SONY FE70-200mm F4 Macro G OSS II SEL70200G2

使い勝手が良くなった70-200F4

FE 70-200mm F4 G OSSは2014年に発売されました。SONYが世界初のフルサイズミラーレスカメラ、α7を発売したのが2013年11月ということで、FE 70-200mm F4 G OSSは、フルミラ最初期に発売されたレンズの1本ということになります。そのため、FE 70-200mm F4 G OSSはフルサイズ一眼レフ用の他社70-200F4とほぼ同じ様なサイズ感で、ある意味コンサバティブな設計のレンズでした。

それから約10年の時を経て発表されたレンズ「FE70-200mmF4 Macro G OSS II」。2代目となるSONY 70‐200F4ズームは全く新しい設計でフルサイズミラーレスの特徴を活かしつつ、さらなる使い勝手を追求したレンズとなっています。

まずぱっと見でわかる大きな特徴としては、旧型ではインナーズームだったものをアウターズーム方式としたことで、全長が30mm短くなりました。それに伴い、重量も40gほど軽くなっています。

次にわかる大きな特徴として「Macro」の文字が付けられています。その名の通り、FE70-200mmF4 Macro G OSS IIはハーフマクロの性能があります。さらに、テレコンバーターにも対応しているので、2倍のテレコンを装着すると等倍マクロ撮影も可能です。

もちろん、目に見える部分だけでなく、内部も進化しています。レンズ設計は刷新され、高度非球面AAレンズ、非球面レンズ、ED(特殊低分散)ガラス、スーパーEDガラスを使い、昨今の高解像度フルサイズミラーレスに最適化。フォーカス時に2つのフォーカスレンズ群を動かすことでズーム、フォーカス全域で解像性能を引き出すフローティングフォーカス機構を採用したことで、旧型から大きく光学性能が進化しています。

フローティングフォーカス機構は最新のレンズではよく取り入れられるフォーカス機構です。1群のフォーカスレンズ群のみではどうしても被写体との距離で収差の出方が変わってしまい、抑えられない収差が発生してしまいますが、そこにもう1つのレンズ群を加えて個別に制御することで、被写体との距離関係なく収差を抑えることができます。

FE70-200mmF4 Macro G OSS IIはSONY Eマウントレンズ10年の技術の蓄積を詰め込んだレンズと言えます。

TAMRON70-180mm F/2.8との比較は

FE70-200mmF4 Macro G OSS IIはコンパクトになり、ハーフマクロ性能もついたことで非常に使い勝手の良いレンズ。ただし、高価。

EマウントレンズにはTAMRON70-180mm F/2.8という社外レンズがあります。望遠端が180mmとやや短いものの、F2.8通しの明るさ。しかも、価格がFE70-200mmF4 Macro G OSS IIの半額ということで、どちらを購入するか悩む人も多いでしょう。レンズサイズはフィルター径こそ、FEが72mm、TAMRONが67mmとやや違うものの重量や大きさはほぼ同じです。

両者ともに防塵防滴性を備えています。FE70-200mmF4 Macro G OSS IIは高価な純正レンズということで高い信頼性を備えていますが、TAMRONも最近は信頼性の高いレンズを開発しています。

そうなってくると、比較は光学性能となりそうです。TAMRONの方が開放が明るいレンズではありますが、面白いことのF4での解像力比較ではFE70-200mmF4 Macro G OSS IIが勝っているというラボテストの結果があります。F5.6に絞っても同様で、特に四隅の描写がFE70-200mmF4 Macro G OSS IIの解像力が勝るポイントとなります。ボケの比較でもFE70-200mmF4 Macro G OSS IIは評価が高く、その価格に見合った性能があります。

TAMRONのF2.8という明るさ、その明るさがありながらF4ズームとほぼ同じ大きさで、価格が半分という点はかなり魅力的ではあります。

ただ、αボディに最適化された高い光学設計という点ではやはり純正レンズFE70-200mmF4 Macro G OSS IIに部があると言えます。

愛用者のコメント

ハーフマクロが撮れて、全域で迷い無い素早いAF。季節の花の撮影をするのが好きで、SNSで見かけないような構図で撮りたいなぁと、これまで花の撮影の時は50mmマクロ、80mm、150mmを持ち出していましたが、これ一本でほぼ全て撮れるようになってしまいました。

マクロ撮影をしていて、ふと見上げた山が綺麗だったらそのまま山の稜線をズームして撮ったり、花畑全景を撮っていてそのまま花びらにクローズアップをしたり。立体感ありありのパキパキの描写で、もう無敵レンズ。風で少しくらい花が揺れてもさすが純正レンズ、余裕のAFが追い続けます。

サイズも小型軽量で、試しに街スナップにも持ち出してみましたが、α7cとの組み合わせだと半日撮影しても疲れも感じず、走る車も、飛んで行く飛行機も、鳥も、植え込みのサルスベリのめしべも、なんでも撮れます。

花の撮影がガラリと変わったお気に入りの一本です。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• テレコン対応で、超望遠でも使えるので便利になった
• 別にマクロレンズは持ってないので、この性能は魅力
• ズームリング回転角は90度で、素早くズームできる
• AFは爆速でα1との組み合わせで歩留まりも高い
• 開放から満足の描画性能

テレコンに対応したことで、幅広い使い方ができるので、複数レンズの役割が集約できると高評価になっています。

■ ネガティブレビュー

• アウターズームは水滴が入り込まないか不安
• さすがに旧型と比較すると倍の価格設定は手が出しにくい
• 期待したほどのコンパクトさはない
• フォーカスリングがゆるいのが気になる
• GMレンズと比較すると、全体的にワングレード劣ると感じるのは仕方ない

レンズグレードがGとは思えないレンズですが、さすがにGMレンズと比べると劣る部分もありそうです。

まとめ

旧型から大きく進化したFE70-200mmF4 Macro G OSS II。旧型の発売から10年。フルサイズミラーレスは高解像化やAFの高性能化、さらに動画性能の向上など様々な進化をしてきました。

当然、旧型のレンズでは光学的に描画力やAF速度が不足する部分も出てきます。さらに、フルミラが様々な撮影シーンで活用されることに伴い、ズームレンズに要求されるものも変化してきました。FE70-200mmF4 Macro G OSS IIもそれ伴い、最新のフルミラに合わせた高い光学性能となっています。

時代の流れに合わせ、さらに一回りコンパクトになり、ハーフマクロ性能もあることから使い勝手の良いレンズへと進化しました。