製品解説
愛用者の作例(1)
スペック
世界的ベストセラーPENTAX SPの改良版
世界で400万台というベストセラーとなったPENTAX SPは一時世界的に品薄になり、来日したビートルズが日本で買っていったという逸話も残るほどの伝説的カメラです。
丈夫でいて機動力もあり、何よりもTTL露出計をカメラに内蔵した初のモデルという事で人気を博しました。SP発売後も改良が重ねられ、いくつかの派生モデルが誕生し、1973年SP改良版モデルの一つとしてSPFが発売されました。
前機種PENTAX SPとの違い
ボディのデザインとしては、上部にホットシューと呼ばれるフラッシュなどを外付けするための機構が追加された以外にあまり違いはありません。
SPとSPFの一番の大きな違いは、SPFは開放測光に対応したということです。開放測光は現代のデジタル一眼レフカメラに使われている機構で、測光時に絞りを調節してもファインダーが暗くせずに露出を測ってくれます。当時開放測光と絞り込み測光ではどちらが優れているのかという議論がなされていましたが、その後のカメラの進化では、開放測光が当たり前になっています。
開放測光は、レンズ側から絞り値をボディに伝える必要があるため、PENTAXはそれまでのM42マウントにそのための機能を加えたSMC(Super Multi Coated)Takumarというレンズ群にモデルチェンジしています。そのため、開放測光はSMC Takumarレンズでのみ使える機構なので、レンズを選ぶ際は注意が必要です。
製品 | PENTAX SPF | PENTAX SP |
---|---|---|
価格 | 中古:6,800円〜 | 中古:3,080円〜 |
レンズマウント | M42マウント | M42マウント |
露出モード | ||
シャッター速度 | 1/1000〜1秒 | 1/1000〜1秒 |
重量 | 894g | 621g |
発売年 | 1973年 | 1964年 |
使い方と露出計
使い方は基本的なマニュアルカメラと同じです。フィルムを装填して、シャッタースピードダイヤルのASAと書かれた窓の中の数字を、装填したフィルムのISO感度の数字に設定します。その後ファインダー内の右側の露出計のバーの位置を確認して、シャッタースピードやレンズの絞りを調整します。
調整が終わったら、レンズのリングを回してピントを調整してシャッターを押します。一枚撮るごとにフィルムを巻き上げて、最後まで撮り終えたらボディの底にあるボタンを押してフィルムを巻き上げ、取り出します。
露出計はレンズキャップを外すと自動でONになるので、キャップを外した状態のままにすると電池がどんどん減っていってしまうので、長時間撮影しない時はキャップを必ず閉めましょう。
中古市場
ボディはシルバーとブラックがありますが、カラーよりもボディの状態によって価格が大きく変わる傾向にあります。オンラインショップではボディのみの場合は10,000円前後、レンズセットで10,000円から40,000円の間で販売されています。
まれに、「PENTAX SPOTMATIC F」と記載されているものもありますが、SPの部分を省略せずに明記しているだけでSPFと同じカメラです。
70年代のカメラなので劣化していることが多いので、多少高くてもカメラ専門店でオーバーホールされた個体を選ぶことをおすすめします。また、SPFにはMR-9という水銀電池が必要なのですが、現在水銀電池は製造中止になっているので、MR-9用の電池アダプターも一緒に購入するようにしましょう。
PENTAX SPFを楽しむなら
測光方式の優れたカメラなので、ぜひ露出計が正常に動く個体を購入して撮影を楽しんでみてください。
露出値がアナログなバーで表示されるので、デジタル的な表記よりも微妙な露出の傾きを知ることができます。なので、少しだけ露出オーバーにしてふんわりした雰囲気に仕上げたい時や、露出を若干マイナスに傾けてフィルムっぽい粒子感を強くしたりと微調整が簡単にできるので、ぜひフル活用して楽しんでみてください。
作例紹介
逆光を上手に利用した作品。ふんわりした雰囲気とフィルムの粒子感の組み合わせが素晴らしいです。
被写体と背景との境界線がうやむやで幻想的な一枚。露出をオーバー気味にするとこういった仕上がりも楽しめます。
長時間露光したグラデーションの美しい作品。SPFはシャッターを開いたままにできるので、星空や夜景などの長時間露光撮影にも可能です。
シャープでありながらどこか柔らかさも感じます。
ピントが絞ってあるので、ボケも大きく広々とした印象に仕上がっています。
愛用者のコメント
ストーリー:「一枚一枚、気持ちを込めて。 フィルムで日常を愛おしい瞬間に変えていく」にてPENTAX SPFの魅力について語っていただいたmaiさんのコメントをご紹介します。
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PENTAXはこの人みたいな写真撮りたい!って思った方が使っていたものを真似しました。あと初心者入門機にピッタリというのを見てこれだ!となりました。操作もわかりやすいですし、写りも素敵なところが魅力かなと思います。
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ユーザーレビュー
露出計が故障していたという方が多かったです。カメラに慣れている方はそのまま使用してして、仕上がりがどうなるか楽しんでいる方も多かったです。またずっしり重く、動作音も小さくないのですが、そこが一眼レフカメラを使用しているという実感につながるという声も多かったです。
まとめ
世界的ベストセラーとなったSPの改良版として誕生したSPF。SPの良さはそのままに、開放測光などの新しい技術を搭載して1973年に発売されました。レンズキャップを外すと露出計が自動でONになる機構が搭載されており、SPよりも操作が簡単になっています。
中古価格は10,000円台からと安く、レンズもセットで販売されていることが多いので、フィルムカメラ初心者でも購入しやすいのもうれしいポイントです。メカニカルな動作音やずっしり堅牢なボディは、フィルム一眼レフで撮影しているという気分を盛り上げてくれます。
ぜひ、PENTAX SPFと共に、フィルムカメラの楽しさを体感してみてはいかがでしょうか。
PENTAX SPF / Super-Takumar 55mm F1.8
PENTAX SPF / Super-Takumar 55mm F1.8
PENTAX SPF / Super-Takumar 55mm F1.8
PENTAX SPF / Super-Takumar 55mm F1.8
PENTAX SPF / Super-Takumar 55mm F1.8
maiさんのストーリー
レンズマウント | |
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型式 | 35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフ |
レンズマウント | M42マウント |
ファインダー | |
視野率 | |
倍率 | 約0.88倍 |
ミラー | |
露出制御 | |
測光方式 | TTL開放測光方式 |
測光範囲 | |
露出モード/撮影モード | |
ISO感度 | |
多重露光 | - |
シャッター | |
シャッター速度 | 1/1000〜1秒 |
巻き上げ・連写速度 | |
レリーズ機能 | |
セルフタイマー | - |
AF | |
AF方式 | |
測距点 | |
電源 | |
使用電池 | H-B水銀電池x1 |
サイズ・重量 | |
サイズ | 143x93x91mm |
重量 | 894g |
発売日 | |
発売日 | 1973年01月01日 |
製品情報
- カテゴリ
- フィルム一眼レフ
- メーカー
- PENTAX
- タイプ
- MF機(機械式シャッター)
- マウント
- M42マウント
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PENTAX SPF | Nikon F2 | OLYMPUS OM-1 | Nikon FM | Nikon FM10 | MINOLTA SR505 | ZENZA BRONICA S2 | |
価格 | 中古:6,800円〜 | 新品:507,000円〜 中古:6,500円〜 | 中古:5,500円〜 | 中古:8,800円〜 | 中古:9,240円〜 | 中古:9,890円〜 | 中古:11,800円〜 |
レンズマウント | M42マウント | Nikon Fマウント | OMマウント | Nikon Fマウント | Nikon Fマウント | Minolta SR/MC/MDマウント | その他 |
露出モード | マニュアル | マニュアル | マニュアル | マニュアル | マニュアル | ||
シャッター速度 | 1/1000〜1秒 | 1/2000〜1秒 | 1/1000〜1秒 | 1/1000〜1秒 | 1/2000〜1秒 | 1/1000〜1秒 | 1/1000〜1秒 |
重量 | 894g | 720g | 510g | 590g | 420g | 1,780g | |
発売年 | 1973年 | 1971年 | 1972年 | 1977年 | 1995年 | 1975年 |
PENTAX SPFとOLYMPUS PEN EEDの二台を使っています。レンズはSuper-Takumar 55mm F1.8です。
PENTAXはこの人みたいな写真撮りたい!って思った方が使っていたものを真似しました。あと初心者入門機にピッタリというのを見てこれだ!となりました。操作もわかりやすいですし、写りも素敵なところが魅力かなと思います。