SONY E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS II SELP16502

色褪せることのない、定番の標準電子ズームレンズ

前モデルであるE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSが登場したのは10年以上前の2013年。ミラーレス機は同年に世界初のフルサイズミラーレスカメラとしてSONY α7が発表されたようなころで、まだまだAPS-Cセンサーが主流だった時代、コンパクトで近接性能が高く、レンズ内手ぶれ補正も搭載されたオールマイティな性能を有するE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSは当時のAPS-Cユーザーにマッチ。キットレンズとしても重宝され、10年以上モデルチェンジすることなくリリースされ続けるロングセラーレンズとなります。

フルサイズ機が主流となり、SONY製APS-C機においては動画性能を充実させたV-LOG機としての色が濃くなった昨今、満を持してリニューアルされたのが、今回紹介するE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS IIとなります。

ただ、リニューアルといっても大掛かりなものではなくむしろマイナーチェンジに留まり、このレンズの立ち位置、ユーザー層、性能とのバランスなどを考えるとその方針はおおむね納得行くもの。それだけ良くできたレンズであることが伺えます。実際に、2024年モデルのレンズ交換式V-log機 ZV-E10 IIのキットレンズにも採用されています。

コストパフォーマンスに優れたレンズ性能

レンズの内容は前モデルと据え置きで、焦点距離は35mm判換算で24-75ｍｍ、レンズ構成も同じ。ただ、もともと非球面レンズを4枚に特殊なEDガラスを1枚含んだ8群9枚という、キットレンズにしてはいささか贅沢な仕様なので、現代の基準でも充分優れた描写性能を発揮してくれます。特に中心の描写は開放から優れていて、F8まで絞れば周辺の描写も整ってきます。収差も高いレベルで抑えられています。

近接撮影も最短30cm（テレ端）、最大倍率0.215倍なので、テーブルフォトなども難なく行えます。レンズ内手ぶれ補正も搭載されており、打率の高い撮影を行えるでしょう。

では、IIになって何がかわったのか。まず、AF性能が上がりました。最適化されたリニアモーターを搭載して、素早く精度の高いピント合わせを実現しています。動画撮影に必要なズーム中の追従やフォーカスブリージング補正にも対応するなど、動画への最適化も図られています。

レンズマウントが金属からプラスチックに変更になっているのが大きなポイント。強度面が気になるところですが、剛性は確保され、むしろプラスチックタイプのほうが頑丈なように仕上げられています。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• このクラスのレンズとしては解像度の高い描写性能
• 前モデルを遥かに超えたAF性能でもはや別物
• 表面の仕上げが近年のSONY製カメラにマッチしたものに変更されている
• 収差の補正は最新基準でも充分

10年越しによるAFのアップデートの恩恵は大きかったようで、この改善だけで全く別のレンズになったという評価も。

■ ネガティブレビュー

• ズームはレバーは良いけどリングは軽くて使いにくい
• 逆光に弱め
• 光学面にテコ入れしてほしかった

価格面を抑えたうえでのアップデートだと思われるため致し方ないですが、価格を上げてでも最新基準に一新して欲しかったという意見も見られました。

まとめ

物価高が叫ばれる中でも価格を抑えたアップデートによってより使いやすく進化したE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS II。入門用としてSONY製APS-C機を購入したときにもこのレンズを選べば、SONYの描くシャープな画作りをて手軽に堪能できます。また、もしその後より高性能なレンズに置き換えても、小さくて軽いのでサブレンズとして運用もしやすいです。動画勢はもちろん、静止画撮りの方にもおすすめします。