
Canon RF85mm F1.2 L USM
Canon RFマウント
2019/06/20発売
はじめて「RF85mm F1.2 L USM」を見たときの第一印象は、「Canonはフルサイズミラーレスを売る気がないのではないか」というものでした。85㎜の単焦点レンズに、30万円以上の予算を割けるアマチュアカメラマンはどれほどいるでしょうか?しかも、新しいフルサイズミラーレス一眼を買った直後に。しかし、今は買えなくとも「結局はお金が溜まったら買ってしまうんだろうな」と思わせる魅力がRF85㎜にはあります。
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出品するフルサイズミラーレスをまだ本格的に”売る気がなさそうな”Canonが生み出した名玉
フルサイズミラーレスは既に完成の域にあるデジタル一眼レフと比較すると、ファインダーの見え方や操作性、バッテリーの持ちなどにまだまだ問題点がありますが、レンズラインナップの貧弱さもその一つ。
しかしCanonは、2018年に自社初となるフルサイズミラーレス機「EOS R」を発売してから1年あまりで、10本という充実のフルサイズミラーレス用RFレンズラインナップを完成させました。
ミラーレスの魅力の一つに”レフ機構がないことによるボディの薄型化”が挙げられます。単純に軽量コンパクト化できるということ以外にも、レンズとイメージセンサーの距離=”フランジバック(Canonではバックフォーカスと表記)”を短くできることで、レンズマウント部分の干渉が少なくなり、レンズ設計の自由度が増すというメリットがあります。
当然、このメリットを享受するにはミラーレス専用設計のレンズを使う必要がありますが、昨今発売されたばかりのミラーレス専用レンズラインナップは、歴史あるレフ機レンズと比べればまだまだ貧弱。もちろん、レフ機用のレンズをフランジバックの差を埋めるマウントアダプターを介して使っても良いのですが、そんなことをするならわざわざミラーレスを買う意味も半減してしまいます。
そのためCanonは、フルサイズミラーレス専用のレンズマウント規格”RF”を発表してから次々と新レンズを発表してきました。これで安心してフルサイズミラーレスを購入できるかと思いきや、発表されたレンズのほとんどがプロ向け高級タイプのLレンズであり、30万円を超えるレンズとなっています。
カメラをフルサイズミラーレス化し、標準レンズと中望遠を揃えるには、100万円近い予算が必要になるということですね。プロカメラマンならば、ミラーレスでしか撮れない画を求めてそれくらいの投資は必然となるのでしょうが、アマチュアが簡単に手を出せる額ではありません。
そして、そんなCanonの高級フルサイズミラーレスレンズラインナップの筆頭ともいえるのが、「RF85mm F1.2 L USM」です。おそらく、EOS Rと一緒にRF85㎜を購入したというアマチュアカメラマンはそう多くはないでしょう。しかし、今ではなくとも「いつかは買いたい、だからCanonを使い続けよう」という気にさせる、魅力あるレンズなのは間違いありません。
レンズ設計は収差との闘い
Canonの単焦点85mmといえば、レフ機用のレンズに「EF85mm F1.2L II USM」がありますが、「RF85mm F1.2 L USM」はEF85mmと比較すると10万円以上高く、また大きさも外径は約10mm、全長は約30mm長くなっています。RFマウントはEFマウントよりもフランジバックが20mm短くなっていますが、それを加味しても縦横共に大きくなっています。
このレンズの大型化は、価格アップに見合う性能をもたらしてくれるのでしょうか。
レンズの設計は収差との闘い。レンズを通過した光は縦横に歪みが生じ、その歪みの程度は光の波長ごとに差があるので、色にも歪みが生じます。
この2つは収差と言われ、形の歪みは”歪曲収差”、色の歪みは”色収差”と言われますが、特に色収差においては、RF85mmのように明るい大径レンズで輪郭部分に紫色が出てしまう”パープルフリンジ”が問題となることがあります。
RF85mmはそのような収差を徹底的に除去するため、レンズ構成をEF85mmの7群8枚から9群13枚に変更。新たに追加されたBRレンズ、UDレンズが色収差を抑えてくれます。
F1.2の薄いピント面では、描画がシャープであるが故に色収差が目立ってしまうこともありますが、RF85mmの色収差性能はEF85mmより大きく向上しているといえるでしょう。光学性能以外にも、フッ素コートや各部のシーリングで耐久性・防塵防滴性が向上しており、価格差を埋めても余るメリットがあるといえます。
2019年12月には「RF85㎜ F1.2 L USM DS」という、RF85mmより更に高価格なモデルが発表されました。DSというのは”Defocus Smoothing”の略。DSコーティングを施したレンズを搭載し、ボケ部分の輪郭を柔らかくしてくれます。特に玉ボケは柔らかな描写となり、ポートレートではメインの被写体をより引き立ててくれるでしょう。
収差を徹底的に抑えたシャープな描写のRF85mmに、DSコーティングの組み合わせは今までない写真表現を教えてくれます。できればDSコーティング採用モデルを手に入れたいところですが、ボケ描写の違いに価格差を感じるかというところは個人の感性による判断となりそうです。
製品 | ||
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価格 | 新品: 417,334円 中古: 359,800円 | 新品: 229,800円 中古: 117,500円 |
焦点距離 | 85mm | 85mm |
F値 | F1.2〜16.0 | F1.2〜16.0 |
最短撮影距離 | 85.0cm | 95.0cm |
絞り羽根枚数 | 9枚 | 8枚 |
重量 | 1,195g | 1,025g |
発売日 | 2019/06/20 | 2006/03/01 |
作例紹介
85mm単焦点はポートレート専用レンズとも言われますが、RF85mmもシャープな描写と抜群のボケでポートレートに最適です。
透明なグラスを撮影すると色収差が目立つこともありますが、全く気になりません。
ボケ感はDSコーティングがなくても十分と感じるほど。
重量級レンズでも防塵防滴なので、積極的に持ち出して気になった被写体をおさめたいですね。
こんなシーンにおすすめ
RF85mmが活躍する撮影シーンは言うまでもなくポートレートです。85mmという若干望遠寄りの焦点距離は、広角よりも歪みが少なく背景ボケを生みやすいというメリットから、ポートレートでよく使われます。
色収差を徹底的に抑えたRF85mmは、瞳や髪の毛などもパープルフリンジを生むことなくシャープに描写。また、ウェディングドレスが”純白の写り”になるということは、このレンズをポートレートで使う大きなメリットとなるでしょう。
白を輪郭まで真っ白に撮影するということには意外と気を使いますが、RF85mmなら自信を持って撮影できます。
ユーザーレビュー
■ ポジティブレビュー
- 大型レンズだが、EOS Rとのバランスは悪くない
- AF速度は大径とは思えないほど速い
- 完璧といえる画質を作れる稀有なレンズ
- Canonレンズらしく、濃い色の発色が良い
- EFレンズから卒業しても、このレンズがあれば後悔はない
カメラ関連のレビューを見ているとは思えないほど、ネガティブなレビューがほとんどないことに驚かされます。
■ ネガティブレビュー
- 持ち運びは流石重量級といったところだ
- EF85mmと比較すると高すぎるという印象
- 手ブレ補正がないので、早くボディ内手ブレ補正付きのRを発売して欲しい
- 玉ボケは年輪にはならないものの、口径食が若干見られる
- 基本的には逆光耐性がかなり高いレンズだが、強いて言えばフレアが気になる
ネガティブなレビューを探すことに苦労しましたが、やはり争点は価格やサイズとなっているようです。
まとめ
レフ機ユーザーの多くが、ゆくゆくはミラーレス化を迫られるとは思いつつも、今あるレンズ資産を考えれば二の足を踏んでしまうことがあります。「RF85mm F1.2 L USM」はそんなユーザーにRFマウントの未来を示し、ミラーレス化を後押ししてくれるレンズ。
EFマウントよりもショートフランジバック化されたことでできた、レンズ設計の自由度向上のメリットを十二分に生かしており、EF85mmよりもシャープで収差も少ないという完成度の高さです。
価格的にはかなりの高級レンズですが、ミラーレスに乗り換えたのならいつかは手にしたい1本といえます。
価格情報

単焦点レンズ > 中望遠
Canon RF85mm F1.2 L USM
新品: 434,885円 / 中古: 426,000円
製品情報
カテゴリ | 単焦点レンズ |
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メーカー | Canon |
タイプ | 中望遠 |
マウント | Canon RFマウント |
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