SIGMA 17mm F4 DG DN｜Contemporary [ライカL用]

自由度の高いスペックが詰まった超広角単焦点レンズ

人間の視野を超える画角の超広角レンズは、使用者の想像し得ない絵作りが楽しめるかわりに、画角を調節して意図した表現にするコントロールが非常に難しいレンズとも言えます。

陥りがちなのが、レンズの画角に準じて広い景色を撮ろうとして、漫然とした写真ばっかりになってしまうこと。広角レンズは近くのものを大きく、遠くのものを小さく写します。目の前に広がる雄大な景色も広角レンズにかかれば、遠くに映る平凡な光景へと早変わり。超広角レンズとなればより顕著になります。

こういった現象を起こさないために、広角レンズを使う上で重要なことは、被写体にどれだけ近づけられるか。近づけば近づくほど被写体が強調され、広い画角のおかげで撮影場所の雰囲気なども盛り込めるので、意図が伝わりやすい写真にすることができます。

今回紹介する17mm F4 DG DN｜Contemporaryはそんな近接性能に長けており、撮影可能な最短距離は約12cm。センサー面からの距離なので、レンズスレスレまで寄ることができます。広角レンズで近づけば近づくほどパースペクティブが強くなりますが、広角レンズならではの表現と割り切ると、広角レンズでしか得られない迫力のある光景にであえるでしょう。

長さ48.8mm、重さ225gという極めて小さくて軽いレンズであることもポイント。取り回しがよく、近接性能をいかんなく発揮することが可能です。出先で見つけたフォトジェニックな光景やテーブルフォトといったちょっと撮影にも向いているので、常用レンズとしても良さそうです。

また、超広角レンズにありがちな前玉むき出しの出目金スタイルではないため、近接撮影を行っても不意にレンズを傷つける心配も少ないですし、フィルターワークも行えます。フィルター径は55mmと標準的。コストパフォーマンスも上々です。

仕上がりが良く、所有感の高いIシリーズ

SIGMAが展開する「Iシリーズ」とは、スマホカメラが台頭している中でカメラやレンズを所有することへの価値を、ものづくりの視点で提案するというもの。金属素材が採用され、一部ヘアライン加工が施されていたりなど、高級感を演出。かつてのMFレンズのようなしっとりとした抵抗感を設けた操作感も魅力です。

一応中堅にあたるContemporaryレンズにはなりますが、光学性能にも手を抜いておらず、SLDガラス2枚、非球面レンズ3枚を採用する豪華仕様。画角が広いからこそより悩まされるフレアやゴーストもしっかり抑えており、平滑な高画質を実現しています。

AFは速く、簡易ではありますが防塵防滴性能も備わっているので、屋内外問わず存分に使用可能です。

ユーザーレビュー

■ ポジティブレビュー

• SIGMAらしい解像感を感じられるレンズ
• 重みのある仕上がりだが、携帯性が非常に高い
• テーブルフォトやお散歩用レンズにも最適
• 安っぽさがない
• 逆光耐性が高い

仕上がり、描写性能ともに評判の良いIシリーズのレンズらしい評価。解像感の高さは随一という声も。

■ ネガティブレビュー

• 絞りのクリック音のON/OFF機能がついていない

SIGMAのArtシリーズには搭載されているクリック感のオフにできる機能は残念ながら付いていないので、動画で使いたいと思っていた方はご注意を。

まとめ

17mm F4 DG DN｜Contemporaryのように、仕上がりとコンパクトさと描写性能を高いレベルで持ち合わせたレンズはほかにはありません。価格も比較的安めなのでプレイバリューも上々。SIGMA fpやLUMIX S5といった小型機と組み合わせて、超広角域撮影を気軽に楽しんでみてはいかがでしょうか。