機会はほぼ無いというのが現状でしょう。店頭での値付けは6万円台から8万円程で並品クラスが取引されているようです。
オールドレンズとして高めの価格帯となる上に、弾数が少ないレンズなので、購入を検討されている方は細やかなチェックが必要です。
まとめ
オールド・スーパーワイドの傑作 Carl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8。
一眼レフ用の広角レンズの宿命であるバックフォーカスを確保する為、必然的に逆望遠型の設計を強いられた上でZeissを名乗るのにふさわしいクオリティのレンズを新たに開発する事は、いかにBiometarやBiogonで成功を収めたZeissとは言え、困難を伴う新たな挑戦だった筈です。
しかし、Carl Zeiss Jenaはその技術力の高さで当時としては十二分な性能を持ったCarl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8を完成させ、その期待に応えました。
ただ、時代を経て、収差が劇的に補正された超広角ズームが当たり前となってくると、正直古臭さを感じるユーザーが増えてきているのが実情です。最新の解析技術やガラス素材、それらを組み合わせて製品化する技術によって製造された、収差が少なく口径も大きな現代の超優等生的な超広角ズームに比べると、F2.8クラスの単焦点超広角というレンズは、存在意義すら霞んでしまいそうです。
では、写真が“真の姿”を“写す”事で有るならば、どうしても残ってしまうディストーションが見え隠れするCarl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8は性能の劣ったレンズなのでしょうか?
確かに、収差の少ない現代の超広角ズームで撮った画像の方が、被写体の“真の姿”を正しく写しているのでしょう。しかし、例えば私達が、高層ビルの足元から最上階を見上げた時に、まるで自分に覆いかぶさってくるような錯覚を写真で表現するに適したレンズを求めた場合、現代の超広角ズームは“正しく写り”過ぎてしまい、面白みに欠けるとすら感じます。
こう考えると、精密機械の目で正しく写すズームに対して、肉眼のような生々しさと、錯覚すら再現するかのようなオールドレンズの歪みこそ、むしろ私達の感覚にちかい“真の姿”を再現している気がしてなりません。これを、当時のツァイス技術陣は目指したのでは…と、これは少し言い過ぎですね。
思えば、オールドレンズの楽しみ方の一つであるフレア“”
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製品情報
カテゴリ | オールドレンズ |
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メーカー | Carl Zeiss |
タイプ | 広角 |
マウント | M42マウント |
関連製品
製品 | Carl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 20mm F2.8 (本製品) | |
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価格 | ||
焦点距離 | 20mm | 35mm |
F値 | F2.8〜22.0 | F2.4〜22.0 |
最短撮影距離 | 19.0cm | 20.0cm |
絞り羽根枚数 | 6枚 | 6枚 |
発売日 | 1976/01/01 | 1972/01/01 |