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INDUSTAR 50-2 50mm F3.5
M42マウント
1974/01/01発売
「重いレンズは良く写る」。少し過ぎた冗談のような話ですが、意外とカメラレンズの本質を突いている言葉です。では、「軽いレンズ」はどうなのでしょうか?今回は100gを大きく切る重量にも関わらず、驚くほどのシャープさを見せてくれるINDUSTAR 50-2 50mm F3.5を取り上げ、軽くても良く写るレンズの存在を実感したいと思います。
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一般的な一眼レフ用単焦点レンズに比べて小型・軽量ながら、メリハリの利いたシャープな描写が特長の、旧ソ連製テッサー型オールド標準レンズ
歴史
INDUSTAR 50-2のベースモデルとなるINDUSTAR 50は1953年ソ連のMikhail Dmitrievich Maltsev(ミハイル・ドミトリエビッチ・マルツェフ)博士により設計され、主にKMZで製造されたレンズです。Maltsev博士は当時のソ連光学分野に於ける第一人者で、有名なJupiterシリーズの開発にも携わっています。
INDUSTAR 50はZENIT-Cの標準レンズに採用されましたが、後続のZENIT-3からはあのHELIOS-44もZENIT用標準レンズのラインナップに加わっています。この頃のZENITはM39マウントを採用しており、当初はINDUSTAR 50もM39マウントで製造されましたが、1974年にM42マウント化され、名称もINDUSTAR 50-2となり、1986年まで製造されました。
INDUSTAR 50がM42化される数年前には既にZENITの主要一眼レフのマウントはM42に変更されていましたが、1973年~75年頃より主力機種であるZENIT-Eの増産が始まっており、そのタイミングに合わせてINDUSTAR 50はM42化されたのでは無いかと思われます。
描写
INDUSTAR 50-2のレンズ構成は3群4枚のテッサー型を採用しており、設計に無理の無いF3.5という開放F値ということも相まって、外観からは想像もつかない程、遠景から近景まで、しっかりとしたシャープな描写が得られるレンズです。
発色面では少しくすみを帯びたようないかにもオールドレンズらしい色合いに寄る傾向も見られますが、これは欠点という程では無く、この「風合い」と被写体の質がマッチすれば、柔らかいイメージの作品に繋がるでしょう。
また、デジタルカメラで撮影し、カラー情報を破棄し現像時にコントラストを上げてプリントを行っても大きな破綻が無い点は、テッサー型の底力を感じさせてくれます。
一つ気を付けたいのは、形状上、レンズフードの装着は難しく、レンズにはマルチコートが施されていないため、逆光時にはフレアやゴーストが発生し易いレンズであるという点です。
しかし、光源の状態を上手くコントロールするとINDUSTAR 50-2は、虹色のシャワーが降り注ぐようなゴーストを魅せてくれますので、作品の表現に取り入れてみるのも面白いかも知れません。
フィルムカメラとの組み合わせによる作例。INDUSTAR 50-2 + カラーフィルムによる柔らかめの発色で、ネコの持つ「可愛い」イメージを引き出し、全体的に暖かみを感じる作品に仕上がっている。
建築物のような直線的な被写体の撮影でも、目につくような湾曲は見られない。
撮影者による作例コメントには「Industar 50-2 hyperfocal test」とある。過焦点距離を活かしたパンフォーカス的な手法を試した一枚と思われるが、近景から遠景までシャープに表現されている点は、いかにもテッサー型らしいしっかりとした描写が感じられる。
微妙では有るが、画面上部から差し込むフレアが虹色を帯びている。条件を詰めればこれ以上にはっきりとした虹色のゴーストを画面に取り込むことも可能。
中古市場
記録的な生産台数を誇るZENIT-Eやその他のシリーズの標準レンズに採用されたことも有り、中古での流通数も多く、専門店で整備済みの個体を探しても10,000円でお釣りが返ってくるような価格で購入する事が出来ます。通販サイトやオークションではタイミングにより5,000円以下の価格で出品される事も多いので、ソ連レンズの入門編として、気軽に試せる一本です。
参考までに、INDUSTAR 50-2も他のソ連レンズの例に漏れず、シリアル番号の頭二文字が製造西暦下二桁を表すとも言われていますので、購入を検討する際はこの辺りの情報も参考にされてみては如何でしょうか。
作例紹介
ユーザーレビュー
破格とも言える価格で手に入るレンズでありながら、基本設計の優秀さに由来するしっかりとした描写に驚かれるユーザーが多い模様です。
通販サイトのレビューでは、手にしたレンズのコンディションによって「当たり」「ハズレ」等の評も聞こえますが、現物の確認が行い難い取引形態に起因するレビューであるでしょう。
通販やオークションに比べてやや値が張りますが、オールドレンズやソ連製レンズに実績のあるショップから購入する事で、低コンディションの個体を掴んでしまうリスクは大きく回避出来ます。相場に関しては中古市場の項で改めて解説しますが、メンテナンス済みの個体を専門店で探しても、比較的安価で入手出来ますので、コンディション面が心配な方は時間をかけてゆっくりと質の高い個体を探してみて下さい。
まとめ
手のひらに収まる小型な形状と、実勢価格の低さから「キャップ(蓋)」代わりに使えるレンズとさえ呼ばれるINDUSTAR 50-2 50mm F3.5。しかし、テッサー型由来の無理の無い設計で、時には驚くような描写を見せてくれる優秀なレンズなのは間違いありません。
初めて手に取った時には、クリック感の無い絞りや、小さすぎてピントリングが廻し難いといった印象を抱かれるかも知れませんが、マウントアダプターと合わせても充分過ぎる軽量感は、特に小型のミラーレス機との相性が良いと思われます。
撮影に出掛ける際は「取り敢えず」INDUSTAR 50-2 50mm F3.5を何処かに放り込んでおいて下さい。きっと、思わぬ場面で活躍してくれますよ。
価格情報
オールドレンズ > 標準
INDUSTAR 50-2 50mm F3.5
新品: 6,000円 / 中古: 6,990円
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製品情報
カテゴリ | オールドレンズ |
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メーカー | その他 |
タイプ | 標準 |
マウント | M42マウント |
関連製品
製品 | INDUSTAR 50-2 50mm F3.5 (本製品) | |||
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価格 | 新品: 6,000円 中古: 6,990円 | 新品: 39,000円 中古: 38,000円 | ||
焦点距離 | 52 mm(52.48 mm) | 55mm | 37mm(公表実焦点距離37.38mm) | 58mm |
F値 | F3.5〜16.0 | F2.0〜16.0 | F2.8〜16.0 | F2.0〜16.0 |
発売日 | 1974/01/01 | 1963/01/01 | 1954/01/01 | 1936/01/01 |