SIGMA 35mm F1.2 DG II｜Art [ソニーE用]

さらに進化した「魅惑の大口径レンズ」

初代「35mm F1.2 DG DN｜Art」が登場したのは2019年。 そこから6年を経て、SIGMAはさらなる進化を遂げたII型を2025年に発表しました。

まず目を引くのは、従来と同じF1.2という開放F値。その明るさが生み出す浅い被写界深度は、被写体を際立たせ、暗所でも高い自由度を確保します。開放から驚くほどシャープで、ポートレートやスナップ、風景まで幅広く高解像を実現しています。

II型では、初代と比べて約30％の軽量化と小型化を達成。フィルター径は82mmから72mmへ、重量は約1090gから755gへと大幅に減少しました。このサイズでF1.2を実現していること自体が、SIGMAの光学設計技術の進化を物語ります。

操作性も向上し、絞りリングにはクリックON/OFF切り替え機能を搭載。AF/MF切り替えスイッチやカスタム可能なAFLボタンも備え、プロの現場にも応える操作感を提供します。 AF性能も進化し、デュアルHLAモーターによってフォーカス群を高速かつ静音で駆動。最短撮影距離も28cmまで短縮され、より寄った構図での表現が可能になりました。

描写面では、開放から滑らかな玉ボケが得られ、背景との分離感が際立ちます。F2.8以降では画面全体で均質な解像力を発揮し、風景撮影でも色彩とコントラストを豊かに描きます。

外観も刷新され、2025年に導入された新しいSIGMAロゴとフォントを採用。Artラインらしい洗練された仕上げに加え、防塵・防滴構造も備え、過酷な環境でも安心して使えます。

スペック以上に、このレンズがもたらすのは“撮る喜び”そのもの。F1.2という開放値が生み出す世界は、写真を群衆の中で際立たせ、撮影者の創造力を強く刺激します。

純正レンズにはない、F1.2の個性

SONY Eマウントの純正レンズには「35mm F1.4 GM」がありますが、F1.2のレンズは存在しません。 FE 35mm F1.4 GMは軽量かつ高精度なAFと動画対応を重視したバランス型のレンズで、XDリニアモーターによる高速・静音AFは動画撮影にも最適。重量約524gという軽さも魅力で、長時間の使用でも疲れにくい設計です。

一方のSIGMAは、開放値F1.2によるボケ量と立体感を最優先した設計。 背景をとろけるように溶かし、被写体を浮かび上がらせるような立体描写は、このレンズならではの醍醐味です。特にポートレートや夜景では、他のレンズでは得られない「空気感」を再現します。

描写傾向も明確に異なります。SIGMAは濃密でコントラストの強い描写が特徴で、アート的な写真表現に向く一方、SONYは自然でニュートラルな発色が持ち味。肌色や風景のトーンを忠実に描き出します。

サイズ面では、SIGMAはII型で軽量化が進んだものの、FE 35mm F1.4 GMに比べると依然として大きめ。 SONYはフィルター径67mmとコンパクトで、ジンバル運用や動画撮影との相性が抜群です。

「表現力で選ぶならSIGMA、機動力で選ぶならSONY」。 両者は方向性こそ異なりますが、いずれも完成度の高い35mmレンズです。撮影スタイルや被写体によって、最適な選択は変わってくるでしょう。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• 開放から驚くほどシャープで、ポートレートに最適のレンズ
• ボケが美しく、立体感のある描写
• 軽量化によってI型よりも持ち出す頻度が増えそう
• フィルター径72mmなので選択肢が多い
• 絞りリングのON/OFFもあるので動画でも使えそう

高い光学性能と軽量化の両立に多くの好レビューが集まっていました。

■ ネガティブレビュー

• 軽量化されたとはいえ、まだまだ重いレンズといった印象
• AF駆動音は静音だが無音ではないので動画では注意
• 絞りリングのクリック感が自分には合わない
• 動画撮影時はフォーカスブリージングがやや気になる
• 防塵防滴仕様ではあるが、完全防水ではないので過酷な環境では注意

動画撮影に最適化されたレンズではないので、動画撮影時は注意する必要があるようです。

まとめ

SIGMA 35mm F1.2 DG II｜Artは、圧倒的な開放値F1.2と高い解像力を両立した大口径レンズ。I型からの約30％軽量化によって取り回しが向上し、操作性も進化しました。

美しいボケと立体感のある描写は、ポートレートや夜景に最適。そして、Eマウント純正には存在しない35mm F1.2という唯一の選択肢として、SIGMAの存在感を再び強く印象づける一本です。