製品解説
スペック
RFマウントがぐっと身近な存在に
RF16mm F2.8 STMが発売されたことで、RFマウントには16mm、35mm、50mm、85mm、600mm、800mmというSTMを採用した単焦点レンズが広角から超望遠まで出揃いました。ズームレンズでSTMを採用したものとしてはRF24-105mm F4-7.1 IS STMがあります。
復習しておくとSTMとはAF作動モーターで、ステッピングモーターを採用したレンズに付けられる名称です。
CanonにはSTMの他にUSM、超音波モーターを採用したレンズがあります。USMの方が高精度で高速、その分、高価になっています。USMを採用したRFレンズは20万、30万円が当たり前といったものが多く、手が出しにくい一方、STMを採用したレンズは超望遠を除けば10万円を切っており、手に入れやすくなっています。
今回発売されたRF16mm F2.8 STMは撒き餌レンズのRF50mm F1.8 STMに次ぐRFマウントで2番目に安いレンズとなっています。標準域をRF24-105mm F4-7.1 IS STMがカバーしていることを考えると、RFマウントでは2番目に購入を考えるという人も少なくないでしょう。
RF15-35mm F2.8 L IS USMが30万円弱、RF14-35mm F4 L IS USMが20万円強という価格を考えると、広角の1本を暫定的にも4万円で揃えられるというのは魅力的です。
もちろん、性能的にはより高額な広角レンズを購入するまでの暫定的な使い方としても、十分に満足できる性能です。
流石にRF15-35mm F2.8 Lと比較すると、同じF2.8での描写は一歩譲るものの、RF14-35mm F4との比較ではほぼ同等かそれ以上の光学性能を発揮してくれます。単焦点でSTMを採用したことで、光学性能を維持し、非常にコスパの高いレンズに仕上がっています。
製品 | Canon RF16mm F2.8 STM | Canon RF14-35mm F4 L IS USM |
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価格 | 新品:54,000円〜 中古:53,700円〜 | |
焦点距離 | 16mm | 14-35mm |
F値 | F2.8〜22.0 | F4.0〜22.0 |
最短撮影距離 | 13.0cm | 20.0cm |
絞り羽根枚数 | 7枚 | 9枚 |
手ブレ補正 | - | ○ |
防塵 | - | ○ |
防滴 | - | ○ |
重量 | 165g | 540g |
発売年月 | 2021年10月 | 2021年09月 |
意外と活躍する広角
一般的に広角レンズというと、そうそう出番の多いレンズではありません。
フルサイズ撮影では標準ズームの広角端、24mmでも風景や星空などある程度の広角撮影が可能で、専門的にそれらを撮影しようとしない人ならわざわざ広角レンズを持ち歩かないという人も多いでしょう。
そうなってしまう一因に広角レンズが大きく高価であるという理由もありました。風景や星空を高解像に撮影できる広角レンズは、大径で高価になりがちです。
RF16mm F2.8 STMは、RFマウントの特徴を活かし、大きな後玉を採用したことで、前玉は大きくなく、最大径約69.2mmとコンパクトで安価で携帯性も高い広角レンズとなっています。
広角レンズは単に風景や星空だけでなく、広角レンズならではのパースを効かせた建物撮影やポートレートでも特徴的な撮影ができます。また、RF16mm F2.8 STMは最短撮影距離0.13mと近接撮影にも強く、接写で被写体の一部分を特徴的に撮影したデフォルメ撮影などにも利用できます。
利用頻度を考えてもRF16mm F2.8 STMは購入リストの上位になりそうなレンズです。
Vlogに最適
広角の単焦点というのはVlog撮影にも最適のレンズとなります。フルミラは高画質な4K、8Kが撮影できるということでVlogユーザーのニーズが高いカメラになります。
自撮りなどを考えると、画角は広角が望ましくなりますが、高価で大径な広角レンズは扱いにくいレンズとなってしまいます。RF16mm F2.8 STMは重さ約165gという軽量コンパクトなレンズなので、フルミラボディに装着すると片手に持てる大きさと重さで高画質撮影が可能なカメラセットが出来上がります。
特にEOS Rのでは4K撮影時にクロップされるので、広い画角のレンズは必須で、このレンズは最適の選択肢となりそうです。また、動画撮影時に気になる点といえばAFモーターの作動音ですが、RF16mm F2.8のSTMは静かな環境で内蔵マイクが拾う程度の動作音となっています。
一般的にSTMは静音性の高いモーターなので、通常撮影する分には音は気にならないでしょう。もちろん高音質な録音をしたい場合には外部マイクを使ったほうが良いでしょう。
作例紹介
収差の補正は、デジタル補正を効かせることで気になる収差はなくなります
逆光耐性は良好で、光芒の形も好評です
スナップにも持ち歩ける手頃なサイズ感の広角です
接写にも強いので、様々な撮影が楽しめます
広角ならではの放射線構図もお手の物です
ユーザーレビュー
■ ポジティブレビュー
- AFはUSMレンズと同様のスピード感で速い
- 金属が多用されて、上質な作り
- 広角ながらレンズ先端から数センチまで寄れる
- 開放は甘いが1段絞るだけで満足の画質
- EOS RPと組み合わせるととてもコンパクト
低価格にも関わらず、高い質感で写り以外にも高評価を集めるレンズとなっています。
■ ネガティブレビュー
- いつものことながらレンズフードが別売りで高い
- 四隅は流石に甘く、パープルフリンジなどが出る
- ピントリングとコントロールリングは共用なので注意
- 遠景はR5の解像度では不満が残る画質
- デジタル補正が前提なので、RAWは歪みがひどい
遠景を撮影すると解像感が落ちるも、中、近景には強いというクセがあるようです。
まとめ
RFレンズは「高解像でもとにかく高価」というのはもはや過去の評価となりそうです。RF16mm F2.8 STMは比較的安価で、なおかつEOS Rシリーズの性能を引き出す十分な性能のカメラとなっています。
ミドルクラスユーザー向けとされるEOS R6は生産台数不足でまだまだ高値のままですが、EOS RやRPは10万円を前後する価格まで値下がりしており、Canonフルミラは高嶺の花ではなくなってきています。
標準ズームRF24-105mm F4-7.1 IS STMの次のレンズにRF16mm F2.8 STMという広角レンズはいかがでしょう。
基本仕様 | |
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対応マウント | Canon RFマウント |
フォーカス | AF/MF |
フルサイズ対応 | ○ |
APS-C専用 | - |
レンズ構成 | 7群9枚 |
絞り羽根枚数 | 7枚 |
焦点距離 | 16mm |
最短撮影距離 | 13.0cm |
最大撮影倍率 | 0.26倍 |
開放F値 | F2.8〜22.0 |
画角 | 108.1度 |
手ブレ補正機構 | - |
防塵 | - |
防滴 | - |
サイズ・重量 | |
最大径×長さ | 69.2x40.2mm |
重量 | 165g |
フィルター径 | 43mm |
発売日 | |
発売日 | 2021年10月28日 |
製品情報
- カテゴリ
- 単焦点レンズ
- メーカー
- Canon
- タイプ
- 広角
- マウント
- Canon RFマウント