Canon RF28mm F2.8 STM

待ち望まれたパンケーキ

一眼カメラ交換レンズの中でも、カメラボデイから少ししか飛び出さない様な薄いレンズをその見た目から、「パンケーキレンズ」と呼びます。

パンケーキレンズは軽量コンパクトなので、一眼カメラを持ち歩くときにとても便利です。特に、他のレンズと違い、凸状にレンズ部分が飛び出さないので収納もしやすく、カメラボディを収納したり、カメラバッグに収納するときのボディキャップ代わりにも使えます。

そういった利便性に特徴あるパンケーキレンズの登場を待ち望むRFマウントユーザーの声は今まで、新しいRFマウントレンズが発売される度に多く聞こえてきました。

そしてようやく発売されたレンズがRF28mm F2.8 STM。RFマウントで最薄、最小最軽量なレンズです。ちょうどAPS-C EOS Rシリーズが連続で発売されたタイミングでもあり、同時に発表されたEOS R100に装着すると、バッテリー込でも、500gを切るという軽量撮影セットが出来上がります。まさにペットボトルを持ち運ぶ感覚でEOS Rシリーズを持ち運べます。

その大きさから、APS-C EOS Rシリーズとの相性が話題となっていますが、RF28mm F2.8 STMはフルサイズミラーレスにも対応しています。

パンケーキレンズは一眼レフ時代でもAPS-C専用のものが多く、フルサイズ一眼に装着すると、当然ですがケラレが発生しました。しかし、RF28mm F2.8 STMはフルサイズEOS Rシリーズでも、そのフルサイズならではの描写を楽しむことができます。

フォーカスブリージング補正に対応していることを考えると、フルサイズミラーレスで高画質な動画撮影を行いたいという場合もレンズの重さが気にならないので使いやすいレンズと言えます。

複雑な非球面レンズで最薄最軽量に

RF28mm F2.8 STMは見た目としてはいわゆるパンケーキレンズです。もちろん、フルサイズ向けということでAPS-Cミラーレス向けよりは厚みがありますが、約24.7ｍｍとパンケーキサイズに収められています。

これを実現できたのはミラーレス、RFマウントの大口径、ショートフランジバックという特性も理由ですが、もう一つ秘密があります。

レンズ構成図を見ると3枚の大口径PMo非球面レンズが使われていることがわかります。最後端に配置された非球面レンズは、波打ったような断面が特徴的で、あまり一眼カメラ交換レンズでは見ない形状です。こういった形状の非球面レンズはスマホの小型カメラのレンズに良く使われる形状なので、コンパクト且つ高画質を実現するには最適な形状であることが考えられます。

そのほかの2枚も特徴的な形状で、それによってフォーカス駆動のスペースが確保されています。通常、非球面レンズは複雑な形になればなるほど、加工が難しくなりますが、比較的加工が容易なPMo、プラスチックモールド非球面レンズという樹脂製レンズにしたことで、価格を抑えたまま3枚も組み込んで設計することができています。

AF駆動もリードスクリューではなくギアのSTM、ステッピングモーターを採用したことでフルサイズで使える、AF機能付きのレンズとしては1、2を争うコンパクトサイズです。

RF24mm F1.8 MACRO IS STMとの比較は

コンパクトさが売りのパンケーキレンズですが、光学性能が劣るのであれば、もう数100g重くても、写りの良いレンズを持ちたくなりますが、RF28mm F2.8 STMは、性能面でもEOS Rシリーズの性能を十分に引き出せる能力があります。

似た焦点距離のCanon純正RF単焦点レンズとしては、2022年8月に発売されたRF24mm F1.8 MACRO IS STMがあります。コンパクトでハーフマクロ性能もあり、寄れるレンズとして人気です。

RF28mm F2.8 STMとRF24mm F1.8 MACRO IS STMは、どちらもデジタル補正を前提として設計されていて、歪曲収差や周辺光量落ちはデジタル補正で目立たなくなります。

デジタル補正を前提に割り切って設計した分、その他の解像力などはしっかりとした光学設計がなされているのでEOS Rシリーズの性能を活かした撮影が出来る、手頃の単焦点レンズと言えます。

もちろん、ハーフマクロ性能があり、より明るく、手ぶれ補正も搭載されているRF24mm F1.8 MACRO IS STMの方が汎用性は高くなります。しかし、RF28mm F2.8 STMが半分の大きさ、半分の価格のレンズであると考えると、最初に購入する単焦点レンズとして十分な選択肢となります。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• MTFを見た感じでは星空撮影でも使えそう
• RF24mm F1.8よりも周辺部の描写に期待できそう
• Nikon Z 26mm F2.8と比較しても、四隅の描写はこちらが良い
• パンケーキとは思えない滑らかなボケ
• 以前のSTMよりフォーカス音は静かになっている

描写力に対する高評価が多く、パンケーキレンズでも解像力は間違いないようです。

■ ネガティブレビュー

• RF-Sにして、手ぶれ補正をつけてくれればAPS-Cでも使いやすかった
• 像面湾曲が目立つので周辺部にピントを合わせるときは注意
• ギアのSTMはやはりやや音がする
• ピントリングは流石に細くて扱いにくい
• 別売りのレンズフードは個人的には買うほどではない

AF駆動音については、両方の意見があるので、USMに比較するとまだ音が気にる程度といった感じのようです。

まとめ

RFマウントレンズに待望のパンケーキレンズが発売されました。RF28mm F2.8 STMはRFマウント最小最軽量レンズとして登場。

コンパクトなカメラとレンズの組み合わせで、ふらっと街角スナップに持ち出すときに最適のレンズであることはもちろんですが、フォーカスブリージング補正によって動画撮影時でも使える性能もあります。Vロガーやコンテンツクリエイターなどが片手でカメラを持って撮影する際にもこの軽量コンパクトなパンケーキレンズは重宝します。

EOS Rシリーズをより手軽なものとしてくれるレンズがRF28mm F2.8 STMです。