製品解説
スペック
100万円を下回る、革命的な超望遠レンズ
NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sの販売価格は87万円前後。これだけだとかなりの高額レンズですが、FマウントのAF-S NIKKOR 800mm f/5.6E FL ED VRが約200万円すると聞けば、いかにお求めやすい価格帯になっているのかがおわかりいただけるはずです。
価格を左右するレンズの明るさも大きく劣るわけでなく、約1/3段暗いだけ。基本的に絞り開放では撮らない方や、そうでなくても画質にほぼ影響がない程度にISO感度を上げるだけでOKなので、問題にならないと思います。
Zレンズでは初となるPF(位相フレネル)レンズを採用。色収差補正に長けているレンズなので、その分レンズ構成のボリュームを抑えることができ、サイズ、重量のスリム化に成功。ひいては価格面にも貢献していると考えられます。
ちなみに、AF-S NIKKOR 800mm f/5.6E FL ED VRと比べて、全長76mm短縮、重さに至っては約2205gも軽い約2385g。そもそも800mm f/5.6E FL ED VR自体、蛍石レンズを2枚採用して軽量化に努めたレンズ。そんなレンズの半分近い重さを実現しているのは革命的といっても差し支えないでしょう。
ただ、PFレンズにも良いことばかりではなく、光源にリング上のフレアが出てしまうというデメリットがあります。一応専用ソフトで軽減できるのでそちらの処理に期待するか、割り切って使用する必要はありそうです。
とはいえ、Nikonが自信を持って送り出す“Sライン”のレンズ。そのデメリットを補って余るほどの絵作りを期待できるでしょう。
最大1600mmまでカバーしたレンズを存分に振り回せる喜び
望遠レンズの主戦場は動きモノの撮影。焦点距離が長いからといってその場にどっしり腰を据えて撮影するのではなく、動く被写体に合わせてこちらも動き回らないといけません。そういった面で小型・軽量化は非常に大きなメリットですし、加えて、Zマウントレンズにおける望遠レンズはいずれも重心の位置を工夫していて、数字以上に軽さを感じる設計になっています。
今回のNIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sも重心をボディ側に近づけて軽さを感じるバランスに。質量のあるZ9と組み合わせれば、その効果をより実感することができます。
別売りのテレコンバーターには×1.4と×2両方ともに対応し、最大で1600mmまでカバー。画素数の多いカメラとの組み合わせであれば、積極的にクロップを利用してより被写体を大きく写すのも良さそうです。
ユーザーレビュー
■ ポジティブレビュー
- 驚きの軽さで手持ちもできる
- 安価さを感じない写りの凄さ
- AFが早くて動きものにも対応
- Fマウント版の懸念事項をことごとく改善している
このクラスのレンズに慣れている人は特にこの進化に驚いているようです。使用者の要望に合わせた操作性になっているところも、好感を持たれているポイントといえます。
■ ネガティブレビュー
■ ネガティブレビュー
- PFレンズのフレアが出る
あまりの進化にネガティブな意見がほとんど見受けられませんでした。手元でVRの入切ができないくらいシンプルな操作系も、受け入れている人がほとんどでした。
まとめ
800mmという焦点距離のレンズを扱う撮影をしている人は、あまり多くはないと思いますが、それはレンズ自体が高いというのも大きな理由の一つだと思います。
NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sも80〜90万円のレンズでまったく安くはないのですが、それまでの200万円クラスと比べたら少し現実的に思えるレンズといえます。
価格面で超望遠の世界に踏みとどまっていた人は、ZマウントのカメラとNIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sの組み合わせで、要検討してみてはいかがでしょうか。
基本仕様 | |
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対応マウント | Nikon Zマウント |
フォーカス | AF/MF |
フルサイズ対応 | ○ |
APS-C専用 | - |
レンズ構成 | 14群22枚 |
絞り羽根枚数 | 9枚 |
焦点距離 | 800mm |
最短撮影距離 | 500.0cm |
最大撮影倍率 | 0.16倍 |
開放F値 | F6.3〜32.0 |
画角 | 3.1度 |
手ブレ補正機構 | ○ |
防塵 | ○ |
防滴 | ○ |
サイズ・重量 | |
最大径×長さ | 140x385mm |
重量 | 2,385g |
フィルター径 | 46mm |
発売日 | |
発売日 | 2022年04月22日 |
製品情報
- カテゴリ
- 単焦点レンズ
- メーカー
- Nikon
- タイプ
- 望遠
- マウント
- Nikon Zマウント