NikonがZ 9でついにフルミラの主役に
一眼レフと比べて、大口径ショートフランジバックと言われるフルミラですがその中でも、Nikonは、Canon RFマウントやSONY Eマウントよりさらに大口径ショートフランジバックとなっています。
極端な言い方をすれば、RFレンズもFEレンズもマウントアダプターでZマウントに搭載できる物理的可能性があります。
もちろん、現実的にはマウントの嵌合部や電子接点の問題もあるのでほぼ不可能となりますが、CanonやSONYでは作れないレンズ設計ができるというメリットがNikon Zマウントには間違いなくあります。実際に、Zレンズの評判は非常に高く、フルミラレンズ性能は1番という評価もよく目にします。
しかし、カメラ性能において、SONYの様に他社に先行してフルミラを発売してきた優位性や、Canonのデュアルピクセルによる高速AFなどの突き抜けた性能のものがなく、Nikonフルミラは悪くはないが魅力に欠けると言った評価もありました。
そんな中で2021年10月末に発表されたZ 9の性能は、一眼レフのD一桁シリーズを彷彿とさせる、これぞフラッグシップという魅力満載のスペックとなっています。フルミラフラッグシップというと、SONYはα1、Canonはフラッグシップとは明言していないものの縦グリ一体フルミラのEOS R3があります。
Z 9はEOS R3と同じ縦グリ一体型ボディで、D一桁と同じタイプの大型バッテリーを採用。縦グリ別体のα1と比較するとレンズマウント位置が縦位置撮影でもバランス良く設計されています。
そして画素数はα1の約5010万画素に迫る、4571万画素と、縦グリ一体型フルサイズとしては一眼レフもふくめてトップクラスの画素数となっています。
動画は8K30pまで対応。将来的にはファームアップで60pまで対応とも言われています。
縦グリ一体型といえば、連写性能が重要視されますが、Z 9ではメカシャッターを使わず、完全電子シャッターとし、画質を落とせば120コマ/秒まで撮影可能です。
高速シャッターで気になるのが、EVFのブラックアウトですが、Z 9はReal-Live Viewfinderという、撮影処理とEVF表示処理を同時処理する技術でブラックアウトフリーとなっています。EVFの見え方も従来のZシリーズ同様に好評で、約369万ドットと他社より控えめな数字ながら、フルミラ最高と称されます。
さらに従来のNikon Zシリーズから大幅に進化したと評価されているのがAFです。Z 7IIやZ 6IIからは段違いとも言われるAF速度で、被写体検出も人や動物だけでなく、乗り物など幅広く対応したことでこちらも大きな魅力となっています。
Z 9の登場で、Zレンズはさらに輝きを増し、Nikonの魅力が詰まった撮影セットが完成しました。
製品 | Nikon Z 9 | SONY α1(ILCE-1) | Canon EOS R3 |
---|---|---|---|
価格 | 新品:698,500円〜 | 新品:785,456円〜 中古:680,727円〜 | 新品:775,000円〜 |
センサーサイズ | フルサイズ(35.9×23.9mm) | フルサイズ(35.9×24mm) | フルサイズ(36.0×24.0mm) |
有効画素数 | 4,571万画素 | 5,010万画素 | 2,410万画素 |
連続撮影速度 | 最高約120.0コマ/秒 | 最高約30.0コマ/秒 | 最高約30.0コマ/秒 |
4K対応 | ○ | ○ | ○ |
手ブレ補正 | ○ | ○ | ○ |
防塵・防滴 | ○ | ○ | ○ |
撮影可能枚数 | [パワーセーブ(静止画モード)]が[ON]の場合:約740コマ [パワーセーブ(静止画モード)]が[OFF]の場合:約700コマ | 430枚 | 620枚 |
重量 | 1,160g | 652g | 1,015g |
発売年月 | 2021年12月 | 2021年03月 | 2021年11月 |
Z 9のセンサーは自社開発!?
NikonがフルミラでSONY、キャノンに遅れをとった大きな原因にCMOSが外注であることがあげられます。
もちろん一眼レフでもイメージセンサー、CMOSは重要パーツですが、フルミラは像面位相差などAF性能とも直結するのでさらに重要なパーツとなっています。更に、昨今では裏面照射型や積層型などの、より光を取り込める新しいCMOSが開発され画質の面でも重要になっています。
今回、Z 9では新開発の積層型CMOSセンサーが採用されています。少なくとも生産は他社に外注していることは間違いありませんが、開発を完全自社でしたのか、他社との共同開発なのかは不明です。
情報としては、SONYの特許使用許諾をとっているとのことなので、積層型CMOSに関するSONYの特許を使用している可能性はあります。ただ、Z 9に採用されているCMOSはα1を凌ぐほどの性能があり、それをSONYが許したのかは疑問です。
一説では生産はSONYではない会社の可能性もあげられているので、SONYの特許を使って、自社開発した技術を合わせて他社で生産している可能性は考えられます。
Z 9がメカシャッターなしの完全電子シャッターとしたのもこの新開発のCMOSが大きく寄与しています。通常、電子シャッターはメカシャッターよりも幕速が遅いので、ローリングシャッター現象が起こりやすくなります。
しかし今回のCMOSではメカシャッターの幕速に近い読み出し速度を実現したことでメカシャッターは不要となりました。他社フラッグシップに比べて価格が抑えられているのはメカシャッター非搭載にしたとが間違いなく貢献しています。
CMOS技術で遅れがちだったNikonですが、Z 9では明らかに他社に匹敵する技術となっています。
野鳥のレビューがかなり多めでZ 400mm f/2.8との組み合わせが良?
Z 9のレビューや作例などを見ると、目につくのが野鳥を撮影した作品の多さです。
ポートレートでは肖像権が関係してくるのでアップし辛いということもあるのでしょうが、Z 9が野鳥撮影をはじめとしたネイチャー写真家に待望されたフルミラであることも要因としてあげられそうです。
自然の中で写真を撮る場合、カメラに求められるものは何をおいても信頼性です。Z 9にはD 6などのD一桁シリーズから培った高い信頼性があります。大型バッテリーによる長時間撮影はもちろんですが、嵐の中や砂漠でも撮影できる高い防塵防滴性、多少の乱暴に扱っても問題なく作動し続ける堅牢性があります。
電子シャッターのみのZ 9ですが、センサーシールドが搭載されているので、レンズ交換時にCMOSが露出しないので屋外でも積極的にレンズ交換できるということもポイントでしょう。それに加えて、Z 9で大幅に進化したフルミラ史上最高クラスともいえる高い動体追尾AFが自然界での撮影をサポートしてくれます。
そんなZ 9はNIKKOR Z 400mm f/2.8 TC VR Sとの組み合わせが注目されています。すでにショールームで触って、Z 9との可能性を高く評価する声が聞こえてきています。
テレコン内蔵で500mm F4としても使えるので、野生動物を撮影するにはもってこいの組み合わせとなりそうです。
今発注して手に入れられるのは来年!?
半導体不足による品薄というのはカメラに限った話ではありませんが、大人気カメラのZ 9には2022年1月時点で、「次に購入できるのは10月」という噂があります。集めた情報から、事実を整理すると、家電量販店で「次回の入荷予定が10月」というのが正確な情報です。
Nikonからの出荷については1月にもあり、既に予約をしている人に対しては順次手元に届いている様です。ただやはり今から予約するとなると半年以上、場合によってはそれ以上待つ可能性はあります。
昨今、カメラの製品寿命は5年、10年と長くなっています。特に、Z 9のようなプロスペックのカメラは、後継機発売が予想される4年後はもちろん、それ以上長いスパンでも十分使えます。
Z 9はメカシャッターを使っていないのでシャッター寿命も関係なくなり、ボディは堅牢ということで、さらに長いスパンで使うこともできそうです。発売から1年以上経って購入したとしても、性能不足を感じさせることはなく、それから先も長く使えるカメラであることは間違いなさそうです。
ユーザーレビュー
■ ポジティブレビュー
- Nikonらしい無骨なデザインが好印象
- グリップは深めでホールド感良好
- 安定のボタン配置で、一眼レフからの移行でも迷わない
- D6とくらべると超軽量で持ち運びやすい
- EVFにはスペックに現れない良さがある
■ ネガティブレビュー
- D6と比べるとAFの迷いが気になる
- シャッター音が違和感ありまくり
- バッテリーもちはこまめに電源OFFなどの工夫は必要
- 縦位置グリップが少し窮屈
- 背面はチルトじゃなくてバリアングル液晶にしてほしかった
まとめ
Z 9の出来というのは、Nikonの企業としての将来に大きく影響するものだったと言っても過言ではないでしょう。
一眼レフからフルミラへの転換期において遅れをとった感が否めなかったNikonですが、Z 9は今までD一桁シリーズを使っていたユーザーにNikonフルミラ移行を促すだけでなく、SONYなどに流出したユーザーを呼び戻す可能性もある出来となっています。
将来的なZマウントレンズの可能性も加味すれば、Z 9は半年以上待ってでも手に入れる価値のあるカメラといえます。
Nikon Z 9 / NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
Nikon Z 9 / NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
Nikon Z 9 / Pentacon AV 80mm F2.8
NIKON Z 9 / NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
NIKON Z 9 / NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
レンズマウント | |
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レンズマウント | Nikon Zマウント |
撮像素子 | |
センサーサイズ | フルサイズ(35.9×23.9mm) |
有効画素数 | 4,571万画素 |
ダスト低減機能 | ○ |
映像エンジン | EXPEED 7 |
画像記録 | |
記録媒体 | XQDカード
|
スロット数 | ダブルスロット
|
記録画素数 | 8256×5504ピクセル(サイズL:45.4M)
|
画像ファイル | JPEG/RAW(NEF) |
動画 | |
4K対応 | ○ |
記録サイズ | 7680×4320(8K UHD):30p
|
記録形式 | MOV/MP4 |
ライブビュー | |
フォーカス | ハイブリッドAF(位相差AF/コントラストAF)、AF補助光付 |
シャッター | |
シャッター速度 | 1/32000~30秒 |
連続撮影速度 | 最高約120.0コマ/秒 |
露出制御 | |
測光方式/測光分割数 | 撮像素子によるTTL測光方式 |
ISO感度 | 64〜25,600 |
AF | |
測距点 | 最大493点 |
ファインダー | |
視野率 | 100% |
倍率 | 約0.8倍 |
ストロボ | |
内蔵ストロボ | - |
液晶モニター | |
サイズ | 3.2型(インチ) 210万ドット |
可動式 | チルト式液晶 |
I/F | |
インターフェース | USB Type-C、HDMI |
無線LAN | |
Wi-Fi機能 | ○ |
ネットワーク | |
NFC | - |
Bluetooth | ○ |
防塵・防滴 | |
防塵・防滴 | ○ |
手ブレ | |
手ブレ補正機構 | ○ |
GPS | |
GPS | ○ |
電源 | |
撮影可能枚数(ファインダー) | [パワーセーブ(静止画モード)]が[ON]の場合:約740コマ
|
撮影可能枚数(ライブビュー) | [パワーセーブ(静止画モード)]が[ON]の場合:約770コマ
|
動画撮影可能時間 | モニターモード[ファインダーのみ]時:約170分
|
USB充電 | ○ |
使用電池 | Li-ionリチャージャブルバッテリーEN-EL18d※ 1個使用 |
サイズ・重量 | |
サイズ | 約149×149.5×90.5mm |
重量 | 1,160g |
発売日 | |
発売日 | 2021年12月24日 |
製品情報
- カテゴリ
- ミラーレス一眼
- メーカー
- Nikon
- タイプ
- プロモデル
- マウント
- Nikon Zマウント
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Nikon Z 9 | FUJIFILM GFX 100S | Canon EOS R3 | SONY α1(ILCE-1) | SONY α9 II(ILCE-9M2) | FUJIFILM GFX 50S II | FUJIFILM GFX 50R | |
価格 | 新品:698,500円〜 | 新品:741,185円〜 中古:553,800円〜 | 新品:775,000円〜 | 新品:785,456円〜 中古:680,727円〜 | 新品:498,000円〜 中古:342,800円〜 | 新品:455,070円〜 中古:252,780円〜 | 新品:376,002円〜 中古:270,800円〜 |
センサーサイズ | フルサイズ(35.9×23.9mm) | FUJIFILM G Format(43.8mm×32.9mm) | フルサイズ(36.0×24.0mm) | フルサイズ(35.9×24mm) | フルサイズ(35.6×23.8mm) | FUJIFILM G Format(43.8mm×32.9mm) | FUJIFILM G Format(43.8mm×32.9mm) |
有効画素数 | 4,571万画素 | 10,200万画素 | 2,410万画素 | 5,010万画素 | 2,420万画素 | 5,140万画素 | 5,140万画素 |
連続撮影速度 | 最高約120.0コマ/秒 | 最高約5.0コマ/秒 | 最高約30.0コマ/秒 | 最高約30.0コマ/秒 | 最高約20.0コマ/秒 | 最高約3.0コマ/秒 | 最高約3.0コマ/秒 |
4K対応 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - |
手ブレ補正 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
撮影可能枚数 | [パワーセーブ(静止画モード)]が[ON]の場合:約740コマ [パワーセーブ(静止画モード)]が[OFF]の場合:約700コマ | 430枚 | 620枚 | 430枚 | 500枚 | 445枚 | 400枚 |
重量 | 1,160g | 821g | 1,015g | 652g | 593g | 819g | 690g |
発売年月 | 2021年12月 | 2021年02月 | 2021年11月 | 2021年03月 | 2019年11月 | 2021年09月 | 2018年11月 |