製品解説
スペック情報
多くのユーザーに愛された大衆機
PENTAX SPは、1964年にペンタックス(当時は旭光学)から発売されたフィルムカメラです。TTL露出計を内蔵した一眼レフカメラとしては、世界で2番目の登場となりました。
TTL露出計とは「Through The Lens」の略で、外部の光ではなくレンズを通した光を測定できるしくみのことを指します。現在のカメラでは標準で備わっている機能ですが、どんなレンズを組み合わせても正確な露出を測定できるTTL露出計は、当時のユーザーが待ち望んだ画期的ものだったのです。
いっぽうで、PENTAX SPはプロ用ハイグレード機ではなく、カメラ初心者や一般の愛好家たちにも使いやすいハイアマチュア機としてリリースされました。さらに、f1.4の標準レンズが付属しているにもかかわらず、手の届きやすい価格帯であったことから、爆発的なヒットを遂げます。その人気は世界的なものとなり、1964年から1974年までの10年間にわたって製造されました。販売台数は国内で180万台以上、世界では400万台以上とも言われています。
PENTAX SPの外観
出典:flickr(@Andrew Olson)
PENTAX SP
出典:flickr(@Mirye.j)
PENTAX SP
出典:flickr(@Mirye.j)
PENTAX SP
出典:flickr(@Mirye.j)
PENTAX SP
出典:flickr(@Pauly)
中古市場での取扱い
中古市場での取扱台数も多く、2019年現在での価格相場は15,000〜20,000円ほど。クラシカルなロゴに、コンパクトでかわいらしい外観は、カメラ愛好家の心をくすぐります。初めてフィルムカメラを手にする初心者にも扱いやすいサイズ感やスペックで、登場から60年以上経った現在でも人気の高いカメラです。
PENTAX SPは、水銀電池HBを使用するカメラです。HBは現在すでに生産されていないため、市販のボタン電池(LR41)にHB用の変換アダプターを付けて使用する形になります。LR41のボタン電池は100円ほど、HB変換用アダプターは500円ほどで購入することができるようです。
また、水銀電池は液漏れなどで腐食しやすく、中古機の保存状態によっては電池蓋が開かないほどさび付いていることも。電池によって動作する露出計が故障している場合もあるので、購入の際はよく確認しましょう。
街歩きや旅行のお手軽スナップにぴったり
コンパクトで手になじむPENTAX SPは、日常や旅先でのスナップにぴったりです。レトロでかわいい外観は、ファッションの一部としても違和感なく持ち歩くことができるでしょう。
ファインダーをのぞき込み、マニュアルフォーカスでピントを合わせて撮るスタイルは、写真を撮ること自体の楽しさを実感させてくれます。
おすすめのレンズ
レンズマウントは、M42マウントが採用されています。世界規格であるM42マウントには個性的なレンズが多くそろっており、現在でも人気のオールドレンズをマウントアダプターなしで使うことができます。中でも根強い人気を誇るのが、「Super-Takumar 55mm f1.8」と「Helios44-2 58mm F2」です。
・Super-Takumar 55mm F1.8
Super Takumar 55mm f1.8は、PENTAX SPと同じ旭光学で作られたレンズです。ノスタルジックな色味で、オールドレンズらしい写りを楽しむことができるうえ、10,000円以下でも入手することができるため現在でも人気があります。
味のあるボケ感を写し撮れる一方でピント面はカリッとした高い解像感をとらえます。ブラックな外観と銅鏡の質感がPENTAX SPとマッチし、スタイリッシュに使えるレンズです。
カメラはPENTAX SPではなく、その後継機にあたるSPF。
・Helios44-2 58mm F2
「ぐるぐるボケ」といわれるボケ味が特徴的なHelios44-2 58mm F2。個性の強いボケが、吸い込まれるような独特の表現を生み出します。光の入射角によってボケやフレアの出方が大きく変わることも特徴で、研究しながら撮ることを楽しめるレンズです。
カメラはデジタル一眼レフのCanon EOS Kiss X7で撮影しているため、参考程度にご覧ください。
作例紹介
ネット上のレビュー
- フィルムカメラならではの、空気感を切り取ってくれるカメラ。デジタルでは出せない色味や雰囲気を醸し出すことができる。
- タクマーやヘリオスのレンズをそのまま使えるのがうれしい。
- なにより見た目がかわいい。持ち歩いているだけで楽しい。
- 透き通るような光をそのまま写してくれる。微妙な色の変化も忠実に再現してくれる。
- 持っていて安心する。ふんわりした中にも繊細さがあり、描写力が高い。
フィルムカメラならではの良さを表現してくれるという評価に加えて、所有欲を満たしてくれるというレビューも多く見られました。
まとめ
撮った写真をすぐに見られるデジタルとは違い、現像しないとイメージを見ることのできないフィルム。時間がかかるからこそ、閉じ込めることのできる思い出や、思い入れのある写真が残るのかもしれません。
世界中の多くの人をとりこにし、今もなお魅了し続けるPENTAX SP。そんな魅力あふれる愛すべきカメラを、ぜひ一度手にとってみてはいかがでしょうか。
レンズマウント | |
---|---|
型式 | 機械式35mmフィルム一眼レフ |
レンズマウント | M42マウント |
ファインダー | |
視野率 | 93% |
倍率 | 約0.88倍 |
ミラー | |
露出制御 | |
測光方式 | TTL絞り込み平均測光 |
測光範囲 | |
露出モード/撮影モード | |
ISO感度 | |
多重露光 | - |
シャッター | |
シャッター速度 | 1/1000〜1秒 |
巻き上げ・連写速度 | |
レリーズ機能 | |
セルフタイマー | - |
AF | |
AF方式 | |
測距点 | |
電源 | |
使用電池 | LR41x1 |
サイズ・重量 | |
サイズ | |
重量 | 621g |
発売日 | |
発売日 | 1964年01月01日 |
製品情報
- カテゴリ
- フィルム一眼レフ
- メーカー
- PENTAX
- タイプ
- MF機(機械式シャッター)
- マウント
- M42マウント