TAMRON 28-300mm F/4-7.1 Di III VC VXD（Model A074） [ソニーE用]

これぞTAMRONだから作れる便利ズーム

標準域から、望遠域まで１本で撮影できるというのは望遠ズームレンズの理想です。28-300mm F/4-7.1 Di III VC VXDはまさにその理想を叶える、10.7倍という高倍率ズームレンズ。

広角端が50mmからはじまるズームレンズとは違い、単に標準域に届くというわけではなく、広角端28mmという、標準域の広角寄りまで、全域をカバーできるレンズです。そんな高倍率ズームレンズを、610gという超望遠レンズとは思えない重量で仕上げてしまうのは流石TAMRON。

性能面では高倍率ズームでもAF速度をなるべく低下させないために駆動方式はリニアモーターフォーカス機構「VXD」を採用しています。そしてTAMRONお馴染みのファインダー像がカチッと止まる手ぶれ補正「VC」を採用したことで300mmの望遠撮影でも安心して手持ち撮影できます。

光学性能では、やはり高倍率ズームレンズはどうしても犠牲となる点は出てきてしまいます。広角28mmでの像がややふわっとしてしまうところや、周辺部の描写が甘く、またボケ感も若干うるさいという点が28-300mm F/4-7.1 Di III VC VXDの高倍率ズームレンズとしてのデメリットとなります。

しかし、これらはある程度絞ることで改善されます。そして、中央部の解像力は後述する以前発売されたTAMRONの高倍率ズームレンズと比較して大きく改善されたと評価されていて、ズームレンジが広がっても、解像性能は全体としては大きく改善されています。

風景全体を撮るというよりも、ズームレンズのメリットを活かして、被写体を絞ってフォーカスして撮影するという用途に向いているレンズといえます。

林立する300mmズームに込められたTAMRONの意図

TAMRONは2024年6月27日に50-300mm F/4.5-6.3 Di III VC VXDを発売したばかり。そこからわずか2ヶ月で新たな300mmズーム、28-300mm F/4-7.1 Di III VC VXDを発売しました。

実はTAMRONは2022年9月に70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXDを発売しており、ラインナップ的には3本目。似たような高倍率ズームとしては50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXDや28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXDもあり、選択肢が増えること自体は歓迎なのですが、迷ってしまうことも事実で、もっというと、「同一メーカーで似たようなレンズを出して大丈夫？」といった心配も老婆心ながら出てきてしまいます。

おそらくTAMRONが多くの高倍率ズームを発売したことは、「高倍率ズームといえばTAMRON」というイメージの定着と、「ミラーレスにおける最適解の探索」だと思われます。

高倍率ズームといえばTAMRONというのは既に完成されたイメージとなりつつあります。その上で、「最適解の探索」というのは、ズームレンズの倍率と、レンズの重量、それに対するユーザーのニーズというポイントがありそうです。

現状はカメラメーカーを含めて、今までにないズーム域のレンズが増えていますが、倍率とレンズサイズの最適なバランスが未だに定まっていません。多くの高倍率ズームがTAMRONにラインナップされたことで、ユーザーのニーズが反映され、ユーザーが求める最適なバランスのレンズの完成に近づきます。今後、どのズームレンズが第2世代、第３世代と改良されていくのか興味深いところです。

また、28mmはじまりの高倍率ズームレンズというと、2024年4月19日発売のNIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VRがあります。Nikon Zマウントユーザーはこちらのレンズを選ぶ傾向があるかもしれませんが、用途的にテレ端300mmでことたりるなら、サイズ感やコスト面でTAMRONレンズの方が優位となります。

SONY Eマウントユーザーについては、現状、純正レンズは単焦点や大三元レンズではハイクォリティーなものが多くラインナップされていますが、高倍率ズームレンズではTAMRONが強く、上記にあげたTAMRONのラインナップから選ぶことになりそうです。

今回の28-300mm F/4-7.1 Di III VC VXDの発売で、SONY Eマウントユーザーはズームレンズでもより魅力的な選択肢が増えることになりました。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• サイズ感や重さのバランスが良く、持ち運びに困らない
• フィルターが67ｍｍなので他のレンズとも共用しやすい
• このレンズがあれば、あとは単焦点数本でカメラ生活に困らない
• 便利さを最優先するなら、この画質は十分納得
• SONY純正の24‐200は重いのでこの軽さは助かる

高倍率にも関わらず、コンパクトなサイズに抑えれられているところに高評価が集まっています。

■ ネガティブレビュー

• 先日50-300を買ったばかりなので、このタイミングで発売されても…
• このレンズより28-200mmのII型が欲しかった
• F4スタートなので、少し暗い
• 広角端を24mmまで伸ばしてくれると文句なしかな
• 28mmの画質が良くないのは致命的かも

TAMRONは多数の高倍率ズームを発売しているので、他のレンズへのニーズも高く需要が分散していて評価も分かれている部分があるようです。

まとめ

次々と発売されるTAMRONの高倍率ズームレンズ。2024年8月に発売されたのは28-300mm F/4-7.1 Di III VC VXDという10.7倍の高倍率ズームレンズです。

テレ端300mmという超望遠域から、標準域を28mmまでカバーしているので、運動会のようなイベント撮影ではこのレンズ１本で賄うことができます。

この１本で多くの撮影に対応できることから、はじめてミラーレス一眼を購入して、まだまだレンズが揃っていないユーザーにとっては、最適な選択肢の１つとなります。