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MINOLTA MC ROKKOR-PF 58mm F1.4

MINOLTA MC ROKKOR-PF 58mm F1.4

MC ROKKOR-PF 50mm F1.7の解説でも触れましたが、フランジバックの短さに起因するマウントアダプター及び、カメラボディの選択肢が狭まった事が原因で、オールドレンズブームに乗り遅れた感のあったミノルタロッコールシリーズですが、間違い無く銘玉の評価を受けるべきレンズは多数存在します。今回はその中でもひときわ評価の高いMC ROKKOR-PF 58mm F1.4の解説を行いたいと思います。

オールドレンズ / MINOLTA / 標準

「緑のロッコール」高開放値標準レンズ

Olympus E-P1 / MC ROKKOR-PF 58mm F1.4
出典:flickr(@ Jose.Madrid)
Olympus E-P1 / MC ROKKOR-PF 58mm F1.4
出典:flickr(@ Jose.Madrid)
Minolta X-300s / MC ROKKOR-PF 58mm F1.4
出典:flickr(@ Michael Fraley)
Minolta X-300s / MC ROKKOR-PF 58mm F1.4
出典:flickr(@ Michael Fraley)
Minolta SR-T 101とMC ROKKOR-PF 58mm F1.4の外観
出典:flickr(@ Willi Winzig)
撮影環境が写り込んでいる為、緑のロッコールといった印象は受けにくいが、それでもレンズ下部の緑色の反射は少なからず見受けられる。
 

ロッコールレンズ その1

戦前期に創業し、その後に独自の技術力を駆使して発展したカメラメーカーや光学メーカーはいくつも存在しますが、ミノルタカメラの発展にはさらに「地理」という要因も無視する事は出来ません。
ミノルタカメラのルーツとなる1928年に創業した日独写真機商店の創業地は現在の兵庫県西宮市で、このことは現在コニカミノルタのカメラ製品のアフターサービスを行っているケンコートキナーのHPにも記載されています。
(『日独写真機商店(のちのミノルタ)』が武庫川河畔で産声を上げ、翌年、第1号機「ニフカレッテ」を発売しました…と記載)
ミノルタの歩み(https://www.kenko-tokina.co.jp/konicaminolta/history/minolta/1940/)
この創業地を見下ろすようにして東西に連なるのが「六甲山系」で、余談ですがこの六甲山から吹き降ろす「六甲颪」は阪神タイガースの応援歌のモチーフにもなっています。この「六甲」の韻をモチーフとし命名されたのがミノルタのレンズである「ロッコール」シリーズです。

兵庫県西宮市から神戸市にかけては、造船や鉄鋼などの重工業が発展していましたが、日独写真機商店の創業時には精密機械工業を手掛ける企業などは近隣には皆無といった状況でした。

その為、完全自社生産体制での製品開発に早くから取り組むことが出来、結果的にこれがミノルタの技術力の増強にも繋がりました。
 

ロッコールレンズ その2


MD以前のロッコールには「MC ROKKOR-PF 50mm F1.7」の「PF」や、「MC TELE ROKKOR-QE100mm F3.5」の「QE」のように、レンズ名称の後に二文字のアルファベットが付与されているケースが多く見られます。これらのアルファベットの意味合いとして一文字目はレンズを構成する群の数、二文字目はレンズを構成するレンズ枚数を示しています。

他のアルファベットについては下の表にまとめました。
アルファベットの意味合い
群を示す数(3~9群)にトリプル(Triple)/クワッド(Quadruple)/ペンタ(Penta)/ヘキサ(Hexa)/セプト(Sept)/オクタ(Oct)/ノナ(Nona)の接頭語頭文字を割り振り、枚数(3~12枚)はCから順にアルファベットが振られています。前例の「PF」だと5群6枚、「QE」ならば4群5枚といった意味となります。

発売後期には、これらのアルファベットは省略されます。また、ロッコールには「ROKKOR-X」と表記されたモデルがありますが、海外で発売されたレンズにはこの「ROKKOR-X」表記が用いられました。
 

分解清掃にチャレンジ


これは特にオールドロッコールに限った話では無いのですが、80年代頃までの一眼レフレンズは意外と単純な構造となっているレンズが多く、レンズ内部の汚れなどをご自身で除去した上で撮影に臨まれているユーザーも多い模様です。

但し、「意外と単純」とは言っても、精密ドライバー一本で分解出来るような簡易な構造では無いのですが、精密ドライバーに加えて数種の道具が有れば、分解を行った事の無い方にも取り敢えずバラせるまでは可能でしょう。

Amazon等の通販サイトでも比較的簡単に手に入りますので、数種ほどご紹介させて頂きます。
 
カニ目レンチ
レンズを鏡筒に固定しているリングを外す際などに使用します。

先端がマイナスドライバー状になっている側と針状になっている側が備わっている製品が多いので、固定されているリングに併せて使用します。
 
オープナー
カニ目レンチと同じく、レンズを鏡筒に固定しているリングを外す際などに使用します。主にレンズ前面の化粧板(銘板)のように、カニ目レンチを差せる溝や穴が開いていないリングが用いられている場合はこのオープナーが有ると便利です。
 
レンズサッカー
固定リングを外した後、レンズを鏡筒から取り出す際に便利な道具です。

くれぐれも、リングを外した後レンズをひっくり返してトントン…といった風にレンズを取り出さないようにして下さい。

レンズに傷が付く原因となるばかりでは無く、絞りリングのクリック感を出す為の微小な鋼球や、分解時に緩めていたネジ等が本体側に残ってしまっている場合、分解中のレンズを動かす事はそれらの重要な部品を失うことにもなりかねませんので、くれぐれもご用心を。
 
ハンドラップ
三角錐形の瓶に金属製の小皿が載っており、その小皿部分をカシャカシャと上下に動かすと瓶中の液体が小皿の中に溜まる構造になっています。

この中に清掃用のクリーナーやアルコールを入れておき、脱脂綿等に適量に含ませてレンズの清掃に使用すると便利です。
 
上記でご紹介した道具はほんの一例です。

特にカニ目レンチは様々な製品が揃っていますので、製品のレビューや素材表記、価格などに応じて検討してみるのが良いでしょう。

一つ、気を付けておきたいのが、MF時代のレンズ全てがこのような構造になっているとは限らない点です。

レンズによっては、固定部を緩める為のネジがピントリングの巻きゴム下面に隠れている為、分解時には巻きゴムを切断する必要が有る場合や、時代を経るにつれてフィックス構造(所謂、ハメ殺し構造)を採用し、組み立てコストを抑えた製品も見られますので、それらのレンズを無理に分解してしまうと再組立が不可能となってしまうケースがある事です。今回ご紹介しているロッコールレンズの場合、MDレンズやNewMDレンズの場合、やや分解のハードルが上がるかも知れません。

また、レンズの汚れといってもコーティング面がカビなどで完全に変質してしまっているケースや、バルサム切れと呼ばれるレンズ面とレンズ面を接合している接着剤の変質によるレンズ面の異常は一般ユーザーではまず対応が不可能なので、その辺りの見極めも重要となってきます。

分解前や分解中にじっくりと観察し、ご自身の手に負えないようであれば専門業者に依頼する事も念頭に置いておくべきでしょう。決して、希少なレンズを無理にばらして本当にジャンクとなってしまった…といった悲劇を招かない為にも、まずはジャンク品をバラして組み立て、またそのレンズをバラして組み立て…という具合に練習するのも必要です。

その次に、練習したジャンク品と同じ型のレンズに挑戦し、自信が付いたら同メーカーの同時代のレンズもしくは、練習したレンズの前後の型へ、慣れてくれば別のメーカーのレンズにも…といった感じでステップを踏んで慣れていくことが、成功への近道です。

無理にレンズ分解を行う必要は無いのですが、オールドレンズ選びの際、ご自身で清掃する選択肢が増える事で修理に掛かるコストが下げられますので、これまで購入を見送ってきたコンディションの製品が検討対象に加わりる事と思います。

やや、ハイリスクハイリターンなレンズ選びですが、チャレンジしてみるのも一考の価値有り…かも(笑。
 

ユーザーレビュー


「写り」もそうですが、やはり緑のロッコールのコーティングに魅入られるユーザーが多いようです。オールドレンズとしてはやや優等生的なポジションのMC ROKKOR-PF 58mm F1.4ですが、それでも時代から考えると現代のレンズに比べて「暴れる」傾向に有りますので、この辺りは念頭に置いておくべきです。それでも、スーパータクマ―に比べると大人し目のレンズなので、これからオールドレンズに挑戦しようと考えておられる方にはうってつけの1本かも知れませんね。
Minolta X-300s / MC ROKKOR-PF 58mm F1.4
出典:flickr(@ Michael Fraley)
フィルムカメラ+高感度モノクロフィルムでの撮影。拡大すると“粒子の大きさ”や“黒潰れ”が見られる作品だが、むしろ雰囲気はこのくらいの“荒れた”感じの方がより印象的に感じる。デジタルカメラでは再現性が難しいかも知れないが、このように“写し過ぎない”イメージを出すのもオールドレンズでの撮影には有効な表現の一つ。
 

中古市場


オークションでは5,000円程の価格帯から出品されているようですが、最終的には10,000円を超える価格で落ち着くといった相場のように思われます。

状態にもよりますが、専門店で撮影に耐えうる個体となると10,000円台半ばからの値付けが多くなり、やや高めの価格評価が行われている模様です。

更には、品数の少なさも気になるところで、別解説のMD ROKKOR 50mmF1.4に比べると、流通量は少なく感じます。

しかし、ジャンク扱いのレンズといったアイテムでは5,000円以下の値付けも見られますので、先程ご紹介しました分解清掃に挑戦することも考慮してみるのも一考かと思います。
 

作例紹介

Minolta X-300s / MC ROKKOR-PF 58mm F1.4
出典:flickr(@ Michael Fraley)
SONY NEX-5 / MC ROKKOR-PF 58mm F1.4
出典:flickr(@ Willi Winzig)
OLYMPUS E-P1 / MC ROKKOR-PF 58mm F1.4
出典:flickr(@ Jose.Madrid)
Canon EOS 5D Mark II / MC ROKKOR-PF 58mm F1.4
出典:flickr(@ Roy Niswanger)
 

まとめ


本文ではスペースを割くことなく進めてしましましたが、MC ROKKOR-PF 58mm F1.4はオールドレンズの中でも秀逸の写りが楽しめる1本です。

特に、焦点距離が「50mm」では無く「58mm」となっている所が“ミソ”で、当時の技術者の方々の想いとはすれ違っているかも知れませんが、無理に50mmに持っていく設計を行っていないことで、レンズのパワーをしっかりと画面に落とし込んでくれる事に間違いありません。

現代のレンズに比べると少し淡白な傾向で線が太いといった印象を受けるかも知れませんが、かと言ってコントラスト再現が弱いわけでは無く、古いのに新鮮な現代のレンズとは違った魅力を感じさせてくれるでしょう。

現代のレンズが正確さを追求され続けた結果、得られた画像が何やら作り込まれたCGのように感じられるユーザーは決して少なく無いと思われます。

そのような方には是非ともオールドレンズを試していただきたいのですが、その中でもこのMC ROKKOR-PF 58mm F1.4はきっとご満足いただけるに違いない1本です。
基本仕様
対応マウントMinolta SR/MC/MDマウント
フォーカスMF
レンズ構成5群6枚
絞り羽根枚数6枚
焦点距離

58mm

最短撮影距離
最大撮影倍率
開放F値F1.4〜16.0
画角
防塵-
防滴-
サイズ・重量
最大径×長さ
重量
フィルター径55mm
発売日
発売日1966年01月01日