HOME単焦点レンズCanon EF85mm F1.2L II USM
Canon EF85mm F1.2L II USM

Canon EF85mm F1.2L II USM

「ボケを優先して開放で撮影するのか。」それとも「解像感を優先して少し絞るのか。」明るい単焦点を使うときはこの2択に悩まされます。その問題に1つの答えを出してくれるのがEF85mm F1.2L II USMです。EF85mm F1.2L II USMのF1.2という開放での実力をみていきましょう。

単焦点レンズ / Canon / 中望遠
新品:
148,000円〜(71)
中古:
102,800円〜(79)

開放主義者を生み出し、開放主義者を満足させるレンズ


Canon EOS 6D / EF85mm F1.2L II USM

Canon EOS 5D Mark III / EF85mm F1.2L II USM


数あるレンズの中で、最もよくボケるレンズは85mmの単焦点であるということができます。

ボケ描写はF値と焦点距離で決まります。F値が小さくなればなるほど、焦点距離が長くなればなるほど大きくボケます。ただし、焦点距離が長くなると、開放F値が小さな明るいレンズは作りにくくなり、100mmを超える望遠レンズでは単焦点でもF2付近が限界になります。

そういった点から見ると、85mm F1.2というのは最も大きくボケるレンズということができ、Canon EFマウントにおいては、EF85mm F1.2L II USMがそのレンズとなります。また、Canonではミラーレス用のRFマウントにおいてもRF85mm F1.2L USMを発売していますが、他のカメラメーカーは85mmではF1.4が最も明るくなっていることがほとんどです。つまり、85mm F1.2というレンズはCanonの特徴ということもできます。

一方で、F1.2やF1.4という明るいレンズでは少し絞ってベストな解像感で撮影するということがありますが、絞って使うのであれば、F1.2とF1.4では大した差はありません。

そんな背景を踏まえつつ、レフ機のフランジバックではF1.2がかなり限界に近いF値であることを考慮すると、そこに挑戦するよりもF1.4のクオリティを上げる方が良いという他社の選択も納得です。

それでもCanonがレフ機EFマウントでも85mm F1.2を発売しているのはやはりF1.2という絞り値にしか撮れない画があるからということです。EF85mm F1.2L II USMを開放で撮影すると、薄いピント面から、だんだんと柔らかなボケが広がります。ポートレートで使えば、まさに瞳にだけピントをあわせることが可能で、F1.4よりも更に印象的なポートレートを撮影することができます

そのレンズの最高の解像力を得るためや、収差などを抑えるためには少し絞って使うということもありますが、EF85mm F1.2Lの存在を活かすには開放で撮影する必要があるといえます。

TwitterやInstagramなどでは#開放主義者といったハッシュタグをよく見かけたしますが、EF85mm F1.2Lはまさにそういった人たちには最適のレンズであり、新たな開放主義者を生み出す可能性のあるレンズでもあります。F1.2ではピント位置をほぼピンポイントに合わせることが必要で、ポートレートでも右目に合わせるか、左目で合わせるか、瞳かまつ毛かで印象が変わってくることさえあります。

しかし、狙い通りにピントを合わせれば、主題となる被写体を柔らかなボケで浮かび上がらせる極上の写真が出来上がります。つまり、EF85mm F1.2L II USMは開放F1.2で撮影する魅力を存分に楽しめるレンズなのです。

Canon EOS 5D Mark III / EF85mm F1.2L II USM
薄いピント面で被写体をシャープに浮かび上がらせるのはさすがF1.2

Canon EOS 5D Mark III / EF85mm F1.2L II USM
解像感を求めるなら、少し絞る必要があります

Canon EOS 5Ds / EF85mm F1.2L II USM
手ブレ補正がなくともF1.2なら暗がりでも十分なシャッタースピードで撮影できます

Canon EOS 5D Mark III / EF85mm F1.2L II USM
ゴーストは簡単に出てしまうので利用するしないの判断がポイントになります

Canon EOS-1D Mark III / EF85mm F1.2L II USM
F1.2の物撮りではどこにピント面をもってくるかが重要です


画の作り込みは求められる


EF85mm F1.2L II USMは2006年発売ということで少し古いレンズです。しかも、このレンズ、先代の1989年発売EF85mm F1.2L USMとレンズの基本設計は変わっておらず、現行レンズとしては珍しくパープルフリンジも盛大に出ます。逆光耐性もさほど期待はできず、ゴーストも盛大に出ます

AF精度と速度はリングUSMがそれなりのものを保証してくれますが、最新レンズと比較すれば明らかに見劣ります。そもそも開放F1.2という明るさで撮影するとピント面は非常に薄く、狙った場所にピントを合わせるにはAF頼りというわけにはいかなくなります。

つまり、EF85mm F1.2L II USMを開放で使いこなすには、逆光時のゴーストに気を配り、ピントもAF頼りではなく最後にマニュアルで追い込む必要があります。さらに現像時にはパープルフリンジなどの収差をデジタル編集で取り除いてやる必要が出てきます。その上、EF85mm F1.4L IS USMの様に手ブレ補正もないので、撮影にはかなり手間のかかるレンズなのです。

しかし、EFマウントにおける85mm F1.2という唯一無二の明るさを考えれば、こういった手間は受け入れるべきものとも考えられます。85mm F1.2での撮影では、アクティブに動きながら何枚も撮るというよりも、ピント位置を定めて、じっくりと画を作り込んでいくという撮影が適しているといえます。

そういった意味ではかなり使い手を選ぶレンズということにもなります。


使い勝手も注意が必要


使い手を選ぶという点から言うと、使い勝手にも注意が必要な点があります

まず1つ目としてはレンズフードです。他のEFレンズとはレンズフードの装着方法が少し異なり、回してはめ込むタイプではなく、押し込むタイプです。

EF85mm F1.2L II USMは最新レンズの様なインナーフォーカスやバックフォーカスではないので、ピント調整時に鏡筒が伸び縮みます。伸び縮みする鏡筒はレンズフードの内部部分ですが、フォーカス時にレンズフードも一緒に回転するので、他とは違うレンズフードの固定方式が採用されています。

また、出っ張りという点では後玉も飛び出しています。そこまで神経質になる必要はありませんが、粗雑にレンズ交換をすると後玉がミラーに接触可能性もあるので注意が必要です。

その他の注意点としては防塵防滴仕様ではないということです。通常、CanonのLレンズは過酷な撮影に耐えるために防塵防滴仕様が標準となっていますが、EF85mm F1.2L II USMは防塵防滴仕様ではありません。ある程度の防塵防滴はあると考えられますが、防塵防滴性に頼っての酷使は出来ません。

けっこう振り回して撮影できるイメージのあるLレンズですが、EF85mm F1.2L II USMは繊細さが要求されそうです。

また、レンズ自体はさほど大きいという印象のないEF85mm F1.2L II USMですが重量は1kg超えとかなり重たいレンズになります。EF85mm F1.4L IS USMよりもコンパクトではありますが、重量的にはF1.2L IIの方が重く、分厚いレンズが使われていることがわかります。

EF85mm F1.2L II USMは汎用レンズというよりも大口径単焦点の描画に特化した専門性の高いレンズなので、こういった使い勝手も納得で使う必要があるといえます。


ネット上のユーザーレビュー


■ポジティブレビュー

  • 柔らかく、綺麗な背景ボケが楽しめる
  • このレンズが使いたいからこそのCanon一眼レフという選択
  • 1Dxとの組み合わせではAF速度はそこまで気にならない
  • 絞り開放の撮影でも収差などは目立たず十分に使える
  • 円形ボケが綺麗で、ピント面はとてもシャープ

独特のボケ描写とシャープなピント面に開放での撮影でも満足するユーザーの声が多くありました。

■ネガティブレビュー

  • AF速度も解像感のなさもまったく改善されていない
  • 歩留まりが悪く、信頼して使えない
  • 子供の動きにはまったくAFが追いつかない
  • とても重い上に持ちにくい
  • マウントアダプターを介してミラーレスで使うなら全く無用

やはり使い勝手の悪さから、レンズ頼りに信頼して撮影するというスタイルには向いていないようです。


まとめ


EF85mm F1.2L II USMは購入したからといって必ずしも良い写真が撮れるというレンズではありません。EF85mm F1.2L II USMを使いこなすには、薄いピント面をコントロールする力や、ライティング、中望遠の画角を利用した構図作りなど様々な撮影技術が要求されます

しかし、それらがハマって生み出された写真は一眼レフではCanonによってのみ作られるF1.2独特の描画となります。EF85mm F1.2L II USMは使いこなせるチャレンジャーを待っています。
基本仕様
対応マウントCanon EFマウント
フォーカスAF/MF
フルサイズ対応
APS-C専用-
レンズ構成7群8枚
絞り羽根枚数8枚
焦点距離

最短撮影距離95.0cm
最大撮影倍率0.11倍
開放F値F1.2〜16.0
画角28.3度
手ブレ補正機構-
防塵-
防滴-
サイズ・重量
最大径×長さ91.5x84mm
重量1,025g
フィルター径72mm
発売日
発売日2006年03月01日