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Canon EF85mm F1.4L IS USM

Canon EF85mm F1.4L IS USM

ポートレート撮影における主力レンズとも言える85mm単焦点。2017年満を持して発売されたEF85mm F1.4L IS USMは主力武器となるのでしょうか。同じくCanonのEF85mm F1.2L II USMやSIGMA Artラインとの比較を交えながら、EF85mm F1.4L IS USMの実力を解説します。

単焦点レンズ / Canon / 中望遠
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Canonらしくもあり、らしくないポートレートレンズ


Canon EOS 6D Mark II / EF85mm F1.4L IS USM
出典:wikimedia(@Ayen Ho)

Canon EOS-1D X Mark II / EF85mm F1.4L IS USM
出典:flickr(@泊峻 吳)

EF85mm F1.4L IS USMの第一印象としては「Canonらしいが、Canonらしくないレンズ」と言えるでしょう。

明るい単焦点レンズは、基本的にズームレンズよりも大口径化するため、スペース的な余裕などから手ブレ補正機構が搭載されない傾向にあります。そもそも明るいレンズなのでシャッタースピードが稼げて手ブレリスクは少なく、手ブレ補正は必要性も少ないという理由もあります。

しかしながら、EF85mm F1.4L IS USMは型番からわかる通り、Canonの手ブレ補正IS機構を搭載しており、その効果は4段分となっています。毎日カメラを扱っているプロカメラマンならば、手ブレを抑える構え方や設定も十分に身についていますが、カメラの扱いに熟練していないアマチュアにとっては嬉しい機能です。

重たいレフ機に1kg近い大きな85mmを装着して、動きながら撮影すると手ブレが発生してしまうことはどうしてもあります。また、ちょっと薄暗い照明下での撮影でも手持ちで安心して撮影ができるということはプロにも嬉しい機能ではないでしょうか。

多くの85mm単焦点に手ブレ補正が搭載されない中、使い勝手を優先し、幅広いユーザーが撮影しやすいレンズとしたのはいかにもCanonらしいレンズといえます。さらに、手ブレ補正がありながら、コンパクトに設計されているということも好感で、85mmの明るい単焦点レンズとしては最軽量クラスのコンパクトさとなっています。

一方で、Canonらしくない面もあります。

Canonといえばより美しく、鮮やかな写真というイメージがありますが、EF85mm F1.4L IS USMはどちらかというと、優しい描写の印象があります。

近年発売されるレンズは、高画素機向けのいわゆる「カリッカリ」のシャープな描画をするレンズという特徴に重点が置かれることがありますが、EF85mm F1.4Lはそういった流行には沿ったレンズとは一線を画しています。

その描写が意図した設計のものかどうかはわかりませんが、柔らかな描写によってポートレートでは肌色の発色がとても良いレンズとなっています。Canonらしくない描写のレンズですが、ポートレートではその描写がとても武器になります。


社内にもライバル、社外にもライバル


ポートレートでは程よく被写体との距離がとれてよくボケる100mm前後のレンズがよく使われます。

85mmの単焦点はまさにドンピシャのレンズで、Canonにも2006年発売のEF85mm F1.2L II USMというLレンズの他、EF85mm F1.8 USMという無印のレンズが既にラインアップされている他、社外メーカーもEFマウントの85mm単焦点が発売されています。

無印の85mmはかなりリーズナブルで価格差もあることから性能も価格なりということでEF85mm F1.4L IS USMとの比較対象にはならないでしょう一方で、EF85mm F1.2L II USMについては価格差が2〜3万円程度で、明るさをとるのか、ISと最新設計レンズを取るかという悩ましい選択となります。

F1.4LはF1.2Lと比較するとISが搭載されただけでなく、AF速度、精度も進化していてとても評価が高くなっています。スタジオ撮影などであればF1.2の明るさが欲しくなることもありますが、屋外である程度動きながらの撮影であれば、手ブレ補正とAF速度で有利なF1.4Lが求められそうです。

さて、85mmF1.4ではSIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Artという非常に評価の高いサードパーティレンズがあります。EF85mm F1.4L IS USMは残念ながら解像力としてはSIGMA 85mm F1.4に及びません。

これは単に写真の印象という抽象的なものではなく、計測データとして開放から、やや絞った状態のいずれでもSIGMA 85mmの方が解像力が高いという結果が出ています。もちろんEF85mm F1.4L IS USMも開放から良好な画質を発揮していますが、SIGMA 85mmと比較すると色収差が大きく、コマ収差や歪曲収差も発生することからこの結果に繋がったと考えられます。

Canonには収差を抑えるUDレンズといった技術もありますが、EF85mm F1.4Lには採用されていません。フレアやゴーストを軽減するASCや防汚防塵機能を強化するフッ素コーティングなどは採用されているので、ある程度の収差には目をつぶって、ISの搭載スペースやコンパクトさ、何よりも肌の発色などに重点をおいたとも考えられます。

SIGMA 85mm F1.4は価格的にも5万円ほど安くて、なおかつ解像力も高いとなると純正EF85mm F1.4L IS USMの出番はないようにも思えます。しかし、EF85mm F1.4L IS USMの肌の発色や柔らかなボケ感、そして薄暗い場所でも撮影可能となる手ブレ補正を考慮すれば、純正レンズという選択肢は間違いなく存在します。

EF85mm F1.4L IS USMの収差や解像感はあくまでSIGMA 85mm F1.4と比較したときのものであって、実用的には開放から十分使えるレンズです。もちろん、ある程度絞ることで収差は抑えられ、F4くらいまで絞ることで解像力はピークとなります。

しかし、EF85mm F1.4L IS USMの存在意義を考えると積極的に開放で撮影して今までのCanonレンズとは一味違う柔らかな描画を楽しみたいレンズと言えるのではないでしょうか。

Canon EOS 5D Mark III / EF85mm F1.4L IS USM
85mmは被写体との距離感をもって撮影が可能です

Canon EOS 5D Mark III / EF85mm F1.4L IS USM
犬の毛並みや雑草を繊細に描く描画はさすが大口径レンズです

Canon EOS R / EF85mm F1.4L IS USM
王道ポートレートではこのレンズさえあればなんとかなりそうです

Canon EOS R / EF85mm F1.4L IS USM
F4まで絞ることで解像力はこのレンズのピークとなります

Canon EOS 5D Mark IV / EF85mm F1.4L IS USM
口径食が見られやすいレンズなので、玉ボケを多用する場合は注意が必要です


ネット上のユーザーレビュー


【ポジティブレビュー】

  • 85mmF1.2Lに比べると現行カメラにあった画質
  • 軽量とまではいかないが、持ち運びには問題ない
  • IS搭載のお陰でISO感度を抑えられる
  • デザインが5Dや1Dxとベストマッチ
  • 合焦地点では開放から非常に高い解像感

やはりIS搭載の単焦点ということでライトからミドルユーザー層からの支持が厚くなっています

【ネガティブレビュー】

  • 口径食があるのでF2.8まで絞らなければならない
  • ミラーレス移行期ということを考えると、そこまでの魅力はない
  • 中心部の解像感が高いのでモデルの肌荒れなどには注意が必要
  • 優等生なボケ感で、味という意味ではいまいち
  • Lレンズの期待に答えるほどのAF速度や精度はない

AF速度や精度に関してはEF85mm F1.2Lよりは良好なものの、万全の信頼を寄せるレベルにはなさそうです。


まとめ


ポートレートでは必須のレンズとも言える85mm単焦点。Canonはそこに手ブレ補正付きというユニークなレンズを投入することでポートレートの間口をライトユーザー層にまで広げました。

しかも、単に使いやすい、明るくてコンパクトで手ブレ補正のあるレンズというわけではなく、柔らかい独特の描写で新たなCanonらしさのポートレートを生み出します。今までにない描写を求めて購入するプロカメラマンも多いレンズとなっています。

フルサイズミラーレスになればレンズ内手ブレ補正も無用のものとなりますが、レフ機をしばらく使い続けるなら、多少の暗がりでも手持ち撮影で大きなボケも楽しめるEF85mm F1.4L IS USMは大活躍するレンズとなります。
基本仕様
対応マウントCanon EFマウント
フォーカスAF/MF
フルサイズ対応
APS-C専用-
レンズ構成10群14枚
絞り羽根枚数9枚
焦点距離

最短撮影距離85.0cm
最大撮影倍率0.12倍
開放F値F1.4〜22.0
画角28.3度
手ブレ補正機構
防塵
防滴
サイズ・重量
最大径×長さ88.6x105.4mm
重量950g
フィルター径77mm
発売日
発売日2017年11月30日