SIGMA 300-600mm F4 DG OS｜Sports [ソニーE用]

SIGMAが生み出した新しい「白レンズ」

CP+2025のSIGMAブースの目玉といえば、斬新なデザインのミラーレス一眼、Sigma BFでした。アルミのインゴットをアルミ削り出し加工で一体造形された特徴的なカメラボディは極限までシンプルさを追求し、非常にコンパクトで、「今までにないスタイル」が注目を集めました。

そして、もう一つ注目を集めたのが、コンパクトなSigma BFとは対極で非常に大きな白い鏡筒のレンズ、300-600mm F4 DG OS｜Sportsでした。

このレンズもまた、「今までにない」レンズ。従来は600mmの焦点距離でF4という明るいF値で撮影する場合は単焦点レンズしか選択肢がありませんでした。しかし、300-600mm F4 DG OS｜Sportsはご覧の通り、F4通しのズームレンズ。

600mm F4をズームレンズで撮影できるということで、野鳥撮影やスポーツ撮影、乗り物撮影では被写体との距離にあわせて画角を自由に変化させて撮影できます。F4という明るさがあるので解像力は非常に高く、被写体の質感まで細やかに描き出す表現力が特徴。今までは画角の自由度をとるのか、解像力をとるのか、2択となっていましたが、このレンズであればその両方をとることができます。

もちろん、ズームとF値だけでなく、その他の部分も非常に高性能化されています。AFはリニアモーターHLAを採用したことで、純正レンズと遜色ない速度でピント合わせが可能。フォーカスレンズ群を軽量化することで、超望遠レンズでも、動きモノにAFを追従させるのに十分な速度があります。α１シリーズやα９シリーズの高性能な追従AFの性能をフルに発揮することができるAF性能です。。手ぶれ補正もレンズ内手ぶれ補正があり、手ブレ補正アルゴリズムOS2が5.5段分の補正効果を発揮。

その他、ドロップインフィルターがマウント側にあったり、三脚座はアルカスイス互換のものがあったりと細部までSIGMAのこだわりが詰まったレンズになっています。

そんな300-600mm F4 DG OS｜Sportsはアルミ合金の鏡筒で、ズームレンズではありますが、SONYの純正単焦点レンズ、FE 600mm F4 GM OSSとほぼ同じサイズ感で、重量は1kg弱の差と、決して軽くはないものの十分実用的なサイズ感のレンズです。

鏡筒の表面は遮熱塗料で白く塗装されていて、SIGMAとしては珍しい「白レンズ」となっています。SONYやCanonの超望遠レンズではお馴染みの「白レンズ」ですが、SIGMAとしても屋外撮影時の熱問題という細部までこだわり尽くして開発したという300-600mm F4 DG OS｜Sportsに込められた思いも感じさせる「白」となっています。

明るい超望遠はズームレンズの時代に

昨今、超望遠ズームレンズが立て続けに販売されています。その発売されるズームレンズには主に2つのパターンがあります。1つは今までにないズーム域の高倍率ズームレンズと、もう1つは従来のズームレンズにはない単焦点のような明るさのレンズ。

300-600mm F4 DG OS｜Sportsはまさにその両方を実現したレンズといえます。ズーム域に関しては全く新しいというわけではなく、望遠端600mmのズームレンズは一眼レフ時代から存在していますし、倍率についても2倍ズームなのでそこまで高倍率というわけでもありません。SIGMAとしても、テレ端600mmのミラーレスレンズとしては60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sportsという10倍の超高倍率ズームレンズが存在しています。しかし、F4通しという明るさが加わったことで300-600mm F4 DG OS｜Sportsの存在は唯一無二となっています。

目新しい焦点域の超望遠ズームレンズとしてはSONY Eマウントの純正レンズでFE 400-800mm F6.3-8 G OSSというレンズもあります。しかし、こちらも開放F値はF6.3-8と焦点距離に応じて変化し、決して明るいとは言えないレンズです。F値が暗いという理由もあって、SONYはこのレンズを最高峰クラスの「GM」ではなくGレンズとして発売しています。

300-600mm F4 DG OS｜Sportsは全長469.9mm、重量3970gと大きなレンズではありますが、十分実用的なサイズにまとめられています。価格も100万円を超えるとあって、簡単に手に入れられるレンズではありませんが、望遠レンズで決定的瞬間を高画質で撮影しようとするのであれば、十分その価値を見出すことができます。

SIGMAは今回、CP+2025で新しいロゴと、新しいモノ造りのコンセプトを発表しました。300-600mm F4 DG OS｜Sportsは従来、SIGMAのミラーレス用レンズに共通していた「DN」の文字がありません。これは、今後はレンズ開発はミラーレスに集中するため一眼レフ用と区別する必要がなくなったからとのこと。

そんな転換期を表すアイコン的存在ともいえるレンズが300-600mm F4 DG OS｜Sports。300-600mm F4 DG OS｜Sportsは、まさにSIGMAのモノ造りへの飽くなき挑戦する姿勢を体現した形となっています。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• スペックも価格も夢を見せてくれる新しいレンズ
• 1.4xテレコンを使えば800mmまで撮影できるので最強の望遠レンズ
• 重さは500mmF4程度でスペックをみれば十分軽量といえる
• SIGMAは120-300mmのレンズがあるので繋がりも良
• ドロップインフィルターはレンズ下部で、防塵防滴も徹底されていそう

スペックは当然ですが、細部まで高いビルドクオリティがあり、価格にあった価値あるレンズとなっています。

■ ネガティブレビュー

• SONY Eマウントは連写制限がかかってしまう
• 限定カラーも出るとさらに人気となりそう
• 現状でこのスペックをフルで発揮できるカメラがあるのか疑問
• 使用頻度が高くないと、さすがにこの価格のレンズは手が出せない
• 欲を言えば200mmスタートなら文句なし

サードパーティレンズは、SONY αシリーズでは連写制限がかかってしまうことにSONYに改善を求める声が多くありました。

まとめ

一通り一眼レフ時代と同じレンズが出揃い、若干の停滞感があったフルサイズミラーレスの交換レンズ。そんな中で、SIGMAは新たに自社のモノ造りのコンセプトを定義しなおし、300-600mm F4 DG OS｜Sportsで新しい風を巻き起こしました。

今までにない明るい超望遠ズームレンズは、非常に高価なレンズではありますが、今までにない撮影スタイルの確立を予感させ、今まで見られなかった瞬間の写真が誕生するのではというワクワク感を与えてくれます。

300-600mm F4 DG OS｜Sportsは超望遠撮影をするカメラマンにとって一度は手にしたいレンズであり、写真を見る側としてはどんな新たな写真が生まれるのか楽しみなレンズです。