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Carl Zeiss Jena Biotar 58mm F2
M42マウント
1936/01/01発売
単焦点標準レンズの構成として標準的な「ダブルガウス型」を採用した、Carl Zeiss Jena Biotar 58mm F2。1927年に設計され、1936年の発売から約30年近く製造され、Zeiss製ダブルガウス型の礎となったレンズです。Biotar は単体で考えるとオールドレンズの中でもやや「古典的」な位置づけとなるレンズですが、戦後はこのBiotarを基として西側ZeissはPlanar(プラナー)に、東側ZeissではFlexson(フレクソン)を経てPancolar(パンカラーまたはパンコラー)へ、そしてソ連に於いては初期Biotarをトレースする形でHelios 44(ヘリオス44)へと発展しました。これらの名作オールドレンズの系譜を語る上で無視できない存在であるBiotar。今回はそんなBiotarの持つ歴史や描写を辿り、その魅力に迫ります。
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現代の標準系単焦点レンズとは違う独特の描写性能を持った、初期ダブルガウス型Carl Zeiss製名作標準レンズ。
1. Biotarの歴史
Biotar は1927年、Carl ZeissのWilly Merté(ウィリー・メルテ)博士により設計が開始され、Biotar 58mm F2は1936年に発売されました。
Biotarが世に出る以前のZeissのダブルガウス型として、1897年にPaul Rudolph(パウル・ルドルフ)博士によってPlanar F4.5(典型的な4群6枚のダブルガウス型であり、現代のPlanarとはやや異なる)が設計されていました。
設計理論的には大口径化への発展も期待できるPlanar F4.5でしたが、当時の技術やガラス素材ではZeissが満足出来る結果は得られなかった無かった模様で、しばらくの間は忘れられたような存在となります。
この頃のZeiss製標準系レンズにはTessarやSonnarのラインアップが用意されていましたが、市場の期待に応えるような大口径化や広角系への発展には設計上の制約があり、改めてダブルガウス型の大口径標準レンズとして登場したのがこのBiotarでした。
しかし、Planar F4.5が設計された時点よりは技術的側面は進化していたとはいえ、Biotarはゾナー型に比べて開放時の収差やレンズ表面の反射によるフレアが残るという初期ダブルガウス型と呼べる性能のレンズでした。(一説には、終戦直前期にはコーティングされた個体も極少数存在する模様です)
この登場初期のBiotarをトレースコピーして製造されたと言われるのがソ連のHelios 44ですが、そのレンズ構成を比較するとBiotarとHeliosには、特に二枚目と六枚目の形状に若干の違いが見られます。
戦後期に入るとBiotarはモデルチェンジが行われ、17枚の絞り羽根とレンズ表面に反射防止のコーティングが施されるようになりました。この辺りの事情について、やや穿った見立てではありますが、初期Biotarの弱点である非点収差やフレアの発生を17枚絞りの活用とコーティングで抑えつつ、大口径レンズとしてのセールスの維持を期待したのかも知れません。また戦前期はExaktaマウントとして登場したBiotarでしたが、戦後期よりM42マウントモデルが追加されています。
戦後となり東西に分断されたZeissでは、Biotarの生産は東側のCarl Zeiss Jenaが継続し、西側Zeissは1959年のコンタレックス用Planar 50mmF2以降、ダブルガウス型には「Planar」の商号を用いる形となりました。
その後Biotarは、絞り羽根が10枚(一部の個体は12枚)へ、最小絞り値もF22からF16へ変更されましたが、初期ダブルガウス型の弱点を残したまま、その生産は1959年に終了しました。
2.ダブルガウス型とは
2-a ダブルガウス型の構成
一眼レフ用標準レンズの設計としてほとんどのレンズに採用されているのが、この「ダブルガウス型」とその派生型構成です。
基本的なダブルガウス型は【凸 凸凹 凹凸 凸】の4群6枚構成から成立しており、この構成を基とし、その派生型として、前群の凸レンズを二枚の張り合わせレンズに置き換えた「Summitar型」や、後群の凸レンズを二枚のレンズに分離した「拡張ダブルガウス型」、また二群目を分離構造とした「Ultron型」、そしてUltron型の後群を二枚のレンズに分離した「拡張Ultron型」と呼べる派生型構成が存在しています。
現在の標準レンズでは、派生型構成が主となり、単純な4群6枚のダブルガウス型構成はほぼ採用されていませんが、過去のレンズではBiotar 58mm F2以外に、Leitz のSummar 50mmF2も4群6枚構成のダブルガウス型となっています。
なお、当解説内でのレンズ構成型名や、どこまでを厳密にダブルガウス型の範疇とするかについては、様々な意見も存在しますので、あくまでもこの解説内での参考意見で有る事も併記しておきます。
2-b ダブルガウス型の特長
ダブルガウス型は登場時より発展性の高さが見込まれていた構成でしたが、冒頭でも述べたように、当時の技術やガラス素材による構成では、同時期のゾナー型やテッサー型と比較すると、光学的な収差が解消され難い傾向にありました。
しかし時代が進むにつれ、ガラス素材やコーティングの進化に伴う拡張ダブルガウス型や拡張Ultron型への発展を経て、標準系大口径レンズの理想的な構造へと進化します。
言い換えれば、今日の各社標準系レンズが持つ「切れ味の鋭いシャープさ」や「ソフトなボケ味」といった描写イメージは、ダブルガウス型の弱点を克服する目的で開発された拡張ダブルガウス型や拡張Ultron型を由来とするイメージであって、Biotarには必ずしも当てはまる点ではない事に留意する必要があるかも知れません。
では、Biotarというレンズは単なる「旧い標準レンズ」なのでしょうか?
気になるBiotarの性能ですが、次に作例を交えながら、Biotarの描写を追って行く事にしましょう。
3.描写
3-a 色再現性とコントラスト
設計から90年以上経過しているBiotarですが、驚くほどの色再現性とシャープネスさを持っています。上に挙げた一枚目の作例では、葉の緑や花のオレンジ系統や黄色味がかった白色系の色がきめ細かく表れ、拡大すると花弁の影もグラデーション豊かに再現されています。
また、二枚目の作例のようにカラー情報を破棄した黒白作品に於いても、元となるレンズのコントラストがしっかりしている為、画面全体から「緩さ」のようなものは感じられません。
特にBiotarはハイライトとシャドーの諧調表現が優れており、所謂「過多な白」や「ベタっとした黒」とは無縁のレンズと言えるでしょう。
画面左右の壁面のディティールが、明部から暗部にかけてしっかりと再現されている。
構図中、前部の彫像の輪郭と後部の柱の色が混らずに表現されている。
3-b ボケ味
Biotarは非点収差の補正が甘く、撮影条件によっては所謂「ぐるぐるボケ」となって表れてしまうレンズです。このぐるぐるボケが発生するレンズとしてはHelios 44の存在が有名ですが、BiotarのトレースコピーによってHeliosが誕生したという経緯を考えると、Heliosにぐるぐるボケが見られるのは必然と言えるでしょう。
参考となるよう、BiotarとHeliosのぐるぐるボケ作例を二組用意しましたので、比較してみて下さい。また、ボケ味だけでは無く、色乗りやコントラストという点にも注目していただければ、面白いかと思います。
《Carl Zeiss Jena Biotar 58mm F2》
《Helios 44-2 58mm F2》
《Carl Zeiss Jena Biotar 58mm F2》
《Helios 44-2 58mm F2》
この「ぐるぐるボケ」を表現として活かすか、失敗と考えるかは撮影者の腕が問われるシーンですが、レンズの描写特性を理解し、ぐるぐるボケを回避する条件を整えれば、Biotarは以下の作例のような背景が溶け込んでいくソフトなボケ味も見せてくれます。
ここで一つ気を付けておきたいのは、ボケ味を活かそうとした絞り開放時の撮影に於いてBiotarには極めて僅かな周辺光量落ちが見られます。作品のイメージを損なうほどの光量落ちでは無いのですが、明るめの被写体が画面全体を占めるような構図では少し注意した方が良いかも知れません。
キャップの置かれている白い構造物のザラツキ感が、影となっている左側でも表現されている。また、拡大するとキャップの縁の輪郭や『N』や『T』の文字の下部分が周りに溶け込むことなく再現されている事が確認できる。
如何でしょうか。Biotarの特長を如実に示す作例を用意しましたが、これら数点の作例からだけでもBiotarというレンズの実力を感じていただけたと思います。このようにBiotarというレンズは単なる「旧い標準レンズ」では無く、数々の銘玉が揃うCarl Zeiss製レンズ群に於いても、しっかりとその存在感を感じることが出来る「標準系の銘オールドレンズ」の一つであると言えるでしょう。
4.ネットユーザーの声
Zeiss特有の柔らかさとシャープさが同居したレンズとして、満足されている声が多く届いています。現代のレンズが持つシャープさとは一味違ったオールドレンズらしい描写を持つBiotarの魅力は、デジタルカメラ時代となった今でも多くの方に抱かれ続けているという事実は、このレンズ自体の優秀さを示す何よりの証拠なのかも知れません。
5.中古市場
生産終了から時間が経過し、流通数や良品中古も減少していることも有り、コレクターズアイテムのようなレンズを除いた他のオールドレンズに比べると、高めの価格設定となっている模様です。専門店ではコンディションに応じて30,000円前後からの値付けとなっており、低価格からスタートしたオークションでも落札時には相応の価格となっているケースがほとんどです。ebay等、海外オークションでは商品自体は10,000円前後での落札も期待できそうな出品も見られますが、輸送費やオークション代行業者へ依頼した場合の手数料等を考慮すると、総じて20,000円程の予算が必要となるでしょう。
作例紹介
まとめ
コンピューターを利用した設計で性能をとことんまで追求し、過去には存在しなかった新しいガラス素材や非球面レンズの採用で、一定水準以上の結果を返してくれる現代レンズの安定感は、決して否定すべきでは有りません。
しかし、その発展過程に於いて、過去のレンズが持つ「温もり」のような部分が置き去りにされたと感じる方が多いのもまた事実と思われます。レンズという工業製品の評価に「温もり」という曖昧な基準を持ち出すのは「反則」のような行為ですが、その「反則」が新たな「魅力」として再評価され、現代レンズが失った「何か」を求める事が、オールドレンズが持つ一つの側面とも言えるでしょう。
現代の写真レンズの要求基準からすれば、至らない部分も有るBiotarですが、現代レンズとは違ったソフトなボケ味とシャープな諧調表現、そして時には「暴れる」とまで表現される非点収差由来のぐるぐるボケが一本のレンズに同居する懐の深さこそ、Biotarの描写性能上の特長かも知れませんね。
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製品情報
カテゴリ | オールドレンズ |
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メーカー | Carl Zeiss |
タイプ | 標準 |
マウント | M42マウント |
関連製品
製品 | Carl Zeiss Jena Biotar 58mm F2 (本製品) | |||
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価格 | 新品: 39,000円 中古: 38,000円 | 新品: 6,000円 中古: 6,990円 | ||
焦点距離 | 58mm | 37mm(公表実焦点距離37.38mm) | 55mm | 52 mm(52.48 mm) |
F値 | F2.0〜16.0 | F2.8〜16.0 | F2.0〜16.0 | F3.5〜16.0 |
発売日 | 1936/01/01 | 1954/01/01 | 1963/01/01 | 1974/01/01 |